記録の地平線~記された器~   作:Chirumori

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飛び立つ雲雀 降り立つ帳

翌日。

西への旅を続けるというロエ2やダリエラと別れを告げ、僕らは帰路に就いた。

街の被害は小さいものではなかった。その惨劇の一端は―――というか半分以上は我が身が齎してしまったのは反省する他ない。

「その心配はもうないぞ」

「そうなん?」

「ああ」

短く頷いて再び前を向く相棒―――どこから調達したのか、漆黒のフード付きマントを纏っている背中を見つめる。

何故、と問うより前に、僕は天を仰いだ。鷲獅子(グリフォン)が舞い降りてきて、知った気配がその背から降りたからだ。

「にゃん太さん!」

真っ先にセララが飛び出していく。双子と一緒にその後を追う。

「元気にしていましたかにゃー?」

「はい、色々ありましたが…みんな、元気です」

「それはとてもよいことで――――」

紳士然としたにゃん太の驚愕顔、という珍しいものが見れた。尤も、その元凶は自分なのだが。

「チノモリちゃんが、二人…どういうことですかにゃー?」

問われて、相棒と顔を見合わせる。今の僕たちは同じキャラクターデータから分裂した状態で、名前が同一なのだ。メイン職業は〈守護輝士(ガーディアン)〉と〈仮面(ペルソナ)〉で別々だが。というかいつの間にか〈暗殺者(アサシン)〉ではなくなっていた。

「おんなじ名前やと不便やなぁ、そういや」

「そういうものか」

「いや、本題はそこではないですにゃー」

「ごめん、そっちは長くなるから。一旦直近の問題を解決させて」

うーん、と顎に手を当てて考える。戸惑っているにゃん太には、セララがかいつまんで説明してくれているようだ。あ、宇宙猫になった。文字通りなのは初めて見るな。

そんな益体の無いことを思っていたら、相棒に肘でつつかれた。ごめん。

頭を下げて、その反動で天を仰ぐ。そして。

「あ―――」

空を征く鳥が視界に入った。アレは確か―――

「チノモリちゃん?」

「ヒバリ」

「え?」

声をかけてくれたトウヤが首を捻る。

「僕は、今からヒバリや。そんで―――」

顔を隣に向ける。

「そっちがトバリ。どやろ?」

「異論はない」

頷いた相棒改めトバリのステータス表示が変わる。

 

トバリ・[P]・チノモリちゃん 〈仮面(ペルソナ)〉Lv.100

ヒバリ・[G]・チノモリちゃん 〈守護輝士(ガーディアン)〉Lv.100

 

僕もいつの間にか変わっていた。元の名前は苗字のように残ってしまって、少し可笑しくて笑ってしまった。

「よし」

ぐるっと回って、漸く追いついた五十鈴とルンデルハウスにも笑顔を向ける。

「僕がヒバリ、こっちが相棒のトバリ。改めてよろしゅうな!」

「…これから、世話になる」

にゃん太が珍しく、疲れたような溜息を吐いた。

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