推しのために死に続ける話。   作:三つ首黒虎

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お久しぶりです。
またもや更新のお時間です。

こんなに早く開示する予定はなかったんだけど……カイちゃんが暴走して……
さて、読んでないから何もわからないすよね。
ぜひ楽しんでくださいな。

この下の一文は執筆者としてのわがままです…
楽しかった等の一文でも感想や、考察などいただけると励みになります。

あ、あとあと、アニメヴィジランテ!ミッドナイト!もうすぐ!!たぶん……今手元にないの……ヴィジランテ…

なんか色々書いて申し訳ない。
では今度こそ、今話もお楽しみいただければ幸いです。


67話 断章

 

 

 沈む、沈む、沈む。

 世界は白く、どこか見覚えのあるここは――

 

「や、隷くん。久しぶり、元気してた?」

「……え……カ、イ……?」

「そそ、オレ様カイちゃん。

 あのクソ女に隷くんを奪われるとこだった」

 

 あぁ、そうだ。

 前も来たことがある僕の中……

 そして――ここは、カイの精神世界に似てるんだ。

 

「ん?あぁ、オレの世界ではなく隷くんの世界を一部拝借してる形だね」

「あ、れ……?今僕――」

「口に出さなくても分かるさ、ここは現世じゃない。

 隷くん、君の中だぜ?」

 

 ……あぁ、そうなんだ。

 

 本来は疑問に覚えるかも知れない。

 でも僕はこれを何度も経験していたから理解も納得も早かった。

 

「そそ、まぁオレ的にはどっちでもいいよ

 話しても話さなくても」

「ん、なんか変な気持ちになるから言葉で話すよ」

「そかそか、そっちの方が声も聞けてオレは嬉しいや」

 

 カイはけらけらと笑う。

 あの時の壊れかけていた彼女とは違い、今の笑顔の方がよっぽどいい――そう僕は思った。

 

 僕とカイは白い空間で向き合っている。

 どうしよう、聞きたいことあるけど……

 

「あ、待ってね。今出すよ」

 

 カイがほいっと指を鳴らすとただ真っ白だった空間に椅子と机が出現した。

 

「……また、自由にやってる……」

「いいじゃん、いいじゃん。立って話すより座って話した方が楽じゃん?」

「……ありがと」

 

 僕が少し俯きながら感謝を告げるとカイはぶつぶつと言い出した。

 

「うっわ、なにそれあざとすぎてかわいすぎんだろなんだよこの生き物えなになになにこんな人とオレあっちの世界で一緒に居たの幸せすぎんだろてか、あの時と違って二人きりじゃん、余分なものがいないって隷摂取しすぎでやばい尊い超えてむしろエモい……」

「……えっと……」

 

 ……よし、見なかったことにしよう。

 彼女に変な一面はなかった……いいね?

 

「あ、あぁ……ごほん。さて聞きたいことはアレだね?クソ女と戦った時の現象」

「う、うん……」

 

 そう、そうなのだ。

 あの現象はなんなのか僕の個性は置換のはずで、それ以外のものは――

 

「いや、アレも置換って個性だよ。

 えーと、なんだっけな」

 

 カイは何かを思い出そうとしてるのか両手を胸の前に組みうなりだした。

 

「……あー、そうだ。

 確かこう言ってた……はず。

『僕の個性は置換である。

 モノとモノを置き換えること。

 確かにそうだけど、置き換えられるのは物質だけじゃないんだ。

 この世界のものだけを入れ替えるだけではなくて

 僕だけが持っている視界、この世界が◼️◼️であると言う事実。

 それはページをめくれば先にも前にも戻れるということで――』

 えーと……なんだっけ、こっから先は……

 ……ごめん、忘れちゃったぜ……」

 

 カイは舌をぺろっと出し軽く謝罪する。

 

「……うん、大丈夫。ありがとう」

「ごめんね、しかも認識できない言葉もあったんだよね◼️◼️、言葉にできるのに意味が全くわからない」

 

「僕だけが持っている視界……この世界が◼️◼️であるという事実――」

「そそ、そこについては詳しく教えてくれなかったけど」

 

 いや、心当たりは……ある。

 そう、僕はこの世界に天せ――

 

「あ、STOP、隷くん。

 それ以上は伝わるから考えない方がいい」

「ご、ごめん」

「気になりはするけど、オレが認識出来なかった……

 それは、本能的に理解を拒否したんだと思うから――」

 

 少し寂しげな表情をしたカイだったが、

 一度咳払いをすると表情を戻した。

 

「こほん、ごめんね。

 ちと暗くなっちゃった」

「……ううん、大丈夫だよ」

 

「さてさて、隷くん。

 他にも知りたいことはあるだろう?」

 

 知りたいこと……

 !、そうだ。

 ミッドナイト、それに社長も――

 

「そう、その二人。

 どうやら無事みたいだね。君の身体にはまだ俺の残滓が残ってるから観たけど。

 治療は無事終え意識も戻った」

「――よかった……」

 

 あぁ……良かった。

 ちゃんと救えた。

 ミッドナイトだけじゃない、社長も。

 無事で、本当に――

 

「ただ……」

 

 安堵に染まった僕を遮るようにカイが言葉を発した。

 

「え――?」

「ま、数日は絶対安静らしい。

 そもそも動ける状態ではないみたいだ」

 

 そうなんだ……でももうカイは大丈――

 

「……そう、俺はもう大丈夫だ。

 だけど代わりにあのクソ女が出てきた」

「梢……さん」

 

 そうだ、カイとの問題は解決しても梢さんと影人さんの――

 

「ありゃ……まだ、さん付けするんだ。

 あんなのに敬うところなんてねぇと思うけど」

「……それでも、助けてくれたから……」

「――うん……キミらしいや」

 

 

「さて、あいつらだけど

 察している通りヴィラン連合と関係があるみたいだね。

 俺も入ってはいたけど相性が良くなかったんだなぁこれが……」

「あれ、そうなの?」

 

 ヴィラン同士の仲はいいから連合なんて組んでるかと思ってたんだけど……

 

「そそ、オレが憑いてたってのもあると思うが、先生のお気に入りだったってのも相性悪かった原因なのかね。

 ま、終わったことだし気にしないでいいや」

「うん……」

 

 あっちでもカイは一人だったんだ……

 でも、もう大丈夫。僕がちゃんと味方するから――

 

 カイはこちらに視線を向けると頬を赤らめて少し挙動不審になりながら言った。

 

「ん、んん!!

 さて!今はそうじゃなくてアイツらだ。

 黒霧がいた時点でヴィラン連合との関係はほぼあったとみていい。

 それに、あのドクター……アフォと関係があった気がするんだよな。

 思い出してみると何回か研究所でみたことがあったんだ」

「――え?AFOと……」

 

「あぁ……そうだよ……くそッ。

 なんであいつらについてたんだ。最初から敵だったじゃねぇか……」

 

「……」

 

 そうだよね……自分がこうなった原因に協力してた、そうわかったらその反応は当たり前だ。

 

 カイは頬を2度叩き僕に視線を向け直した。

 

「たぶん……あいつらの目的の内の一つは隷くんだ。

 ずっとキミのそばにいた時から、裏じゃずっと観察されてたんだ」

 

「長い時間あいつらと行動し、記憶を封じられてた以上オレはあいつに干渉を受けている。

 そしてそんなにタイミングがあったのであれば、

 オレの観測の個性が奪われてないわけがない。

 奪われた上で返されたんだ――」

「返された……それはつまり、個性の複製に成功している……ということに他ならない」

 

「個性の……複製……?」

 

 どういうことだろう。

 そもそも個性を奪い、複製する……?

 

「――」

 

 ……いや、待て。

 僕は、知っている……

 そうだ。AFO、この世界の敵。

 

「そう、AFOあいつだ。

 あいつがあのクソ医者の上に立つ害悪。

 前の世界じゃ、終わらせるきっかけこそあのクソ◼️だったが、究極的に滅ぼしたのはAFOだ」

 

「クソ◼️は

 『世界が終わらなくては次の世界が始まらない』

 そんなことを言って隷くんを……」

 

「……?」

 

「ごめん、なんでもない。

 目的は隷くんの個性……

 たぶんあいつらはその特異性に気づいた。

 だから、狙いはじめた……そういうことだと思う」

 

「僕の個性の特異性……」

 

「まだ実感はないかも知れないけど……

 それでもキミの個性は特殊なんだよ。

 たまにさ、脳裏に知らないはずの記憶、蘇ったりしない――?」

 

「――え」

 

 知らないはずの記憶――?

 

 ズキンと、頭が痛んだ。

 

♦︎♦︎♦︎

 

 ここはUSJ……だ。

 右腕がなくなり身体の半分が抉られてる、オールマイトがどうして――

 

 オールマイトが痛みに耐えながらそれでも生徒を心配させない様に、希望の象徴足り得るように笑みを浮かべながら言った。

 

「おいおい……身体が半分くらい、ないからって……それでもキミたちヴィランが強くなった訳じゃないんだぜ…‥?」

 

 オールマイトはボロボロの身体で踏み込み、生徒に近づくヴィランたちを残った左手で殴り沈めていく。

 

「オールマイト……やめろよ……血が……」

「俺たちは自分で……やれるから」

「逃げてよ、オールマイトォ!!」

 

「おいおい……ヒーローの卵たちよ。たとえどんな状況であっても……守らなきゃいけない人々がいるのに……ヒーローが……逃げるわけにはいかないし…………それに――」

 

 声を出すのも辛いのだろう、オールマイトはそれでも生徒たちに何かを伝えようと、声を絞り出す。

 

 

「――私は、平和の象徴だ」

 

「さぁ、……死柄木、これで――最後だ。キミたちを捕まえて……」

 

 そう言った瞬間オールマイトは死柄木たちの前にいた。一瞬にして接近したのだろう。しかし動きは精細を欠いている。左腕を振りかぶる。

 

 

「これで――終わりだァ!」

 

 死柄木に一撃を加えようとした瞬間――

 

 聞き覚えのない声が響いた。

 

「ああ、終わりだオールマイト。キミがね――」

 

「その声っ――」

 

 オールマイトは声のした方向に振り向こうとする。

 しかし、

 

 ――ザクッ――

 

 地面から生えた岩の棘にオールマイトは飲み込まれた。

 パチパチパチと手を叩く音が聞こえる。絶望がそこに顕現する。

 

「よくやってくれた。死柄木弔。まさか――ここまでオールマイトを追い詰めるなんて――」

 

 死柄木はなぜここにいるのかまるでわからない様な表情で言った。

 

「先生――なんで――?」

 

「ああ、いやね。僕も彼にこんな目に合わされたからさやっぱり最後は直接やりたくて」

 

 煙が晴れる、男の姿が映し出された。

 顔は潰れており口元だけが笑っている。身体はチューブが刺さっており、まるで生命維持装置でもつけているかの様だ。

 

「本当に――ありがとう。」

 

 絶望は静かにそう呟いた。

 

 ♦︎♦︎♦︎

 

 さらにノイズが脳裏に走った。

 

 ♦︎♦︎♦︎

 

 ――――

 

『待ってよーー!』

『やだね、オレを助けるなら追いついて見せやがれ――』

 

 ――――

 

 ……え?

 なに、これ――僕は知らない。

 息が詰まる。頭が割れるように痛い。

 

「――はっ、はっ、はっ……」

 

 呼吸も荒く頻回になっている。

 それでもミッドナイトを救うため僕は足を進めた。

 

 ――――

 

『なぁ、隷くん。オレは――キミに救われて――』

 

 ――――

 

 違う、僕はこんな記憶知らない!

 それは僕のものじゃない!!

 

 ――――

 

『僕は、◼️◼️を救うよ――あの人じゃなくて◼️◼️を――』

『――ごめん、そんなこと言わせて……』

 

 ――――

 

 

 開けた場所に辿り着いた。

 

「――神、社……?」

 

 確かにそこにあった。すでに廃れた、苔が生え木材は崩れボロボロになった社がそこにあった。

 

 ――――

 

『ねぇ!!隷くん、隷くん!!!!』

 

 あーあ、この世界は失敗か。ダメだよちゃんと推しを救わなきゃ……

 

『お前……、何だ……?』

 

 ……ん?へぇ……分かるんだ。ボクのこと。

 あぁ、プロトタイプか。そりゃそうだ。僕が作った素体だもんね、縁をたどりって触って観れば観測は容易い、と。

 

『なに、言ってやがる……』

 

 あぁ、いいんだこれはキミには関係ない話。

 だってこの世界は――からね

 

 ――――

 

 倒れている僕と、空を睨むカイ、そしてこの声は――

 朦朧とする中、声の主を思い出そうとする。

 確かに僕はこの声を聞いたことがあるはずだ。

 

 

 

 ♦︎♦︎♦︎

 

 

「――そう、もしかしたらもう気づいているかも知れないけど……」

 

 知らないけど識ってる――

 僕はこれを実際に観た――?

 

「これらは、実際に起きた出来事だ。

 あぁ……もう一つあったね。

 梢との戦いで起きたアレも――」

 

 

 ♦︎♦︎♦︎

 

 『さぁ、隷くん。

 ◼️につけられた枷を今だけぶっ壊してやった。

 だから、さ。

 キミの個性を……置換を……魅せてやれ――』

 

 梢は血に染まった手を軽く抑えるとこちらに視線を向けた。

 

「痛いやないの……やってぇな……シャドウ――」

 

 梢の背後から影が迫る。

 影人……いや、シャドウという脳無がこちらに迫っているのがわかる。

 そう、わかる……だけだ。

 目で追えるだけ、個性が間に合わな――

 

 ――やば、目で追え……

 

 ぐちゃりそんな音を最後に僕の視界は闇に染まる。

 

 視界にノイズが走った。

 

 一瞬だけ何かが観えた。

 どこかで観た白い世界。

 愉しそうに嗤う白い影。

 そこにいつか聞いたことのある音が響いた気がした。

 

 ♦︎♦︎♦︎

 

「ね、わかっただろう?

 キミの個性は置換だよ。

 それは間違いない。でも――」

 

 カイが僕に何かを語りかけようとした。

 次の瞬間だった。

 

 僕とカイしかいないこの世界に、ありえないほどの重圧が襲いかかった。

 

 二人の身体は地面に押し付けられ動かすことができない。

 

『あぁ――それ以上はダメだよ』

 

『それ以上言ったら、面白くない、だろう?』

 

『力については枷外れちゃったしいいや。

 そのままにしてあげよう。

 でもここから先は、自分で気づきなさい』

 

 

「また邪魔しやがんのかこのクソ◼️がぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 カイの絶叫が耳に痛い。

 僕がなんとか圧に逆らい顔を挙げると――

 どこかで観たことがある、でも記憶にはない白い影がゆらりと笑みを浮かべていた。

 

 ♦︎♦︎♦︎

 

 身体が地面を超えて落ちているのに

 逆に意識は浮上している。

 

 気持ち悪い感覚だ。

 

 小鳥の鳴き声が聞こえる。

 暖かい日差しを感じて目を開いた。

 白い天井、僕の腕には管がつながっており透明な液体がぽたりぽたりと静かに落ちている。

 

「……あれ、病院――?」

 

 

 

 

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