僕が呆けている間に、彼は恐ろしい速度で事を進めた。
強制蘇生による猶予の確保。"冒険者"としての叱咤。
世界に喧嘩を売るが如き契約書。五十鈴の助力による契約成立。
再びの死に目を閉じたルンデルハウスの顔は、どこか達成感があった。
「……ルディ兄、助かったんだよな?」
「………多分。アキバの方に飛んでったっぽいし……」
トウヤの呟きにそう答えると、五十鈴がそわそわとし始めた。
「…鈴っちゃん、先帰っとく?」
「ふえっ!?」
飛び上がった彼女は、「いや、でも、こっちも……」とわたわたし始めたが、目が泳いでる辺り本音が漏れている。
ミノリやセララはおろか、事情を知らないはずのシロエにさえ温かい目で見られる彼女の肩を僕は叩いた。
「行ったり。初めての復活でルデ公も不安やろうし、そうなったら、出迎えは一番適任なんはあんたやろ」
促すと迷いながらも五十鈴は〈帰還呪文〉を行使した。
それを見送って、僕たちは顔を見合わせる。
「さて…どないしよか、僕ら。こっちはもう大丈夫そうやし」
「海岸に戻りましょうか。シロエさんはどうしますか?」
「僕も行くよ。来た以上は、指揮を執らないとね」
そんな会話を横に、トウヤが勢い良く立ち上がる。
「よっし、行くぜぇっ!決戦祭りだっ!」
「あっ、こらトウヤ!」
駆け出していく弟を追いかけるミノリを見送り、僕は青年に向き直る。
「シロエはん、やんな?改めてありがとう、ルデ公の事」
「…いや、僕は…そんな大した事じゃ」
「よぉ言うわ、システムに喧嘩売るような真似しといて。アレ、並みのシロモンと技能でできる芸当やないやろ」
謙遜しすぎだとチクリと刺すと、青年は照れたような複雑な顔で目を逸らした。
………さては。
「アンタ、
「………」
図星だと悟るには、一瞬の瞠目だけで十分だった。
「ええやん、それはそれで。そのついでに僕らも助かったんやから、礼ぐらい受け取っときぃ」
ばしっと背中を叩いて、僕も海岸の方へ歩き出す。
それに促されるように、シロエも歩き出した。
「…あ、そうや。それとはあんまり関係ないんやけど」
「何かな?」
「アンタんとこのギルド、新メンバーって募集しとるん?」
そう問いかけると、「来る人を拒むことはしないよ」と答えが返ってきた。
「ほな、アキバに帰ったらよろしゅう!」
言い残して地を蹴り駆け出す。あんまり二人を待たせるわけにもいかない。
闇に沈んだ町並みを、少女の影は通り抜けていった。
というわけで本格的に原作筋に関わるフラグが立ちました。やったぜ。
既に関わりまくってるのはまぁさておいて…