Will be the Pokemon Master 作:K(ハーメルンのすがた)
想像するとちょっと惨いところがあります。まあ文字だから大丈夫でしょう。
──────スパイクタウン
「おっ!あれか!」
「みたいだけど……なんか入口閉まってない?」
「あれ、本当だ……」
オレ達はスパイクタウンに到着した……はずなんだけど……
何故か街の入口らしき場所にシャッターがかかっていて入れないようになっている……
「リラ、本当にここであってるのか?」
「うん……マップの現在地もここになってる…………ん?」
ガラガラガラガラガラ!!
街の前に立っていると、突然シャッターが開いた。
ユニフォーム(?)を着た二人組が立ち塞がっている。
「サトシ選手だな?」
「えっと……誰?」
「俺達はエール団!マリィの初陣に相応しいジムチャレンジャーかどうか確かめてやる!」
「確かめる……あっ!バトルか!受けて立つぜ!」
エール団と名乗る二人にバトルを挑まれた。
マリィ……開会式で……あくタイプの!
じゃあジムトレーナーかこの二人!
「よっしゃピカチュウ!勝ってジムリーダーの所へ行くぞ!君に決めた!」
「行け!マッスグマ!」
「行け!タチフサグマ!」
二人同時に相手するやつだったのか……でもオレとピカチュウなら……!
「先手必勝!ピカチュウ、マッスグマに10まんボルト!」
「ピカ!チュウゥゥゥ!!!!」
まずマッスグマを10まんボルトで倒した。次は……!
「タチフサグマ、バークアウト!」
「躱してボルテッカー!!」
「ピカピカピカピカ……!!ピカピッカァ!!!!!」
ボルテッカーでタチフサグマは倒れた。これでジムリーダーに挑戦できる……!!
「くっ……!まだまだ……!!」
「しぇからしかぁ!!!」
「……!?何だ……!?」
スパイクタウンからジムリーダーのマリィが怒鳴り声を上げて出てきた。
しぇからしか……ホウエン地方で聞いたような……何て意味だ?
「黙ってなさいって意味だよ、確か……」
「へぇ……ってリラ、お前また……!」
「はぁ……あんた達またそれやったの?去年もユウリ達にやってたよね?やめろって言ったはずだけど?」
「ごめんなさい……あいつがマリィの最初の対戦相手に相応しいか確かめたくて……」
シャッターを閉めていた二人はマリィに怒られているようだ。
……無断でやってたの!?
「迷惑かけたね、サトシ選手。今のジムトレーナー戦って事にしておくから、ポケモン回復させたら挑みにきてよ」
「わかった!でもピカチュウはそんなに疲れてなさそうだから早速……今のバトルってジムトレーナー戦じゃなかったの!?」
「一応ジムトレーナーなんだけど……ジムチャレンジって挑戦の前に受付必要じゃん?でもこの二人はサトシが受付する前に突っかかってたから。つまりさっきのはただのポケモンバトルだったんだよ」
そうだったんだ……言われてみればオレ受付してないしユニフォームにも着替えてないじゃん……
まあマリィに挑戦できるからいいか!正規のジムトレーナー戦もしたかったけど……
「やっぱり気付いて無かった……」
「ピカ……」
「それじゃ、待ってるよ」
マリィは街の奥へ歩いていった。
「本当にいつも一直線だよね君は」
「……悪いかよ……?」
「いや?そういう所も好きだよ」
「……?……ありがとう……?」
「もう……ほら、ユニフォームに着替えて!行くよ!」
オレ達もマリィのジムのある場所へ進んでいった。
リラ、好きって言った瞬間だけ真剣な顔になってたなぁ……あれ以外の話の時は笑ってたり不思議そうな表情だったけど……
「それだけ真剣なんだよ……その……勇気もちょっといるし……」
「勇気?何で?」
「……好きな人に好きって言うなんて恥ずかしいに決まってるじゃん……!」
「そうなのか?」
好きって言うのってそんなに恥ずかしいっけ……
──君はオレが嫌い?
──ピカ。
──オレは君が好きだよ!
あの時は恥ずかしく無かったよなぁ……
あ、バトルフィールドだ。
「来たね!聞いてると思うけど、ビートと同じくあんたがあたしのジムリーダーとしての最初の相手ったい!悪いけど、勝つのはあたしだから!」
「いいや!オレが勝つぜ!」
「おお、やる気やね!それじゃ、行くよ!」
────────────────────────
スパイクタウンのジムチャレンジが始まる。ドローンの説明によるとこの街ではダイマックスが出来ないらしい。まあ、ダイマックス無しのバトルは慣れっこだから全然平気だな!
「行け、レパルダス!」
「ドンファン!君に決めた!」
マリィがレパルダスを、オレがドンファンを繰り出した。
『バトル、開始!』
「ドンファン、とっしんだ!」
「レパルダス、ねこだまし!」
「ドンッ!!!」
「ニャァ!」
「!?」
ドンファンはねこだましで怯んでしまった。
「バークアウト!!」
「ニャーー!!!」
「ドンッ!?」
バークアウトでドンファンが吹き飛ばされる。
「ドンファン!吹っ飛ばされた勢いを利用するんだ!ころがる!!」
「ドンッ!!!!」
ドンファンはころがるで進行方向を変えてレパルダスに向かっていく。
「ドンドンッドンッ!!!!」
「ニャ!?」
今度はドンファンがレパルダスを吹き飛ばした。
「はかいこうせん!!」
「ドンッ……ファァァァンッ!!!!」
「レパルダス!」
ドンファンのはかいこうせんがレパルダスに直撃した。
レパルダスは倒れた。
「お疲れ様、レパルダス。ズルズキン!出番たい!」
「ズルッ!!」
マリィの二匹目はズルズキンだ。どんな戦い方をするんだろう……!
「ズルズキン、とびひざげり!」
「ドンファン、躱してころがるだ!……ドンファン?」
「ドン……」
ドンファンははかいこうせんの反動で動けない……!
「ズルッ!!!」
「ドンッ!?」
「ドンファン!とっしんで反撃だ!」
「ズルズキン、もう一回とびひざげり!」
「ドンッ!!……!?」
「ズルッ!!!……!?」
ドンファンのとっしんとズルズキンのとびひざげりがぶつかる。
ダメージが溜まっていたドンファンは倒れてしまった。
『ドンファン戦闘不能!ズルズキンの勝ち!』
「ドンファン、戻ってくれ。行け!ワニノコ!」
「ワニャ!!」
オレの二匹目はワニノコだ。さすが七個目のジムなだけあって今までより手強いな……!
「ズルズキン、かわらわり!」
「ワニノコ、きりさくだ!」
かわらわりときりさくが連続でぶつかる。
「ワニノコ、ロケットずつき!」
「ワニャァ!!!」
「ズルズキン、かみなりパンチ!」
「ズルッ!!!」
次はロケットずつきとかみなりパンチがぶつかり合う。
「ワニ……!ワニ……!」
「ズル……!ズル……!」
ここまでの力比べで二人ともかなり疲れているようだ。
「決めるぞワニノコ!もう一度ロケットずつき!」
「とびひざげり!」
「ワニァァ!!……ワニャ!?」
「ズルッ!!!……ズル!?」
「ワニノコ!?」
「ズルズキン!?」
『ワニノコ、ズルズキン、戦闘不能!』
ワニノコとズルズキンは同時に倒れた。
「ワニノコ、ゆっくり休んでくれ!次は……こいつだ!行け、ケンタロス!」
「ブモォ!!」
「モルペコ、行け!」
「ペコ!」
オレはケンタロスを、マリィはモルペコを繰り出した。ピカチュウと雰囲気が似てるような……でんきタイプか?
「モルペコ、でんこうせっか!」
「ケンタロス、かげぶんしん!」
かげぶんしんでモルペコのでんこうせっかを躱した。
【モルペコのはらぺこスイッチ】
「ペコ!!」
「変わった……!?」
モルペコの姿が変わり、さっきと違って悪そうな姿になった。
珍しい特性だな……!
「ケンタロス、つのでつく!」
「モルペコ、スパークで分身ごと攻撃!」
「ペコ!!」
「ブモッ!?」
【モルペコのはらぺこスイッチ】
「あれ、戻った……?」
モルペコが最初の姿に戻った。技を使うごとに姿が変わるのかな……?
「モルペコ、オーラぐるま!」
「ペコォォ!!」
「ブモォ!?」
オーラぐるまがケンタロスに直撃する。
モルペコはまた姿が変わった。
「もう一回オーラぐるま!」
「……!速くなってる……!あの技自分のスピードを上げられるのか……!ケンタロス、かげぶんしんで躱せ!」
オーラぐるまをかげぶんしんで避けた。これ以上のスピードアップは厄介だな……早めに勝負をつけたいけど……そうだ!ケンタロスにはあの技がある!
「ケンタロス、とっしん!」
「モルペコ、さっきと同じだよ、スパーク!」
「突っ込めケンタロス!」
ケンタロスはスパークを受けながらモルペコに突進していく。
「オーラぐるまで応戦して!」
「ケンタロス、とっしんからじしんにチェンジ!」
「ブモォ!!!!!」
「ペコ……!?」
モルペコはじしんで体勢を崩した。
「ここだケンタロス!じわれ!!」
「ブモォォォォッ!!!」
地割れに巻き込まれたモルペコは倒れた。
「お疲れ様、モルペコ。頼んだよ!オーロンゲ!」
マリィはオーロンゲを繰り出した。
「ケンタロス、かげぶんしんからとっしん!」
「オーロンゲ、ちょうはつ!」
「何!?」
ケンタロスは挑発に乗ってしまってかげぶんしんをしないで突進していく。
「DDラリアット!」
「ロンッ!!!」
「ブモォォォッ!!!」
二匹が正面からぶつかった。
「まだまだ!ケンタロス、つのでつく!」
「ソウルクラッシュ!!」
「ロン!!!」
「モォォ!?」
「ケンタロス!?」
『ケンタロス戦闘不能!オーロンゲの勝ち!』
ケンタロスはパワー負けして倒れてしまった。
「戻ってくれ!……行け!ブイゼル!」
「ブイッ!!」
オレはブイゼルを繰り出した。
「オーロンゲ、DDラリアット!」
「ブイゼル、アクアジェットで躱してれいとうパンチ!」
「ブイッ!!!」
ブイゼルがオーロンゲにれいとうパンチを当てる。
「どんどん行くぞ!アクアジェット!」
「オーロンゲ、自分に当たるタイミングでソウルクラッシュ!」
「ロンッ!!!」
「ブイッ!?……ブイィィィ……!!!」
「ブイゼル……!」
ブイゼルはソウルクラッシュを受けたが水を纏ったまま光に包まれていく……!!
「フロー!!!」
ブイゼルはフローゼルに進化した!
「進化した……!フローゼル、やったな!」
「フロォォォ!!!」
「よーし……!!行くぞ!」
「オーロンゲ、ソウルクラッシュ!」
「フローゼル、アクアジェットだ!」
フローゼルは水を纏ってオーロンゲに向かっていく。
……なんかいつものと違くね……?
「フロー!!!」
「ロンッ!?」
フローゼルはアクアジェットとは思えない力でオーロンゲを吹き飛ばした。新しい技か……!
『オーロンゲ戦闘不能!フローゼルの勝ち!』
「フローゼル……!最高だよお前!」
「フロー!」
あの一撃でオーロンゲは戦闘不能になった。
「オーロンゲ、戻って!……終わっちゃうのつまらん……だから粘っちゃうよあたし達!行け、ファイヤー!!」
「ファイッ!!」
「ファイヤーかぁ……!……えええええーー!!?」
マリィの最後のポケモンはファイヤーだった……!?
ルギアと会った時のと姿が違う……いやでも面影はある……
……うん、後でリラに聞こう。
────────────────────
「フローゼルに進化してウェーブタックルを覚えたんだ……!……ファイヤー!?」
「やってますね。……?ちょっ!?なんでチャレンジャーにファイヤー出してるんだあいつ……!」
「……誰?」
フィールドの周りのエール団が熱狂する中、今来たらしい長髪の男の人はエール団と違って冷や汗をかいて焦りに焦っている。
「おや……あなたは確か……開会式にいたリラさん……ですね?」
「はい……あなたは?」
「俺はネズ、マリィの兄貴でここの元ジムリーダーです……」
ジムリーダーだったんだこの人……
「えっと……何がまずいんですか?」
「ジムチャレンジ中のジムリーダーはチャレンジャーが挑戦しやすいようにその……手加減するようにリーグからお達しが来ているんですよ……」
……手加減……やっぱり……
「でも今のマリィは……」
「手加減していないってことですね……」
サトシがこのジムまでに誰も倒されずに勝ち進んでこれたのもそれがあったからだろう。どんどんジムのレベルは上がっていたようだけど……
「ああ、彼のフローゼルが……」
「あらら……」
フローゼルは倒れてしまった。
ウェーブタックルの反動を利用されたようだ……
「でも大丈夫ですよ、サトシはまだ諦めてないですから!」
──────────────────
「戻ってくれ、フローゼル。」
やっぱファイヤーは強いな……でも絶対負けない……!勝つ!
「リザードン、君に決めた!!」
「グオォォォォッ!!!」
「……ファァァァイ!!!」
リザードンとファイヤーはお互いを威嚇している。
「リザードン、ドラゴンクロー!!」
「ファイヤー、つばめがえし!!」
二匹の力は拮抗している。
「エアスラッシュ!!」
「もえあがるいかり!!」
「グオォォォォ!!……!?」
「ファァァァイ!!……!?」
エアスラッシュともえあがるいかりが命中する。
二人とも怯んで動けない……!
「ファイヤー、ブレイブバード!!」
「リザードン、オーバーヒート!!」
「突っ込め、ファイヤー!」
「リザードン、お前も行け!!」
リザードンはオーバーヒートを撃ちながらブレイブバードをするファイヤーに近づいていく。
「リザードン、受け止めてちきゅうなげ!」
「グオォォォォ!!!!!」
「ファイ!?」
リザードンはファイヤーを捕まえ、空中で回転してから地面に投げつけた。
「決めるぞ!ブラストバーン!!!」
「グオォォォォォォォ!!!!!!」
ドォォォォォォォォン!!!!!
「ファイヤー!」
「ファイ…………」
『ファイヤー戦闘不能、リザードンの勝ち!サトシ選手、スパイクスタジアムのチャレンジ、クリア!』
ファイヤーは倒れ、マリィのポケモンは全員戦闘不能になった。
これまでで一番厳しいバトルだった……
「マリィたちのいい所全然出せなかったじゃん!もう!……本気のマリィに勝つなんて……あんたやるじゃん!」
「マリィ……少しこちらに……」
「おー、アニキ。どげんしたと?今話し中なん「いいから!」お、おお!あ、ちょっと待って。はいこれあくバッジ。最後のジムも頑張るたい!」
マリィのお兄さんは何故かものすごく焦っている。
……何はともあれあくバッジゲットだ!
「ありがとう!……どうしたんだ?あの二人?」
「君は知らなくていいと思うよ……さ、リザードン達回復させてナックルシティに行こ!」
「そうだな!キバナさんにも絶対勝ってやる……!!」
────────────────────
オレ達はスパイクタウンを後にしてナックルシティに戻ってきた。
早速ナックルスタジアムに……あれ?ローズ委員長?
「サトシ君!順調にジムチャレンジを進んでいるね!リラちゃんも元気そうでなによりだよ!」
「やっぱりローズさん!ここで何を?」
「宝物庫に用があってね。ブラックナイトについて詳しくわかりそうなんだ。そうだ、君たちも一緒に来るかい?」
「いいんですか?」
「もちろん!サトシ君もムゲンダイナについて知りたいだろう?」
「はい!リラはどうする?ムゲンダイナと会ったのオレだけだけど……」
「僕も行くよ。僕も昔ガラルで何があったのか知りたい……!」
「OK、それじゃ行こうか!」
オレ達は委員長に連れられて宝物庫に向かった。……宝物庫……?宝物を入れる所じゃないのか?
「でっかい絵だなぁ……でもローズさん、何で宝物庫なんですか?」
「これがあるからだよ」
「時間の花……!ガラルにもあったのか……!」
「おや?知っていたんだね」
「はい!バトルフロンティアに挑戦していた時に見たんです!」
時間の花。波導使いが触れると過去の出来事を映し出す花だ。
懐かしいなぁ……あいつと出会ってなかったらオレはムゲンダイナを……
「じゃあ、早速見てみようか。ルカリオ、出番だ!」
「バウッ!」
「頼むよ」
ローズさんはルカリオをボールから出し、時間の花に触らせる。すると蕾が開き、過去のガラル地方が映し出される。そこにいたのは…………
「ひっ……!?」
「このポケモンは……!?」
「ピカ……!?」
「こいつ……まさかムゲンダイナ……!?」
闇の中で見たムゲンダイナと思われるポケモンがいた。
そのポケモンの身体には一部しか皮膚や筋肉はついていなく、大半が骨になっている。残っている部分も巨大化していく骨に突き破られ、徐々にグチャグチャになって剥がれていく……
とても生きていると思える姿ではなかった。
『──────ッ!!!!!!!』
やがて骨だけになってしまったポケモンは苦しみながら死んでいく……のではなく、胸が光り、咆哮を上げた。
「なんであんな風に……」
───たすけて…………はやく…………
「……!!?あのポケモン、助けを求めてる……!」
リラが何かを感じている。時間の花って心の声まで残されるのか……!?
ムゲンダイナの咆哮に呼応するかのように、空が赤紫色に染まっていく。
するとムゲンダイナの体が変化しながら巨大化し、ダイマックスなど比べ物にならない程の大きさになってしまった。
『──────────ッ!!!!!!!!』
ムゲンダイナは再び咆哮を上げた。上空の黒雲から数え切れない程の雷が落ち、近くの木々が燃え始める。
その光景はこの世の終わりとしか言いようがないものだった。
『終わりだ……』
『やっぱりアイツらは災いを呼ぶ化け物だったじゃないか!』
『あのガキがあの化け物を隠さなければ……!!』
『ああ……守り神様……我々の村をお守りください……』
「誰だ?」
「あのガキ……?守り神……?」
「守り神はザシアン、ザマゼンタの事かな……?どの伝承にも子供の事は書いていなかったけど……」
付近の村の住民らしき人々がぞろぞろとムゲンダイナを見るためにやってきた。
ある人は誰かに怒り、ある人は守り神に助けを求めている。
『……!!!─────────ッ!!!!!!』
『……!?あ
ムゲンダイナはガラルの人々を視界に入れた瞬間に取り乱し、悲鳴のように咆哮を上げる。
雷に撃たれた人間は跡形もなく消えてしまった。
「昔の人達が……!」
「ムゲンダイナ、あの人達に何かされてたんだよ……皆を……あの子を返せって叫んでる……」
「ゲットされた……訳ないよな……だってこんな時代にモンスターボールは無いもん……ということは……」
「……殺されたんだろうね……あの子の家族や友達は皆あの人達に……あの子の恐怖心が暴走してるんだ……」
人々が雷に撃たれ一人、また一人と消えていく。そんな時だった。
『ウルォーーード!!!!!』
『ウルゥーーード!!!!!』
剣と盾を持ったポケモンがムゲンダイナの前に立ちはだかった。その後ろには白馬に乗った頭の大きなポケモンがいる。
「ザシアンにザマゼンタ!あれが……!」
「ブラックナイトを鎮めた二匹のポケモン……!」
「後ろのポケモンは誰だ……?」
ザシアンとザマゼンタはその剣と盾でムゲンダイナを鎮めた。ムゲンダイナはオレが見た姿に戻った。
「ピカ……!!」
「一瞬だったね……!」
「ああ……!剣と盾が大きくなってバッ!って!かっこよかったなぁ……!……ん?」
倒れ込むムゲンダイナに石が飛んできた。ねがいぼしか?あれ、ただの石だ……
『よくも俺達の仲間を……!!』
『守り神様、早くソイツを殺してくださいよ!』
『死んじゃえー!!』
なんだよこれ……
……石は人間が投げつけたものだった。
生き残った人間がムゲンダイナに対して罵声を浴びせながら石を投げている。
マサトと同じくらい幼い子供や老人もいる。その中には誰もこの悪意に満ちた行為を止めさせようとする人はいなかった。
……この時代の人間だってアイツの仲間を殺してるんじゃないのか?
「嫌……!!やめて……!!酷すぎるよ……!!」
「リラ……!落ち着いて!」
ムゲンダイナやアイツらの心の声が聞こえてしまったのだろう。リラは耳を塞いで身体を震わせている。
『…………』
『…………』
ガラルの人間を見ていたザシアンとザマゼンタは見つめ合う。そして……
『ウルォーーード!!!!!』
『ウルゥーーード!!!!!』
ガンッ!!!ガキンッ!!!!!
二匹はさっきの技をお互いにぶつけた。その衝撃で大きな剣と盾は粉々に砕け散ってしまった。
『…………』
『…………』
ザシアンとザマゼンタは燃えている森の中へ姿を消した。
残った白馬に乗ったポケモンがその様子を見ている人間達に近づく。
『…………!!』
『てょわわわぁ~ん』
村人の中の一人が光り輝いて浮き始めた。何が起こるんだ……?
……って……あれ?
「時間の花の蕾が……」
時間の花の蕾が閉じ、映像はここで終わってしまった。
「……なんだこの終わり方!!……リラ、大丈夫か?」
「それにしても……ムゲンダイナは最後まで救われなかったね……ごめんねリラちゃん、また君を……」
「いいんです、僕が見たいって言ったので……」
リラはそう言うとオレの手を取り、立ち上がった。
「そうか……サトシ君、これからジムチャレンジに挑戦するかい?送っていくよ」
「うーん……リラもピカチュウ達も疲れているだろうし、今日はやめときます!まだ時間もありますからね!」
「わかった。それじゃ、明日の挑戦を楽しみにしてるよ!」
「はい!ピカチュウ、リラ!行こうぜ!」
「ピカッチュ!」
「うん……!」
────────────────────
「はぁ…………」
数時間後、僕らはいつもより早くスボミーインで休息を取っていた。はぁ……心の声のせいで嫌な思いをすることはあったけど……今日のあれは酷かったなぁ……ムゲンダイナ……すごく可哀想だった……
……サトシにまた迷惑かけちゃったな…………
「別にオレは迷惑だとか思ってないけどな?」
「サトシ……それ僕のだよ……」
「あれ、当たってた?」
「……うん……ごめん……」
「……いいんだって!……あんなの見たあとにバトルしたいとは思えないよ……心が読めなくてもオレもピカチュウも、みんなリラと同じ気持ちだ……」
「……それだけじゃないんだ……また重なっちゃったんだ。お母さんの声が聞こえなくなったあの時と……」
「え……?」
こんな事話さない方がいいのはわかってる……今までは一人で押さえ込めたのに……サトシと一緒だと……
「フィ?」
「僕のお母さんがポケモンを助けて死んだのはエニシダさん達から聞いてるでしょ?」
「ああ……」
「お母さんが助けたポケモンがこのエーフィなんだ。あの時、ムゲンダイナみたいに暴れなかったけど、この子はムゲンダイナと同じように、お母さんを殺した黒いポケモンに強い恐怖を抱いてた。その周りにはイーブイだった何かが転がってて……」
「そうか……だからリラはムゲンダイナが何をされたかすぐに……」
僕はエーフィを抱きしめ、撫でながらあの時の事をサトシに話す。
「フィィ♪……フィー?」
「あんなに心が傷ついてるポケモンは二度と見たくなかった……人が死ぬのも……あんな悪意に満ちた心の声なんてもう聞きたくない……!」
あ……ダメだ……涙が止まらない…………
サトシの……好きな男の子の前なのに……
いや……こんな姿何度も見せたくないよぉ……
「うぅっ……!ひぐっ……!ううっ……!ごめん……ちょっとぼく……そとに「リラ!……うわっ!?」ひゃあっ!?……っ!」
サトシは外に出ようと立ち上がった僕を抱きしめようとした。けど、その前につまづき、二人一緒にベッドに飛び込んでしまった。
「ほんとにカッコつかないな……」
「……サトシ……ほんとに……本当に一人で大丈夫だから……!」
「我慢するなって……大丈夫そうに見えないぞ?大事な友達を放っておくなんてオレには出来ないよ……」
──何をしてやればいいかなんてわからないけど……
「……!ごめん……ありがと……」
サトシは部屋から出て一人になろうとする僕を抱きしめて離さない。
こうして抱きしめられるとだんだん心が落ち着いていく…………
サトシが優しい人で良かった……だから君が好きなんだ……
「ああ……落ち着く……暖かいなぁ……心も体も……全部……好きだよ……サトシ……」
「……っ!……なぁ、前から思ってたんだけどリラの言う好きってどういう……って……眠ってる……ピカチュウとエーフィも……いつの間に……オレも寝るか……」
「サトシ……」
「……リラ?」
「ずっと一緒にいて……ひとりぼっちにしないで……」
「……うん……約束するよ……」
──────────────────────
翌朝─────
「……!朝だ……」
「ん……」
「おはよう、リラ。気分はどうだ?」
「おはよう……おかげでスッキリしたよ。……何……?この感覚……なっ……!?」
オレとリラは同じタイミングで目覚めた。
一晩中リラを抱きしめてたようだ。細いな……リラの体……
髪はサラサラしてていい匂いがする……暖かい……
あ……なんかまた眠くなってきた……
「ちょっとサトシ!?僕を抱き枕にする気かい!?」
「……っ!ごめん!」
「……まあ、心地よかったからいつでもしてもらって構わないけど……」
「そうなのか?……あれ、でもこういうシチュエーションって最後はいつも……」
そう、オレがリラとくっついていると最後は……
「ベイ!!!」
やっぱり……!今回はここまでリラのためにエーフィが抑えてくれていたからこれが始まるのがいつもより遅かったようだ。
そしてオレはつるのムチで引っ張られてベイリーフの所に……ってあれ?なかなか動かないぞ……?……リラ!?
「リラ!?なんで!?」
「なんでこんな気持ちになってるのかわかんないけど……サトシを取られたくない!!!」
「ベイィィィ……!!!」
「ちょっ!痛い痛い痛い!痛くしないでーー!!!!」
▼TO BE CONTINUED…………
マリィのガラルファイヤーはポケマスのマリィ&ファイヤーから輸入しました。マジコスだったらサトシ君危なかったかもしれないです。
ザシアンとザマゼンタさんの出番、ほとんど終了です。
醜いところを見て英雄であることを捨ててしまいました。
ムゲンダイナはゲーム版と大きく異なって現代では絶滅済みの(パラドックスではないオリジナルの)あるポケモンが突然変異してあの姿になった設定になってます。二万年前に飛来してません。
サトリラを添い寝させてばかりですね……仲良く一緒に寝かせるのが性癖なのかもしれません……