ボス戦は順調に推移していった。
途中、ヘイトリスト上位貫通攻撃をシロエが看破して指名したときは思わず二度見したが。
これがガチ勢ってやつか。おっかねーなーと思いながら、体は自然にタリクタンの攻撃を躱す。
「いつからだ?ヒバリ」
「いつからかな。もう大丈夫みたい」
駆けあがってきたアカツキはもう察しているようだ。
「安らぎの中で待機せよ」
HPがついに3割を割ったタリクタンが言う。
「眠りに付けば安全は保障される」
要らないよ、と口にしたくなるのを我慢しながら、振るわれた杖を蹴り飛ばす。
「六億四千万単位と引き換えに帰還はなされる。同意する契約者はアクセスを受け入れ睡眠の中で待機状態を選択せよ」
振り上げた足の勢いそのままに体を捻り、斜めに蹴り下ろす。『ジェットインセンシティ』の最終段、その超火力のみを引き出したソレは確かな幅でタリクタンのHPを削る。
トバリをチラ見すると、首を横に振っているのが見えた。やっぱりね。
「タリクタン。それはできない」
「――この仮初めの世界から帰還が果たされる」
「―――あ゛?」
思わず、ガラの悪い声が漏れた。
「仮初め、だぁ?言うに事欠いてお前はぁ!」
視界の端でトバリが虚を突かれたような顔をしている。
出会ってそう月日の経っていないはずの彼女は、もうとっくに僕の半分を埋める勢いで大事な存在になっていたようだ。
「そうやって馬鹿にしよるから、お前らは永遠に
景気よく銃剣を突き入れ、銃撃と同時に切り払う。
眼下の仲間たちも、凡そは同じ思いのようだ。
それも嬉しくて、自然に口角が上がる。
「なぁ――――お前らもそうやろ?」
タリクタンの目の奥を見据えて、語り掛ける。
戦い始めたときから、ずっと気づいていた。
そこで眠る者たち。タリクタンの言い草に倣うなら、同意した契約者。
大地人もいるのだろうが、それはまぁ一旦誤差として置いておく。
「お前らが過ごした時間、楽しんだ時間の全部、仮初めって馬鹿にされとるぞ?なぁ!」
顔面に
「それで怒らんような奴なら!
吼えるような声が、戦場に響く。
ついでに何人かは頷いているのが視える。
なら――――僕の、勝ちだ。
セルデシア世界―――彼ら流に言うなら亜世界―――において。
同意とは、最も強力なトリガーとなる。
それはシロエの契約術式が、同意のもとに理を歪めるほどの効力を発揮することからも明確だろう。
で、あるのならば。
「オオオオオオオオオオオ!!!!!」
タリクタンが吼える。その身体から漏れ出る虹色の泡―――
その手をすげなく払い、収奪した少女は不敵に笑う。
「……何故だ?」
トバリは小さく呟いた。
何が起こったかは明白だ。ヒバリは、タリクタンに囚われた者たちを、彼ら自身の同意を以て奪還した。
しかし、抵抗力の弱い〈大地人〉ならともかく、任意によって眠りについた〈冒険者〉たちをも奪還している。
無論、全てではない。だが、仮に一部だとしても、一度同意したのに翻したのか?
「トバリ、覚えとけ!」
いよいよ追い詰められ、更なる異形と化したタリクタンの猛攻を掻い潜りながらヒバリが叫ぶ。
その身は虹の輝きを纏い、満面の笑みを彩っている。
「人の心ってのはなぁ!良くも悪くも、些細なことで揺れるモンや!」
だから、と続けながら、迸る雷光―――驚くべきことに、五つ総てが襲い掛かっている―――をその身に受けてなお、少女は笑う。
「ちょっと背中を押してやりゃあ、
咆哮と同時に、解き放たれた
そこに伸びる紫の光は、シロエの放った〈ソーンバインド・ホステージ〉。それを切り裂いていくのは、宵闇色の刃を振るうアカツキだ。
「ヒバリ!」
「来い、マルメロ!」
天井スレスレまで跳び上がったアカツキに応じて、ヒバリがその手に
身にまとう虹光の全てを、その小さな身体に詰め込んで―――
「〈
「マルメロ!
斬撃の直後、砲弾の如く投げられた丸獣が激突し――――
虹を纏う爆轟が、砦中に響き渡った―――――
New Skill acquired
スピニングガストの派生攻撃に、近いモーションであるジェットインセンシティの最終段という超火力攻撃を置換し、更に『派生攻撃』であることから旧PSO2のストライクガストの派生効果であるシフタまで発動させる欲張りセット。
DPSの高さは言うまでもなく、シフタの発動から周囲の近接戦闘職の支援までこなせる正に一石二鳥の壊れ技となっている。
なおシレっとやっているが、ジェットブーツは『足に装備する』ことから他の武器と装備部位が競合せず、同時使用を可能としている(ただし、フル活用しようとすると脳がパンクするとか)。