「ねぇ、おかあさん?どこへいくの?」
1週間後、あたしは仕事を休み、幼稚園にも休みの連絡を入れた後、白夜をとある場所に連れて行く事にした。
「白夜、あなた将来お父さんみたいなプロデューサーになりたいって言ったよね?」
「うん」
「だから今日はお母さんが連れて行ってあげる。お父さんとお母さんが出会ったあの場所に」
「もしかして、はつぼしがくえんに?」
「うん・・・その後、お婆ちゃんの所に行こっか」
「えっ?おばあちゃんに会えるの?うん!いく!」
今日はこの子の為にあたしがしてあげられる事をしよう。
後悔しないように・・・
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「ようこそ、初星学園へ。お久しぶりですね、紫雲さん」
「すみません、根緒先生。急なお願いを聞いてもらっちゃって」
「いいんですよ。それに、未来のプロデューサー君が見学に来るなら、私はいつでも大歓迎ですよ。こんにちは、白夜くん」
「こ、こんにちは」
根緒先生は、◯◯もお世話になっていた初星学園の先生だ。
暫く白夜を連れて学園を周った後、エントランスの椅子に座り先生と話した。
「あの子、彼に似てますね」
「はい。まさかプロデューサーになりたいと言い出すとは思いませんでした。白夜は旦那の顔を知りませんから」
「でも、あの子には彼の意志が宿っているようです。きっとあの子も、彼のようなプロデューサーになれますよ」
「ありがとうございます・・・それはそうと先生?」
「はい、なんですか?」
「ことねっちから聞いたんですが、先生は今活動をしてるって本当ですか?咲季っちとあの子のプロデューサーにあった事が理由ですよね?咲季っちは同じクラスでしたし、あの子のプロデューサーは旦那と友達でしたから・・・」
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〜学園時代〜
「Pっち、どした?」
「・・・ああ、清夏か。君は聞いたかい?花海さんや彼女のプロデューサーの事」
「うん、今学園内はその話で持ちきりだよ」
「こんな事があっていいのか!クソッ、俺はあいつの友達なのに、何も力になってやれなかった!!」
「Pっち・・・」
「清夏、俺は間違っていると思ってる。あいつは優秀なプロデューサーだ!俺なんかよりもずっと!なのに、今はああやって権力に物を言わせて好き勝手な事をする奴等がいる!そういう奴等に優秀な人材が潰されるなんてあってはならない事だ!俺はいつか、そんな奴等がこの学園で好き勝手出来ないようにしたいと思ってる。此処は本気でプロデューサーやアイドルを目指す子達が来る場所だから!」
強い決意で語るPっちを、あたしは抱き締めながら言う。
「うん、Pっちなら出来るよ。だってPっちは凄いから。あたし、Pっちに会えなかったらここまで来れなかった。そんなPっちなら、きっと学園を変える事も出来るって信じてるよ」
「ありがとう、清夏」
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「(Pっちの意志は、色んな所で残り続けてるんだなぁ)」
初星学園を去った後、あたしはそんな事を考えながら歩いていた。
◯◯の意志は色んな人達の中に残っている。
きっと白夜もそうなのだろう。
「白夜」
「なに?おかあさん」
「白夜は、これから色んな人と出会うと思う。その中には良い人もいれば悪い人もいる。白夜の事を邪魔しに来る人もいるかもしれない。だけど、これだけは覚えておいて。どんなに馬鹿にされても、夢を忘れなければ人間は生きていける。白夜は強い子になってね。お母さん、ずっと見てるから・・・」
「うん・・・」
「よし!じゃあお婆ちゃんの所に行こっか!」
あたしは白夜と手を繋ぎ歩き出す。
しかし、白夜は下を向いたままだった。
「白夜、どした?」
「・・・ううん、なんでもない。すこしねむいだけ」
「そっか。ならお母さんの背中に乗りな。お婆ちゃんちに着いたら起こしてあげるから」
あたしは白夜をおんぶする。
白夜は今は5歳。
すっかり大きくなったもんだ。
「(白夜・・・大きくなったね)」
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「お久しぶりです、お義母さん」
「清夏ちゃん、久しぶり」
眠る白夜を連れて来た場所は◯◯の実家。
あたし達が住んでる場所から然程遠くない場所にある。
あたしにはもう頼る人間が数人しかいない。
自分の両親とは学園を卒業してから疎遠になっており、頼れるのは◯◯の母、つまりお義母さんしかいなかった。
「突然の事ですみません」
「私は別に大丈夫よ。だけど、あなたはそれでいいの?あなた頑張っているじゃない!あの子が亡くなって以降も、一人で白夜ちゃんを育てて来たじゃない!?」
「・・・はい。だけど、もうこの子に辛い思いはさせたくないんです。お義母さん、この子は◯◯のようなプロデューサーになる事が夢なんです。どうか白夜の事、よろしくお願いします!」
あたしはお義母さんに精一杯頭を下げた。
そんなあたしにお義母さんは、
「せめて、白夜ちゃんに別れの挨拶はしたら?」
「いえ、そうすると余計に辛くなりますから、この子が眠っている間にいなくなろうと思っています。それでは・・・お義母さんもお元気で」
「ちょっと、清夏ちゃん!!・・・あなた絶対に間違った事は・・・」
あたしは白夜をお義母さんに預けて、その場を去った。
あたしは、母親として最低な選択肢を取った。
白夜はあたしなんかと一緒にいたらこれからも馬鹿にされ続ける、白夜の為を思い、あたしは白夜の前から姿を消す事にした。
「もしもし、リーリヤ?」
「清夏ちゃん?・・・どうしたの?」
「リーリヤ......今までありがとう......あたしなんかの友達になってくれて......」
「どうしたの?・・・何かあった?」
「ううん......リーリヤにそう伝えたかっただけ......白夜の事、これからもよろしくね」
「ちょっと待って清夏ちゃん・・・やっぱり何か様子が・・・」
あたしは電話を切り、とある場所へと向かった。
其処は、あたしにとっても忘れられない場所。
「Pっち......あたしもそっちに行くね」