推しのために死に続ける話。   作:三つ首黒虎

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お待たせしました!
新規投稿いえい。
一度書くと書けるんだけどな……
書き始めるまでが長い……致し方なし…

はやく、バトりたいなー

あ、失礼しました。
改めて最新話ですどうぞ。


54話 インターン

 

「一年生の校外活動ですが……昨日協議した結果――」

 

 翌日、相澤先生のそんな言葉からホームルームが始まった。

 

 そうそう、インターン。僕は行かないきゃいけない。

 できることならすぐにでも……

 

「校長をはじめ、多くの先生が『やめとけ』という意見でした」

 

「……?…………え――?」

 

 やめとけ……?それは……

 

「えー、あんな説明会までして!?」

「でも、全寮制になった経緯から考えたらそうなるか……」

 

 しかし相澤先生は一度咳払いをすると態度を一変させた。

 

「――が、今の保護下方針では強いヒーローは育たないという意見もあり、方針としては『インターン受け入れの実績が多い事務所に限り一年生の実施を許可する』という結論に至りました」

 

 良かった……

 それなら、インターンあの人の事務所に行けそうだ。

 あんなに自信満々に言ってたのにインターン受け入れの実績が多いじゃないなんてことないだろうし――

 

 そう、この時の僕はあんなことになるなんて考えもしなかった。

 まさか、そんなことが起こるなんて――

 

 ♦︎♦︎♦︎

 

 インターンに一年生も参加できる、

 そう相澤先生から告げられどこの事務所に行くのか、何をするか、そんな話を昼休みにみんなでしていた……そんな時だった。

 

 ポケットに入ったスマホが震える。

 

「あ、ちょっとごめんね。なんか連絡きたみたい」

 

 僕はみんなに一言断りスマホのメッセージを覗き込んだ。

 

『緊急事態や!電話求む』

 

 そう短いメッセージが影人さんから届いていた。

 だから僕はちょっと電話してくるね、と伝え席を離れ廊下へ出た。

 

 影人さんに電話をかけると一度目のコールで電話は繋がった。

 

「すまん!!インターンの事やねんけど……ちょいやばいかもしれへん」

 

 そんな影人さんの焦った声が耳に入った。

 

「……え!?ど、どうしたんですか?」

「いや、それがな。ほら、今回キミら一年生をインターンに誘うにあたり厄介な条件付けが――」

 

 嫌な感じがしてくると同時に、僕の記憶の中にあった相澤先生の言葉が蘇った。

 

『――が、今の保護下方針では強いヒーローは育たないという意見もあり、方針としては『インターン受け入れの実績が多い事務所に限り一年生の実施を許可する』という結論に至りました』

 

『インターン受け入れの実績が多い事務所に限り』

 

「――あっ……」

「せや……受け入れ実績が多い事務所って条件がついてんのや………ウチみたいな弱小事務所そもそもインターン受け入れとか二度しかあらへん」

「ニ度……」

 

 ……えっと、これは不味くない……?

 

「そもそもキミ、ウチのヒーロー名も事務所名も知らんかったやろ?」

「……ええ、すみません」

「気にせんでええ。ウチ、できてまだ四年の事務所やしな。実績も多いとは言えんし……で、今問い合わせしとるんやけど、まだ『確認中』の一点張りでな……」

「え……つまり、結構やばい感じです?」

 

 

 どうしようどうしよう、どうしよう!!?

 え、僕のインターン先どうするの!?記憶は!?来年までお預け……?

 

「……やろ……?まぁ……今回は最悪梢ちゃんだけ居ればええから一時的に別事務所に梢ちゃんが行く……って選択肢もあんねんけど。そんな、キミと梢ちゃん受け入れてくれる事務所とか思いつかんしなぁ……」

「あ……」

 

 一応だけど……対応策はあるんだ……

 二人を受け入れてくれる事務所……迷惑かけちゃうと思う……けど、僕の事情を知っている人の方が話が通りやすいよね。

 誰かいないかな――

 僕の事情知ってる人自体そう多くないし……

 えっと、相澤先生、発目さんが少しと……ミッドナイト……?

 そう、そうだよ。ミッドナイトなら――

 

「ミッドナイト!!」

「!?、なんやなんや、どした!!?急に大声出して」

「え、えっと、僕の事情知ってて、昔インターン受け入れしてた事務所引き継いでる人がいるんです」

「?、おう、あ、それであの別嬪さんやな?」

「あ、はい。ミッドナイトならどうにか出来るかも……知れません」

 

 あんまり迷惑はかけたくないけど……。

 親身にはなってくれるし、でも助けたい人のを手借りるのは……

 

「ただ……」

「?ただ……、どしたん?」

「えー……あー……これ以上……迷惑を」

 

 ふと誰かに、肩をちょんちょんとつつかれた。

 

「あ、ごめんなさい。ちょっと今電話してるので……」

「?どないしたん?」

「いや、なんか肩つつかれて……」

 

 影人さんに返事を返し、そういえば誰なんだろうと思い首を回して振り返ると――

 

 意地悪そうに、ニヤニヤと笑っている、ミッドナイトが後ろに立っていた。

 

「ッ――!!」

 

 その瞬間頭を駆ける情報の嵐。

 

 え、え、なになになになに?え、かわよ、いや違くて何でここにいて。いや、それも学校だからいるよね、そうだよね。え、なに、なんでいるの、は、え、い?あ、ウインクしてる可愛い、じゃなくてあ、今電話中で、お久しぶりですねじゃなくて、あの時ご飯ありがとうございますでもなくて、肩つついたのミッドナイト?あ、う、お座なりな対応してごめんなさい。ど、どこから話せば、いいの?あ、やっぱり謝罪からかな。なんか頭痛くなってきた。え?久しぶりのミッドナイトで情報過多。なんかぱくぱくしてる、え?なにきこえないんだけど――あぁ、そうか。夢か。うん、そういう事なら納得だ。最近リアルミッドナイト見れてないし、そうだよね。欠乏症……いやいやいや、そんなわけあるか!今日は帰ったらゆっくり休もう……うん、そうしよう。

 

「――い、おーい!置換くん?大丈夫かいな」

 

 影人さんの声が耳に入り現実に帰ってきた。

 

「あ、はい。なんかミッドナイトの幻覚見えちゃって――疲れてるんだと思います」

「あ、そやったんか。すまんな疲れてるのに……で、申し訳ないんやけど、わし面識あらへんし置換くんの方で別嬪さんにに話通してもろてもええか?」

「あ、はい。伝えてみますね。それじゃあまた」

「ほなまたー」

 

 電話がきれツーツーと無機質な機械音がスマホから聞こえる。

 

「ふぅ、びっくりした。ミッドナイトがここに居るわけ――」

 

 視界が塞がれた。

 目元に暖かい手の温もりと背中に二つの柔らかい熱源を感じた。

 

「さて、問題です。私は……誰でしょう?」

 

 耳元で心地よい音が揺れる。

 

 同時に僕の頭を駆け巡る今までの人生。

 生まれ、無駄に生き、誰と関わることもなく意味もなく死んだ前世。

 そして蘇ったと思ったら両親はおらずじいちゃんとばあちゃんに育てられ、あまり人と関わるタイプではなかったけど、仲のいい友達……もいた気がする。

 雄英の試験を受け、合格して個性把握テスト、戦闘訓練、USJ、体育祭に、職場訓練、林間――合宿。

 しかし幾つかが朧げで、あった、こんなことやったっけな、そんな事実しか記憶にない。

 しかし今の僕はそれどころではない。

 

 僕の想像が確かであるのなら……これは、彼女の手と――

 あ……あれ……?意識が……身体が……傾いて……

 

 

 ♦︎♦︎♦︎

 

「い、ほんとごめんなさい」

「まったく、いくら一時一緒に過ごしてたとはいえ気安くしすぎだよ」

「いやー、まさか、彼がこんなに免疫ないとは思ってなくて……ちょっと揶揄おうとしただけなんですよ?」

「ま、いいんだけどね。とりあえず失神してるだけだからそろそろ目を覚ますと思――ほら、もう目覚めてるね」

「リカバリーガール、ありがとうございました。お手数かけちゃってごめんなさい」

「いいさ、私からしてみゃ、ミッドナイトも子供みたいなもんだからね」

 

 ここは……あぁ、また保健室だ。

 よくこういうところにお世話になるものだ。

 そうそうないだろうに……

 さて、話の聞く限りリカバリーガールは退出したようだった。

 

 多分だけど、驚きすぎて倒れてしまったのだろう。

 正直な話、前世含めそこまで女性と身体的接触はないので女性慣れしていないのだ。

 

「あー……すいません」

「あはは、私もまさかここまで驚くとは思ってなかったからごめんね?」

「いえ……」

「あ、そうだ。なんか私の名前呼んでたけど何か用事あった?」

「…………?」

 

 ミッドナイトに、用事。用事……?なんかあったかな……

 ……あ、そうだった。インターンについてだ。

 

 僕は影人さんとの電話の内容をミッドナイトに話した。

 

 記憶について調べられそうな人がいること。

 その人達の事務所にインターンへ行く予定だったが今回の方針『インターン受け入れの実績が多い事務所に限り一年生の実施を許可する』という点から逸れており行けなくなりそうなこと。

 代替案としてその記憶を調べられる人が一時的に僕と共に受け入れてもらえる場所があればいいと言っていたこと。

 その場所としてミッドナイトの事務所はどうか……ということ。

 

 先ほど聞いた話を全て彼女に話した。

 ミッドナイトは一度息を吸うと真剣な表情で言葉を発した。

 

「……そう、置換くんの記憶。それを調べられる人がいるのね」

「……はい」

「つまり、あなたは記憶を――」

「はい、そうです」

 

 僕は先生の目を真っ直ぐ見返し言葉を返す。

 

「うん、わかったわ。一応私の事務所ってことにはなってるけど……実際の運営は社長がやってるから確認してみるわね」

「……ありがとうございます!」

「いいのよ、あなたのそれは私たちが助けられなかったから……私たちは大人として償わなきゃ」

「時間を頂戴……そうね、一日でいいわ。もしダメと言われても私がなんとかしてあげる」

「ほんとうに、ありがとう……ございます」

「気にしないで、可愛い生徒のためだもの」

 

 本当に、優しい人だ。こんなに迷惑をかけても笑って受け入れてくれる。

 だからこそ、彼女にもらった全てを使って僕はいつか彼女に訪れる幕引きから救うんだ。

 

 尚、この会話の後教室に戻ると。ミッドナイトが僕に目隠しをしていたのを誰かにみられていたようで、峰田くん他男子数名にかなり詰め寄られた。

 

 ♦︎♦︎♦︎

 

 翌日。

 朝のホームルームにて相澤先生より伝達があった。

 

「あー……、置換。昼休みミッドナイトから呼び出しだ。忘れず行け」

 

 呼び出し……!インターンの事だ。

 忘れず行かないと。

 

「はい!」

 

 そうして、授業を終え職員室にて待つミッドナイトの元へ向かった。

 

「いらっしゃい置換くん。早速だけどインターンの件ね――」

 

 

 





 ある少女の独白。
 
「さぁて、隷くんの性格的にそろそろかな?」
「彼の性質上怒りは長続きしてくれないんだ。だから、こうした」
「それを思い出した時、復讐の対象が目の前にいたら……」
「あぁ……これで俺/私は彼にとっての唯一無二になれるんだ――」
「俺はずぅぅぅぅっとこの時を夢見てたんだから、もし邪魔する奴がいるなら……」
 
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