推しのために死に続ける話。   作:三つ首黒虎

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さてさて、昨日はヴィジランテの初放送。
この作品を見ているのなら少なからずミッドナイトが好きですね?
はい、あなたは間違いなくミッドナイトのことが好きなのです。
まだ仕事中で見れてないけど確実に可愛いミッドナイトがアニメにて登場するでしょう。

観るのです。

さて本編のお話ですが……
お待たせしました。前回投稿日から7日以内‥ギリセーフでございます。
今話も退屈を紛らわせたら幸いです。


55話 インターン開始

 

 時刻は朝六時三十分。

 僕は今、田曽宮駅に向かう為電車に乗っていた。

 何故こうなっているのか。

 僕はあの後ミッドナイトに呼び出され職員室にいる彼女へ会いに行った。

 そうしてこう話されたんだ。

 

 ♦︎♦︎♦︎

 

「いらっしゃい置換くん。

 早速だけどインターンの件ね。

 社長――かなり乗り気で……えぇ、かなり準備してるわ。明日からでも始められそうなくらいよ」

「明日……?は、早いですね」

「そ、そうね。まさかこんなに話がすんなり通るなんて思ってもなかったから……」

 

 おっかなびっくりな様子のミッドナイトを見て

 僕は自分の中で反芻するよう呟いた。

 

「でもよかったです。……これでちゃんと僕も自分と向き合えます」

 

 ミッドナイトは、どこか辛そうに見える。

 

「……えぇ、そうね……あなたにとって良き方向に行くことを願っているわ」

「えっと……どうかしましたか?」

「いえ……なんでもないわ。

 それで、インターンだけど……

あくまで私の事務所ってことになってるから私がいる時だけ、インターンを実施する、という形になるわ」

「はい、わかりました」

「なので、明日は挨拶だけ行ってもらってもいいかしら。一応学校実習関連なわけだから」

「はい、久しぶりに社長とお話ししたいのでぜひ」

「そう、それならよかったわ」

 

 

 嬉しく感じてはいけないのだけど、それでもやっぱり嬉しいのだ。好きな人と一緒に居れる、というのは。

 だから、僕は全力を尽くすだろう。

 救いたいと思える人がそばで見ていてくれるなら、本気で学び、全力で記憶と向き合う。

 

 そうすることが今、僕がこの人にできる恩返しだから――

 

 あ、そうだ。もちろんこの後影人さんに連絡をいれた。

 ミッドナイトの所なら二人とも受け入れられると、

 影人さんは自分が来れない事を申し訳ないと言っていた。梢さんはタイミングを見て一時的にミッドナイト事務所へ移籍するとの事だった。

 

 

 ♦︎♦︎♦︎

 

 電車を乗り継ぎ、田曽宮市、オフィスパープルレボリューション前――改めミッドナイト事務所に到着した。

 前もって到着時間の連絡をしていたからだろう、筋肉質な両腕のないオネエ――ごほん、社長が立っていた。

 

「あらぁ?待ってたわよ、元気してたかしら?」

 

 相変わらずキャラ濃いなぁ、と思いつつ返事を返す。

 

「あはは……もちろんです。社長はどうでした?」

「ふふん、見てわかるでしょう?このボディ、さらに磨きをかけたわ」

「あー……通りで」

 

 確かに以前会った時よりスーツ越しでもわかるくらいには下半身の筋肉が増強されている。

 腕はないはずなのに初対面の時よりさらに圧を感じる……そんな気もする。

 

「それで、インターンだったわね」

「はい、これからよろしくお願いします!」

「もちろんよ、今日はもうこの後帰るのかしら?時間があるようならすこし――どう?」

 

 社長は事務所に向かい顎をしゃくった。

 

 そう、だよね。

 ……今日は予定もないし少し身体を動かそうかな?

 

 一瞬の思案、そして返事を返した。

 

「えぇ、よろしくお願いします」

 

 その日は社長にボコボコにされた。

 おかしいだろあの人。なんで下半身しか使ってないのにあんな強いんさ……個性胸毛だよ……?ほぼ無個性でしょ……

 

 ♦︎♦︎♦︎

 

『こちら、神栖原市にて暴力事件か――』

 

 社長との再会から三日が経ったある日

 社長とパトロールを終え事務所に戻った時そんなニュースが流れていた。

 

「あら……この前のやつね」

「神栖原っいうと、近いですね……」

「えぇ、二つ隣の市ね。派遣要請されたけど睡ちゃんがすぐ近くにいたみたいで鎮圧したらしいわ」

「ミッドナイトが……」

「ただ変だったって言ってたのよね睡ちゃん……」

「変だった……ですか?」

「えぇ、たしか――」

 

 社長が何かを言おうとした時だった。

 ちょうど通りかかったのだろうミッドナイトが僕達に声をかけた。

 

「あら?二人とも何話してるの?」

「あぁ、ちょうどよかったわこの前の神栖原市の件よ」

「……アレね」

「睡ちゃん変だったって言ってたじゃない?」

「えぇ、確かに彼、風社 静真は個性が登録されているものと違いました」

「えっと、個性が――?」

「えぇ――」

 

 ミッドナイトが返事を返そうとしたその時連絡が入ったようで彼女のスマホが通知音を響かせた。

 

「……そうだったわ……ごめんなさい。例の件でシャドウ事務所からの一時移籍があってちょうど今来てるみたいなのよね」

「そうだったんですね……こちらこそ、引き留めてごめんなさい」

「そういえばそうだったわね。置換ちゃんここで待っててちょーだいね」

「じゃあ社長行きますよ」

「はいはい、そろそろ独り立ちしなさいな……」

 

 ミッドナイトは結構社長を頼りにしているのだろう。

 甘えてるように見える。

 さて、梢さんも来たらしい。今日のインターンでやることは終わったって社長言ってたし時間があれば早速梢さんにお願いしてみようかな。

 

 ♦︎♦︎♦︎

 

 時は夕方、もう陽が落ちるとも言える時間帯。

 社長とミッドナイトは受け入れの事務作業があるとのことで事務室に戻り、僕と梢さんは医務室で向き合っていた。

 

 

「さて、お久しぶりやね。置換くん」

「お久しぶりです」

「いやー、助かったわ。あのボケが何も考えずに安請け合いするから危うくキミらに迷惑かけるとこ……いや、かけとるな……すまん……」

「あはは……ミッドナイトも社長もいい人なので気にしてないですよ、きっと……」

「やね、そんな気はしとる」

 

 そう言いながら僕と梢さんは笑い合った。

 

「さて、早速やけど時間ができたさかい――やろか?」

「――はい、お願いします。僕の記憶を読んでください」

「ま、言っても今日は前回と違って軽くやから気軽に行こや」

 

 梢さんは僕の頭に手を添える。

 その手のひらの暖かな熱と共に僕の意識は闇に落ちた。

 

 ――――――落ちる。堕ちる、落ち続ける。

 僕の意識は記憶の中に。

 

 

 僕の意識の底の底――そこに少女がくつろいで居た。

 というか、くつろぎすぎである。

 いつの間にかテレビとポテチとクッションと色々置いてある。ここ僕の中だよね?この子の家じゃないよね?

 そんな僕の内心を知ってか知らずがカイは僕に声をかけた。

 

「おや、隷くんまた来たのかい?」

 

 一旦僕は深呼吸をして思考を切り替えると言葉を返す。

 

 僕の記憶を、取り返しに――

 

「オレは嬉しいんだけど……でもまだ早いんじゃない?」

 

 早い……?そんなわけはない。むしろ遅すぎたくらいだ。

 

「ん……あー……えー。どしよ。あっちの俺とオレは別物になってるからなぁ……」

 

 何を言ってるんだろう、この子は。

 

「せめて、現実の決着つけてからの方がいいと思うよ、これほんと」

 

 現実……?

 カイに詰め寄ろうとした僕の前に黒い大きな影が立ち塞がった。

 

 ……?何これ

 

 黒いし立ち塞がってるけど嫌な感じがしない……?

 いや――むしろ、懐かしい。そんな気すら感じる。

 

「……あ?テメェ。残り滓の分際でオレと隷くんの逢瀬の邪魔してんじゃねぇよ」

 

『◼️、◼️◼️◼️◼️……◼️◼️』

 

 影が何かを言っているのはわかる。

 でも僕の耳にその言葉は認識できなかった。

 

 なんて……言ったの……?

 

 影に肩を前から押された。

 まるで、今は戻れ……そう言っているかのように。

 

「まぁ、そいつの言う通りだよ。今は戻った方がいい。キミが壊れる前に――俺はオレが抜けたことで以前より理性的じゃあないんだぜ」

 

 カイが呟いたそのことを耳にした瞬間、僕にとって嫌な気配を感じた。今まで何度も感じたことのある嫌な気配。命の危険を感じた時に覚える予兆だ。

 戻らなくてはいけない、何よりも優先して……

 だけど――

 

 戻るって言ったってどうやって戻れば……

 

「いやいや、キミの中なんだからキミが望めば戻れるさ」

 

 望む、今は……戻る。戻るんだ。

 僕の意識は浮上していく。ぐんぐんと翔け上がる。

 

 梢さんの焦る声が聞こえた。

 それを聞きながら僕の意識はゆっくりと浮上した。

 

「……!置……ん!!はやく……!!て……れになってまう!!」

 




お察しかもしれませんが、置換くんはヤクザ編ノット参加です。
えぇ、あっちは救われましたよね?
こっちはどうなるんでしょうか。
愉しみですねぇ、えぇ……ほんとうにたのしみです。(まだ大まかなプロットくらいしかないので)
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