記録の地平線~記された器~   作:Chirumori

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掴んだのは、友情を超えた絆

「………」

通路から、大きな部屋を半身で覗く。

「おるな、でかいの」

「明らかにここまでの部屋より大きいです。ここが最深部、ボス部屋で間違いないと思います」

各々巨大なボス〈燃え盛る悪霊(バーニングデッド)〉の姿を認め、一旦通路に身を戻す。

「いよいよ、ボス戦かぁ…燃えてきたぜっ!」

「ふっ、ボクらの実力を鑑みれば、これが当然なのさ。あいつもすぐに倒してみせるとも」

「物理的には燃えんでくれよー、トウヤん」

軽く笑いながら、僕は通路に腰を下ろしてため息を吐いた。

「どうかしました?チノモリちゃん」

隣に腰を下ろしたミノリが首を傾げる。

「いやぁ…あの会議でこうまで変わるんやったら、ここ数日の苦労はなんやったんやろなぁって」

「アハハ………」

セララも五十鈴も、その言葉には苦笑を返すほかなさそうだった。

「それにしても、あの大広間では助かりました。まさか、バルコニーのアーチャーのタゲを一手に引き受けてくれるなんて」

「あんだけ距離があったら避けるのも容易いからな。かまへんかまへん」

ここに来る道中、バルコニーつきの広間を駆け抜けなければならない場面があった。それのことだろう。

バルコニーの上から矢を射かけてくるスケルトンアーチャーには、こちらからはルンデルハウスの魔法も届かず、足早に駆け抜けるほかない状況だった。

―――無論、それには『普通の冒険者なら』という前提がつくが。

強弓(バレットボウ)の射程と自前の滞空性能なら届くと踏んだ僕が、先行して交戦しつつタゲ取り。その内に全員が駆け抜け、それを確認し次第僕も撤退、という作戦が取れたのである。

「それにしても、凄い性能ですねそのレア装備」

「まぁ、根本的に戦い方変わってまうからなぁ」

ARKSとしての能力については、詳細は伏せて話した。具体的には武器のせいにした。

なので、今は使えるのはPAのみというある種縛りプレイ状態だ。

騙していることに、罪悪感は否めない。…だが、隠し事をしているのはもう一人いるようだし別にいいだろう。

「よっし!MP満タン、スキルも全部使えるぜ!」

「ふっ、こちらも準備万端だ」

「その前に、一個だけええか?」

手を上げると、全員の注目が集まる。

「部屋ン中、相当熱いやろ。僕の予想やけど、何かしらのスリップダメージ入るギミックがあると思うねん」

「地形ダメージや環境ダメージ、ってことですか?」

「そういうこと。特に敵から一番ダメージ受けるトウヤんと、うっかりほったらかしてたら即死圏内入りそうなルデ公の事は特に注意しといたって。もちろん、他もやけどな」

言葉を〆ると、全員が頷く。

昨日の作戦会議の時も思ったが、多分この中でゲーマー的セオリーを一番知っているのは僕らしい。それなのに大災害に巻き込まれるのは運がないというか何と言うか。

「よっし―――行くぞ!」

言葉と同時、トウヤを先頭に僕らはボス部屋へと踏み込んだ―――

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