記録の地平線~記された器~   作:Chirumori

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誇りを懸けて

「マリエはん!状況は?」

「チノモリちゃん……!?どうしたのその格好!?」

振り返ったマリエールが悲鳴にも似た声を上げる。まぁ、今の僕の恰好は水着より際どいから仕方ない。

「それはええから。戦況は?」

「……正直、援軍が来たとは言え好転はしとらんのよ。船に取りつかれて中々上陸できひんみたいで…」

「なるほど。流石に武装のないオキュペテーでは強行突破はできないか…」

「うん……ってシロ坊!?なんでここに!?」

「つい先ほど。それより、上陸に手間取ってるって話でしたね?」

「う、うん。そのせいで、一時盛り返した海岸の方も………あっ!」

マリエールの視線の先には、防衛線を突破してこちらに来る〈水棲緑鬼(サファギン)〉の姿があった。

「任しとき!」

地を蹴って突破部隊と真正面から衝突する。突き出された槍を銃剣(ガンスラッシュ)切り払い、カウンターの銃弾で眉間を撃ち抜いて黙らせる。

「『ビクトリーシャウト』!『N-ウォークライ』!」

叫べば、周囲の視線がこちらに向く。やはり敵対心(ヘイト)リセットはこういう時便利である。

釣れた数はおよそ20。流石に一網打尽にするにはまばらが過ぎる。

それならそれでやりようはある。手にした銃剣(ガンスラッシュ)を投げ捨て、一瞥もせずに両手に力を集中させる。

右手に雷。

左手に風。

「いらっしゃいませぇーっ!『略・轟竜巻(レ・ザンディア)』!」

雷を纏う嵐が吹き荒れる。巻き込まれた〈水棲緑鬼(サファギン)〉たちが為すすべなく、その中心に巻き上げられていく。

無論、法撃属性(魔法扱い)のためダメージはさほどではない。そもそも、ダメージを目的として使っちゃいない!

「これで決める――――!」

先程放り捨てたはずの武器を再び手の中に出現させながら、フォトンブラストを発動させる。

断空の剣撃と、追撃の爆発弾が集められた一群を一掃する。

取りこぼしは―――

「うおりゃああああっ!」

押っ取り刀で駆けつけてきたトウヤが〈旋風飯綱〉で落とした。銃剣(ガンスラッシュ)もフォトンブラストも初見だろうによく合わせたものだ。

「ナイス!このままいくで!」

略・轟竜巻(レ・ザンディア)の派手さが呼んだのか、再び上陸してきた〈水棲緑鬼(サファギン)〉に突貫する。

武器を抜剣(カタナ)に切り替え、『リミットブレイク』『カタナコンバット』『ブレイブコンバット』を一息に起動。接近能力を得た通常攻撃で肉薄し、正面の一体を切り飛ばす。

囲まれる形になった僕を嘲笑いながら、〈水棲緑鬼(サファギン)〉がその手にした槍を突き出す。

いつの間にか追いついていたらしいミノリからシールドが飛んでくる。だが―――

「生憎無敵なんやなこれがっ!」

『コンバットエスケープ』の無敵効果で、槍は何の成果も得られずに僕の身体をすり抜ける。

妙な感覚だが、痛みはない。そもそも、一日中戦い続けでハイになっていて気にする余裕もない。

流れるように『ヴォルケンクラッツァー』。二段目に『カンランキキョウ』を繋げ、三段目は『アヤメレップウ』で斬り飛ばす。

即座に長銃(アサルトライフル)に持ち替え、取りこぼしと海中から接近している連中を纏めて照準し『ホーミングダート』。

「チノモリちゃん!」

「取りこぼし頼む!僕はひたすら削ったるわ!」

トウヤの声にそれだけ答え、銃弾に激高して上陸してきた新手相手に突進する。

戦いは暗くなった空にグリフォンが舞い、朝日が昇る直前まで続いたのだった―――

 

 

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