東方烈風録~Phantasm Storm Savior~   作:フウ@東方二次創作

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第7話 目醒める剣

「あれは…?」

「見ない顔だが…。」

「人間…でしょうか?」

「あの緑色に光る翼…一体…」

 

 各々突然の乱入者に戸惑っている中、

 

「幽香、あの男は何?アンタの名前を呼んでいたけど…」

 

 幽香は唖然と剣城の方を見ていたが、やがて剣城に言った。

 

「アンタ…どうしてここに…!?」

「決まってんだろ…アイツを止めにだ。」

「言ったはずよ…アンタは幻想入りしたばかりの人間…!敵う相手では…」

「確かにそうかもな…でも…。」

 

 剣城は右手にビームライフルを持ち、巨大なゼノラスを睨みながら言った。

 

「幽香の守りたい場所がヤバいって時に、指くわえたまま見てるなんて…そんな事俺には出来ねえ。だから…俺は、闘う!!」

 

 ビームライフルを放つ剣城。ゼノラスの身体に当たるが、効いている様子はない。

 

「まだだ!射撃『ウインドバスター』!!」

 

 剣城は腰にビームランチャーを装備し、出力最大で放つ。

 直撃―も、効果は今一つ。

 

「そんな火力じゃ駄目だ!アイツは幽香のマスタースパーク3発耐えてるぞ!」

「なるほど…生半可なやつじゃ駄目そうだな…」

 

 剣城はゼノラスから放たれる幾本ものビームを回避しながら考える。

 

(―俺の全力の一撃なら…いや、でもそれを溜める時間が…!)

 

 やがて、剣城は一つの考えへとたどり着いた。

 

「仕方無え、もう少し時間稼ぎをしなきゃか…!」

 

 剣城は肩に二本のミサイルを装備し、ゼノラスの顔面目掛けて放つ。

 直撃し爆発を起こすミサイル。

 

「これで隙が出来れば…!」

「何をするつもり…?」

 

 困惑する霊夢を背に、剣城は右腕に鋼のナックルを装備。そこに霊力を溜め始めた。

 

「行くぜ!」

 

 轟ッ―そんな音を発しながらゼノラスへと最高速で突撃する剣城。

 右の拳に霊力を溜め―全力で振り抜く。

 ―そしてインパクトの瞬間、右腕に溜まった霊力が全解放された。

 

「格闘『ストームフィスト』!!」

 

 渾身の一撃を喰らい吹き飛ぶゼノラス。

 

「凄い…!」

「マジかよ…!アイツを吹っ飛ばした…!」

「でも、ダメージは…」

 

 剣城は手をグーパーして手ごたえを確認する。

 ―そして全ての装備及び翼を解除し、幽香の近くと降り立った。

 

「大丈夫か、幽香。」

「…ったく、私も落ちぶれたものね。人間の小さな男なんかに心配されるとは…」

 

 笑いかけながら言う剣城。

 何所か笑顔を含んだ表情で幽香は返した。

 そんな2人に霊夢たちが近づいて来る。

 

「お前、やるじゃねえか!」

「あなた…一体…?」

「俺は風原剣城。最近幻想入りした人間だ。よろしく頼む。」

「ああ…そう言えば紫が言ってたわね…面白い人間が幻想郷に来たって。」

「まあ、よろしくな!」

 

 魔理沙は笑顔で右手を差し出し剣城は握手に応じた。

 剣城が自己紹介する中、ゼノラスが立ち上がった。

 

「く…さすがにノーダメージか…!」

「どうするの?」

「…決まってんだろ…。」

 

 剣城は立ち上がり剣を創り出す。

 

「もう一度、行くだけだ。」

「でも…あの攻撃も効かないとなると打つ手無いだろ!」

「…それでもやるんだ…!」

 

 創り出した剣を構え、霊力の翼を生やす剣城。

 

「『守る』って…決めたんだ!」

 

 剣城の叫び。

 ―そんな剣城の後ろ姿を見た幽香は…

 

「…守る…ね。大層なこと言ってくれて…。」

 

 ―笑っていた。

 

「なら、私も入れて頂戴。」

「幽香…!」

「ふふ…人間一人じゃあ物足りないもの。」

「へへ…サンキュー!」

 

 幽香は剣城の隣に並び立ち、傘を構える。

 ―今ここに、人間と妖怪のコンビが誕生したのだった。

 

「さて…」

「行くぞ、幽香!」

「ええ!」

 

 同時に走り出す二人。

 ゼノラスの口から放たれるビームを飛んで回避し、幽香が攻撃の体勢に入った。

 

「『マスタースパーク』!」

 

 ゼノラスに直撃する極光。

 ダメージは入らずとも、隙は出来た。

 

「斬撃『烈風一閃(れっぷういっせん)』!!」

 

 思い切り踏み込み、一閃。が、その分厚い膚に阻まれ刃が通らない。

 

「くそっ…!」

「来るわよ!」

 

 ゼノラスの蒼い光を纏った爪が剣城に迫る―

 それを飛んで回避しつつ、剣城はゼノラスの上へと回りビームライフルを連射する。

 

「花符『幻想郷の開花』!」

 

 幽香も弾幕を放ち剣城を援護。

 弾幕に包まれたゼノラスを見て、剣城がゼノラスへと突っ込んで行った。

 

「斬撃『ウインドストライク』!!」

 

 ゼノラスへと巨大な斬撃を飛ばす剣城。

 剣城の飛ばしたその斬撃は僅かに肌を切り裂いた。

 が、そこに迫るゼノラスの尾―

 

 と、何所からかレーザーが迫りゼノラスの尾へと直撃した。

 

「私も混ぜな!」

 

 魔理沙が箒に乗りレーザーを連射しながら飛来して来た。

 

「魔理沙!」

「サンキュー!」

「魔理沙だけじゃないわ。」

 

 出来た隙に突っ込んでくる霊夢。

 その手には陰陽玉のよう光球が握られていた。

 

「宝具『陰陽飛鳥井(おんみょうあすかい)』!」

 

 巨大な光弾がゼノラスに直撃して爆発する。

 

「大奇跡『八坂の神風(やさかのかみかぜ)』!」

 

 そこにスペルカードの弾幕で追撃する早苗。

 降り注ぐ弾幕がゼノラスを襲う。

 

『GAAAAAAAAAAAAA!』

 

 咆哮。

 それと共に全身から幾重ものレーザーが放たれた。

 

「く…!」

 

 回避を余儀なくされる早苗、

 ゼノラスは早苗を狙い口内にエネルギーを溜める―

 

「メイド秘技『殺人ドール』。」

 

 突如現れたナイフがゼノラスの口内に直撃し、攻撃が再び中断された。

 

「隙は作らせて頂きました。」

「次は私が!」

 

 咲夜と交代で妖夢が突貫。

 ゼノラスの尻尾が光り始め、それが振られると同時に光刃が妖夢へと飛んでくる。

 

「その程度の刃…!ハアアッツ!」

 

 振り抜かれる研ぎ澄まされた一刀。

 それと共に光刃がバラバラに斬り裂かれる。

 

「今!『待宵衛星反射斬(まつよいえいせいはんしゃざん)』!!」

 

 二本目の刀を抜き、渾身の一閃を放つ妖夢。

 ゼノラスの胸に十字の傷が刻まれた。

 

「ダメージが入った!畳みかけなさい!『夢想天生(むそうてんせい)』!!」

 

 霊夢の全身から放たれる全力の弾幕。

 襲い掛かって来る弾幕に次々と被弾するゼノラス。

 

「うおりゃああああああああああ!『ブレイジングスター』!!」

 

 光を纏い十字の傷目掛け突貫する魔理沙。

 

「さて…」

 

 幽香は傘に溢れんばかりの魔力を溜め始める。

 ―それも、今までになく高出力のものを。

 

「咲かせてみせるわ。大輪の花を。『百花繚乱(ひゃっかりょうらん)マスタースパーク』。」

 

 ―爆音。

 それと共に幽香の傘から極彩色の光線が放たれた。

 それと共に魔理沙は纏う光を強め、霊夢は止めと言わんばかりに陰陽柄の光球を放つ。

 ゼノラスを飲み込む3つの光。

 ―やがてそれは爆発を起こし、光の柱が上った。

 

「はあ…はあ…。」

「どうだ…!」

 

 夢想天生を解除し地面へと降り立つ霊夢。

 箒から降りる魔理沙。

 

「すげえ…!」

 

 一連の攻撃を剣城は後ろから見ていた。

 ゼノラスを中心に立ち上る爆煙―

 

 

 

 それを裂いて、極光が放たれた。

 それは真っ直ぐ、霊夢たちへと向かう。

 

「っ!全員伏せて!!」

 

 全員が伏せた瞬間、凄まじい轟音と共にレーザーが直撃。

 衝撃波により霊夢たちは吹き飛ばされ地面を転がった。

 

「ぐっ…!」

「ま…マジかよ…!」

「あれを耐えた…ですって…!?」

 

 全身に傷を創りながら立ち上がる―が、大技を放った霊夢たちの力は残り少ない。

 勝てない―そう思った矢先。

 

「なあ…一つ考えたんだ。」

「…何…?」

 

 剣城が、呟くように言った。

 

「俺に、賭けてくれないか…?」

 

「賭けるって…どういう事…?」

「今から俺が、アイツに最大火力の攻撃を叩き込む…だから、溜める時間を作って欲しいんだ。」

 

 剣城の作戦に、一同は心底驚いているようだった。

 

「アンタねえ…!」

「おいおい…アレを耐えたアイツに最大火力の攻撃って…」

「反対致します。貴方はここに来たばかりの人間と聞いてます。そんな人間に賭けようなどと…」

 

 ―当然、各々から反対の声があがる。

 だが剣城は諦めなかった。

 

「俺だって、馬鹿な事を言ってる自覚はある…でも!」

 

 剣城は自分の右手に握りしめた拳に力を込める。

 

「幽香の居場所を護る為に…俺はやるんだ!」

 

 決意がこもったその眼は揺らがない。

 ―やがて、

 

「なら、私も手伝うわ。」

 

 幽香が剣城の肩に手を置いて言った。

 

「幽香…?」

「あんた…!」

 

 幽香の行動に驚く一同。

 

「私の力を、剣城に託すわ。それでどうにかなりそうかしら?」

 

 剣城と目を合わせて言う幽香。

 

「幽香…ああ、百人力だ!」

 

 剣城は笑顔で頷く。

 

「ずいぶん入れ込むのね、その人間に。」

 

 そこに霊夢が口を挟んだ。

 

「霊夢?」

「幽香…妖怪のアンタがそこまで一人の人間に入れ込むなんて…どうしたというのよ?」

 

 霊夢が聞いたのは、そんな当然の疑問だった。

 

「どうしてでしょうね…。」

 

 ―幽香は、剣城を見ながら清々しい顔で答えた。

 

「私、このバカに色々と影響されちゃったみたい。」

「バカってそんな…」

「バカよ。妖怪の私に優しいだの強くなりたいだの…アンタは、バカを超えた大バカよ。」

「…そこまで言われるの納得いかねえ…。」

 

 そんなやり取りをする二人を見て、

 

「あの二人…一体どういう関係なんでしょうか…?」

「何か…妙に幽香さんと仲良さそうですね…」

「まるで姉弟みたいに…」

「あの幽香が人間と姉弟?そんなまさか…」

 

 信じられないといった様子でそんな事を話している4人。

 

「まあ言いたいことは…俺を信じてくれって事だ。」

「剣城…」

 

 剣城は剣を創り出し構える。

 ―やがて霊夢は、

 

「分かったわ。そう言うのなら、アンタに賭ける事にするわ。」

 

 そう言って頷いた。

 

「その意気だ!絶対決めて来い!」

 

 ニヤリと笑って言う魔理沙。

 

「…仕方ありませんね…。私も手伝います。」

 

 咲夜は小さくため息をついて言う。

 

「私も、協力致しましょう。」

 

 妖夢は鞘に収めた剣を構えて言った。

 

「皆…ありがとう!絶対決めて来る!」

 

 剣城は4人を見て決意を込めた顔で宣言する。

 そして、剣城の両の肩を幽香が持った。

 

「行くわよ、剣城!」

「ああ!」

 

 集中する二人―。

 

「皆、剣城の作戦通り、時間を稼ぐわよ。」

「「「「はい!(おう!)」」」」

 

 全員が頷き、それぞれ飛び立つ。

 最後の作戦が、始まった

 

「大結界『博麗弾幕結界(はくれいだんまくけっかい)』!」

「奇術『エターナルミーク』!」

「開海『海が割れる日』!」

 

 霊夢、咲夜、早苗がスペルカードによる弾幕を放つ。

 ゼノラスは弾幕をその身に受けながらも進んでいき、

 

『GAAAAAAAAAAAAA!』

 

 咆哮を轟かせた後、全身からレーザーを放ち弾幕を掻き消す。

 そこに魔理沙と妖夢が高速で接近し、

 

「魔符『スターダストレヴァリエ』!」

「天神剣『三魂七魄(さんこんななはく)』!」

 

 魔理沙は星型の弾幕を、

 妖夢は剣閃による弾幕をそれぞれ高速で動きながら放つ。

 ゼノラスは魔理沙に丸太のような尻尾をぶつけんとする―が、

 

「させない!!」

 

 霊夢が結界でそれをガード。そして…

 

「星符『ドラゴンメテオ』!」

「夢符『封魔陣(ふうまじん)』!」

 

 二条の光の柱がゼノラスを襲う。

 だが、ゼノラスはこれを振り払った。

 

(強い…!)

(こんな化け物を相手に…!)

 

 一同が不安を憶える。

 が、剣城は幽香と共に力を剣に集中させていた。

 

(勝つんだ…皆俺を信じてくれた…!だから…必ず決めるんだ!)

 

 ―そして、その時は来た。

 

「行きなさい!剣城!!」

「うおおおおおおお!」

 

 剣城が白い極光を滾らせた剣を右手に駆け出した。

 ゼノラスもそれに気付き、口内へとエネルギーを溜め始めた。

 

「これで決める…!行くぞ!」

 

 剣城は上空へと飛び立つ。

 ゼノラスは上空へと飛び上がった剣城を睨み―

 

『GAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!』

 

 咆哮と共に全方向に幾つものレーザーを放つ。

 剣城へと迫る多数のレーザー。

 

「まだまだぁ!」

 

 高速移動で回避しつつ剣でビームを斬り払う剣城。

 だが、ゼノラスへと近づけば近づく程レーザーによる弾幕は濃くなっていく。

 

 ―そして、ゼノラスは口内に溜まっていた溢れんばかりのエネルギーを、接近する剣城へと向けて放った。

 

「まずい!!」

「剣城!」

 

 直撃を確信し、一同が悲鳴を上げる。

 

「守るんだ…!幽香の場所を…!皆を俺が…守るんだあああああああ!」

 

 

 

 

 

 プ ッ ツ ― ン ! !

 

 

 

 瞬間、剣城の脳内で何かが弾けた。

 迫る極光―そしてゼノラスの全身から放たれている幾重もの光線が、まるで止まって見える―そんな感覚を感じた。

 

 剣城はスレスレで極光を回避し、光線をもすり抜け翔ける。

 

「!!!」

 

 奇跡ともいうべき神がかった回避に驚きを隠せない幽香達。

 そして、千載一遇の好機は来た。

 右手に持った剣に宿る光が一層強まり、巨大な霊力の刃が創り出される。

 

 ―そして、渾身の力でそれを叩き込んだ。

 

「これが…俺の全力だ!斬撃『烈風破斬(れっぷうはざん)』!

 

 剣城が幻想入りして最初に放ったスペルカードが、ゼノラスの身体を斬り裂いた。

 渾身の斬撃をまともに喰らったゼノラスは、胸から腹にかけて巨大な烈傷を負っていた。

 

 

 

「凄い…!」

「マジでやりやがった…!」

 

 外来人の少年が、あの化け物に会心の一撃を叩き込んだ。

 驚きのあまり開いた口が塞がらない一同―。

 

「決まっ…た…。」

 

 剣城は霊力を使い果たしたのか、翼が消えて地へと落ちて行く―

 

「あっ…!」

「おい、アイツ落ちるぞ!」

 

 ―瞬間、幽香が猛スピードで飛び出した。

 

「剣城ーーーーー!」

「…幽香…!」

 

 剣城へと右手を伸ばす幽香。

 絶え絶えの息の中、幽香へと右手を伸ばす剣城。

 ―そして、二人はしっかりとその手を握り合った。

 

「全く…本当に心配させるんだから…」

「へへ…悪い…。」

 

 幽香は剣城の手を掴みながら剣城を下ろす。

 そして剣城は地面へと座り込んだ。

 

「ハア…やった…。」

 

 まさに激戦だった。

 全員が満身創痍で疲労も溜まっている。

 それでも勝つ事が出来た。

 

 

 

 

 ―だが…

 

『GUUUUU…』

 

 倒れていたゼノラスからうなり声が発せられる。

 

「え…?」

「な…!」

 

 ―剣城の渾身の一撃により負わされた傷。

 その傷を負ってまでもゼノラスを倒し切れなかった。

 

「そんな…!」

「完全に決まったはずだろ…!」

 

 全員の表情が絶望で染まる。

 

「くそ…!!」

 

 剣城と幽香はそれぞれの得物を持ちゼノラスへと立ち向かう。

 ―と…

 

『GU…UUU…』

 

 ―突如、ゼノラスは方向を変えて歩き出した。

 

「え…?」

 

 ゼノラスの突然の行動に戸惑う一同。

 ゼノラスはそのまま歩き続け、幻想郷の妖怪の山の奥へと去って行った。

 

「アイツ…どうして…」

 

 誰かが言ったそんな言葉は、怖い程の静寂へと消えていった。

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