ようこそデュエルアカデミア   作:るーるーる

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雰囲気で見てください


遊戯を継ぐ実力者

 

 オレの名は綾小路清隆

 

 ホワイトルームと呼ばれる施設から抜け出して自由を知るために

 とある高校へ入学する為の試験を受けている。

 

 筆記試験、面接対応などは問題なし。

 ホワイトルームで培った学力と知識、身体能力をもってすればどんな試験だろうと突破出来る……ハズだった。

 

 

「モンスターで攻撃!」

 

「リバースカードオープン!」

 

 

「何だ……これは……?」

 

 どうやら外の世界はオレの知らないもので満ち溢れているらしい。

 

 

 

 

 

 

 ……いや、呆けている場合じゃない。

 この試験に合格しなければオレの自由が無くなってしまう。

 初めて見る競技だが幸いオレの順番までまだ時間がある、よく観察して少しでも多くの情報を……

 

 

「ドロー!」

 

「魔法カード発動!」

 

 

 ……まずいな、そもそもオレはあの『カード』自体を持っていない。

 そもそもみんなが当然のようにこなしている辺り、ルールも全員の周知のものなのだろう。人に詳しく聞く時間はおそらくない。

 

 とりあえず今は他の人の試合を見てルールを理解しようとしているが、今のオレは筆記用具無しで筆記試験に挑むようなもの。

 合格、不合格以前の問題だ。

 外の世界でこんなにも早くに障害に当たるとはな

 

 どうするか考えていると放送機器から呼び出しが掛かる。

 

「受験番号110番! 110番の方ー! いませんかー!」

 

 どうやら次の受験者が会場にいないようだ。

 しばらくの間呼ばれ続けるが誰も指定の場所まで動こうとしない。

 これは棄権したと思われ試験官が踵を返そうとしたその時

 

「はーい‼ハイハイ‼」

 

 背後から元気な声が響く。

 

 そいつは頭に葉っぱを乗せ、息を切らせながら会場に入ってくる。

 

 

「受験番号110、遊城十代! セーフだよね⁉」

 

 

 遊城十代……

 珍しい名前だな。

 そう思い顔をじっと見ていると彼もこちらに気づく。

 

「よっ、あんたは試験終わった?」

 

「いや、まだだ」

 

「ふーん、そっか。ならお互い頑張ろうぜ!」

 

 

「試験番号110番! 早く来なさい!」

 

「おっと、いけね。それじゃ!」

 

 試験官に呼ばれ向かっていく遊城。

 

 

「ボンジョールノ! アナタの相手は実技担当最高責任者のこの私、クロノス・デ・メディチがしてあげまスーノ!」

 

 あの特徴的な語尾の教師が遊城の相手のようだ。

 

「すげー! 実技の最高責任者が相手してくれるなんて、俺って期待されてる?」

 

「呆れて物もいえませンーノ……」

 

 丁度いい、今まで見てきた試験の答え合わせとして見物させて貰うとしよう。

 

 

「「デュエル!」」

 

 遊城十代 LP 4000 

 VS

 クロノス・デ・メディチ LP 4000

 

 

「いくぜ、俺のターン!」

 

「言っておきますが、先行はドローはできませんーノ」

 

「そんなのわかってるって!」

 

「それは失敬」

 

 

 腕に着けた機械、デュエルディスクが展開する。

 

 まずお互いにデッキと呼ばれるカードの束から五枚引く。

 

 そしてドローとは、カードの山から一番上のカードを引くこと。

 

 先行はドローができないらしい。

 

「E・HERO フェザーマンを召喚!」

 

 遊城が腕につけた機械にカードをセットすると光とともに緑のヒーローが現れる。

 

 E・HERO フェザーマン ATK 1000

 

 あれがモンスター。場に出すことを召喚という。

 おそらく、これは自分の番……いや、ターンに一度しか行えない。

 それしてもリアルな映像だ、どういう技術なんだこれ。

 

 

「カードを1枚伏せてターンエンド!」

 

 カードを裏側で伏せる、相手の行動を阻害するための準備。 

 

「私のターン! ドロー!」

 

「手札から魔法カード、《コズミック・サイクロン》を発動!」

 

「なにっ!?」

 

 魔法カード、

 相手の邪魔をしたり自分を有利にするためのカード。

 これらは基本的に使い捨てであり、墓地と呼ばれる場所に送られる。

 

「ライフを1000ポイント払い、その伏せカードを除外しマース!」 

 

 クロノス LP4000→3000

 

 空中から光の渦が現れ、遊城のカードを撃ち抜く。

 

「あッ、俺のカードが!」

 

 除外、か。

 今日初めて聞いたワードだ。墓地ではなく別の場所に送られるのか。

 

「さらに私は永続魔法《古代の進軍》を発動するノーネ! 

 このカードの発動時に私はデッキから《古代の機械射出機》を手札に加えルーノ」

 

 永続魔法、通常の魔法と違いその場に表側で残り続けるカード。

 

「そして魔法カード、《古代の機械射出機》を発動! 

 この効果により、私の場の《古代の進軍》を破壊するノーネ!」

 

 何? 

 

「おいおい先生、何やってんだ?」

 

 わざわざ発動した自分のカードを破壊するカード……

 何か意味があるのか? 

 

「それこそが井の中のフロッグなのでスーヨ! ゲロゲーロ」

 

「現れるノーネ! 古代の機械巨人!」

 

 クロノスのカードが破壊され

 地中から地響きと共に機械の巨人が姿を現す。

 

 古代の機械巨人 ATK 3000

 

「なんだって!?」

 

「《古代の機械射出機》は私の場の表側のカード一枚を破壊し、

 デッキから古代の機械モンスターを召喚条件を無視して特殊召喚できるノーネ!」

 

 そういうことか

 自分のカードを破壊して更に状況を有利にするカード、そういうものもあるのか。

 

「バトルフェイズ! 古代の機械巨人でフェザーマンに攻撃! 

 アルティメット・パウンド!」

 

 古代の機械巨人 ATK 3000

 VS

 E・HERO フェザーマン ATK 1000

 

「ぐぅっ!」

 

 遊城十代 LP 4000→2000

 

 モンスターによる攻撃によるライフの減少、ライフがゼロになったものが敗北となる。

 一気に半分のライフを持っていかれてしまいピンチだ。

 

「へ、へへ……」

 

「ン?」

 

 ……笑っている? 

 

「感激だぜ。最高責任者が本気でデュエルしてくれるなんて!」

 

「ここから俺の本当の力が試される時だぜ。

 俺のターン! ドロー! ……ッ!」

 

 引いたカードを見て暫く固まる遊城。

 そして

 

「モンスターをセットしてターンエンドだ!」

 

 モンスターの裏守備セット、相手に情報を渡さずに防御を固めるためのものだが……。

 

「どうやら手も足も出ない様なノーネ。私のターン!」

 

 すでにクロノスは勝利を確信している様だ。

 

「ドロー! フィニッシュはダイレクトアタックで決めてやるノーネ! 古代の機械兵士を召喚!」

 

 古代の機械兵士 ATK 1300

 

 追撃のモンスター、ここで確実に決めるつもりらしい。

 

「このターンで終わりでスーノ! バトル! 古代の機械兵士でセットモンスターに攻撃!」

 

 古代の機械兵士が遊城のセットモンスターを貫き、姿があらわになる。

 

 ハネクリボー DEF 200

 VS

 古代の機械兵士 ATK 1300

 

『クリ~……』

 

「ハネクリボー!」

 

 随分と可愛らしいモンスターが悲鳴を上げながら退場する。

 

「ハン! 何かと思えばただの羽の生えたクリボー。

 ドロップアウトボーイにはお似合いの雑魚カードなノーネ」

 

「ッ! 俺を命がけで守ってくれた友達を馬鹿にするのは許さないぜ!」

 

「黙りなサーイ! どちらにしろこれで終わりなノーネ! 

 古代の機械巨人でダイレクトアターック!」

 

 機械巨人が拳を振りかぶり遊城に振り下ろす。

 終わった、と誰もが思った……が。

 

 遊城十代 LP 2000

 

「なっ、なぜライフが残っているノーネ⁉」

 

「ハネクリボーの効果さ」

 

 不敵な笑みを浮かべる遊城

 

「こいつは破壊されたターン、俺のダメージをゼロにするのさ!」

 

 なるほど。

 クロノスは念を入れてモンスターを追加で召喚し攻撃したがそれが逆に仇となり、

 ハネクリボーの効果を誘発してしまった。

 直接攻撃で決めたがっていたことが災いしたか

 

「ぬぬぬ、ターンエンド……」

 

「俺のターン! ドロー! ハネクリボーが繋いでくれたこのターン、無駄にはしないぜ! 

 魔法カード、《戦士の生還》! これにより、墓地のフェザーマンを手札に戻す!」

 

 遊城の手札にフェザーマンが戻る。

 だが、攻撃力はクロノスのモンスターの方が圧倒的に上、何をするつもりだ? 

 

「そして手札から二体目のE・HERO、バーストレディを召喚!」

 

 E・HERO バーストレディ ATK 1200

 

 現れたのは赤を基調とした女性ヒーロー。

 

「フン! ペラペラのコミックヒーローがいくら束になろうと私の古代の機械巨人に勝てるわけないノーネ!」

 

「フェザーマンとバーストレディ、攻撃力の低いモンスターというのは仮の姿。その本当の姿を見て驚くなよ先生! 

 魔法カード、《融合》を発動! 手札のフェザーマンとバーストレディを融合!」

 

《融合》……モンスター同士を合体させ、新たなモンスターを生み出すカード。

 遊城の手札からフェザーマンと場のバーストレディが飛び出し、渦となって交わる。

 

「現れろ! マイフェイバリットカード! E・HERO フレイム・ウィングマン!」

 

 E・HERO フレイム・ウィングマン ATK 2100

 

 遊城の場に召喚されたのは背中に片翼が生え、右腕が竜の頭となった新たなヒーロー。

 だが……

 

「特別講義してあげマース、覚えておきなサーイ、デュエルに御託はいらナーイ。

 融合召喚したところで、アナタのモンスターの攻撃力は2100、私の古代の機械巨人には及びまセーン」

 

 そう、このままだと遊城のモンスターでは勝つことができない。

 

 ……このままではな。

 

「なら先生に教えてやるぜ、ヒーローにはヒーローの戦う舞台ってもんがあるってな! 

 フィールド魔法、《摩天楼 スカイスクレーパー》!」

 

 フィールド魔法、あれも初めて見るカードだ。

 地面からビルが次々と競り立ち、フィールドの頭上は月夜に変わる。

 ……いや、本当に凄い技術だな、

 このソリッドビジョンとかって技術。

 

「さあ舞台は整った、いけ! フレイム・ウィングマン! 

 古代の機械巨人に攻撃!」

 

「suherzo、ジョーダンでしょ? フレイム・ウィングマンの攻撃力など、古代の機械巨人の足元にも及ばないーノ!」

 

 違う、遊城は勝つための手段を既に持っている。

 

「ヒーローは必ず勝つ! スカイスクレーパーの効果はヒーローが自分よりも高い攻撃力のモンスターと戦う場合、攻撃力を1000アップする、フィールド魔法!」

 

「イィ⁉」

 

「スカイスクレーパー・シュートォ!!」

 

 E・HERO フレイム・ウィングマン ATK 3100

 VS

 古代の機械巨人 ATK 3000

 

 全身に炎を纏って突撃したフレイム・ウィングマンが機械巨人を撃ち抜き、胴体に風穴を開ける。

 

 クロノス LP 2900

 

「マンマミーヤ! わが古代の機械巨人が!」

 

「フレイム・ウィングマンの効果により、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを受けて貰うぜ、先生!」

 

「なにぃ!?」

 

 クロノスの頭上の古代の機械巨人がグラグラと揺れ、崩れ落ちる。

 

「ぎゃあ~~~!!!」

 

 クロノス LP2900→0

 

 ……ただの映像、だよな? 

 

「ガッチャ! 楽しいデュエルだったぜ、先生!」

 

 ワァッッッッッ!!!! 

 勝者が決まった途端、会場からは大喝采が起きる。

 いつの間にか全員がこの試合に注目していたらしい。

 確かに有益な情報だった。

 基本的なルールはこれで把握できただろう。

 後は実戦でどれだけできるか……。

 

「次は受験番号、50番! 受験番号50番!」

 

 お、ついにオレの番だな。

 さっきの後だと気が引けるが、ここはそつなくこなして……。

 ……まずい、そういえばカードを持っていない問題が解決できていない……! 

 

 どうする、誰かに借りるか? 

 というかオレは遊城が腕に着けていたあのディスクも持っていない。

 思い悩んでいると背後から肩を叩かれる。

 

 振り返ると赤い帽子の男がこちらにディスクとデッキを差し出していた。

 

「あんたは……?」

 

 何も言わずただ佇む男。

 

「……良いのか?」

 

 コクリとうなずき、サムズアップをする赤帽子の男。

 

「……すまない、恩に着る」

 

 ディスクとデッキを受け取り会場に向かう。

 

「受験番号50番、綾小路清隆です。よろしくお願いします」

 

「はい、よろしくお願いします。さっきの後で緊張するかもしれませんが落ち着いて実力を発揮してください」

 

「わかりました、ありがとうございます」

 

「私のデッキは特殊召喚デッキ、条件を満たし大型のモンスターを連続召喚するデッキだ。強力な攻撃を上手くいなすのが攻略のカギだ」

 

 ディスクを腕に着けデッキをシャッフルしてディスクにセットする。

 

「先行は君だ」

 

 デッキから五枚カードを引き、カードを確認する。

 

 ……こ、このカードの効果は! 

 

「では行くぞ!」

 

「「デュエル!」」

 

 

 綾小路清隆 LP 4000

 VS

 試験官 LP 4000

 

 

 さてオレの初デュエル、記念すべきモンスターはこいつだ……! 

 

「インスペクト・ボーダーを召喚!」

 

「……えっ?」

 

「装備魔法、《月鏡の盾》を装備!」

 

「えっ?」

 

「永続魔法、《カイザー・コロシアム》を発動!」

 

「えっ……え?」

 

 

 

 こうしてオレの初デュエルは呆気なく勝利を迎えた。

 

 

 

 

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