ひろがるスカイ!プリキュア Imaginary Episodes   作:パイシー

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Ch.3-3「真実を求めて、月が導く船上パーティー」

 まなつ達と別れ、一足先にホテルの部屋に着いたまどかは一人黙々と作業を進めていた。

 昼間、身元につながる情報が欲しいと思い名刺交換を持ちかけたのだが、まるで名刺というものを初めて見たかのような反応で、『内閣府宇宙開発特別捜査局特別協力員』という肩書も理解できてないようにも見えた。

(この名刺に書かれている情報は偽物。職業柄名刺はほぼ飾りのようなものでしょうけれど、でも何のために……?)

 リコから差し出された名刺に書かれた学校名やその住所とされる場所はすべて実在しない情報ばかりで、唯一本物の情報だと判明したのは、連絡先として書かれている携帯電話の番号のみ。結局謎が増えただけで収穫はゼロに等しかった。

(一体何の目的があってここまで情報を隠すのでしょうか。ララでさえ通学していた記録は残しているのに……)

 何の情報も得られないまま、ここからどうやってリコ達の正体に迫ろうかと考えていると、手元のスマホの通知が鳴った。先日依頼した協力者から調査報告についてのメッセージが表示されている。

 ロックを解除してメッセージの内容を確認すると、簡単な調査報告と何枚かの画像データが送られてきていた。

 メッセージと合わせて送られてきたのは中学生頃のみらいの写真。1()()() メロンパンのキッチンカーに並んでいたり、クマのぬいぐるみを抱えて歩いている写真だ。

(手に入ったのはみらいさんの写真だけ。リコさんの写真は1枚も無し、ですか……)

 協力者である『彼女』なら確実にリコの写真を手に入れられると思ったのだが、何も収穫が無いとは思わなかった。

 ふと、実は十六夜リコという女性は最初から存在せず、あの動くぬいぐるみを含めてみらいが魔法で作り出した存在、という可能性も考える。

(もしも、魔法使いのプリキュアがみらいさんの魔法で生み出された存在だとしたら……。それではあまりにも不自然な点が多すぎますね)

 もしみらいが裏で操っているにしても、ことはを観星町まで送って協力させた意味が分からない。プリキュアに変身できる存在を作る力を持っているならば、自分がプリキュアに変身して戦えばいいだけの話だ。

 リコの正体について様々な仮説を思い浮かべては否定してを繰り返していると、今度は着信で手元のスマホが震える。画面にはひかるの名前が表示されている。

「はい、私です」

『私よ』

 明日のことについて確認したい事でもあったのかと思って出たが、スマホから聞こえてきたのはユニの声だった。

『ひかるの前だと言いにくい事もあると思ってかけたんだけど、今回のパーティー、何か考えがあるのよね。ましろが狙われてるって話を知らないわけじゃないでしょ?』

 ユニが電話をしてきた理由はそれだった。彼女が政治関係者をいい感情を抱いていないのは知っている。今日は自ら内閣府の関係者として名乗ったのだから、どういう立場なのか気になったのだろう。

「もちろんです。今回の事だって、ひかるからリコさん達の事を聞いたから計画したようなものですから」

『へえ、リコ達の正体を探ってるのね。まあ、あなたは世界征服なんてくだらない事は言い出さないと思ってたし、安心したわ』

「そういうことですのでユニ。リコさん達について知ってることを教えてもらえますか?」

 このタイミングでユニから電話がかかってきたのはまさに渡りに船だった。調べても分からない以上、実際に近くで暮らしている彼女から情報を聞き出すのが手っ取り早い。

『詳しくは知らない。リコが魔法の専門家だから、ましろの力で分からない事があれば頼りにしてもらってるわ』

「そうですか……」

 新たに情報が得られなかったのは残念だが、ユニはみらいではなくリコを頼っていると言った。つまり、リコの方がみらいより上である事になり、必然的にみらいが創り出した存在であるという選択肢が消える。

『別にあの3人の正体が何だったっていいじゃない。プリキュアとしての経験も積んでるみたいだし、悪人ってことはあり得ないわ』

「確かにリコさんは悪い人には見えませんが、そう考えるにはあまりにも材料が足りないと申しますか……」

 まどかとは対照的に、ユニはリコ達の正体に関心が無かった。他人の事情に深入りはしない彼女らしいといえばらしい。

「今リコさん達の情報を集めているのですが、ここ1、2年の断片的な情報を除けば何も情報が手に入らないのが気になるのです。お父様もソラシド市の事を調べ始めていますから、できるだけ先回りをしたいのですが……」

『情報が手に入らないって、私も似たようなものじゃない。学校に通ってた記録が残ってるララの方が珍しいぐらいよ』

「いいえ。そのレベルではありません。公的な記録、写真をどれだけ集めても彼女の存在が出てきません。現状、彼女はある日突然現れた、と言わざるを得ない状況です」

 情報社会化が進んだ今、一人の人間の経歴を調べるのはそう難しくはない。

 戸籍を持っていなくても、義務教育を受けたり何らかの公的サービスを利用すれば記録が残るし、当時の様子が分かる人間の話を追っていけば必ず尻尾は掴める。

 しかしリコやことははその例外にいた。これほど調べているのに写真1枚手に入らないのは明らかに不自然だ。

「お父様に先を越されれば、プリキュアの存在が明るみに出てしまいかねません。ひかるももう無関係とは言えない立場ですし」

 父がソラシド市の周りについての調査を始めたという事実が、まどかを焦らせていた。

 自分の父がましろの存在にたどり着けば、必ずましろを確保しようと動き出すだろう。当然、深く関わっていたひかるも参考人として連れていかれるかもしれないし、ましろを安定させるための人材として施設で暮らすことになるかもしれない。

 ひかるの話が本当なら、ヨクバールを生み出せるましろの力は外交のカードとして使われるかもしれない。様々な不安がまどかから余裕を奪っていった。

『なるほど、あなた、ひかるを政治の舞台に出したくないから裏でコソコソ動いてたのね。まあ政治の舞台に出ちゃえば、ひかるが宇宙に上がるのは難しくなるし、当然よね。もうこうなったら、本人に聞くしか無いんじゃないかしら』

「やはり、そうなりますか……。できるだけ水面下で事を終わらせたかったのですが……」

『一応ましろを守るって目的は一緒なんだし、訊かれて嫌な顔はしないと思うわ。それじゃ、また明日』

 それだけ言い残してユニは電話を切った。

 静寂だけが残った部屋で、まどかは一人考える。

(確かにこれ以上時間をかけるのは得策ではありませんね……。少し、揺さぶりをかけてみましょうか)

 事を荒立てるようで不本意ではあったが、得体の知れない相手に迫るには少し強引にでも踏み込まなくてはいけない。

 リコの正体に迫る為にも、まどかは強硬策を取ることを選択した。

 

 

 ソラシド市から近い港にて、まどかが準備したパーティー会場となる船が停泊していた。

 まどかが用意した車とあげはの車の計2台で移動し、船の大きさにソラやまなつが目を輝かせている。

「すっごい!クルーザーって聞いてたからヨットみたいなのを想像してたけど、思ってたより大きいよ!めっちゃトロピカってる!」

「こんな大きなものが水の上に浮くんですね!ましろさん、行きましょう!」

 我先にとまなつが船に駆け込み、後ろにソラとソラに手を引かれたましろが続く。船の上では既に料理の準備が始まっているようで調理が進んでいる音が聞こえる。

 他のメンバーも船に乗り込んでいき、一番最後にリコ達が乗り込むと船が出港準備に入った。

 スタッフ達が着々と料理を並べている中、まどかがリコ達の近くまでやってきた。

「本日、少しながらお酒もご用意したのですが、飲まれますか?」

「遠慮しておくわ。私、飲めないのよ」

「分かりました。本日はフリードリンクですから、近くのスタッフに声をかけてください」

 リコが酒を飲めない年齢だと聞いて、まどかは笑顔のまま去っていった。

 魔法界基準で言えば既に成人として認められているし、飲酒の解禁されているのだが、こちらの世界のルールに従って飲まないようにしている。

「ねえみらいちゃん、リコさんってお酒飲めないの?」

「あれ、言ってなかったっけ。リコと私って同い年だよ?」

「うっそ……てっきりもっと上だと思ってた。学校の先生やってるって言ってたし」

 同じテーブルを囲んでいたあげはがリコの年齢を知って驚いていた。

 少し距離感を感じていたのは、単にましろの件で思う所があったからだと思っていたのだが、単に勘違いだったと知って安心した。

「魔法界の先生って、早い人だとあげはさんぐらいの年齢でなれるの。授業の傍ら研究もしなきゃいけないから、私ぐらいの年齢で志願する人って珍しいんだけど」

「へぇ~。こっちだと先生で働けるのって大体20過ぎてからだからビックリ。魔法界って、随分と大人びた人が多かったりするの?」

「こっちと大して変わらないわ。私からしたら、機械を使いこなせるあなた達の方がよっぽど魔法使いに見えるもの」

 あげはとそんな会話をしていると、机の上に料理が並べられてまどかがマイクにスイッチを入れて開幕のあいさつを始める。

「それでは皆さん。出発のお時間になりましたので、これよりパーティーを始めさせていただきます。とは言っても、堅苦しい場ではございませんので、どうぞご自由にお過ごしください」

 まどかは一礼してマイクのスイッチを切り、それと同時に船が動き出した。

(さて、始まったわね)

 リコは気を引き締める。ユニから軽く警告されている以上、何かまどかは仕掛けてくるはずだ。

(頭の中で色々考えちゃうの、本当に昔からの悪い癖だわ。やっぱりちゃんと話さないと)

 あげはが自分に対して敬語だったのは、てっきり距離を置かれているものだと思い込んでいた。だが実際に話してみれば、それはただの思い込みで、ただ年上だと勘違いされていただけと分かった。

 まどかとも話せばわかってくれるかもしれない。そう思い、リコはこの場を楽しむことにした。

「そういえばはーちゃんは?」

「あぁ、ツバサ君達と一緒みたい。ほら、あそこ」

 みらいの指した方向にリコが目線を向けると、ツバサとことは、ローラとさんごという珍しい組み合わせがテーブルを囲んでいた。

「ローラさんって次の女王になるんですよね?」

「ええそうよ。褒めたたえなさい、今ならサインぐらいならサービスしてあげてもいいわ」

「となると、ローラさんはプリンセスってことになるんでしょうか?」

「グランオーシャンにそういうのはないけど、こっち的にはそうなるのかしら。何?私のナイト様にでもなってくれるの?」

「はい!もちろ―――」

「ダメだよ。ツバサの身体は1つしかないんだから。3人もいっぺんに守れないでしょ?」

 その場の流れでローラのナイト役に立候補しそうになったツバサを、珍しくことはが止めていた。ツバサも少し冷静になったようで、不服そうながらことはに言い返したりはしていない。

「珍しい。いつもはツバサ君がはーちゃんを止めてるのに」

「やっぱり、男の子ってああいうのに憧れるのかしら」

「エルちゃんが見たら分かりやすく拗ねそうだけどね……」

 やっぱりナイトという存在への憧れが捨てきれないツバサを見て、あげはは乾いた笑いを浮かべていた。

 ことはも楽しんでいることが分かり、続いてましろの姿を探す。

「ちょっとましろさんの方も見てくるわね」

 ましろがいたのは一番奥のソラがいるテーブルだった。

 リコがテーブルに近づくと、ましろがこちらに駆け寄ってきた。

「どう?ましろさん、楽しんでるかしら?」

「うん!リコ先生も料理食べた?これとか美味しいよ!」

 ましろが指さした皿の料理を手に取って口にする。やはり政府高官の娘が手配できるだけあって、普段食べているものとは風味が違う。

 ソラやひかると楽しそうに過ごしているのを見て、最初会った時の頃と比べて考える。 

 無口で常に俯いていて、ソラの後ろから出てこようとしなかったあの頃と比べればかなり成長したと言える。

(できるなら、何も知らないままのましろさんでいてほしいって思うのは、わがままよね……)

 記憶を失くした真実に気付かないままでいてほしいと思うと同時に、ましろに真実を告げ、本当の意味で自分の罪を償いたいという気持ちが入り混じり、リコの胸中は複雑だった。

「ねえソラさん。少しいいかしら?」

「はい、構いませんが……」

「ごめんなさいねましろさん。ソラさんを少し借りるわ」

 少し周囲に目配せをしてまどかの位置を見る。まどかはみらいやあげはと話していて、こちらの動きに気付く様子はない。ソラと2人っきりで話をするなら今の内だ。

 ソラを連れて人目が付かない方へ移動する。ましろもひかるに連れられて他のテーブルへ移動した為、ある程度大きな声で話をしてもましろに聞かれることは無いだろう。

「もしかして、ましろさんの事で何かありました?」

 ソラも2人っきりになった目的を察したようで、リコが話を始めるより先に尋ねて来た。

「今度スカイランドに行くけれど、そのまま、ましろさんをスカイランドに移す事ってできるのかしら?」

 魔法界行きの話が出てから、どうすればましろを安全に保護できるかを考えていた。

 そして昨晩、リコの中で考え出した一つの案をソラに提示した。

「ましろさんをここじゃない世界で匿おうって話が出てきたの。今のところ候補は魔法界。もしましろさんが希望すればすぐにでも向こうで暮らすことになるわ」

 ソラは自分があずかり知らぬ場所でそんな話が動いていたとはいざ知らず、いきなり異世界行きの話をされて目に見えて戸惑っている。

 しかし宇宙人に狙われているという話を聞いていたソラは、宇宙から侵入できない場所で保護するという話にすぐ納得したようで、そのまま続くリコの話に耳を傾ける。

「ましろさんはあなたの近くにいた方が良いだろうし、できることならスカイランドの方がいいと思うんだけど、どうかしら?」

「そう、ですか……。ましろさんにスカイランドへ来てもらうことは簡単です。ましろさんはスカイランドでもかなり有名ですから、むしろ歓迎されると思います」

 ソラ達のスカイランドでの活躍は大まかに聞いている。国を救った英雄が住むとなれば、それこそ国を挙げての歓迎が行われるだろう。

 ましろが安心して暮らせる場所の候補が増え、リコの心も少しは晴れる。ソラの傍で安全に暮らすことができる。そう思えると、自然と肩の荷が降りたような気がした。

「良かったわ。じゃあ―――」

 

 

「そういうことでしたら、私たちに譲っていただけないでしょうか?」

 

 

 いきなり会話を遮られ、声がした方向に振り向く。

「ましろさんの保護が難しいのなら、私たちの方でお預かりしましょう。ご安心ください。私に可能な範囲でましろさんの将来は保証しますから」

 リコとソラが目線が声の主に向けると、いつの間に自分たちのところまで来ていたのか、まどかが昨日と変わらぬ笑顔を浮かべたまま2人を見つめていた。

「まどかさん……いきなり何のつもりですか?」

「そのままの意味ですよ。ましろさんを譲ってください。折角できたひかるのお友達なのに、いきなり離れ離れになるって悲しい事ですから」

 割り込んできたまどかを怪しむソラとは対照的に、まどかは全く動じておらず、その笑みが崩れることは無い。

「まあ、ましろさんもひかるを慕っているようですし、ひかるの夢を応援する為と言えば、私の『お願い』も聞いてくれるかもしれませんが」

 暗にましろを使って何かをしようと企てていると告げたまどかを止める為、ソラは腰のミラージュペンに手を伸ばす。

 ユニが予想していたプリキュアとの戦闘。それがこんな形で起こるとは思わなかったが、まどかは全く抵抗する素振りを見せていない。

「私と戦うつもりですか?まさか、ひかる達が見ている目の前でいきなり私に襲い掛かったりはしませんよね?」

 その一言でソラとリコの動きが止まる。ここでまどかに飛び掛かるということは、何の罪もないひかるの友人にいきなり攻撃したのも同じだ。その場を収めようと周りにいる人間が自動的にまどかを守る壁となって立ちはだかるだろう。

 事実上こちらの動きを封じられ、ソラの顔が険しいものになる。

「あなたがどんなお願いをするかは知りませんけど、ましろさんは悪い事はしません。あなたの思い通りなんてなりませんよ」

「そうでしょうか。今のましろさんを言いくるめるのはそう難しくないと思いますよ。それでも抵抗するなら……薬でも使って言う事を聞かせましょうか。見えるところにアザできてしまってはひかるが心配しますし」

 まどかの発言はとても正気とは思えなかった。まるでましろを道具としか思ってもいないような発言に、ソラの目つきが鋭くなる。

 ここで飛び出しても立場を不利にするだけと分かっているので、まどかに襲い掛かるようなことはしないが、代わりに腰に下げたミラージュペンを握りしめている。

「でも、リコさん達も私と同じではないですか?実はましろさんを利用する為に近づいて、ソラさん達から奪い取ろうとしているとか」

「そんな訳ないわ。私はましろさんに元通りの生活を送ってほしいと思ってるだけよ」

 あくまでましろの為に傍にいると主張したリコの発言に、まどかはいいえ。とだけ返した。

「リコさん、あなたがソラシド市に来たのは、ましろさんが記憶を失くす前日だそうですね。とても無関係だとは思えません。もしかして、ましろさんの記憶を消したのはあなたではないですか?」

 その一言で一瞬リコの心臓が止まる。

 ホープダイヤの存在にこそたどり着いていないが、彼女はましろの記憶が消えた真実に近いところまで迫っている。

 リコの反応を見て、自分の推測は当たっていたと確信したまどかの口元が歪む。

「もしそうなら、ましろさんを保護したいのです。大事なひかるのお友達をあなたのお人形にされるわけにはいきませんから」

 まどかの言葉に何も言い返せない。ましろの記憶が消えたのは自分のせいなのは事実であるし、客観的に見ればそう言われても仕方のない状況にいるのだ。

 ソラはまどかの発言が気に障ったようで、目に見えて気が立っている。

 感情のまま飛び出していこうとしていたので、リコが腕を伸ばしてソラを制する。ただでさえ不利な状況なのだ。これ以上不利になる必要はない。

「お人形、ってどういうことですか!」

「みらいさんが通っていた津成木第一中学の事を調べました。ですが、あなたと、ことはさんが在籍していた記録が見つからないんです」

 リコやことはの正体を隠す為の嘘はいくらでも用意してある。だが、まどかの言葉はそれを読んでいるかのように次々と逃げ道を断っていく。

 それに、と続けてまどかはリコが隠し通してきた事実を突きつける。

「みらいさんのご両親もおっしゃっていましたよ。リコさん達は()()()()()()()()()()()()()()()()連れて来た友達だと」

 その一言を聞いてソラがリコの方を見た。まどかの言葉をそのまま信じたわけではないが、リコにまどかの言葉を否定して欲しいと思っているようで、動揺するリコにつられて不安そうな表情をしている。

 与えられた少ない時間で、まどかを納得させられる嘘を考える。まさかみらいの中学時代の事を調べてくる人間がいるとは思ってもみなかった。当然その時の為のカバーストーリーは用意していない。

 あと少しでリコの正体に迫れると確信し、まどかはリコに抱えていた疑念をそのままぶつける。

「あなたは1年前に突然現れて、何も知らないみらいさんを操って都合のいい隠れ蓑にしたのではないですか?大学生なら多少変わったお友達がいても怪しまれることはありませんからね」

 まどかは自分を感情的にさせて、口を滑らせることを期待していた。

 みらいをいいなりにしているなどと言いがかりを付けられ、思わず言い返したくなった自分を落ち着かせる。2人とも感情的になってしまえば、ましろを奪う口実を与えるだけになる。

(……駄目だわ。この子、確実に追い詰めに来てる。ここで嘘をついて誤魔化しても、疑いは晴れない。仕方ない、話すしかない)

 本当はソラ達にも話さないと決めていたが、ここは話す以外の選択肢は既に奪われている。

 不要な敵を作らない為にも、リコは話すことにした。

 デウスマストを撃退し、世界の融合を食い止めた後、ナシマホウ界に何が起こったのかを。

「……ええ。あなたの言う通りよ。私とみらいが初めて出会ったのは1年前。夜の公園で魔法使いごっこをしていたみらいが、偶然通りかかった私と出会った。()()()()()()()()()()()()のよ」

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