千舞達は遺体安置室に到着し、そこで彼らは影の看護師に遭遇する。
千舞は遺体安置室に引きずり込まれ、ロッカーに閉じ込められるが、
四つ葉のクローバーのお守りが彼女を救った。
その後、彼らはヤマザト カエと対峙し、彼女を怒りと恨みが動かしている事を知る。
だが、カエの妹ノゾミによって怒りが和らぎ、病院の呪いが弱まる。
千舞達は病院を離れ、神隠しから戻った人々がどうなるのかを考えるのだった。
血まみれ病院は、たくさんの呪いの集合体だ。
呪いが完全になくなったわけではなく、今もふらっと、どこかの町に現れるかもしれない。
それでも、今までよりはずっと安全になったのは間違いない。
ヤマザト カエとヤマザト ノゾミが努力すれば、
行き場に困った魂が安らげる場所になるかもしれない。
そのような報告を【ギャラリー】にして、
血まみれ病院の事件は解決扱いになったと、希華から連絡があったのは昨日の事だ。
血まみれ病院事件から一週間が経過した。
希華は、カードゲーム「マジカル&ソーサリア」で所謂「決闘ごっこ」をしていた。
「大天使ミカエルでアタックであります! これで貴殿のライフは0であります!」
「ぐあっ! やられた!」
希華のエースユニット「大天使ミカエル」が対戦相手に攻撃し、決着がついた。
彼女は火と光の攻守バランスデッキを使っており、勝率はそれなりに高かった。
「強いなぁ、希華は。リーグに出られるんじゃないか?」
「まだまだ、自分の実力はそんなに高くないのであります。さらに高みを目指すのであります!」
希華は向上心が強く、一勝したくらいでは満足しない。
高みを目指し、「マジカル&ソーサリア」でトップクラスの実力を得る……
それもまた、希華が望んだ事であった。
「それじゃあ、頑張って優勝しろよ!」
「はい! そちらこそ、頑張ってください!」
決闘ごっこの後、希華と対戦相手はお互いに手を振って別れる。
戦いの後に友情が生まれるのが、健全な関係である。
またいつか対戦したいなと、お互いに思うのだった。
その頃、千舞、流、シズカ、キクノはというと。
「もっと腕を振って! ゴールより遠くを見て走って!」
「ちょ、ちょっと待ってキクノちゃん! もう無理! 休ませて!」
「ダメダメ! 体が温まってるうちに、もう十本!」
キクノのスパルタコーチによって、千舞は走る練習をしている。
何せ、血まみれ病院でのキクノは、非常に足が速かったからだ。
そのため、千舞も、キクノと同じとは言わないまでも、
十歩後ろをどうにかついていけるくらいのスピードで走れればなと思っていた。
「やっぱり無理ぃ! わたし、十狼太さんに乗っけてもらうからやっぱり走らなくていい!」
「もー! そんなんじゃオバケに食べられちゃうよ!」
キクノは真剣だ。
今回、血まみれ病院でオバケに追いかけ回されたせいか、
前にもまして真剣に練習に打ち込んで、自己ベスト記録を更新しまくっている。
ボーイッシュでスポーツ万能なキクノには、ファンも多いため、彼らも毎日大興奮だ。
もちろん陸上クラブの先生も「世界大会を目指しましょうね!」と興奮している。
千舞はそんなキクノの練習から逃げるように、
ずりずりと足を引きずってグラウンドの端に座り込んだ。
火照った体に風が涼しくて、千舞は仰向けに倒れ込む。
その顔を、流が上からひょいと覗き込んできたので、マナは慌てて飛び起きた。
「リュ、リュウ君!? どうしたの?」
「いや、練習してるのが見えたから。……陸上始めたんだな」
「始めたっていうか……もうちょっと速く走れるようになった方が、
オバケから逃げやすいかなって」
「あぁ……いいかもな。剣道も習うか? オレ教えられるけど」
「もうスポーツはしばらくいいよぉ!」
千舞は疲れ果ててまた地面に寝転がる。
すると……。
「シズカは合気道やってるよ。合気道習う?」
流とそっくりな女の子に顔を覗き込まれて、千舞はまた飛び起きる。
「シズカちゃん!? どうしてここに!?」
「どうしてだと思う?」
「えっと……リュウ君のところに遊びに来た?」
「はーずれ」
シズカは、千舞の顔の前に指でバッテンを作る。
「あのね、シズカこの学校に入学するの」
「え!? 凄い! 編入試験大変だったでしょ!?」
実は、千舞は初等部からの編入組だ。
青翠学園は初等部から高校までの全寮制一貫校で、
初等部から入学している人は試験なしで高校まで行けるが、
編入試験は非常に難しい事で有名だった。
「そんなにむずかしかった? シズカ結構間違えたと思うけど、入れたよ」
「オール九十点以上。
オレは中等部だからあんまり様子を見に来られないけど、ちぃは寮も同じだろ?
時々でいいから、気にかけてやってくれるとありがたいなって」
「も、もちろんだよ! よろしくね、シズカちゃん」
千舞が笑いかけると、シズカは、血まみれ病院で初めて会った時のように、
クールにつんと澄ましてみせる。
「青翠学園、初等部二年、集堂シズカです。よろしくお願いします」
そして、彼女は礼儀正しく頭を下げた。