記録の地平線~記された器~   作:Chirumori

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兵どもが夢の始まり

タリクタンを倒した後も、色々あった。

通信機を調査してたら、どこか遠くの地―――もとい、中国サーバー―――にある通信設備と偶然繋がり、その先にいたのがまさかの茶会(ティーパーティー)主催のカナミ氏だったとか。

そのカナミ氏からあの妖怪眼鏡(クラスティ)の所在が判明したりだとか。

うん、本当に色々あった。色々。

「過去を振り返っても現在は変わらんぞ、ヒバリ」

そんな現実逃避をしていると、同じベッドで寝ていたトバリがジト目を向けてくる。

わかってるよ。

こんな回想に浸ってたって、僕の目の前で寝息を立ててる、一糸纏わぬ幼女は消えないって。

 

 

「んまぁ~~~~~っ!可愛いですわぁ~~~~~!!!!」

とりあえず服を着せてやろう、と言うわけで呼び出したヘンリエッタの黄色い声を聞き流しつつ、僕はひとまず息を吐いた。

「で、心当たりは?」

「ないことはないんやけど…っていうかパイセンも見覚えあるやろ」

「ああ……あるな。一部分だけなら、だが」

アカツキが視線を向けたのは、身長1mにも満たないであろう幼女の頭部、そこにデカデカと生えている特徴的な耳だ。

うん、僕もものすごく見覚えがある。具体的にはアレ、マルメロの耳だ。

根元が黒くて先端が白い部分とか、なんか機械が嵌ってるとこだとか。

「やっぱパイセンもそない思う?」

「私だけではないだろう。ヘンリエッタは?」

「ええ、はい。やはりマルメロちゃんですわよね?」

「はいです!マルメロはマルメロです!」

幼女本人が元気よく答える。元気なのはいいが、そのデカい耳をぴっこぴこ動かすのはやめなさい。相当重量あるぞ。

「しかし何故………」

「それがわかりゃあ苦労はせんよ。トバリはなんかわかる?」

とりあえずわからないことは相棒に投げるに限る。

「推測なら、ある程度は」

「わかるんか……」

もうコイツに分からないことなんかないんじゃないか?とか考えていたら「そんなわけがあるか」と真顔で言われた。ナチュラルに心を読むもんじゃないぞ。

「シロエがあのリ・ガン殿から聞いたという魂魄理論(スピリットセオリー)は覚えているな?」

「ああ、覚えとるけど」

「それに当てはめるなら、使役獣(ファミリア)…もとい、フォトン生命体である彼女は、身体まで魂でできている、と解釈できるな」

「彼女でええんかなぁ……」

そもそも性別とかないはずなんだけどな。なんで女性体になってるのやら。

「そこは気にするな。で、昨日の戦いの最後を思い出せ」

「えーと、タリクタンから人々の共感子(エンパシオム)を奪還して、それ詰め込んでマルメロをぶん投げた………あ」

まさか、と思いながら思い当たる。思い当たるけど、マジで?

「もしかして、それでこの子の魂のカタチが人に寄った結果が、これ?」

「概要としてはそれでいいだろう」

頷かれてしまった。

「そんなことがあるんかぁ………」

「言ってしまえば、装飾文(フレーバーテキスト)の侵蝕と似たようなものだ」

「そう言われれば、なるほど…?」

ヘンリエッタと一緒にアカツキが首を捻りながら、けれど辛うじて納得したような雰囲気を出す。

「どちらにせよ、これが現実だ。諦めて受け入れろ」

「そう言われてもさぁ…」

トバリが最後に声をかけたのはまたもシロエである。彼は彼で、またしても増えた謎に頭を痛ませていた。

「ごめんなぁ、ギルマス」

「いや、いいよ。君は割と最初からこんな感じだったし」

「最初からは…………あー、せやね」

確かに最初っから彼に頭を抱えさせていた。本当にごめんね。




オリキャラ増加は加速する………!(とはいえこれ以上増えることはないです)
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