「え?なんだよレベル16じゃん。ハズレだな」
「えぇ~、マジかよ」
落胆の声が聞こえる。
元々効果時間が短かったらしい睡眠魔法は、旧Huスキル『プリティグッド』とNGSRaスキル『バッドコンディションリデュース』のせいでその実力の1割も出せずに霧散した。
「こりゃロクなモン持ってなさそうだぜ。どうするよ」
「いや、持ってるじゃねぇか。ご立派なのを二つもよ」
下品な会話にうつ伏せのまま呆れ顔になる。男ってのは、どこに行ってもそういう生き物らしい。自分に言えた義理ではないが。
「ってか、そろそろ時間切れるぜ?捕まえといた方がいいんじゃねぇの」
「そうだな。よし、お前らは周囲を警戒しとけよ」
そう言いながら一人が近づいてくる。クラスは
…どうやら、ライトユーザーがうっかり巻き込まれた挙句PKにまで堕ちたらしい。
それでも、50以上レベル差がある以上、圧倒的に不利なのは変わりないが……
「…ん、起きたか?暴れんなよ、抵抗しないならそう乱暴には―――」
「お断りじゃボケナスがっ!」
伸ばされた手から転がって距離を取り、そのまま地を蹴ってフォトンダッシュに移行する。
「だから暴れんなって、
すぐ反応した
初速は向こうが上、蹴り足が迫って来る―――
「マルメロ!」
「うおっ!?なんだこいつ!」
発動したのは『ホットマルメロパリィ』。ノーモーションで使えるウェイカーの
紫のシールドエフェクトが、無敵の盾となり飛び蹴りを弾き返す。
その隙にダッシュジャンプで上空に離脱する。
「へっ、跳んだら魔法のいい的だ!撃ち落とせ、
号令と同時に二つの攻撃魔法が飛んでくる。
舌打ちする。最悪
まだ、凌ぐ手は―――ある。
「な、なんだ!?アイツ消えやがったぞ!?」
咄嗟にテクニックを詠唱して『ステルステックチャージ』。魔法弾がすり抜けていくのを感じながら、光の玉となって着地する。
見失って視線を彷徨わせるPKの眼から逃れるべく、詠唱を維持したまま草むらに飛び込んで廃墟の裏へと隠れる。
詠唱中だったテクニックをミラージュエスケープでキープし、しばし身を潜める。
「……チッ、逃げられちまった」
「まぁいいじゃねぇか、どうせロクな獲物じゃなかったんだし」
「ちくしょー、せっかく卒業できると思ったのによ」
「逃がした魚は大きいか?実際デカかったしな!」
ゲラゲラ笑うPKの声を背に、その場を後にする。
…別の道を使ってとっとと帰ろう。胸糞悪くなってきた。