とある少女の呪物回収(ノロイアツメ)   作:アヤ・ノア

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~前回までのあらすじ~

千舞達は魂絡繰に飲み込まれ、その中で別の魂絡繰がヒロアキと先生を食べた事を知る。
彼らは魂絡繰の隠世を探索し、そこで新聞記事の形で殺人事件の記録を見つける。
これらの記事は、魂絡繰が生前に殺した子供達の遺品を集めていた。
千舞達は魂絡繰が連続殺人犯であった事を理解し、彼を祓う事を決意する。
そして連続殺人犯な魂絡繰を倒し、彼の中に閉じ込められていた霊達を解放する。
しかし戦いの後、ヒロアキと先生は成仏――つまり、消えてしまった。


14~二人は騎士になる

 あの事件の後、千舞は流と一緒に、オバケ廃墟に行ってみた。

 また、希華も付き添っている。

 オバケ廃墟は三年前のままで、倒れた鉄パイプも同じ場所に転がっているが、

 今は千舞は少しも怖くないと思っており、窓の新聞紙をはがすと普通に明るい。

 

「昔、ここでちぃを襲った幽霊……多分、この前に祓ったナイフの魂絡繰だ」

「え? あの、殺人犯の?」

「そう。子供を次々殺しては、地下に殺人の記念品をコレクションして魂絡繰化した霊達に、

 復讐で呪い殺されたんだ」

「恐ろしいのであります」

「それで、自分も魂絡繰になった?」

 流と希華は頷く。

「そっか……あの魂絡繰をやっつけたから、もう全然怖い感じがしないんだね。

 ここはもう、オバケ廃墟じゃなくなったんだ」

 窓から差し込む光で、埃がくるくると踊っている廃墟を、千舞はぐるりと見回す。

 

「明日、ここに【ギャラリー】の職員が調査に入ります。

 多分、ヒロアキ殿や先生の死体、殺人犯の死体が見つかると思うのであります」

「ヒロアキ君達、消えちゃったけど……あれって成仏したって事?」

「実は、人間が死んだらどうなるのかは、誰にも分からないのであります。

 エルフならずっと世界に縛られますが……でも、悲しかった事や、

 苦しかった事を全部忘れて、幸せになれてるといいでありますね」

「うん……そうだね」

「わたしはまだまだ消えたりしないわよ! やりたい事、いーっぱいあるんだから!

 ちぃちゃんがおばあちゃんになるまで、わたしはちぃちゃんの友達だからね!」

「そうだろうよ。こいつは執念深いからな」

 リリー人形は相変わらず元気いっぱいで、十狼太は少々意地悪だ。

 いがみ合う人形と狼のぬいぐるみが、掴み合いのケンカにならないように、

 千舞、希華、流はそっと二人の距離を遠ざける。

 

「リュウ君と希華さんは、これからどうするの? また海外に行っちゃうの?」

「あ、自分は引っ越し手続きは済ませましたよ」

「オレも、もう少しこの町にいるよ。魂絡繰の気配が、思った以上に多いんだ。

 リリー人形の言う通り……多分、ちぃに釣られて集まってきてる」

「え!? 怖い!」

 千舞はリリー人形を抱きしめた。

「【ギャラリー】からは、正式に希華と一緒にちぃの護衛に任命されたよ。

 そうそう、明日からオレと希華も、ちぃと同じ学校に通うんだ」

「リュウ君と希華さんが!? 先輩になるって事!?

 でも、編入試験、凄く難しくなかった……!?」

「え? いや別に……」

「自分は、ちょっと……」

 けろりとして答えた流に、千舞は震え上がってしまった。

 逆に、希華はあまり勉強が得意ではないようで、苦戦してしまったようだ。

 

「リュウ君、頭いいんだね」

「苦手な教科があるなら、教えてあげられるけど」

「ほんとに!? それって、何だか昔みたいだね!」

 千舞が質問して、流が答えて、千舞は物知りになったような気分になれる。

 彼女はそんな時間が大好きだった。

 

「じゃあ……これからまたよろしくね、リュウ君、希華さん」

「自分、騎士になりますからね!」

 

 こうして、流と希華は青翠学園に編入し、千舞の騎士となった。

 彼らの戦いは、まだ終わらなかった。

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