千舞達は魂絡繰に飲み込まれ、その中で別の魂絡繰がヒロアキと先生を食べた事を知る。
彼らは魂絡繰の隠世を探索し、そこで新聞記事の形で殺人事件の記録を見つける。
これらの記事は、魂絡繰が生前に殺した子供達の遺品を集めていた。
千舞達は魂絡繰が連続殺人犯であった事を理解し、彼を祓う事を決意する。
そして連続殺人犯な魂絡繰を倒し、彼の中に閉じ込められていた霊達を解放する。
しかし戦いの後、ヒロアキと先生は成仏――つまり、消えてしまった。
あの事件の後、千舞は流と一緒に、オバケ廃墟に行ってみた。
また、希華も付き添っている。
オバケ廃墟は三年前のままで、倒れた鉄パイプも同じ場所に転がっているが、
今は千舞は少しも怖くないと思っており、窓の新聞紙をはがすと普通に明るい。
「昔、ここでちぃを襲った幽霊……多分、この前に祓ったナイフの魂絡繰だ」
「え? あの、殺人犯の?」
「そう。子供を次々殺しては、地下に殺人の記念品をコレクションして魂絡繰化した霊達に、
復讐で呪い殺されたんだ」
「恐ろしいのであります」
「それで、自分も魂絡繰になった?」
流と希華は頷く。
「そっか……あの魂絡繰をやっつけたから、もう全然怖い感じがしないんだね。
ここはもう、オバケ廃墟じゃなくなったんだ」
窓から差し込む光で、埃がくるくると踊っている廃墟を、千舞はぐるりと見回す。
「明日、ここに【ギャラリー】の職員が調査に入ります。
多分、ヒロアキ殿や先生の死体、殺人犯の死体が見つかると思うのであります」
「ヒロアキ君達、消えちゃったけど……あれって成仏したって事?」
「実は、人間が死んだらどうなるのかは、誰にも分からないのであります。
エルフならずっと世界に縛られますが……でも、悲しかった事や、
苦しかった事を全部忘れて、幸せになれてるといいでありますね」
「うん……そうだね」
「わたしはまだまだ消えたりしないわよ! やりたい事、いーっぱいあるんだから!
ちぃちゃんがおばあちゃんになるまで、わたしはちぃちゃんの友達だからね!」
「そうだろうよ。こいつは執念深いからな」
リリー人形は相変わらず元気いっぱいで、十狼太は少々意地悪だ。
いがみ合う人形と狼のぬいぐるみが、掴み合いのケンカにならないように、
千舞、希華、流はそっと二人の距離を遠ざける。
「リュウ君と希華さんは、これからどうするの? また海外に行っちゃうの?」
「あ、自分は引っ越し手続きは済ませましたよ」
「オレも、もう少しこの町にいるよ。魂絡繰の気配が、思った以上に多いんだ。
リリー人形の言う通り……多分、ちぃに釣られて集まってきてる」
「え!? 怖い!」
千舞はリリー人形を抱きしめた。
「【ギャラリー】からは、正式に希華と一緒にちぃの護衛に任命されたよ。
そうそう、明日からオレと希華も、ちぃと同じ学校に通うんだ」
「リュウ君と希華さんが!? 先輩になるって事!?
でも、編入試験、凄く難しくなかった……!?」
「え? いや別に……」
「自分は、ちょっと……」
けろりとして答えた流に、千舞は震え上がってしまった。
逆に、希華はあまり勉強が得意ではないようで、苦戦してしまったようだ。
「リュウ君、頭いいんだね」
「苦手な教科があるなら、教えてあげられるけど」
「ほんとに!? それって、何だか昔みたいだね!」
千舞が質問して、流が答えて、千舞は物知りになったような気分になれる。
彼女はそんな時間が大好きだった。
「じゃあ……これからまたよろしくね、リュウ君、希華さん」
「自分、騎士になりますからね!」
こうして、流と希華は青翠学園に編入し、千舞の騎士となった。
彼らの戦いは、まだ終わらなかった。