切札は常に俺の所に…… 作:スカル
エデン条約から時が経ち、今では肌を焼くような感覚を錯覚をする程の太陽の光を自分の身体で感じていた。外は蒸暑く真夏の太陽の光に晒され、ほんの少し動いただけでも汗をかいてしまう様な状態だった。
そんな状況の中、とても広大なグランドである一人の少女がせっせと雑草抜きをやっていた。
「────あっつーい」
額から流れる汗を手で拭い、彼女は愚痴を溢す。この炎天下により服は汗によりベトベトし、下着も汗を吸収して身体にへばりつくような感覚がし、気持ち悪さを覚える。
流石の銃弾が効かない丈夫な身体を持つキヴォトス人でも、暑さには普通の人間と同じで弱いようで、彼女は暑さによりダウンをしていた。
「ちょっと休憩しよっかな」
流石にこのまま雑草抜きを続けると熱中症になると判断した彼女は日陰へと移動し、近くのベンチへと腰掛ける。
「喉がカラカラだよー」
彼女は炎天下のとても広大なグランドで長い時間、雑草抜きをしていた為、身体から汗により水分が抜け、喉の乾きを感じていた。
だがしかし、既に彼女の持って来た水筒は空になり、予備で持って来た水分も終わってしまった。その分の水分を買いに行こうと思っても、近くにコンビニや自販機があるという訳でもない。
このままじゃあ本当に熱中症になっちゃうかも、と彼女は感じながらも、気を紛らす為に彼女はスマホを取り出し、モモトークを開く。
そういえば札切君は今何をやってるのかな?
そんな考えが彼女の頭に思い浮かび、彼女は気づいたら札切のモモトークを開いていた。
「今何してるのー?」って送ろうかな?でも札切君忙しいかもしれないし、「今時間あるー?」って送ったほうがいいのかな?
彼女は何度もメッセージを打ち込んでは消すという作業を繰り返し、結局札切に何も送れずにいた。そしてやっとの思いで彼女は「今暇だから遊んで!」というメッセージを札切の送ることが出来た。
「……………」
だが5分、10分と時間が経っても札切から一向に既読にならないので、最初は忙しいのかなと考えていた彼女も、段々とソワソワしだし、不安を感じ初めていた。
「……………」
また5分、10分と時間が経ち、彼女の落ち着いた心はどこかに行き、更に増大した不安に彼女の心は晒されていた。
彼から連絡が返って来ないというだけで、なんでか胸の奥がズキズキとし、色々なネガティブな感情が湧き出てくる。彼はそんなことを思うことなんてない筈なのに、彼が私の事を嫌ってしまったなどという、嫌な想像をしてしまう。
「────ヒャッ?!」
そんな憂鬱な考えに私が陥っていると、突如として、とてもヒンヤリとした冷たい物が私の右頬に当たり、私は素っ頓狂な声を上げてしまう。
「────その様子を見るにしっかりと真面目にやってるみたいだな。ミカ?」
後ろを振り返ると、そこには白色のシルクハットを被っているのが特徴で、悪戯が成功してニヤニヤと笑っている彼がいた。
彼の手元を見てみると、ヒンヤリとしたその冷たさによって、空気に含まれる水蒸気が凝結し、水滴となって張り付いているペットボトルがある。それを見るに先程の右頬で感じたあの冷たさはこのペットボトルで間違えないだろう。
「もぉーーー驚かさないでよ!」
「ははは、すまんな。……そのお詫びにこれやるよ」
彼は「ほれっ」という掛け声と共に先程のヒンヤリとしたペットボトルを私に投げ渡す。私はそれをワタワタと慌てながらキャッチすると、彼はそれを見ながら笑みを浮かべていた。
「それにしても凄いな。この広さのグランドの雑草を一人で抜いているのか?」
「うん、そうだよ。でも酷くない?私が受けた処分でボランティアを300時間やらなきゃいけないっていうのは分かるけど、こーんな広い場所の雑草を1日で抜けなんて、これ、ボランティアというより強制労働だよね?!」
私は日頃で溜まったストレスを吐き出すように彼へと愚痴を溢す。それを見て彼は苦笑をしながらも話を聞いてくれるのだった。
「あっついし、誰もいないし、つまんないし疲れるし……服は汚れるし、腰も痛むし、手はガッサガサ、日焼け止めもハンドクリームもないのに………」
しかし流石にこの怒涛の不満ラッシュは予想していなかったのか、彼は頬を引き攣らせながらも、私の話を聞いてくる。
だがそんな不満を溢しつつも、しっかりと自分の受けた処分に真面目に取り組み、それをやり遂げようとする心得は、自分が犯した罪の償いをしたいという彼女なりの心の現れなのだろう。
「今日は俺も特に用もないし手伝うぜ」
「特にっていうか、毎日用なんてないんじゃないの?」
「はっ、俺は常に忙しいんだ」
「じゃあなんで今は暇なの?」
「………今日はたまたまなだけだ」
彼の明らかな見栄っ張りに私はつい笑みを溢してしまいながらも、私は彼をからかって遊ぶ。
あーー、やっぱり札切君と一緒に居ると楽しいな……
彼とこうして過ごしているだけで私はこの小さな幸せを感じる事が出来る。こうやって、話したりして笑っているだけで
「それよりミカ、その制服だと暑いし、汚れると思うから体操着に着替えてこい」
「え?体操着……?」
「ほら前に買ってやっただろ?」
「でもせっかく札切君に買って貰った体操着を汚すのは………」
「体操着って物は汚れてもいい服なんだよ。ほら、早よ着替えてこい」
「……分かった」
▼▼
「────着替えてきたよ」
あれから少し時間が経ち、札切がミカを待っていると、そこに丁度体育着に着替え終えたミカがやって来た。
「体操着姿……あんまり可愛くないから見せたくなかったんだけど………」
彼女は恥ずかしそうに身を捩らせ、顔を赤らめながら札切をチラッとその大きな瞳で見つめる。それはまるで何かを期待しているかの様な眼差しだった。
「その……えっと…………」
「よし、それじゃあ始めるか」
だがしかし、そんな眼差しに気づく事なく札切は彼女の事をスルーし、雑草抜きを開始しようとする。そんな鈍感な札切に彼女は昂った気持ちから一瞬にしてスンとした冷めたような感情になってしまう。
「………何か私の服装に対してないの?」
「あ?……うーん、そうだな。涼しそうでいいな」
札切の的外れな答えに彼女は呆れ、ため息を吐く。そしてそれを札切は不思議そうな顔をしながら彼女を見ているのだった。
「急になんだ?ため息なんか吐いて」
「…………札切君のバーカ」
「な?!急に罵倒してくるな?!」
まったく彼女の心の内を知ることの出来ない札切に、彼女はつい本音を漏らしてしまい、札切が心外だと言わんばかりに反応する。
「女の子の気持ちをちゃんと読み取れてないからだよ☆」
「俺は探偵だ!そんなの朝飯前に決まってるだろ!!」
「えーー??でもまだ半人前じゃなかったのー?」
「…………早く雑草抜きやるぞ」
「あ!逃げたー」
▼▼
「────づーがーれーだーー」
あれから数時間とグランドの雑草抜きをミカと札切の二人がかりでやり、大型片付いた頃には日が沈み掛け、カラスの鳴き声が鳴り響いていた。
「腰いたーい……服もドロドロ………」
そんな中、疲れからかミカのダランとした声がグランドに木霊する。流石に長時間、雑草抜きで屈んだりしていた為、腰にダメージが来ているみたいだ。
「これで大体終わりか?」
「あー、うん……そうだね」
疲れたような顔した札切が腰の痛みを紛らわす為に、背伸びをしながら辺りを見渡す。そこには雑草なんて一つも見当たらない綺麗なグランドがあった。
「あっ……これ、札切君が手伝ったのがバレたら問題になっちゃうかも?まあ、私はいいんだけどね☆」
それを見て彼女はハッと思い出したかのようにそんな事を突然言い出し、さりげなく札切へのアタックをする。
「もしそれで周りの奴に何か言われたら、俺が勝手に手伝っただけって言っとけ。それで多分どうにかなるだろ」
「…………」
札切らしい回答と言えばそうだが、彼女からしたら面白味のない回答なので、ムッと不満顔をしながら札切の事を見る。
「あっ!そういえば札切君ってこの後、暇?」
「特に用はないが………急にどうした?」
そんな不満気な顔から、彼女は何かを思い付いたのかパッと顔を明るくさせて札切りと向き合う。
「ほんと、大したことじゃないんだけど………よかったらお茶とかどうかなーって!」
「別にいいけど、時間は大丈夫なのか?こんな時間じゃあ店も閉まってるだろうし………」
札切がこんな時間と言う通りに、辺りはもう日が沈み、暗くなり出していて、外を出歩いている人は見る限りいない。そして時間も遅いので、大体のお店はほぼ閉店してしまっているだろう。
「そうだった……。今日は休日だからお店が早く閉まっちゃうんだよね………」
彼女の顔が今度は暗い顔へと変わり、肩を下げて落ち込む。
そんな彼女を見て札切りは、コイツ、コロコロと顔がよく変わるな……、と割とどうでもいい事を考えていた。
「札切君の時間を奪うのは申し訳ないし、やっぱりなかった事にする?
「別に俺はそんなの気にしないから平気だ。……それにお茶は何も店だけじゃなくても出来るだろ?」
「ううっ……うん」
「ならお茶が出来る所でも探そう。ミカはそう言った場所に何か心当たりはないのか?」
「お茶が出来る場所………」
落ち込んでいた彼女は札切の言葉によって考えを改めたのか、先程の暗い顔から一変し、真剣に頭を使い考えているみたいだ。
「あっ、私の部屋とかどうかな?」
「…………ん?」
どうしてそこからそんな結論に持ち行ったのかは分からないが、彼女は自分が言っている意味を理解しているのだろうか。年頃の男女が夜遅くに二人っきりでいるという状況に、更に自分の部屋へとお誘いという物が加わる。
札切はそんな淫らな事はしないと思うが、そんな札切もまだ18歳の男だ。そういった事に興味がないかと聞かれれば、それはもちろんNOという回答が帰って来るだろう。
「あっ!変な意味じゃないよ!部屋って言っても、寮の一部の空間というか………」
そんな札切の顔色を見て、自分の言った言葉を振り返ったのか、彼女は頬を少し赤ながら慌てて弁明をする。
「今日はお休みの日だから、門限もおそいんだ。貰い物のロールケーキと紅茶があるんだけど……ロールケーキは飽きちゃって………。だけどこのままだとダメになっちゃうかもしれなくて………!」
「分かった!分かった!……つまりはロールケーキをダメにしたくないから一緒にお茶をしながらどう?って事だろ?」
「う、うん。………あ!札切君が持って帰って食べてもいいよ!捨てるよりはマシだからさ!」
一緒にお茶をしようという話は何処に行ったのか、彼女は混乱から思考がゴチャゴチャになってしまっているみたいだ。
「一緒にお茶をしようって話だっただろ?余ったら俺が持って帰って食べるのもいいが………」
「あっそうだった!……じゃあ私の部屋でお茶をする?あんまり長居は出来ないけど………」
「俺はそれでも大丈夫だ。なんならロールケーキを食べれてラッキーだと思っている」
「分かった!……じゃ、行こっか!こっちこっち!」
このままだと長くなるので一旦、区切る。スマン。
そして札切の紹介コーナー!!
札切がなんでこのキヴォトスに来たのかをざっと説明。
話にするとそれだけで二、三話、或いはもっと時間がかかる話になると思ったのでここでざっと説明することにする。
だってこれ一応、ブルーアーカイブが題材だし、この話をやっちゃうと完全に仮面ライダーになっちまうのよ。因みに作者がめんどくさいからという訳ではなくもないぜ!!
という事で説明開始!!
AtoZ後、風都でエタナールメモリ以外の散らばったT2メモリを回収している財団Xの職員を札切は発見し、後をつける。
そこで財団Xの管理する施設を発見し、その悪事を暴こうと潜入をする。そしてその施設で保管されようとしている、T2メモリが纏ったスーツケースを財団Xの職員から奪取し逃走を図る。
だがしかし、一人で忍びこんだのは流石に無謀で札切は財団Xの職員たちに追い詰められてしまう。
だけど札切は幸運か不幸なのかは分からないが、財団X幹部、最上魁星の開発した平行世界移動装置「エニグマ」の試作品の実験場に逃げ込んでしまっていた。
そして財団Xの職員が札切を殺す為に放った弾丸が逸れて装置に当たった事により、平行世界移動装置「エニグマ」の試作品が誤作動を起こし、そしてそれがたまたまキヴォトスへと繋がり、札切がキヴォトスにやって来る事となった。
そしてそのキヴォトスに繋がるゲートはすぐ閉じてしまう。
因みに平行世界移動装置「エニグマ」は試作品でそもそも完成品ですらないので、普通の人が巻き込まれると確実に死ぬ所か消滅する為、財団Xの職員は後を追う事が出来なかった。
そして平行世界移動装置「エニグマ」の試作品が、もう一度キヴォトスに繋がるとも限らないので財団Xの職員たちは札切の後を追うのとT2メモリの回収を諦めている。
そして財団Xはこの失態を隠蔽するため、持ち前の全科学力を活かし、札切の存在を抹消し、人々の記憶からも札切の存在を消し去っている。(地球の本棚ではロックが掛かっている状態)
なので翔太郎たちは何か違和感を感じながらも無事、正史の仮面ライダーW通りの物語を歩んでいる。
やったね!!これでWの世界では札切の帰る場所は無くなったよ!!
因みになんで平行世界移動装置「エニグマ」の試作品に巻き込まれた札切が生きているのかと言うと………まあ、それは後に本編で。
更に因みにキヴォトスでは、T2メモリの纏まったスーツケースが、世界を移動する際に破損し、キヴォトスにメモリがばら撒かれたとかばら撒かれていないとか………
以上!!ざっとした説明でした!!
良かったら、評価、感想、などなどよろしくお願いします!!