とある少女の呪物回収(ノロイアツメ)   作:アヤ・ノア

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~前回までのあらすじ~

千舞達は遺体安置室に到着し、そこで彼らは影の看護師に遭遇する。
千舞は遺体安置室に引きずり込まれ、ロッカーに閉じ込められるが、
四つ葉のクローバーのお守りが彼女を救った。
その後、彼らはヤマザト カエと対峙し、彼女を怒りと恨みが動かしている事を知る。
だが、カエの妹ノゾミによって怒りが和らぎ、病院の呪いが弱まる。
千舞達は病院を離れ、神隠しから戻った人々がどうなるのかを考えるのだった。


25~兄妹の再会

 血まみれ病院は、たくさんの呪いの集合体だ。

 呪いが完全になくなったわけではなく、今もふらっと、どこかの町に現れるかもしれない。

 それでも、今までよりはずっと安全になったのは間違いない。

 ヤマザト カエとヤマザト ノゾミが努力すれば、

 行き場に困った魂が安らげる場所になるかもしれない。

 そのような報告を【ギャラリー】にして、

 血まみれ病院の事件は解決扱いになったと、希華から連絡があったのは昨日の事だ。

 

 血まみれ病院事件から一週間が経過した。

 希華は、カードゲーム「マジカル&ソーサリア」で所謂「決闘ごっこ」をしていた。

 

「大天使ミカエルでアタックであります! これで貴殿のライフは0であります!」

「ぐあっ! やられた!」

 希華のエースユニット「大天使ミカエル」が対戦相手に攻撃し、決着がついた。

 彼女は火と光の攻守バランスデッキを使っており、勝率はそれなりに高かった。

「強いなぁ、希華は。リーグに出られるんじゃないか?」

「まだまだ、自分の実力はそんなに高くないのであります。さらに高みを目指すのであります!」

 希華は向上心が強く、一勝したくらいでは満足しない。

 高みを目指し、「マジカル&ソーサリア」でトップクラスの実力を得る……

 それもまた、希華が望んだ事であった。

 

「それじゃあ、頑張って優勝しろよ!」

「はい! そちらこそ、頑張ってください!」

 決闘ごっこの後、希華と対戦相手はお互いに手を振って別れる。

 戦いの後に友情が生まれるのが、健全な関係である。

 またいつか対戦したいなと、お互いに思うのだった。

 

 その頃、千舞、流、シズカ、キクノはというと。

 

「もっと腕を振って! ゴールより遠くを見て走って!」

「ちょ、ちょっと待ってキクノちゃん! もう無理! 休ませて!」

「ダメダメ! 体が温まってるうちに、もう十本!」

 キクノのスパルタコーチによって、千舞は走る練習をしている。

 何せ、血まみれ病院でのキクノは、非常に足が速かったからだ。

 そのため、千舞も、キクノと同じとは言わないまでも、

 十歩後ろをどうにかついていけるくらいのスピードで走れればなと思っていた。

「やっぱり無理ぃ! わたし、十狼太さんに乗っけてもらうからやっぱり走らなくていい!」

「もー! そんなんじゃオバケに食べられちゃうよ!」

 キクノは真剣だ。

 今回、血まみれ病院でオバケに追いかけ回されたせいか、

 前にもまして真剣に練習に打ち込んで、自己ベスト記録を更新しまくっている。

 ボーイッシュでスポーツ万能なキクノには、ファンも多いため、彼らも毎日大興奮だ。

 もちろん陸上クラブの先生も「世界大会を目指しましょうね!」と興奮している。

 千舞はそんなキクノの練習から逃げるように、

 ずりずりと足を引きずってグラウンドの端に座り込んだ。

 火照った体に風が涼しくて、千舞は仰向けに倒れ込む。

 その顔を、流が上からひょいと覗き込んできたので、マナは慌てて飛び起きた。

「リュ、リュウ君!? どうしたの?」

「いや、練習してるのが見えたから。……陸上始めたんだな」

「始めたっていうか……もうちょっと速く走れるようになった方が、

 オバケから逃げやすいかなって」

「あぁ……いいかもな。剣道も習うか? オレ教えられるけど」

「もうスポーツはしばらくいいよぉ!」

 千舞は疲れ果ててまた地面に寝転がる。

 すると……。

 

「シズカは合気道やってるよ。合気道習う?」

 流とそっくりな女の子に顔を覗き込まれて、千舞はまた飛び起きる。

「シズカちゃん!? どうしてここに!?」

「どうしてだと思う?」

「えっと……リュウ君のところに遊びに来た?」

「はーずれ」

 シズカは、千舞の顔の前に指でバッテンを作る。

「あのね、シズカこの学校に入学するの」

「え!? 凄い! 編入試験大変だったでしょ!?」

 実は、千舞は初等部からの編入組だ。

 青翠学園は初等部から高校までの全寮制一貫校で、

 初等部から入学している人は試験なしで高校まで行けるが、

 編入試験は非常に難しい事で有名だった。

「そんなにむずかしかった? シズカ結構間違えたと思うけど、入れたよ」

「オール九十点以上。

 オレは中等部だからあんまり様子を見に来られないけど、ちぃは寮も同じだろ?

 時々でいいから、気にかけてやってくれるとありがたいなって」

「も、もちろんだよ! よろしくね、シズカちゃん」

 千舞が笑いかけると、シズカは、血まみれ病院で初めて会った時のように、

 クールにつんと澄ましてみせる。

 

「青翠学園、初等部二年、集堂シズカです。よろしくお願いします」

 そして、彼女は礼儀正しく頭を下げた。

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