ストームアクセスする時に『風を掴め』って言うの何かとの新しい繋がりを感じられるけど見る事のできない風として表現してるのがこう……良いよね(早口オタク)
「お前達、こんな所に何の用だ」
上階へ登る階段の踊場からオレ達を見下ろしDクラス所属、藤木遊作はオレ達に問い掛けてくる。
有無を言わせないような圧力に黙っていると先に到着していた堀北が藤木の問いに応える。
「例の事件に付いて調べているわ。貴方こそどうしてここに?」
「ただの野暮用だ。丁度良い、佐倉愛里は今どうしている」
佐倉? どうしてこいつが佐倉の事を……?
と、同じ疑問を抱いたのか続けて堀北が藤木に応対する。
「何故彼女の事が気になるのかしら」
「お前には関係ない。俺の個人的な用件だ」
眉間にシワを寄せる堀北
マズイ、この二人相性が良くなかったらしい。
堀北と相性の良い人間がこの世にいるのか知らないが。
「そう、なら私も貴方の質問に答える義理は無いわ」
「……そうか、どうやら無駄足だったようだ。じゃあな」
「ちょーっと待った」
階段を降りて立ち去ろうとする藤木、その左肩を掴み行く手を阻んだのは場の空気を読まない男、遊城であった。
「藤木、お前何企んでんだ?」
「……何の事だ遊城十代。俺が何かを企んでいるとでも?」
「むしろ何もない方があり得ないくらい怪しいぜお前」
含み笑いをしながら今度は藤木へ問い掛ける
これまで目立った活躍をせずにいた一生徒、そんな人間が事件現場に一人で何かをしていた。確かに怪しむなという方が無理があるだろう。
数刻の間を置き藤木は大きく溜め息をつき、そして振り返り様に左腕を乱暴に振るう。
「うぉ、っと……!」
それを咄嗟に後退し紙一重で回避した遊城
再び見据えた先で藤木はディスクを起動させていた。
それを意味することはただひとつ、遊城も即座にディスクを展開する。
「俺に負けたらお前達全員、二度と俺に関わるな」
「オッケー、俺が勝ったらここで何してたか聞かせてもらうぜ」
自然な流れでデュエルを始めようとする二人
「ちょっと、貴方達!」
「心配するな、この場に監視カメラはない」
「藤木君、そういう事ではなくて……!」
「堀北、ここは遊城の好きにさせよう」
制止しようとする堀北を止めて二人を見守る
これまでも遊城にそのつもりは無かったかも知れないが、あいつがデュエルする事によって何らかの影響が周りに作用していた。
今回も何かが起こるかもしれない、そんなオレ個人の興味本位の為にもこのデュエルを止めさせる訳にはいかない。
さあ、今度は何が起こるのかオレに見せてくれ
デュエル
遊城十代 LP4000
VS
藤木遊作 LP4000
『おいおい遊作チャン、いつものダミーデッキじゃなくて良いのか?』
「サイバース達が反応している……目の前の相手は強い、と。
お前だってそうじゃないのか」
『……さてね。ま、あんだけ大見得切ったんだ。負けたらカッコ悪いぞ~』
「黙れ」
ディスクから聞こえてくる音声にずっと話しかけている藤木
「AI搭載型……使っている人は初めて見るわね」
「知っているのか堀北」
「ええ、学習型の人工知能を搭載した疑似人格を作ることによって話しかける度に自然な会話が出来るようになるとか」
へー、そんなものが世の中には有るのか
「確か端末の説明にも書いてあったと思うんだけれど……ちゃんと読んだの?」
「いや、そこまでちゃんと読んでなかった」
「そう。貴方の苦手なコミュニケーション上達の為にお勧めしておくわ」
『このAi様をあんな量産型と一緒にすんじゃねえ!』
驚いたことに自称アイというA.I.がこっちに話しかけてきた。
流石は最新技術のA.I.会話に置いては口の悪さも込みで人間と遜色無しだ。
「……あんな言葉遣いするなんて、普段彼がどんな会話をしているのか知れたものね」
「俺のターン」
先行は藤木から
失礼ながらあいつがどんなデッキを使っていたか全く印象に残っていない
授業の中でも1人で課題を淡々とこなしていたような目立たない生徒。
だが、学年でも名前が知れ渡る遊城に奴は真正面からデュエル挑んだ。何かしらの自信が有ると見て良いだろう。
手札をチェック、慣れた手付きで藤木はカードを繰り出す
「手札からバランサーロードを通常召喚」
バランサーロード ATK1700
「おっ、それって」
「……サイバース族、珍しいカードね」
サイバース族、確か
展開力に突出した性能を持ち電脳、コンピューター系列に関連した名前を持つとされている。
何でも、どこかの会社が電脳世界からデータを持ち出して作ったとか何とか……。
「バランサーロードの効果発動。1ターンに1度ライフを1000払う事でこのターン、サイバースをもう一度召喚できる。手札からスタック・リバイバーを通常召喚」
藤木遊作 LP4000→3000
スタック・リバイバー ATK100
「そして俺の場にサイバースが存在する場合、手札からバックアップ・セクレタリーを特殊召喚」
バックアップ・セクレタリー DEF800
この一瞬にしてサイバース達が複数並んだ
ステータスは大したことのないモンスター達が3体
レベルもバラバラ、チューナーも存在しない
なら、やることは1つだな。
「現れろ、未来を導くサーキット!」
藤木の宣言と共にリンクサーキットが出現する
召喚可能なのはリンク1から3のモンスター。
「アローヘッド確認、召喚条件は効果モンスター2体以上!
俺はバランサーロード、バックアップ・セクレタリー、スタック・リバイバーの3体をリンクマーカーにセット!」
場のサイバース達が8方向のマーカーの内、上・右下・左下のマーカーへと吸い込まれていく
来るのはリンク3のモンスターか。
「サーキットコンバイン、リンク召喚!
現れろ、デコード・トーカー!」
デコード・トーカー ATK2300
召喚されたのは大剣を携えた藍色を纏う電脳の戦士
デコードとは暗号を解読する事を表す言葉、正体不明の男が暗号解読の名を持つモンスターを従えるとはな。
「スタック・リバイバーの効果発動。スタック・リバイバーはリンク素材になった時墓地から素材となった他のレベル4以下のサイバースを特殊召喚できる。
俺は墓地のバックアップ・セクレタリーをデコード・トーカーのリンク先に特殊召喚!」
バックアップ・セクレタリー DEF800
「そしてデコード・トーカーはリンク先のモンスター1体につき、攻撃力を500アップさせる! パワー・インテグレーション!」
デコード・トーカー ATK2300→2800
「カード1枚伏せて、ターンエンド」
「俺のターン、ドロー!
デコード・トーカー……滅茶苦茶カッコいいモンスターだな!
サイバース族って確か今流行ってるSNSの世界で有名な人が使ってて、そのデータをコピーした海馬コーポレーションが普及させたんだよな」
「LINK VRAINSの事ね」
それは広告かなにかで聞いたことあるな。
確かフルダイブ型VR空間の現実と遜色無いメタバースだとか。
ホワイトルームでの体験を思い出すからオレが利用することはないだろうがな。
「お前もその有名人のファンだったりするのか?」
その問いには応えない藤木
聞きたいのなら勝って見せろ、とその瞳は答える。
「ま、それも俺が勝ったらついでに聞かせて貰うぜ!
E・HERO エアーマンを召喚!」
E・HERO エアーマン ATK1800
「エアーマンの召喚時効果発動! デッキからリキッドマンを手札に加えて、そして《融合》を発動! エアーマンと手札のリキッドマンで融合!」
翼を持つヒーローとその身を使い仲間を援護するヒーロー
2体のモンスターが渦となって交わる。
「融合召喚! 渦巻くヒーロー、E・HERO Great TORNADO!」
E・HERO Great TORNADO ATK2800
「Great TORNADOとリキッドマンの効果発動! デッキから2枚引いて1枚捨てて、お前の場のモンスター全ての攻守を半分にする! タウンバースト!」
生徒会長と戦った時に現れたヒーロー、やはり強力な効果を有しているな
ヒーローの放つトルネードが藤木のモンスター全てのステータスを弱体化させていく
デコード・トーカー ATK2800→1400
バックアップ・セクレタリー DEF800→400
「更に魔法カード《ミラクル・フュージョン》発動! 墓地のリキッドマンとさっき墓地に送ったフェザーマンで融合!」
除外されたのは属性の異なるヒーロー、これも以前召喚した……
「E・HERO フレイム・ウィングマン-フレイム・シュート!」
E・HERO フレイム・ウィングマン-フレイム・シュート ATK2100
「融合召喚成功時の効果によりデッキから《フェイバリット・ヒーロー》を手札に加えて、そのままリリースして効果発動! 来い、マイフェイバリットカード、フレイム・ウィングマン!」
E・HERO フレイム・ウィングマン ATK2100
「フレイム・ウィングマンに《フェイバリット・ヒーロー》を装備してバトルフェイズ! そしてバトル開始時に装備魔法の効果でフィールド魔法《融合再生機構》を発動!」
E・HERO フレイム・ウィングマン ATK2100→3300
最近いつも見る遊城の黄金パターン。オレと対戦した時はここまで展開を許していた場合には殆どの確率でライフを0にさせられていた。
そして相対的にこれを捌いた生徒会長の力量も大したものだったと実感する。
しかもあの人は更に余力を残していた……全く底が知れない男だ。
「先ずはGreat TORNADOでバックアップ・セクレタリーを攻撃! スーパーセル!」
E・HERO Great TORNADO ATK2800
VS
バックアップ・セクレタリー DEF400
吹き荒ぶ嵐を受け藤木のモンスターは破壊される。
「続けてフレイム・ウィングマンでデコード・トーカーに攻撃! フレイム・シュート!」
E・HERO フレイム・ウィングマン ATK3300
VS
デコード・トーカー ATK1400
そして本命の攻撃、これが通れば戦闘ダメージ1900にフレイム・ウィングマンの効果で元々の攻撃力分のダメージ2300。
合計4200ダメージ、必殺のワンショットキルが成立する。
「攻撃宣言時に永続罠《コード・ハック》発動。俺のリンクモンスターは効果で破壊されず、互いのモンスターが戦闘するバトルステップ時、相手モンスターの攻撃力をターン終了まで0にし互いのモンスターは破壊されずダメージを0にする」
E・HERO フレイム・ウィングマン ATK3300→0
VS
デコード・トーカー ATK1400
藤木側も攻撃を回避する策を用意していたか。
互いのエースが大剣と右腕の龍頭をそれぞれぶつけ合い衝突する。
つばぜり合いを交わして蹴り、なぎ払い、そしてお互いが左の拳を相手の顔面に叩き込みお互いの主の元へ吹き飛ぶ。
なんでこんなにソリッドビジョンに気合いが入ってるんだろう……
と、少し前に遊城の言っていたデッキのヒーロー達が戦いたくてウズウズしているという言葉を思い出す。
……まさかな。
「やるじゃねえか藤木、お前ホントは強かったんだな!」
「実力を出す必要が無かっただけだ。このデュエルまではな」
「それでも勝つのは俺だ! カードを2枚伏せてエンドフェイズに《融合再生機構》の効果で墓地のエアーマンを手札に戻す! ターンエンド!」
E・HERO フレイム・ウィングマン ATK0→3300
「俺のターン」
藤木がデッキトップに指を掛ける
しかしカードを引き抜くことはなく、その表情には影が落ちる
「……俺はお前の様な奴は嫌いじゃない。だから忠告しておく」
淡々と話していた口調から一転、人へ訴え掛ける実感の籠った口調で藤木は遊城へと語る。
「この世にはお前の想像もつかない様な闇が存在する。一度飲み込まれてしまえば二度と戻れない道。お前はそんな物に関わらず光の道を歩いていけば良い」
「闇……? 何の事だかわからないけど、俺は俺の進みたい道を進む! 誰かの言いなりなんてならないぜ!」
藤木の忠告とやらを気にせず我道を突き進むと宣言する遊城
藤木はそれを黙って聞き届ける。
「自分の、進みたい道……」
堀北が遊城の言葉を反芻する
進みたい道を進む、か。
兄をただ一つの目標とする堀北にとって遊城の姿はどう見えるのだろうか。
「……ドロー」
カードを引き、その憂いた瞳は決闘者の眼へ戻る。
いよいよ仕掛けてくるか。
「永続魔法《サイバネット・コーデック》発動!
そして手札からサイバース・ガジェットを通常召喚!」
サイバース・ガジェット ATK1400
「サイバース・ガジェットの召喚時効果発動! 墓地からレベル2以下のモンスターを特殊召喚する! 俺はレベル2のスタック・リバイバーを特殊召喚!」
スタック・リバイバー DEF600
「現れろ、未来を導くサーキット!
アローヘッド確認、召喚条件はレベル4以下のサイバース族1体!
俺はサイバース・ガジェットをリンクマーカーにセット、サーキット・コンバイン!
リンク召喚、リンク・デコーダー!」
リンク・デコーダー ATK300
「フィールドから墓地に送られたサイバース・ガジェットの効果発動! 俺の場にガジェット・トークンを特殊召喚!」
ガジェット・トークン DEF0
リンク1か、小波のジェネクスもそうだがモンスター1体で墓地送りとEXからの展開を両立するのは本当に強力だな。
と、気付けばターン開始時にデコード・トーカー1体だった場には4体のサイバース達が並んでいる。
デコード・トーカー ATK1400
リンク・デコーダー ATK300
スタック・リバイバー DEF600
ガジェット・トークン DEF0
「再び現れろ、未来を導くサーキット!
召喚条件はサイバース族2体以上! 俺はデコードトーカー、ガジェット・トークン、リンク・デコーダーの3体をリンクマーカーにセット、サーキット・コンバイン!」
弱体化したデコード・トーカー、生成されたトークン、そしてさっきリンク召喚したリンク・デコーダーという贅沢な素材を使用。
リンクマーカーは上、下、そして右下。
「リンク召喚、現れろ! エンコード・トーカー!」
エンコード・トーカー ATK2300
召喚されたのは純白を纏ったモンスター。
巨大な盾を携えており、デコード・トーカーと同じシルエットでありながら真逆の印象を受ける。
「この瞬間リンク素材となったリンク・デコーダー、そして永続魔法《サイバネット・コーデック》の効果発動! デッキから光属性のサイバース族、コンデンサー・デスストーカーを手札に加え、リンク・デコーダーを墓地から特殊召喚する!」
実質リンク値2つ分となるモンスターなのか。
展開と手札補充を同時にこなす無駄の無い動き。
特殊召喚を多用するという弱点がハッキリしている分、回り始めれば止まらない。
「更にリンク召喚! 召喚条件は効果モンスター2体! 俺はスタック・リバイバーとリンク・デコーダーをリンクマーカーにセット!
現れろ、コード・トーカー!」
コード・トーカー ATK1300
「自身の効果で特殊召喚されたリンク・デコーダーは場から離れたので除外される。そして永続魔法《サイバネット・コーデック》の効果により闇属性のマイクロ・コーダーを手札に加え、その効果を適用。このカードは場のサイバースを『コード・トーカー』のリンク素材とする時、手札から素材に出来る!」
手札のモンスターでリンク召喚……。
縛りがあるとはいえ、単純にリンク値を稼ぐだけでも強力だ。
「召喚条件はサイバース族2体以上、手札のマイクロ・コーダーとコード・トーカーをリンクマーカーにセット! サーキット・コンバイン!」
素体となるコード・トーカーに今度は緑の装甲が装着されていく。
そのリンクマーカーは上、左、右を指し示した。
「リンク召喚! 現れろ、エクスコード・トーカー!」
エクスコード・トーカー ATK2300
「エクスコードとマイクロ・コーダー、及び《サイバネット・コーデック》の効果発動! デッキから風属性のリンク・インフライヤーと《サイバネット・オプティマイズ》を手札に加え、使用しているEXゾーンの数まで相手の使用していないメインモンスターゾーンを使用不可とする! グラスプゾーン!」
遊城のモンスターゾーンの一つが潰されたか。
融合モンスターを多用するHEROならまだ何とかなるが展開系のデッキだったら致命傷となりかねない効果だ。
「手札のリンク・インフライヤーの効果により場のリンクモンスターのリンク先に自身を特殊召喚! そして永続魔法《サイバネット・オプティマイズ》発動!
その効果により手札のサイバースを更に追加で召喚する! リンク・インフライヤーをリリースしてコンデンサー・デスストーカーをエンコードのリンク先にアドバンス召喚!」
コンデンサー・デスストーカー ATK2000
「コンデンサー・デスストーカー召喚時効果により自分の他のサイバース1体の攻撃力を800アップさせる。俺はエンコード・トーカーを選択!
そしてエクスコードの効果によりリンク先のエンコードとコンデンサー・デスストーカーの攻撃力を500アップさせて効果破壊を防ぐ!」
エンコード・トーカー ATK2300→2800→3600
コンデンサー・デスストーカー ATK2000→2500
「バトル! コンデンサー・デスストーカーでフレイム・ウィングマンを攻撃!」
コンデンサー・デスストーカー ATK2500
VS
E・HERO フレイム・ウィングマン ATK3300
攻撃力の低いモンスターでの攻撃
あのモンスターに被破壊時効果があるのか、もしくはリンクモンスターに何かがあるな。
「この瞬間エンコード・トーカーの効果発動! リンク先のモンスターが自身より攻撃力の高いモンスターと戦闘するダメージ計算前、そのモンスターとの戦闘ダメージを0にして破壊を防ぐ!
そして戦闘した相手モンスターの攻撃力分、ターン終了までこのカードかリンク先のモンスターの攻撃力をアップさせる! 俺はエンコード・トーカーを選択!」
エンコード・トーカー ATK3600→6900
「攻撃力、6900……!」
「続けてエクス・コードトーカーでフレイム・ウィングマンを攻撃!
『コード・トーカー』の戦闘時、《オプティマイズ》の効果で相手は効果の発動が出来ない! そしてバトルステップに《コード・ハック》の効果を発動、戦闘破壊を防ぎ相手モンスターの攻撃力を0にする!」
「そっちの攻撃でも発動するのか!」
エクスコードの拳とフレイム・ウィングマンの龍頭がぶつかり合い、弾け飛ぶ。
E・HERO フレイム・ウィングマン ATK3300→0
これはさっきの遊城のフレイム・ウィングマンの意趣返し。
エンコードでフレイム・ウィングマンを攻撃すれば素通りの6900ポイントダメージ、Great TORNADOを攻撃すれば超過4100ポイントのダメージ。
どちらを攻撃してもワンショットキルが成立する。
「そういうことかよ! 処理後に速攻魔法《月の書》を発動! フレイム・ウィングマンを裏守備にする!」
E・HERO フレイム・ウィングマン ATK0→DEF1200
「更に罠カード《アームズ・コール》発動! デッキから装備魔法《ビッグバン・シュート》を手札に加え、更に装備可能なモンスターに装備する! 俺はGreat TORNADOに装備!」
E・HERO Great TORNADO ATK2800→3200
《月の書》はモンスター1体を裏守備にする効果。そして《ビッグバン・シュート》は装備したモンスターの攻撃力を400アップさせ貫通を付与するカード。
いつもならこの2枚を使ってフレイムウィングマンで裏守備にした相手モンスターへの貫通と効果ダメージを狙っていたが、今回はダメージ軽減の為に無理矢理使用させられた。
「ならば、エンコード・トーカーでGreat TORNADOへ攻撃!
ファイナルエンコード!」
エンコード・トーカー ATK6900
VS
E・HERO Great TORNADO ATK3200
エンコードの盾から剣先の刃を伸ばし突撃、風のヒーローを一閃し破壊する。
「ぐあああぁぁッッ!!」
遊城十代 LP4000→300
ライフギリギリで耐える遊城。
一撃死をなんとか首の皮一枚で繋いだか。
「ターンエンド」
エンコード・トーカー ATK6900→3600
「すっげぇ……! すっげぇよ! 初めて戦うサイバースの力も、それを使いこなすお前もすげぇ!」
藤木の場には効果破壊耐性を付与するカードが2枚、戦闘で突破しようにも攻撃自体が通らない布陣が出来ている。
状況は完全に不利、その筈なのに遊城はそれでも笑っている。
「俺、この学校に来て良かったって思ってる! この場所なら俺の本気を受け止めてくれる奴が沢山いる、本気でぶつかれる奴がいる!」
藤木の表情とは真逆の顔、太陽の様な遊城の笑顔
「前までなら本気でやれば冷めた目で見られてた。
真面目に指摘すれば拗ねて離れていった……。
強い奴のデッキを真似してロクに効果の把握もしてない奴もいたし、自分より弱い奴ばかりと戦って得意になって自分を棚にあげて説教を垂れる奴もいた……!」
堀北、そして藤木までもが少なからず驚いていた。
遊城が圧し殺していた本音、その独白は強者ゆえの孤独。
競闘のできない歯痒さの吐露。
そしてそれは他人からすれば自分本意の極致。
太陽の様に人を惹き付けるが、近づく程に力無き者はその熱と輝きに焼かれていく。
「付き合ってくれるのは明日香と万丈目くらいになってた。でもここなら……カイザーが、生徒会長が。小波が綾小路が龍園が……! 俺の全力を受け止めてくれる!」
だがあいつは、今のデュエルを本気で楽しんでいるだけなんだ。
「この道が闇でも光でも、ただ突き進むだけだ……!
さあ、藤木! 『最っ高に楽しいデュエル』をしようぜ!
俺のターン、ドロー!」
デッキからカードを引き抜き反撃を開始する。
その動きには迷いなど欠片も存在しなかった。
「エアーマンを召喚して効果発動! デッキからシャドーミストを手札に加えて、《融合再生機構》の効果発動! シャドーミストを捨ててデッキから《融合》を加え、墓地に送られたシャドーミストの効果によりデッキから二枚目のリキッドマンを加える!」
融合可能なのは水、風、闇のヒーロー。
この状況をひっくり返すならあれを使うしかない。
「《融合》発動! エアーマンとリキッドマンを融合させる!
来い! E・HERO アブソルートZERO!」
E・HERO アブソルートZERO ATK2500
「リキッドマンの効果で2枚ドローして1枚捨てる。そして魔法カード《死者蘇生》発動! 墓地のシャドーミストを特殊召喚!」
E・HERO シャドーミスト DEF1500
「シャドーミストの効果発動、デッキから《マスクチェンジ》を手札に加える!」
「マスクチェンジ……」
「速攻魔法発動! 《マスクチェンジ》! 俺の場のHEROモンスターを墓地に送ってそれと同じ属性のM・HEROを特殊召喚する!」
アブソルートの白い仮面が輝き、それと同時に跳躍。
新たにフィールドに降り立ったのは青い仮面のニューヒーロー。
「変身召喚! M・HERO アシッド!」
M・HERO アシッド ATK2800
「墓地に送られたアブソルートZEROとアシッドの効果発動! アシッドでお前の魔法・罠ゾーンのカード、そしてアブソルートでお前のモンスターを全て破壊する!」
「っ……!」
実質的に相手の場のカードを全て破壊する組み合わせ。
本来は生徒会長と再戦する時の対策として温存しておきたかったが、勝つために出し惜しみはしないと決めたようだ。
「だが、エクスコードのリンク先のエンコード及びコンデンサー・デスストーカーは効果破壊されない」
「狙いはエクスコードだ! これで2枚の効果破壊耐性は消えた!
更にアシッドの効果で相手のモンスター全ての攻撃力が300ポイントダウンする!」
エンコード・トーカー ATK3600→3100→2800
コンデンサー・デスストーカー ATK2500→2000→1700
「フレイム・ウィングマンを反転召喚して更に《融合》発動! 手札のバブルマンとフェザーマンを融合!
来い! E・HERO セイラーマン!」
E・HERO セイラーマン ATK1400
E・HERO フレイム・ウィングマン DEF1200→ATK2100
「こいつが俺の切り札だ! 魔法カード《スカイスクレイパー・シュート》発動!
俺のE・HERO融合モンスターを対象にそのモンスターより攻撃力が高い相手モンスターを全て破壊する! 対象はセイラーマン!」
フレイム・ウィングマンの必殺技と同じ名前のカード。
セイラーマンの力を受け取りフレイム・ウィングマンは藤木のモンスター全てを一掃する。
「そしてその中で元々の攻撃力が一番高い分のダメージを与えるぜ!」
藤木遊作 LP3000→700
これが逆境を覆すヒーローの真骨頂。
藤木の場に存在した6枚のカード全てを1ターンで更地に変えた。
「貰った! このままフレイム・ウィングマンでダイレクトアタック!」
「いいや……このデュエル、ここまでだ」
藤木の宣言に攻撃を中断するフレイム・ウィングマン。
フィールドの中心にはさっき破壊したモンスターの一部が転がっていた。
「コンデンサー・デスストーカーが効果で破壊された事により、お互いのプレイヤーは800ポイントのダメージを受ける」
「なっ……!?」
遊城の驚きと同時にフィールドに閃光が走り爆発が起こった。
互いへのダメージを発生させるカード。
オレが前に使った《破壊輪》と類似する効果だがあちらは正確には片方がダメージを受けた後、もう片方に同じダメージを与える処理。
だが、あの効果は全く同じタイミングでダメージを与える。
つまり……
「クッ……!」
遊城十代 LP300→0
「……」
藤木遊作 LP700→0
DRAW!
「引き分け……こんなことってあるのね」
激戦の末の引き分け。
堀北の呟きに対峙していた2人が反応することはなかった。
「引き分けの場合はどうするか決めていなかったな。どうする、もう一度やるか?」
オレの問いに答えること無く藤木はディスクを閉じて背を向ける。
そして
「一つ、佐倉愛里に気を付けてやってくれ。
二つ、俺は誰のファンでもない。
三つ、お前達にこれを渡す」
藤木の言葉と共にオレ達3人の端末にメッセージが届く。
堀北が開くとそこには例の事件に関与したCクラスの男子生徒の普段の素行、そして過去の所業が纏められていた。
「貴方、一体どういうつもり……」
「デュエルが引き分けだった以上、お前の質問に答える必要はない」
言いたいことはそれだけだと歩き去っていく藤木。
せめてもの思いで堀北は最後に問う。
「これだけは聞かせて頂戴。貴方は何が目的なの?」
その言葉に歩みを止めこちらを一瞥し、たった一言だけ返す。
「……俺の目的は、あの『白い部屋』を作った者達への復讐だ」
『惜しかったよなあ。
コンデンサー・デスストーカーをこっちのターンに破壊出来れば、それかあのカードがダメージを与える効果じゃなかったらこっちの勝ちだったのによ~』
「その最後の《スカイスクレイパー・シュート》
あのカードはフィールド魔法が『摩天楼』カードなら破壊した全てのモンスターの元々の攻撃力分の合計のダメージを与えていた。
一手違えば勝っていたというのはお互い様だったという訳だ。
……遊城十代か。アイツの言う通りの実力だったな」
奴の言う『白い部屋』がアレと同じ意味合いを持つかどうかはわからない。
あいつの復讐とやらがオレに関係しているのかも不明瞭だ。
よって現在の情報での判断は保留とする。下手に探って面倒事になるのも避けたいからな。
「く~……! この先の学園生活が更に楽しみになったぜ。なぁ、綾小路!」
「ああ、そうだな」
それに、もし奴がオレの障害になると言うのなら排除するまでだ。
Dance In The Gameの鬱陶しい風の所でヒロイン達が出てくるの
綾小路が彼女達をどんな風に見てるかわかって良いよね