ひろがるスカイ!プリキュア Imaginary Episodes   作:パイシー

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pixivの方で連載しているひろプリ二次小説を、バックアップも兼ねて順次移植することにしました。
ページ区切りとかpixiv特有の機能が廃止されてるぐらいで内容に変更はありませんが、楽しんでもらえたら幸いです。


第1章 希望のダイヤと絶望に染まるプリズム
Ch.1-1「旅立ちのソラ、最後の敵はキュアプリズム!?」


 スカイの目の前に、バタフライの体が転がった。

 これまで戦ってきた仲間、ましてや幼馴染を、『彼女』は容赦なく攻撃し、そのことに全くの罪悪感を抱いていない。

「ウィングもバタフライも酷いよね。せっかくスカイの為に準備したのに」

 バタフライを倒した声の主は、普段と変わらない様子で吐き捨てる。

「どうして……?」

 目の前の光景は悪夢だと信じたくて、これはきっと現実ではないということにしたくて、スカイは言葉を紡ぐ。やっとの思いで出た言葉がそれだった。

 遠くの方で倒れているウィングも必死に立ち上がろうとしているが、酷く傷ついた体では彼女を睨みつけることしかできない。

「だってスカイがヒーローになるのに、ウィングかバタフライはいらないでしょ?」

 彼女はスカイに近づこうとするが、足元に転がったバタフライの体が邪魔だったのか、鬱陶しそうに蹴り転がすと、彼女はスカイに笑いかける。

「これで残ったプリキュアはスカイだけ。()()()もちゃんとスカイに倒してもらえる」

 まるで一切の光を呑み込むかのような黒い衣装に身を包んだ彼女は、隣に控えさせていた怪物に合図を出してスカイに差し向ける。

「安心して。私がソラちゃんをヒーローにするから」

 怪物を生み出し、かつての仲間に何のためらいもなく攻撃を仕掛けた彼女(キュアプリズム)は、いつものように優しい笑顔をスカイに向けた。

 

 

 

 アンダーグ帝国との戦いも終わり、ソラ・ハレワタールはエルを連れてスカイランドに帰ることに決めた。

「本当に、行っちゃうの?」

「はい。私はもっと強くならないといけませんし、エルちゃんもご家族と一緒にいた方が良いに決まってますから」

 身支度をしながら、ましろからの質問にソラは答える。

 夕暮れ時の暗さもあって、お互いの顔はよく見えない。だがソラはましろの方を向かず、身支度を続ける。もし見てしまえば、この決心が揺らいでしまうような気がした。

「もう少しくらい、ソラちゃんだけでもこっちにいても……」

「大丈夫です!住む世界が変わるだけで、それ以外は何も変わりません!」

 溢れそうになる涙を必死に抑えて、気丈に振舞う。いつものように、まっすぐに強く正しいヒーローを目指す少女、ソラ・ハレワタールとしてましろには別れを告げなければならないのだ。

「そっか……。そうだよね。いつでも、会えるんだよね」

 分かっている。別れたくないのは2人とも同じなのだ。

 でも戦いを通じて、ソラは自分の未熟さを痛感していた。だからこそ、ソラシド市を離れてもっと強くなろうと決めたのだ。

「ごめん。私、ちょっと出かけてくる」

 震える声でましろはそう告げて去っていく。お別れが辛いのは誰だって一緒。だから、頑張って乗り越えなければならない。そう自分に言い聞かせて、ソラは追いかけない。

(きっとましろさんなら、わかってくれます。私はまだまだ未熟で、もっと)

 ソラの夢を一番に応援してくれたのはましろ。ソラの気持ちだって分かってくれる。必死にそう言い聞かせて、身支度を続ける。

 ましろなら自分の夢を応援してくれる、もっと強くなりたいという気持ちを汲んでくれる。それが自分に向けた言い訳に過ぎないと気付かないまま。

 

 

 

 あれからどれだけ泣いたのか分からない。

 ずっと一緒にいたソラと別れたくない、でもソラがヒーローになるためにはソラシド市の外に出て、もっと強くならなくてはならないのも理解できてしまう。

 辺りは既に暗く、街灯の光だけがましろを照らしている。

(きっと、今の私、ひどい顔をしてるんだろうな……。ソラちゃんにどんな顔をして会えばいいんだろ……)

 通いなれた道のはずなのに、その足取りは重い。

 向かいの道のバス停では、この時間にしては珍しくバスが停まっていた。バスから降りてくる客は長い髪を後ろで留めた女性一人だけ。

(このままどっか遠くに行ったら、ソラちゃんは探しに来てくれるかな……。ううん。ソラちゃんに迷惑をかけちゃうよね)

 ふと目に入ったバスに表示された、どこかにあるかも分からない地名を見て、そんな考えが浮かんだ。

 気が付けばいつもの道から外れ、雑木林に足を踏み入れていた。

 薄明るい月の光に照らされて、ましろは何かに導かれるかのように進む。方角自体は合っているはずなのだから、どの道近くまで行けるだろう。そんなふうに考えていた。

 だがましろは足を止めた。月の光を反射し、何かが光っているのが視界に入ったのだ。

 ましろが気付いたのを察知するかのようにそれは浮かび上がり、ましろの前で止まる。

「きれい……」

 金色の装飾に彩られた、スカイトーンにも似た青いダイヤモンド。昏い光を放つその石に、ましろはゆっくりと手を伸ばす。

「それに触ってはダメ!」

 後ろから誰かがましろを止めようと走ってくるのが分かるが、その声がましろに届くことはなく、ましろは青いダイヤに触れる。

 青いダイヤを手にした途端、ましろの体は突然キュアプリズムに変わり、地面から伸びる影がその姿を黒く染める。

「プリキュア!?」

 ましろは自分の中に泥のようなものが流れ込んでくるのを感じた。

 それが悪いものであるとは分かっていた。本来なら否定して、拒絶しなければならない。

 だがましろは『ソレ』の言葉に耳を傾けてしまった。

(そっか、ソラちゃんとずっと一緒にいられるなら、私はそれでいいかな)

 ましろは自分の中に流れ込んでくるものに身を任せ、意識を手放す。もう悲しまなくていい、辛い思いをしなくていい。そう思いつつ、ましろは目を閉じた。

「しまったわ。まさかプリキュアに拾われるなんて……。やむを得ないわ、()()()()()回収させてもらう。キュアップ・ラパ―――」

(だれ……?)

 誰かがましろに杖のようなものを向けている。まどろみの中からましろが手を伸ばそうとすると、手から出た『何か』がその誰かの身体を吹き飛ばした。

 ゆっくり近づいて顔を確認してみる。少し紫の入った黒い髪と、宝石のように綺麗な瞳が特徴の女性。その服装は学校の先生のようなフォーマルなものだ。

「……違う」

 ましろが探しているのは彼女ではない。

(ソラちゃん、どこ……?)

 夢を見ているような不思議な浮遊感に包まれて、ましろは歩き出す。自分がどこかにいるのか、何をするのかも曖昧なまま、記憶の中の少女の姿を探す。

 彼女の足から伸びる影が肥大化し、ましろの体を闇の中へ溶かす。

 この夜、一人の少女がソラシド市から姿を消した。

 

 

 

 翌朝、食卓を囲むソラ達の中にましろの姿はなかった。

 今までも用事があって帰りが遅くなることはあっても、何の連絡も無しに一晩いなくなったことはない。

 表向きは平静を装っているが、逆に動揺を抑えようとしてぎこちない動きになる。

「私、ましろんを探しに行ってみる。何かに巻き込まれてるのかもしれないし」

 あげはが口を開き、張り詰めた空気が一瞬だけ緩んだ。

「ボクも鳥たちが何か見ているかもしれないので聞いてみます」

「私もこれから探してきます。どこかで怪我でもして動けなくなってたら大変ですから」

 手早く食事を終えたソラは、それだけ告げて家を飛び出し、エルもそれに続く。ましろがどこかで助けを求めてるのかもしれない。そう考えると、居ても立ってもいられなかったのだ。

(ましろさん、一体どこに……)

 見落としをしないように、自分を落ち着かせるようにいつもジョギングをしているペースで走る。

 ましろが見つからなくても、何か落とし物があれば分かるかもしれないと、あちこちを探すが、何一つとして見当たらない。

「待ってソラ!私も一緒に探すよ!」

 ましろと初めて会った雑貨屋がある近くまでやってくると、後からエルが追いかけてきた。

「ソラ、私も一緒に連れてって。もう赤ちゃんじゃないから」

「エルちゃん……分かりました。一緒にましろさんを探しましょう!」

 もしもましろに何かあったら、という不安が頭を埋め尽くしそうになったが、心配そうにしたエルの顔を見て少し冷静になれた。

 一度落ち着きを取り戻し、ましろを探そうとした時、遠くの方の大通りで黒い『何か』が暴れているのが目に飛び込んできた。

「ランボーグ……?でも一体誰が……」

「とにかく行こう!ましろがいるかも!」

 エルと一緒に黒いモノが暴れている方へ走り出す。

 一瞬、アンダーグ帝国の残党が復讐目的でソラを呼んでいるかと思った。だが騒動の中心にたどり着くと、まるでクレヨンで描いたかのような、異質な雰囲気を放つクモの怪物だけがあばれていた。

「なにあれ……。ランボーグじゃないの?」

「とにかく、私は先にこれをやっつけます!エルちゃんは周りにましろさんがいないか探して下さい!」

「うん、分かった!」

 エルと別れて、怪物を倒すべくキュアスカイへ姿を変えて立ち向かう。怪物の動きは非常に緩慢で、これまでの戦いを続けてきたスカイの相手ではない。

(もしかしたらましろさんも、これにやられて……!)

 焦りから、少し動きが大振りになってしまうが、それでも怪物とスカイの実力の差は変わらない。拳を強く握りしめ、怪物を叩き潰す。

(弱い?)

 弱すぎる。まるで砂で作った城を潰した時のように手ごたえが無い。ほんの先制攻撃としてはなった一撃で、簡単に怪物は消えた。後にはたった1枚のスケッチが残されただけである。

 作者の心があらわされたかのような、優しいタッチのクモのお化け。スカイはそのスケッチの作者に心当たりがあった。

「この絵、ましろさんの……」

 ましろのスケッチが何故ここにあるのかは分からない。だが、現状手に入る唯一の手掛かりを拾おうとスカイは手を伸ばす。

「うーん。ちょっとアンダーグエナジーが足りなかったかな。もうちょっと多めに入れてあげれば、スカイも満足する強さまで強くできそう」

 スカイより先に聞き覚えのある声をした人物がスケッチを拾い上げた。

「ましろさん?」

 スケッチを先に拾ったのは、昨日から行方が分からなかったましろだった。だがその様子は明らかに異常で、スカイが無事だったことよりも、怪物が弱すぎたことを気にかけているようだった。

 

「さあ、おいで!アンダーグエナジー!」

 

 ましろがスケッチを空へ放り投げた瞬間、彼女の影から無数の黒い手のようなものが伸び、スケッチを握りつぶす。

 やがてそれはクモのような輪郭を形作り、スカイめがけて着地する。

 スカイは咄嗟に回避できたので踏みつぶされることは無かったが、先ほど倒したはずの怪物がましろの手により復活した。

「これでさっきよりも強くなったはずだよ!さあスカイ!頑張って!」

 ……何が起こっているのか理解できない。

 ましろが作り出した怪物は先ほどより大きく早く、スカイが呆然とすることさえ許してくれない。

 怪物がスカイの体を鋭い足で貫こうとするが、何とか身を翻してかわす。

「ちょっとこれ、どういう状況!?」

 騒ぎを聞きつけてきたのか、駆けつけた車からあげはとツバサが降りてくる。怪物を操るましろと、怪物に襲われているスカイ。本来であればあり得ない光景が目の前に広がっていた。

「とにかく、あの怪物をなんとかしましょう!」

 変身したウィングとバタフライがましろの頭上を飛び越えて、スカイに加勢しようとした時だった。

「スカイミラージュ」

 ましろは黒く染まったスカイトーンをセットし、キュアプリズムに姿を変える。

 プリズムの姿は魔法陣のようなもので黒く染められ、同時に出現した多数のプリズムショットがウィングたちを襲った。

 当然後ろから撃たれることなど想像できず、無抵抗のまま撃ちぬかれたウィングたちはそのまま撃ち落されて地面を転がる。

「プリ、ズム……?」

「生きてたんだ。急所を狙ったはずなんだけどな」

 致命傷を避けたお陰で意識が残っていたウィングに対して、プリズムは冷徹な口調で言い放つ。 

「どうしてこんな……」

 ウィングの問いかけが終わるよりも早く、プリズムはウィングの首を掴む。先ほどまでの呑気な姿勢とは裏腹に、プリズムの目線は冷たく、かつての仲間を見るそれではなかった。

「どうしてって、スカイ以外のプリキュアなんていらないでしょ?」

 プリズムはウィングの首を絞める力を上げる。必死に抵抗をするが、傷ついた体では振りほどくだけの力が出ない。

「でもその状態じゃ戦えないよね。黙って寝ててくれれば、今回は見逃してあげる」

 まるでゴミでも捨てるかのようにウィングの体を投げ捨てる。

 投げ捨てられたウィングの体は動かなくなり、プリズムはスカイのいる方へ向かう。

 だが、プリズムが目をそらしたのを好機と捉え、動かなかったバタフライがプリズムの背後を取った。

「ちょっと痛いけど、大人しくなってもらうから!」

 だがその一撃がプリズムに入ることはなく、バタフライの眼前に光弾が無数に出現する。

「……プリズムショット」

 吐き捨てるように打ち出された光弾はバタフライの体を貫き、バタフライの体が吹き飛ばされる。吹き飛ばされたバタフライが起き上がってくることはなく、たった1分にも満たない時間で、プリズムはかつての仲間を倒してしまった。

「さあて、これで邪魔なプリキュアはいなくなったことだし、続きをしようか。スカイ」

 普段と全く変わらない笑顔で、彼女はそう言い放った。

 

 

 

「やめて、ください……」

 何が起こっているか分からず、必死に絞り出した声は今にも消えそうなくらいか細いものだった。

「どうして?スカイの夢はヒーローになることでしょ?私にもお手伝いさせてほしいな」

 怪物と災厄がこちらにやってくる。かつて隣で戦いたいと言ってくれた親友は、平気で仲間を手にかける悪魔へと姿を変えていた。

「これからスカイが大切にしてるものを、私が全部壊すの。このソラシド市も、スカイランドも」

 動けない。倒さなければならない敵が目の前にいるはずなのに、身体が闘うことを拒んでいる。

「で、それをスカイが守るの!あっ、そうだ!スカイランドの王様とかをランボーグにしたら盛り上がるんじゃないかな?王女様もついでにランボーグみたいにして、エルちゃんと一緒に戦ったら盛り上がるよね!」

 プリズムは嬉々としてソラの知っている人々をランボーグ化させる計画を語る。目の前にいる人物は本当に虹ヶ丘ましろなのだろうか?誰かが変身した偽物とかではないのか?スカイは必死に目の前のましろが本心で語っていないと言い聞かせる。

 動けないスカイにプリズムが近づいてくるが、そこに周りでましろを探していたエルが割り込んだ。

「ましろ!目を覚まして!こんなんでヒーローになっても、スカイは嬉しくないってわからないの!?」

 涙をこらえて放たれた説得に、プリズム足が止まる。仲間の説得を聞いて、プリズムが正気を取り戻してくれたと期待したが、帰ってきたのは信じられない一言だった。

 

「あなた誰?そこにいたら危ないよ?」

 

「えっ……?」

「誰、ってエルちゃんですよ!?分からないんですか?!」

「エルちゃんはこんなに大きなかったでしょ?スカイこそ間違えちゃダメだよ」

 プリズムは嘘や冗談を言っている様子はなく、本当に目の前の少女がエル本人であると認識できていないようだった。エルを無視してスカイに怪物を襲わせようとするも、エルはプリズムにしがみついて止めた。

「やめて!お願いだから、これ以上スカイを悲しませないで……」

「邪魔しないで!」

 プリズムはエルを振りほどくと、変身させる暇も与えず放り投げ、プリズムショットで吹き飛ばす。

「なんで……思い出してよ、ましろ……」

 生身の体で叩きつけられ、経験したことがないほどの痛みと、ましろに攻撃されたショックで動けなくなった。

「本当、迷惑な人だよね。スカイの夢を邪魔するなんて。でもこれで立ってるのはスカイと私だけ」

 身体が動かない。立ち向かわなくてはならないはずなのに、目の前の親友を止めなければならないはずなのに。

 それどころか、無意識に後ずさりをしてしまい、バランスを崩して尻餅をついてしまう。

 自分が用意した敵と戦わないどころか、臆病にも逃げ出そうとしたスカイを見て、プリズムは失望したような目でスカイを見た。

「ねえ戦ってよ。悪者をやっつけて皆を守る正義のヒーローになるのがスカイの夢でしょ?」

 プリズムが怪物に合図を出して、スカイにトドメを刺そうとしたその時だった。

 頭上から巨大な鳥のエネルギー体が落下してきて、怪物とプリズムを包み込む。

 タイタニックレインボーアタック。ウィングとバタフライが協力して放つ大技が、怪物とプリズムを浄化する。

 怪物たちが浄化され、ましろのスケッチと、変身が解除されたましろが光の中から現れる。ましろは意識を失っているようで、少し遅れて目を覚ます。

 技が終了すると同時に、フラフラのバタフライとウィングがスカイの前に降り立つ。

「なんとか、なったかな……」

「もうボロボロ、ですけどね」

「ましろさん!」

 変身が解除されたましろに駆け寄ろうとするが、目を覚ましたましろは、状況を分かっていないようだったが、ボロボロの仲間たちを見て、すぐに思い出したようだった。

「これ、私がやったの……?」

 すべてを思い出したましろは、自分がやったことが信じられないようで、その場で呆然としていた。

「大丈夫ですよ、ましろさん。皆さん無事で―――」

 スカイがましろに手を差し伸べた瞬間、2人の間を遮るように黒いモヤが集まり、青いダイヤモンドへと姿を変えた。

 まるでましろを守るかのように出現したそれを、スカイが手に取ろうとするよりも早くましろが手に取った。

「そっか……。ごめん。私もう、みんなのところに帰れないよ」

 青いダイヤモンドが黒いスカイトーンに姿を変えると、ましろはためらわずスカイミラージュにセットして、黒いプリズムに変身する。

「そんな、ましろんは無理やり変身させられてたんじゃないの!?」

 先ほどのましろの様子はよく知っている虹ヶ丘ましろそのものだった。だが、彼女は迷わず黒いプリズムに再び変身し、先ほどのような敵意を持った目を向けている。

「プリズム!」

 スカイがプリズムの手を掴もうとするより先に、闇がプリズムの体を包み霧散させる。スカイが伸ばした手は空振り、プリズム以外の4人だけがその場に残された。

「ましろさん、誰かに操られていたんでしょうか」

「かもね。ましろんを正気に戻さないと、同じことの繰り返しかも」

「いいえ……」

 ましろの異変の正体について、ソラは見当がついてしまった。わずかに正気に戻った親友の顔を見て、ましろの気持ちが分かってしまった。

「操られてなんかいません。ましろさんは、本気で私たちの敵になろうとしています」

 ほんのわずかにソラが見たましろの顔。それは今にも泣き崩れそうになる自分を必死に押し殺している辛い表情だった。

 説得にも失敗し、浄化をしてもましろが正気に戻ることは無かった。

 昨日ちゃんとましろと話していれば、出ていこうとするましろを止めていれば、ましろが黒いプリズムになる力に手を出さずに済んだのではないか。

 あの時ましろと向き合っていなかったから、ましろは闇の力に手を出してしまった。

 ましろが闇に堕ちてしまったのは、ましろの事を考えていなかった自分のせい。

 考えれば考えるほどその結論に突き当たり、ソラはその場で泣き崩れるしかなかった。

 




キュアプリズム(ネガ)

 謎のダイヤの力で変異した漆黒のキュアプリズム。
 ソラをヒーローにしたい、でもソラとは別れたくないという矛盾した願いを叶える為に行動する。
 世界を救う可能性のあるキュアスカイ以外のプリキュア、キュアスカイを倒す可能性のあるすべての敵を排除したいと願う。
 たとえあり方が歪んでいたとしても、それでも彼女はヒーローガールだった。

 願い:ソラちゃんをヒーローにしたい
  『ソラ・ハレワタールが自身を倒してヒーローになる』という物語を作る能力。
  自身の影を触媒にあらゆるものを創造し、物語に必要な舞台装置を揃える。
  能力の発動には影が必要であるため、光の無い場所では使用できない。
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