「大好きですよ」
ついに言った、今迄誤魔化し、けむに撒き、あやふやにしていた私の気持ち。
初春の3月、今日私ドリームジャーニーはトレセンを卒業した。本来は新年度を待ってからになるが、とうとう私は〝学生〟では無くなった。
「へ?な……え?」
机の向かい側にするトレーナーは目をパチクリとしながら固まってる。トレーナー室で2人っきりのお別れ会中に告白されたのだ、私が発した言葉を咀嚼する暇も無く困惑するのも無理無いかもしれない。
「突然申し訳ありません、ですが今しか無いと思いこの気持ちを伝える事にしました」
「えっと、その…ごめん不躾な質問なのは理解しているがそれでも聞かせてくれ。ソレはいわゆるLoveという意味として、受け取って良いのか?」
「はい、私は貴方の事をずっとずっと、お慕い続けていました」
「そうか……」
彼は1度珈琲を飲むと、何処か意を決した顔をし立ち上がった。そのまま仕事机の引き出し、その奥から〝ナニカ〟を取り出すと私の横に来て片足で跪いた。
「正直こんなダサい俺の何処か良いかなんて分からないし、自信なんて毛頭ない」
「えっと、トレーナーさん?」
「それでも……キミの思いに報えるような男でありたいと、俺もずっと思っていた」
そうして彼は、今しがた取り出した〝小箱〟の中身を見せながら真っ直ぐ私を射抜いた。
「俺と、結婚を前提にお付き合いをして欲しい」
「え──」
予想外だった、振られる想定なら幾らだってした、付き合える妄想はその何倍もした。けど、こんな…こんな、都合が良すぎる事が起きるなんて頭をよぎった事する無い。
「学生相手に指輪を買うようなちゃらんぽらんだ、嫌だったら本気で跳ね除けてくれ」
彼が私の左手の薬指に指輪を通す、私は滲んだ視界で一生懸命ソレを見守る事しか出来てなかった。脳が現実を夢か幻なんじゃないかと疑っていた。
「どうか俺に」
彼は私の左手を自身の両手で優しく、愛おしく包んでくれた。
「キミの愛を貰い受ける許可を下さい」
そこで私はようやくコレが現実であると飲み込みきれた、ソレと同時に我慢が限界に達した。
「ぐすっ」
「え!ジャーニー!?や、やっぱり嫌だった!?」
「ちっちが!…嬉しいんです、私と同じ気持ちを貴方が持っていてくれた事が。私以上に、強い気持ちを持ってくれていた事が……ものすごく、嬉しいんです」
彼は泣く私を優しく、暖かく抱擁してくれた。夢にまで見た彼との抱擁が、夢以上の出来事に来るとは昔の私に言ったら脳の不具合を疑われただろう。
「なぁジャーニー、良かったら教えてくれないか。俺の何処を好きになったのか、俺が何時もキミにどう映っていたか」
「なら、私も聞きたいです。トレーナーが好きな私を、トレーナーが好きになった私を」
「そうだな、なら何時もみたいにお互いに言い合おう。言えてなかった今日迄の好きを、お互いに」
「はい!」