と言うか書けたらすぐ出すので……ストックなんて、ありません……
さてさて、先が気になる感じになってきましたね。
どうなるんでしょう?(まじで、初期プロットから逸脱しすぎて先が読めない)
あはは…では、どうぞ。
楽しめたら幸いです。
「……え?こ、梢……さん。今、なんて――」
「……せやから。ミッドナイトさんが目覚めへん」
なんで、だって彼女は昨日だって普通に眠っていたはずだ。
今に起きてもおかしくないくらいだった。
「傷自体はそう深いもんやない。多分やけど社長が守ったんやろな。じゃなきゃ社長だけあない重症な訳ないやろし」
「社長が……」
「せや、やけどミッドナイトは身体的に……なにもおかしい様子あらへん」
「なら――」
それでも目覚めない。
それは――
「誰かが眠らせているとしか思えへん」
そう、誰かが眠らせている。
そういうことなのだ。
では、誰が……?
「そやったら、次の疑問は誰がやったのか……そうなるやんな?」
「――はい」
「いやぁ、わかりやすいのが部屋に置いてあったんよ……部屋に白い花置いてあったん覚えとる……?」
「?、えぇ……確かスノードロップ、だったかな」
「そや、その花の下に封筒が置いてあったんや」
そう静かに言うと梢さんは僕に一枚の封筒を差し出した。
「ほんま……見せないほうがいいと思ったんやけど……どうも、この紙を読む限りあまり時間も無さそうやねん――」
「時間が……?」
「そや、まぁ、それはその目で確かめてみるとええ」
その一言を最後に梢さんは目を閉じて黙り込んだ。
もうこれ以上は言うつもりはない、と言う意思表示なのだろう。
僕はそのまま封筒を受け取り中の便箋を取り出した。
ひと目見ての感想としては、かなり乱雑な字だということ。
まるで字を初めて書いたかのような、調べながら時間をかけて記したような、そういった印象を受けた。
少し時間をかけながら僕はその文字を目で追った。
れいくんへ
はじめて てがみをかきます
やっぱり すきなひとには
ラブレターを だすのが れいぎかなって おもって
でも はずかしいね こういうの
……やっぱり はずかしいから ほんだいにはいるね
きみは やっと
おれへの うらみを おもいだしてくれたみたいだから
やるなら いまかなって
なんでか しらないけど
わすれられると たいへんだからさ
あなたの だいじなひとは めざめません
おれが そう させたから
じかんは ないよ
あいつの だいじなものを からだから ぬいてるから
どうにかしたかったら わかるよね?
おれ つたえた はずだから
さあ――
おれを みつけて
あのばしょで まってる
かいより
誤字があったしひらがなが多く読みにくかったが、
読んでいるうちに誰からの手紙だったかはすぐに分かった。
そう、カイだ。
何故かあの少女は僕に執着している。
そしてそれにミッドナイトが巻き込まれた。
自己嫌悪、自己憎悪が激しく僕を責め立てる。
しかし、それではいけない。
確実に、彼女を救う手を考えなくてはならない。
だから考える。熟考する。
僕には理由がわからな――いや、僕の中にいるはずだ。
もう一人のカイと呼べるものが。
彼女は愛している……と言っていた。
なぜ……?僕は彼女に何かをしたことはない。
敢えて言うならオールマイトに対する攻撃を邪魔したくらいだ。
たしかに時間はないのだと思う、
だが僕はそれを知らなくてはいけない気がする。
本来いなかった僕がいたことで誰かの人生を変えてしまった。
それが“僕”の罪なら、
僕が“僕”として背負うべきなのだろう。
ただ、あの場所……?
僕がカイと会ったのは、USJ、デパート、林間合宿の森、そして僕の中だけだ――
そして彼女の書き方からするにその場所はここからそう遠くはないのだろう。
故にUSJ、デパート、林間合宿の三つは除外される。
だから、残る選択肢は――僕の中。
……僕の中にはなぜか、カイがいる。
だけど僕の中のカイと今のカイは別人のような気がするんだ。
僕の中のカイは、変だけど少しだけ温かみを感じる。
だけどこの手紙のカイは、執着と狂気、そう言った寒さを感じるんだ。
僕の中に潜って聴いてみよう、
これは大事な事だと思う。
「梢さん……もう一回僕の中に潜らせてください」
「……?あ、あぁ……まぁ……ええけど……急がなくて、ええの……?」
「はい――大事なことな気がするんです。
今行っても大事なピースが欠けたまま手遅れになるような、そんな気が――」
「そか、ならうちから言う事は何もあらへん」
梢さんはそう告げ僕の頭部に手を伸ばした。
僕はあの時のように目を閉じる。
おでこに触れた梢さんの手から温かい熱を感じながら僕は内なる世界へと再び沈む。
深く、深く――
再び僕が"そこ"に辿り着くとカイがくつろいでいた。
なんか前より豪華になり間取りが倍ほどに広くなっている。
「ん?やぁ、隷くん。来たね……そこに座りなよ」
カイがそう言うと同時に僕の目の前に小さな座布団が出現した。
「……はぁ、いやもういいや……」
何で僕の中でこんなに寛いでいるのだろうかこの少女は……段々と自由自在に生み出せるようになってるし……
言っても仕方ない、本題はそれじゃない。
「ね――」
「あぁ、いいよ言わなくて。全部観てたから識ってる」
「あ――」
「あの場所について聞きたいんでしょ?教えてもいいけど……」
「な――」
「何でもするって?それはまぁ嬉しいんだけど……あの場所……んー……キミとオレの想い出の場所」
先読みされている。
何故……いや、僕の中なのだから読まれても当然なのかもしれない。
このカイは僕の感情にダイレクトに触れていると言っても過言ではない。
「そうそう、それでいいんだよ。分かってくれて何より」
それよりも、"キミ"とオレの想い出の場所……?
キミ……ここにいるのは僕だけだ。
「ん?あぁ、そうだね。厳密には君ではないキミだよ。
とはいえ……時間もないし、ネタバレしようか。
オレの個性は接触だ」
接触……?
「そう、接触。何でも触れる。ただそれだけの個性」
それが何故、今まであんなことが……
「でもさ、接触ってどういうものだと思う?
どこまで触れられるんだろうってオレは思ったんだ。
人は?物は?水は?空気は?……世界は?時間は……?」
え――
「試したんだよ、オレは出来ることがそれしかなかった。とはいえ、オレが触れられたのは人、物、水、空気までの現実に存在する事象までだった」
……だった、ね。
「そうだよ、だったんだ。実験に選ばれるまではね。
聞いたことないかな、個性強化実験。
個性なんて便利なものがあるんだ、そりゃ使いたいだろう?他国の戦争に」
…………
「あぁ、気にしないでいい。なにせそれはそう重要な事じゃない、オレがこの世界に来た時には俺がもう壊してた」
「さて、続けよう。
オレは失敗作として放棄されてキミに助けてもらったわけだけど……」
……え?
「あぁ、君じゃないキミさ。
この世界の君じゃない、キミだよ。」
「なぁ、キミは本当はもう分かっているだろう?
この◼️◼️は、くり◼️◼️ている。
――あぁ、アイツここまで干渉出来んのかよ……ダリィな」
聞こえない、だけど僕はそれを識っているような――
「まぁそこは言えないならいい。
だが、これだけは言わせてもらう。
隷くんが隷くんである為に必要なそれをオレは奪わせない」
「いいかい、
この世界でキミはUSJより前に俺と出会った事はない。
オレの記憶はこの世界だけのものではない。
そして、俺の個性は"観測"だ。
最後にあの場所は――だ」
――え?カイの身体が透けて……
「今オレが言えるのはここまで、
気にくわねぇけど……後はお前に頼むわ――
そう最後にカイは呟くと蜃気楼のように溶けていなくなった。
カイの作り出したテレビ、ソファ、クッション、座布団、その他の家具だけがただただ鎮座している。
……消えた……?
え、どうして、なんで……
カイ?……カイ!!
いくら呼びかけても、返事はない。
……届かない。
いや、もしかしたら最初から届いてなんていなかったのかもしれない。
カイの声も、気配も、もう“この中”にはなかった。
でも――僕の中にわずかな残滓だけが残っている、
そんな気がした。
…………出よう。
もうここには得るものはない。
"あの場所"はカイから聞けた、
なら後は──
──"そこ"に行くだけだ。
黒い影の独白
カイと隷が消えた後、ただ一つの影がそこにあった。
「……言われなくてもやるつーの、カイ、テメェと違ってオレは隷のダチだぞ――」
そしてその影は音もなく世界に溶けた。