「チノモリちゃん!」
地に落ちた僕を支える手。肩を揺すりながら叫ぶ声の主は、トウヤだ。
よかった、ちゃんと思い出せる。どうやら、払う対価はその程度で済んだらしい。
「悪い、迷惑かけた」
首を振って、足に力を込めて立ち上がる。心配そうに見つめるセララにも手を振って、僕は振り返り見上げる。
見つめ返してくる仮面。確か、オメガ・マスカレーダとかいう名前だったか、コイツ。
「チノモリちゃん、下がって」
「トウヤん、大丈夫。コイツはもう、大丈夫」
前に出ようとする少年の方を押さえ、僕は目の前の異形へ手を差し伸べる。
もう大丈夫だ。目の前の
「後は任せとけ。行こう、
軽く頷いた仮面の脇に飛び上がり、その肩に着地する。
何も言わなくても、彼女は飛び上がって戦場を俯瞰してくれた。
ついでに呆然としている騎士団に舌を出してから、僕は脇に寄ってきた
「ただいま、ミノリん。ロエの姐さんも」
「ああ、おかえり」「おかえりなさい、チノモリちゃん」
ふぅん、と面白そうに僕が乗る相棒に視線を向けるロエ2。彼女は嫌な顔で―――そんな気がするだけだが―――そっぽを向いた。
「終わらせよう」
「応」
ロエ2が手を振ると、それにしたがって彼女の召喚獣が竪琴を奏でる。
僕が手を上げれば、応じるように剣が振るわれる。
その瞬間、
静止した戦場の中で、音符が躍る。それに自然に笑みを浮かべながら、僕は
「穿て、『
詠唱に応じて、
竪琴の支援を受けたそれは過たず、戦場の全ての魔物を薙ぎ払った。
地に降りた異形の肩から飛び降りる。
隣では天を駆けていた馬から、ミノリとロエ2が降りてきたところだった。
彼女たちも、駆け寄ってきたルンデルハウスたちも、まだ緊張した面持ちだ。唯一の例外はロエ2だけだ。
「ほら」
振り返り、相棒に手を差し伸べる。オメガ・マスカレーダは応じて手を置き、膝を付いた。
「あっ!」
声を上げたのは誰だろう。仕方ないことだろう、オメガ・マスカレーダはその出現時と同じように、闇の玉に還ってから、再び僕の姿へと―――あれ?
「…僕、そんなに立派な角してたっけ」
「ないぞ」
「へ?」
「だから、ないぞ。今のお前に、角は」
驚愕の真実を、目の前の呆れ顔の少女―――顔立ちは僕と同じだ―――に告げられ、僕は咄嗟に額に手を当てた。
確かに、ない。割とトレードマークだった、キラキラした小さな角がなくなっている。
「なんで……」
「さぁ。私は知らない」
とはいえ、目の前の少女の角はそれはそれで全くの別物だ。なにせ生えている場所がまず違う。こめかみの上辺りから、太い角が頭を包むように湾曲して生えている。闘牛とかそれのが近そうで、丸っきり悪魔のそれだ。
「……随分と変わったようだね?」
ロエ2が口を開く。その視線は僕ではなく、水底から連れ出した少女の方に向いていた。
「そうだろうな。それ以上余計な口を開かないでくれ、〈
「しょうがないな」
じろりと睨み返され、ロエ2が肩をすくめる。二人を交互に見て、僕は肩をすくめた。
どういう意味かは見当がつかないが、必要なら勝手に話してくれるだろう。
「えっと………」
ミノリが恐る恐る手を上げる。
「チノモリちゃん、でいいんですよね?その子は?」
……そういや、そこからだった。
主人公、分裂
因みにですが
主人公側:角をロスト、髪型がツインテール→ツーサイドアップに変更、瞳がオッドアイから右目準拠の両目青に変更
水底の少女側:角が変更、髪型は結ばないロングヘア―に変更、瞳は左目準拠の金色(ただし白目はちゃんと白目)
ってな感じになってます。身体?体格は全くの同一です。