「ルデ公!支援攻撃いくで!」
「誤射はしないでくれよ、ミス・チノモリちゃん!」
返事を聞きながら『ディメンショナル・レイ』をノンチャージで撃ち放つ。
天井付近に現れた光の弓が、取り巻きのスケルトンを蹴散らすのをレーダーで見届けつつボスの方へ向き直る。
「セララん、そっちは!?」
「トウヤさんのHP、80%で維持できてます!」
「オッケー!…にしてもキッツいなぁ!」
ボスモンスター、〈
ボスを削りつつ、定期的に呼び出されるスケルトンも処理しなければ、いかに回復役が二人いようと
だが、ボスが呼び出すスケルトンは道中の巡回スケルトンたちより微妙に高く、ルンデルハウス一人では削りきれない。
かといって、
なので、基本ルンデルハウスと五十鈴のコンビに任せつつ、適宜支援火力を送る形となった。
機動力と射程を両立できる弓
「スケルトンは全部倒したよ!」
「待ちたまえ、ミス・五十鈴!ボスの様子が変だぞ!?」
ルンデルハウスの言葉に見上げると、ボスは両手を上げて明らかに何かの準備動作中だった。
掲げた両手の上にあるのは―――巨大な炎。
ボスが手を振り下ろすと、そこから小さな火球が大量に降り注ぐ。
「セララ!ルディ兄たちも!俺の後ろに!」
トウヤが守りの構えを取り、その背中に3人が隠れる。
庇える位置にいなかったのは、僕とミノリの二人だ。
「―――しゃーない。お嬢さん、ちょいとお手を拝借」
「え、ちょ、はい!?」
悲鳴を上げるのも無理はない。急にお姫様抱っことかされたら僕だってそうする。
「舌噛まんようになっ!」
忠告だけして地を蹴り、火球の合間を縫ってステップ。
そのままフォトンダッシュに移行して炎の雨を潜り抜けていく。
視界左下では、トウヤのHPバーがジリジリと減っている。ペースが鈍いのは、セララの継続回復が効いているのだろう。
対してこちらはそういう対策は一切ない。ひたすらに回避あるのみだ。
僕は大丈夫でもミノリんが飛ぶ。
前方に火球が降るのを視認して横ステップ。慣性で腕の中のミノリんを放り出しそうになるのを抱え直しつつ跳躍して至近に着弾した火球の爆発を避ける。
大技も時間切れらしく、残り火がくすぶる中をグライドでトウヤたちの傍に着地して、ミノリを下ろす。
「ほい、足元注意な」
「あ、ありがとうございます…?」
戸惑いの顔に苦笑いを返す。多分、何が起こったのか整理ができていないのだろう。
「さて、と―――」
どないしよっか、と言おうとした声がすぼむ。
明らかに、ばっちりと、怒りに燃える〈
おかしい、タゲはトウヤんが取ってたはず、と思考が巡る中、死霊の拳が振り下ろされる。
「おわっとぉ!?」
無論、僕に向けて。咄嗟にステップで回避するが、ボスもこちらに視線を追従させてくる。
「くそっ、こっち向けってんだ!」
向こう側でトウヤが
………もしかして、いやまさか。
「…そら、とっときの大技をまさかの全弾回避とかされたら、頭に血ぃ上るか!」
死霊やから血ぃないはずやけどな、と減らず口を叩きつつ、追撃の魔法に身を翻して『イルードカウンター』。
挟み撃つ形になった他メンバーに怒鳴る。
「多分、特殊行動による強制ヘイトや!タゲはしばらく受け持つ、攻撃だけ考えぇ!」
「…!、取り巻きの補充、ありません!攻撃のチャンスです!」
「わ、わかった!」
「承知した!死ぬなよ、ミス・チノモリちゃん!」
「気を付けろよ!」
流石にここまでの連戦で練度が上がっている。向こう側で、ルンデルハウスを主軸に攻撃が始まった。
なら、こっちは、ひたすら耐えるのみ。
ミノリから飛んできたシールドをありがたく受け取りつつ、飛んできた火球を真正面から受け止める。
爆風でシールドにひびが入る。だが、まだ割れていない。
「その程度で―――」
『ダメージバランサー』やら『フラッシュガード』やらのパッシブに守られた僕を貫けると思うな、とこれは心の中に止め。
「終わりか、えぇ!?」
爆風の中、不動で構え続けた『フレックスアロー』のチャージ2段階。
「ミス・チノモリちゃんに負担をかけ続けるわけにもいかないからな!〈ライトニング・チャンバー〉!」
「合わせるよ、ルディ!」
五十鈴の援護歌による追撃と併せた二つの雷撃の弾が、檻に閉じ込められた〈
既にそのHPバーは短い。
流石に特殊ヘイトが薄れたのだろう、気が付いたようにボスが背後へ向き直る。
その、最期の視界に映ったのは―――
「これで――――止めだぁーーーっ!」
跳躍し、大上段から振り下ろされたトウヤの太刀だった。