「はぁ・・・」
あたしは昨日の事でため息をついていた。
白夜は昨日から口を聞いてくれない。
「(やっぱり、あんな事言うべきじゃなかったかな?)」
「どした?何かあった?」
「あー、うん、ちょっとね」
あたしに話しかけて来たこの子は藤田ことね。
あたしと同じ初星学園の卒業生で、今はあたしが勤めている職場の同僚だ。
ちなみにあたしは今100プロで事務関連の仕事をさせてもらっている。
「もしかして、白夜くんの事?」
「・・・うん、ちょっと色々あってね。白夜を怒らせる事言っちゃってさ」
「まぁ、あれぐらいの小さい子は色々と複雑だもんね。あたしはまだ子供はいないんだけどさ」
あたし達がそういう話をしていると、
「紫雲さん、社長が呼んでいますので来ていただけますか?」
「社長が?」
社長があたしに用があるという。
あたしは社長室に向かう事にした。
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「失礼します」
「待ってたわ」
社長室で待っていたのは十王星南。
彼女も初星学園の元生徒であり、在学時に一番星にまで昇り詰めた元生徒会長である。
現在は祖父である学園長が経営している100プロの社長である。
「あの、何か御用ですか?」
「ああ、あなたに少し話があるの。いいかしら?」
「は、はい」
「実はね、あなたに相談したい事があるの。あなた、プロデューサーになってみる気はない?」
「えっ?あたしが、プロデューサー?」
「ええ。あなたの旦那様は凄く立派な方だった。私じゃ到底及ばない程に。そんな彼の意志を次ぐ人間はこの先必要だと私は考えているの。そこで、彼を一番よく知るあなたが適任だと思ったという訳よ。あなたは確かにアイドルの経験はあってもプロデューサーの経験はない。だけどあなたは私と同じ一番星、今まで色んなアイドル達を見て来たと思う。どうかしら?あなたがよければで良いんだけど」
社長からの思いがけない相談。
それは旦那である◯◯の意志を継いであたしがプロデューサーになるという話。
確かに悪い話ではない。
だけどあたしは・・・
「社長、その話に関してあたしからも相談があるのですが・・・」
「ほぅ、何かしら?」
暫くして、
「清夏、社長と何話してたの?」
「あたしにプロデューサーをやらないかだって。勿論断って来た」
「えぇ?なんで?プロデューサーの仕事の方が事務の仕事より稼げるのに」
「あたしなんかより、旦那の意志を継げる未来のプロデューサーがいるからさ!」
その時、あたしのスマホに電話がかかってきた。
リーリヤからだ。
「もしもし、リーリヤ?どした?・・・えっ!?白夜が!?」
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あたしは事情を説明した後、直ぐに幼稚園に向かった。
白夜が幼稚園で他の子をぶったらしい。
あたしが幼稚園まで辿り着くと、リーリヤと白夜が門の前で立っていた。
「ごめん、リーリヤ」
「ううん、大丈夫だよ・・・それより、白夜くんが喧嘩した理由を一切話してくれなくて・・・」
あたしはそのまま白夜を連れて帰った後、夜、白夜に喧嘩の理由を訊ねました。
「白夜、正直に言ってくれる?なんで他の子と喧嘩したの?」
「・・・・・・」
「黙っていてもお母さん分からないよ!?もしかして、またお母さんが馬鹿にされたから?」
「・・・・・・」
「ていうか、お母さんと約束したよね!?もう喧嘩はしないって!!」
「・・・なんで?」
「えっ?」
「なんでぼくはみんなにばかにされなきゃいけないの!?なんでおかあさんだけだとだめなの!?」
「白夜・・・」
「ぼく、もうみんなにばかにされるのはいやだよ......」
その場で泣き出してしまう白夜。
あたしはそんな白夜の頭を撫でながら、
「ごめんね......ごめんね......白夜」
こんな小さい子にこんな思いをさせるなんて、あたしは母親として失格だ。
あたしは泣き疲れた白夜をベッドに寝かせた後、とある人物に連絡する事にした。
「もしもし、お義母さん?夜分に突然連絡してすみません。実は、お義母さんに頼みたい事があるんです」