リリカル・ストラトス~黒き帝王は魔導師~ (一時更新停止) 作:妖精絶対許さんマン
「ふぅ・・・」
一夏を倒し、ピットに戻ると姉さんと山田先生がいた。
「お疲れ様です、秋くん」
「いえ、大したことはありません」
代表候補生と聴いて少しばかり楽しみにしてたんだが・・・
「・・・弱かったな」
本音が出てしまったな。(けして布仏本音の方じゃないぞ!)
「よ、弱かった・・・?あの、秋くん。オルコットさん、いちをイギリスの代表候補生なんですけど・・・?」
あ、聞こえてたみたいだな。
「独り言なので気にしないでください」
「でも・・・」
「気にしないでください」
少し力強く言った。
「は、はいぃぃ」
山田先生が少し涙眼になった。
「あ、そうだ。山田先生、外泊許可をもらえませんか?」
桃子さんに電話する前に外泊許可を貰わないとな。
「え?あ、はい!なら、こちらの用紙を渡しますので記入が終わったら私か織斑先生に渡してください!」
「わかりました」
「あと、これを必ず読んでおいてくださいね」
山田先生が渡してきたのは・・・なんだこれ?
IS起動におけるルールブックって書いてある本なんだが・・・
辞書何冊分だよ。と言いたくなぐらい分厚い本を渡された。
「わ、わかりました。それでは失礼します」
「え?一夏くんの試合を見ていかないんですか?」
一夏の試合・・・か。
「興味ありませんよ。どうせ負けるでしょうし」
俺はアリーナから出ていこうとすると・・・
「少し待て、織斑弟。山田先生、先に管制室に戻っておいてください」
「は、はい!わかりました!」
姉さんに止められました。
「・・・何かようですか、織斑先生?」
「織斑弟。オルコットの試合で使った技。あれはなんだ」
紫電一閃のことか。
「俺の師とも呼べる人から教わったんですよ」
「なに?お前は剣道を辞めたんじゃないのか?」
「ええ、辞めましたよ、“剣道"は。あれは剣術の類いです。それだけなら失礼しますよ。電話したいとこもありますので」
俺は姉さんに背を向けて、アリーナを出ていく。
「秋、お前は何故、『力』を求めるんだ」
俺は姉さんの言葉に思わず足を止めてしまう。
「『力』を求める理由・・・か。俺は大きな罪を背負ってるんだよ」
「罪?」
「あぁ。俺に力がなかったから、知恵がなかったから、救えたかも知れない2人の命を救えなかった。そのせいで、俺は2人の少女に一生消えないかもしれない心の傷をおわせてしまった!」
知らず知らず手に力が入っていった。
フェイトの母、プレシア・テスタロッサと『夜天の書』の管制人格、リインフォース。
どちらも救えたかもしれない命だ。
「俺に力があれば、ぶん殴ってでも止めれたかもしれない!
俺に知恵があれば、他に救える方法を思い付いたかもしれない!!」
フェイトとはやて。俺より年下なのに眼の前で自分の大切な人を失ったのに、それでも前に、未来に向かって歩いていこうとしている。
「だから、俺は!!止められるだけの『力』を求める!!他の方法を思い付くだけの『知恵』を求める!!それだけだ!!!」
気がつけば右手から血が垂れていた。
「はぁ・・・はぁ・・・。失礼します」
俺は今度こそアリーナから出ていった。
~千冬side~
普段、あまり感情を表に出さない秋があそこまで大声をあげて叫ぶのは珍しい。
しかし、秋の話が分からない。ただ分かるのが、秋の声がどこか慟哭に聞こえることだけだ。
~千冬sideend~
「桃子さんに電話を掛けないと・・・」
右手をポケットに入れてスマホを取り出そうとすると・・・
「いたっ!」
そうだった・・・。血が出ているの忘れてた。
「止血しないとな・・・」
左のポケットからハンカチを取りだし、右手に巻く。
「これでよし」
さてと、今が4時30分だから・・・翠屋の方に掛けるか。
電話帳から翠屋の電話番号を押す。
プルプル、プルプル、ガチャッ
『はい、翠屋です』
電話に出たのは美由紀さんだった。
「あ、美由紀さんですか?お久し振りです、織斑秋です」
『え!しゅ、秋くん!?』
高町美由紀さん。高町家の長女で高町なのはのお姉さん。小太刀二刀御神流の使い手だ。俺も御神流を短い期間習っていたが、士郎さんが「秋くんは二刀流より一刀の方が向いているみたいだね」と言われたので一刀で鍛えさせてもらった。
美由紀さんは俺と喋る時はいつも顔を赤くする。理由を聴いても「え、あ、うぅ・・・」とドもるのでいまだに分からない。
「美由紀さん、桃子さんは居ますか?」
『お母さん?うん、居るよ』
「すいません、変わってもらっても良いですか?」
『え!?うん・・・。わかった・・・』
何故か急に美由紀さんの声のトーンが落ちた。
『はい、お電話変わりました』
「あ、桃子さんですか?お久し振りです、織斑秋です」
『久し振りね、秋くん。ところでどうしたの?』
「厚かましいお願いになるんですけど、今週の土曜日に泊りにいかさせてもらって良いですか?」
『泊りに来るのは大歓迎だけど良いの?秋くんIS学園に居るんでしょ?』
「大丈夫です。外泊許可が降りますんで」
『それなら分かったわ。土曜日待ってるわね。この事はなのはに言っておきましょうか?』
「なのはには秘密にしておいてください。あとは、フェイト達にも」
『ふふ、分かったわ。それじゃあ、土曜日。待ってるわね』
「はい、ありがとうございます」
桃子さんとの電話が終わり、スマホを納す。
「さて、部屋に帰るか・・・。そういえばたっちゃん先輩はどこに行ったんだ?」
まあ、良いか。部屋に居るだろうし。
~オマケ~
「お母さん。秋くんと何を話してたの?」
「秋が「土曜日泊りに行っても良いですか?」って」
「え!?ホント!お母さん何て言ったの!!」
「もちろん、OKしたわよ」
「やった!秋くんに会える♪」
それから一週間、翠屋ではやたらとご機嫌な美由紀の姿が見られたそうだ。
第15話でした。