ようこそデュエルアカデミア   作:るーるーる

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謎時空

生徒A小路「MDでジョウゲン金謙禁止にパキケアトラクター制限…メタビが何をしたって言うんだ」

生徒R園「ククッ、ざまぁねえなオイ」(OCGとMD共にエクセルポプルス制限)

生徒K波「動け、デモンスミス…!まだだ、これからもっと面白く…!」

生徒A小路「新規来ただろ」

生徒Y城「HEROは何もねえな。こうなったらコスモ・ネオスが他テーマに悪用されて一発禁止にならないかだけが心配だぜ」

謎のYベル『十代…ボクは結構なダメージを受けたよ十代…でもこれもキミがくれるボクへの愛なんだよね十代…
あぁ、キミへの《友情》と《憧憬》と《信頼》と《依存》と《執着》と《保護欲》と《独占欲》と《嫌悪感》と《対抗心》と《恋心》が止まらないよ十代…!』

生徒K波「ああ!それってネクロニカ?」



他人が誘発を隠蔽することに対して、我々は怒るべきでない。 なぜなら、我々も相手から誘発を隠蔽するのであるから1

 

 誰よりも一番でありたい。

 そう思うのは普通の事だと思う。

 私は他人よりも少しだけその思いが強かっただけ。

 そう、それだけ。私は何も悪くなんかない。

 

「はーウッザイ……! 何様のつもりか知らないけどアンタが勉強なんか教えられるわけ無いっての」

 

 堀北が勉強会を開いたあの日、周りを見下した発言をして男子達から見放されたあいつを置いて私は屋上に来ていた。

 あいつが周囲から孤立するように誘導出来たのは良かったけれど、私にも暴言を吐いたのは本当に許せない。

 あぁ、ムカつく。

 

「ムカつくムカつくムカつくムカつく死ね死ね死ね死ねシネシネ……」

「櫛田、悪いけど戻ってきてくれないか?」

 

 どっと冷や汗が背中を伝う。

 急いで声の方へ振り返るとそこにはいつも帽子を被ったクラスメイト、小波くんが立っていた。

 

「……聞いた?」

「うん? あぁ、まあ……」

 

 素早く彼の元へ近づいて胸ぐらを掴む。

 いつも帽子と前髪で表情を窺えない彼だがポケットに突っ込んだ手をフリーにした辺りに少しは動揺が見えた気がする。

 

「誰かに喋ったら許さないから……!」

「言わない。それよりも戻ってきてくれないか?」

「もし誰かに喋ったらアンタに襲われたって皆に言いふらすから」

「言わないって。そんなことより戻ってきてくれないか?」

「アンタと私、クラスの皆がどっちを信じるかなんて解ってるよね?」

「ダメだ話を聞いてくれない、そんな証拠もないだろ」

「大丈夫。襲われた証拠もちゃんとあるから」

 

 フリーになった右手を掴んで胸に押し付ける。

 完全に想定外だったのかさっきよりも驚きが見えた……ような気がする。

 

「これでアンタの指紋、ベットリ付いたから」

「お、おぅ」

「解ったかな? 私は本気。秘密を守るためならどんな手段でも……」

「……なぁ、こんなことしなくてももっと良い方法あるだろ?」

 

 話を遮って掴んでいない左手を掲げる。

 その手にはディスクが握られていた。

 

「……どういう意味?」

「お前が勝てば俺は何も見なかった事にする。俺が勝てば……そうだな、言うことを何でも1つ聞いて貰う。簡単だろ?」

「本気?」

「この目を見れば解るだろ」

 

 見えないんだけど……。

 しかし冗談で言っている風ではなかった。

 証拠も取られて不利なのは向こうなのに何故か私に条件を突きつける彼。

 

「……良いよ、受けてあげる。君が言い出した話なんだから約束は守ってよね」

 

 よっしゃ。と喜ぶ彼

 私に触れた時よりも感情が動いているように見えて何となく腹立たしい。

 

 お互いに距離を取ってディスクを展開する。

 

 

 デュエル

 

 櫛田桔梗 LP4000

 VS

 小波代栖 LP4000

 

「俺の先攻。モンスターセット、カードを伏せてターンエンド」

 

 さっきまでの態度とは裏腹に静かなスタート、様子見をするつもりだろうか。

 場所は屋上、放課後だからって他の誰かが来ないとも限らない。

 急いで終わらせなくちゃね、どんな風になってでも。

 

「ドロー、《融合》を発動。手札のファーニマル・キャットとエッジインプ・シザーを融合」

 

 猫のぬいぐるみが巨大なハサミを取り込み新たな姿へ変貌する。

 

「融合召喚……潰して。デストーイ・シザー・タイガー」

 

 デストーイ・シザー・タイガー ATK 1900→2200

 

「シザー・タイガーの効果発動、素材にした数まで相手の場のカードを破壊する」

 

 勢いよくハサミを投げて伏せたカードを破壊する。

 

「……ワーム?」

 

 墓地に送られたカードを確認すると『ワーム・ヤガン』と《バースト・リバース》の2枚……珍しいカードを使っているものだ

 まあどうでも良いかな、このターンで終わりだし。

 

「《魔玩具融合(デストーイ・フュージョン)》を発動。墓地のシザーとキャットを除外して融合」

 

 廃棄されたぬいぐるみ達が再び混ざり更なる姿へ変貌する。

 

「融合召喚。デストーイ・シザー・ウルフ……!」

 

 デストーイ・シザー・ウルフ ATK 2000

 

「シザー・タイガーの効果でデストーイの攻撃力は場のファーニマルかデストーイの数×300アップする。バトル、シザー・ウルフで攻撃」

 

 デストーイ・シザー・ウルフ ATK 2000→2600

 小波代栖 LP 4000

 

「シザー・ウルフは素材の数まで攻撃できる。2回攻撃でライフは尽きるね」

 

 ウルフが刃を構え飛びかかり、そのまま攻撃。

 そして……

 

「ぐえーっ」

 

 小波代栖 LP 4000→0

 

 そのまま彼のライフは尽き、倒れ伏した。

 ソリッドビジョンが解除されいつもの景色へ戻る。

 

「これで良いかな? 約束は守って貰うから」

 

 近づいて見下ろしたまま話しかけても無反応な彼。

 やり過ぎたかと意識を確かめようとすると

 

「アッハハハ!」

 ガバリと勢い良く起き上がり、私の目の前まで彼の顔が近づいてくる。

 

「なんだよ、ちゃんと戦れるじゃないか! 正直この学校の強そうな奴はどいつもこいつも隙も見せずに笑いあってる様な奴らばっかりだと思ってたんだが……」

 

 いつもは深く被った帽子と前髪でほとんど見えない彼の青い瞳が困惑する私の顔を写し出す。

 開きっぱなしの瞳孔と初めて見る饒舌な姿に珍しく興奮しているのが伝わる。

 

「いいねその目……いつもの仮面より今のお前の方がずっと好みだ」

 

 ……正気だろうか? 

 こんな状況で急にそんなことを言われても全く嬉しくない。

 

「ここは景色も良い……このままお前とずっと戦りあいたい、そういう気分だ」

 

「私のこと連れ戻しに来たんでしょ」

 

 あ、と当初の目的を思い出した彼

 デュエルの時以外は何とも抜けている。

 

「約束、忘れてないよね? この事は誰にも喋らないって」

「ああ、勝負の約束は守る」

 

 飄々と語る小波くん

 本当に大丈夫かな……? 

 

「なぁ、櫛田。どうしてお前は……」

「私がどうしてこんなことをしているか、なんて聞かないよね? アンタに関係ない話だし」

「いや、なんであの時デストーイを並べたんだ?」

 

 ……は? 

 今聞く話がそれ? 

 

「気になったんだ。伏せを警戒するならガーディアン・キマイラを出した方が対象耐性を付けてドローと除去が出来たと思うんだが……モンスターの数が足りなかったとかか?」

 

 この人の頭の中はデュエルの事ばかりらしい。

 なんだか深く考えるのが面倒になってきた……。

 

「だって……」

「うん」

「……そっちの方が可愛いから」

 

 静かになる。

 ああ、失敗した。

 お前のような奴が何を言ってるんだと言われる前に切り上げよう。

 

「やっぱり何でもな……」

「わかる」

 

 え? 

 

「"好き"を通して勝った時でしか得られないあの快感だよな。自分の想いにデッキが答えてくれたような感覚は忘れられない」

 

 ……なんなのコイツ

 

「例え10回負けてもたった一回の勝ちで全てが報われるんだ。あんなに嬉しい事はない」

 

 景色を見ていた視線が私へと戻ってくる。

 

「屋上へ来たのは始めてじゃないんだろ? この学校へ来てから何度かやっている、そういう動きだ」

 

 ……バレていた。

 上手く隠しているつもりだったんだけどなあ。

 

「何が言いたいのかな?」

「どうせストレス発散するんなら俺に言え。デュエルで相手になってやる」

「……それ君がしたいだけでしょ?」

 

 バレたか、と笑う彼。

 なんだかもう何でもよくなってきた。

 

「はぁ……もう戻ろっか。君と二人でいる所なんて誰かに見られて噂されたら恥ずかしいし」

「酷い」

 

 図書館へ戻るため屋上の扉に手を掛ける。

 そう言えば本気を出したのは何時ぶりだっただろうか、人から恐がられる姿を見せたのも。

 振り返ると相変わらず表情が影に入って見えない彼が景色を眺めている。

 視線につられて見た空は雲のない快晴が広がっていた、ような気がした。

 

 

 

「──まぁその"好き"を通す為に何度も負けて、"勝てない"ことに嫌気が差してくるのも現実なんだけどな」

 

 

 

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