東方烈風録~Phantasm Storm Savior~ 作:フウ@東方二次創作
ベッドから起き上がる剣城。
「ん…んんんんんん~っ…!」
背伸びをしてベッドから出る。
そのままリビングへと向かった剣城。
「あら、おはよう剣城。」
「おう幽香。」
幽香は既に朝ご飯を食べていた。
「早いな幽香…。」
「まあね、花の世話をするためにも、早起きは必要よ。」
「なるほど…花の世話なら俺も手伝うぜ。」
「あら…良いの?」
「ああ、ここに住まわせて貰ってるんだしな。」
「じゃあ、お願いしようかしら。」
――――――――
剣城は幽香に指示された場所の世話をしていた。
ーと言っても剣城がやっていたのは、家の周りの花壇にある花の水遣りなどであった。
幽香曰く、「向日葵は私の能力で世話しているけど、こちらに能力は使ってないわ。」との事である。
「ふう…。うっし、こんなもんか。」
剣城は水遣り、及び雑草刈りを終え、道具を片付ける。
「…にしても…。」
剣城は辺りを見回す。
「能力とはいえ、こんなにも向日葵が一面に咲いてるのはすげえな…。」
ずっと見ていると目がチカチカする程に眩しい一面の向日葵。まさに絶景であった。
と、剣城は幽香の姿を見つけた。
「あっ、幽香!」
仕事が終わったことを知らせようと幽香の方へと駆け寄る剣城。
ーと、
幽香は傘から何かを放った。
「!?」
思わずブレーキをかける剣城。
ー幽香が何かを放った先には、異形の生物ーそう、妖怪が居たのである。
「あれって…。」
「消えなさい。花符「幻想郷の開花」」
と幽香が言った瞬間、幽香の閉じた傘の先端から幾つもの光球が放たれる。
ーそして、その光球を中心に無数の光弾が広がった。
「!?」
無数の光弾から成るまさに弾幕とも呼べるそれは、幽香を取り囲んでいた妖怪を纏めて殲滅した。
「…すっげえ…。」
と思わず剣城は感想を零す。
ーその声が幽香には聞こえていたようで、
「あら、早かったわね剣城。」
「あ…ああ。幽香。ってか何だったんだ今の!?」
「ええ、今のは、『スペルカード』というものよ。」
「スペルカード…?」
「まあ、それについては帰ってから話すわね。ちょうど、仕事も終わっているようだし。」
「あ…ああ。」
剣城、幽香は家へと戻った。
「弾幕ごっこ…スペルカード…なるほど、大体分かったけど…。この世界ではそれが普通なのか?」
「そうね。妖怪退治に異変解決…様々な事に弾幕、そしてスペカは使われるわ。」
「なるほどな…。」
剣城は座っていた椅子に寄りかかる。
「…ところでさ、さっきの妖怪って結局なんだったんだ?」
「ええ、最近よく来るのよ。花妖怪である私が"花を操る程度の能力"で生み出し世話している花。それにはそこそこな量妖力が眠っているからね。それを狙っているのでしょう。全く、あの妖怪共は見境がない上にしつこいのよ…。」
「花の世話もしてるのに…大変なんだな…。」
剣城はそう言って考える。
ーそして…。剣城はやがて一つの考えに辿り着いた。
「なあ幽香…。その妖怪退治って俺も手伝えねえか?」
「…ほう…。面白い事言うのね。だけど無理よ。人間と妖怪の力の差は歴然。ただの人間がそこらの妖怪に挑んでも一瞬で妖怪の糧となるだけよ。」
「そうか…あっ!」
剣城は幽香に向き直り…。
「幽香、折り入ってお願いがあるんだ。」
「何?急に改まって。」
「…俺を…。」
「俺を強くしてくれ!」
「へえ…。でもアンタはそれでいいの?」
「えっ?」
「おなじ幻想郷の住人とやる弾幕ごっこならまだしも、妖怪退治は文字通り命がけと言うやつよ。」
「それでもいいさ。覚悟なら出来てる。」
剣城から真剣な顔で放たれたその言葉を聴いた瞬間―。
「フフフ…ハッハッハッハッハ!面白い奴ね剣城は。気に入ったわ。」
「…はあ…。」
急に笑い出した幽香を見て、剣城は反応に困っていた。
「ふふふっ、何をそんな呆けた顔してるの。まあいいわ。今日から特訓してあげる。ただし、私のトレーニングは厳しいわよ。」
「…ああ、覚悟は出来てるぜ!」
ーこれが、風原剣城の戦士としての目覚めであった。
太陽の花畑の外れー。
剣城と幽香は向かい合って立っていた。
「さて…今から特訓を始めるのだけど…まず、この幻想郷には、『霊力』『魔力』『妖力』『神力』の4つの力があるけど…今回は『霊力』の特訓をしていくわ。」
「…霊力か…。」
「…と言っても、霊力は元々全ての人間が持ってるものよ。」
「えっ!?そうなの!?」
幽香から放たれる衝撃の事実に驚く剣城。
「ええ。でも…今の現世ではそれを扱う人は存在しない…。何故だと思う?」
「…アレだろ?人間が機械に甘えだしたから…。」
剣城は(地味にネタを交えつつ)当てずっぽうで答えた。
幽香は少し驚いた風に、
「あら、中々いいセンいってるわね。そう。現世の支配者である人間達は機械や科学に頼りだして霊力が必要なくなったーそう、霊力という概念が人間の世界から"忘れられて"、現世から消えてしまったのよ。」
「えっ…でも、妖怪とかをテーマにしたアニメとかあるし忘れられたとかは…。」
「あれはあくまで空想の物語よ。今の時代、そんな超常的な力を本気で信じる人が居ると思う?」
「…確かに…ガチで信じる人はいなそう…。」
「…でも、この世界では違う。霊力も魔力も在る。コツさえ掴めば使うことはできるわよ。」
霊夢たちとよく話しているせいか、幽香はここら辺の事情に詳しいのである。
「コツ…か。」
「まず第一に、イメージすることね。自分は霊力が使えると、信じて疑わないことよ。」
「イメージ…。」
剣城は眼を閉じる。
そして、閉じたまま集中しはじめる。
「霊力…霊力…信じて…。」
剣城は全身に力を纏わせるイメージ…某世紀末救世主が闘気を纏っているようなイメージをする。
ーと、
「…ん…?」
「…ほう…。」
ーそう、剣城は体から湧き上がる"何か"を感じた。
「今…何かが体から湧き上がって、全身に広がったような感覚がしたんだ…。」
「そう、それが霊力よ。初めてにしては上手く出来てるじゃない。その感覚のまま、もう一度よ。」
「分かった…。」
剣城はもう一度イメージする。モチーフは再び世紀末救世主。
ー途端に、剣城は体の底から湧き上がる力ー"霊力"を感じた。
「…このままっ…!!」
剣城は集中を続ける。
「…よし、いい感じよ。」
「ふう…。」
剣城は集中を一旦切らせる。
「取り敢えず、これで第一段階はクリアよ。次は、それを敵を倒すための力にすることね。」
「OK…。具体的にどうすりゃいいんだ?」
「一番無難なのが、弾幕ね。さっき私がやったような。」
「弾幕…。てことはまず球を作り出す練習からか…。」
「そう。やって見せなさい。」
剣城は左手で右手首を掴み、再び集中する。
ーと、剣城の手の中に小さな緑色の光球が生み出された。
「うおっ…すっげえ…。」
「そのまま、私に投げつけてみなさい。」
「良いのか…?」
「アンタ程度の弾、どうってことは無いわ。」
「…ちょっと複雑だが…まあOK。」
剣城は、生み出した光球を幽香に投げつける。
フラフラと飛んでいくその光球を、幽香は片手一本で受けた。
小さく爆発を起こす光球。
「ふん…まあ、基本的な戦い方としてはこんな所ね。今の威力とスピードじゃ話になんないけど、まあそこは特訓するしかないとしか言えないわね。」
「OK。あ、あと…他に霊力の使い方ってあるか?」
「あとは、身体強化ね。極めれば空も飛べるようになるわ。まあ、極めなくても飛べる例外は数人居るけどね。」
と言いながら、幽香は空中へと浮き上がった。
「へぇ~すっげえ…取り敢えず飛べるように身体強化も練習ってことか?」
「そうね。取り敢えず今日教えられる事はここまでだから、あとはひたすら練習しなさい。」
「ありがとう幽香!」
「どう致しまして…。ここまでやってるんだし、妖怪に襲われて4ぬのはやめなさいよ?」
「分かってる!」
剣城は、そう幽香に言った後、再び光球を生み出すために集中力を高めるのであった。
―――――――
1時間後、剣城が膝をついた。
「はあ…はあ…疲れた…。」
「そりゃあ、1時間も霊力を使い続けてればそうなるわ。」
「そうか…。」
「まあでも、練習し続けていれば弾幕のレベルも霊力量も上がってくるし、そこは努力ね。」
「ああ。オッケー…。」
「ふふっ…疲れた顔しちゃって…じゃあ、戻りましょうか。」
ーこうして、今日の剣城の特訓は終了した、
後に幻想郷の烈風としてこの世界に名を轟かせた剣城の覚醒は、まだまだ遠い。