リリカル・ストラトス~黒き帝王は魔導師~ (一時更新停止) 作:妖精絶対許さんマン
「頑張ったじゃない、秋!」
神社の裏山にある拓けた丘で黒色の布地に椿が描かれた着物を着た女性と小学校低学年ほどの少年がいた。
「秋は頑張れば出来るんだから、もっと自信を持ちなさい」
「うん!」
少年は嬉しそうな顔から一転、悲しそうな顔をした。
「でも・・・姉さんは誉めてくれなかった・・・」
「秋・・・」
女性は少年を抱き締めた。
「秋は頑張ってるわ。その頑張りがわからない織斑千冬が悪いのよ」
「でも・・・」
「大丈夫。秋の頑張りは私が知ってる。だから悲しそうな顔をしないの」
「うん・・・」
女性は少年の髪を掬うように撫でる。
「ん・・・」
少年は撫でられて気持ちよくなったのか目蓋を閉じ始めた。
「おやすみ、秋。時間が来たら起こしてあげる」
「うん・・・おやすみ■■・・・」
少年は女性の胸の中で眠りに着いた。
「ふふ・・・」
女性は少年を優しく、壊れないように抱き締めた。
「ん・・・夢・・・?」
夢を見た気がするけど・・・なんの夢だっけ?
「にゃあ・・・しゅーくん・・・」
隣を見るとなのはが俺に抱きついて寝ていた。
「そういえば昨日なのはと一緒に寝たんだっけ?」
俺は首を動かし、壁にかけている時計を見ると7時半だった。
「桃子さんの手伝いでもするか」
とりあえず俺に抱きついて寝ているなのはを引き剥がさないとな。
寝ているなのはと格闘すること5分。なのはをひっぺがすこことに成功した。
「おはよう、ブレッシングハート」
『おはようございます、マスター!』
ブレッシングハートはあい変わらず明るいな。そのくせ戦闘になると冷静に俺のサポートをしてくれるから頼りになる。
「ブレッシングハート、今日の予定はわかってるな?」
『はい!シグナムさんとの模擬戦ですね!しっかりとサポートさせていただきます!』
「それに・・・“あの魔法"を使う。サポートは頼んだぞ?」
『“あの魔法"ですか?わかりました!全力でサポートさせてもらいます!』
「頼む」
俺はそれだけ言うとなのはに布団をかけ直し、カバンから着替えを出して着替え始める。着替え終わり何となくなのはの方を見るとなのはの顔が赤くなっていた。熱があるのかと思い額に手を置き確認すると熱はなかったのでそのまま寝かせて置いて、俺はリビングに向かった。
「にゃあ・・・秋くんの裸見ちゃった・・・」
「おはようございます、桃子さん」
「おはよう、秋くん」
リビングに行くと桃子さんが朝食の準備をしていた。
「手伝いますね」
「ありがとう、秋くん」
俺は桃子さんが作った料理をテーブルに並べていると士朗さんと美由希さんがリビングに入ってきた。
「おはよう、桃子、秋くん」
「おはよう、お母さん、秋くん!」
ヤバイ・・・昨日のバスタオル姿の美由希さんを思い出して美由希さんを直視できない!たっちゃん先輩の時は何にもなかったのに!
「おはようございます、士朗さん、美由希さん」
落ち着くんだ、俺。いつも通りの冷静な俺になるんだ。
「どうしたの、秋くん?顔が赤いよ?」
うっそぉ!?なんで赤くなってるんだよ俺の顔!?
「うーーーん。熱はないね」
えっーーー?な、なんで美由希さんの顔が目の前にあるんだ?なんで桃子さんと士朗さんはニヤニヤ笑ってるの?そして俺は今、自分がどういう状況か理解した。美由希さんの額と俺の額がぴったりとくっついていた。
「な、なのはを起こしてきますね!?」
俺は美由希さんから逃げるようにリビングから飛び出した。
「なのは、起きてるか?」
顔の火照りが治まったのを確認して俺が寝ていた客間の扉を開くと衝撃的な光景を見てしまった。
「クンクン・・・秋くんの匂い♪・・・クンクン」
俺が使っていた枕に顔を押し付けて匂いを嗅いでいるなのはがいた。
「・・・なのは」
「クンクン・・・にゃ!?」
なのはは俺に気づいたのか枕から顔を上げて固まった。
「しゅ、秋くん!?ど、どこから見てたの!?」
「どこからって・・・最初から」
俺がそう言うとなのはの顔がゆでダコのように赤くなった。
「安心しろ、なのは」
「秋くん・・・」
なのはの肩に手を置き俺は・・・
「なのはが匂いフェチの変態さんでも気にしないからな!」
なのはに止めを刺した。
なのはは俯き、プルプル震えだした。
「私は・・・私は匂いフェチの変態さんじゃないもん!!」
「あ、朝食出来てるからリビングに来いよ」
「無視!?ねえ、無視は酷くないかな!?」
「じゃあな~」
俺はなのはを客間に置いてリビングに戻っていった。
「秋くん、今日はどうするの?」
桃子さんが作った朝食を食べていると美由希さんが俺の今日の予定を聞いてきた。
「9時からシグナムと模擬戦をしてからIS学園の方に戻るつもりです」
「シグナムさんと?」
「ああ、ちょっと腕が鈍ったみたいだからな。シグナムと戦って少しは勘を取り戻そうと思ってな」
「私も行っていい?」
「来てもいいが・・・面白くないと思うぞ?」
「大丈夫。これからの参考にするから」
なんだか将来なのはがワーカホリック(仕事中毒)になってそうだな。なお、俺と美由希さんとなのはが喋っているのを桃子さんと士朗さんがニヤニヤ笑ってみていた。
「お世話になりました、桃子さん、士朗さん、美由希さん」
「元気でね、秋くん」
「またいつでもおいで、秋くん」
「元気でね、秋くん!」
朝食も食べ終わり桃子さん達が見送りしてくれている。
「はい。ありがとうございました」
ホント海鳴市は女尊男卑何て思想とはかけ離れてていい町だよな。
「行くか、なのは」
「うん!」
~少年少女(幼女?)移動中~
高町邸から歩くこと5分。俺となのはが海鳴公園に行くとすでにシグナムとシャマル、それにはやてとフェイトがいた。
「悪い、待たせたなシグナム、シャマル。それに久し振り、はやて、フェイト」
「私達も今来たところだ」
「ええ、気にしないで」
ふっとはやてとフェイトが何も言ってこないことが気になり辺りを見回してみると少し離れた場所にはやてとフェイトがなのはと話していた。
「これがその時の秋くんの格好だよ!」
「むっちゃ似合ってるやん!?ただでさえ凛々しいのに執事服着てるぶん余計凛々しいな、秋くん!!」
「秋みたいな執事欲しいな~」
俺は何も聞いていない。うん、なのはが俺の執事服姿を2人に見せているなんて見ていない。
「さあ、始めようかシグナム!!」
「あ、ああ。だが、良いのか?」
「何が良いんだ?シャマル!結界頼んだ!!」
シグナムの心配してくれる声を無視してシャマルに結界を張るように頼むがいっこうに結界が出現しない。シャマルを探すとフェイト達と一緒に俺の執事服姿の写真を見ていた。
「シャマーーーーール!!!!結界頼んだぁぁぁぁぁあ!!!!」
「きゃあ!?あ、はい!クラールヴェント!」
『Ja.封鎖領域(ゲフェングニス・デア・マギー)』
シャマルは俺の叫びに驚いたがすぐに結界を張ってくれた。
「始めるか、シグナム」
「ああ、いつでも良いぞ」
シグナムもヤル気満々だな。生きて帰れるか?
「ブレッシングハート!」
『戦闘準備はできています!』
ブレッシングハートも準備が出来てるな。
「ブレッシングハート!」
「レヴァンティン!」
「「セットアップ!!」」
俺とシグナムはバリアジャケットを装着する。シグナムは赤を基調とした騎士甲冑。
「ブレッシングハート。何でバリアジャケットが変わってるんだ?」
『私がマスターに会わない間何もしてなかったと思いますか?私の独断でバリアジャケットを変えてみました』
蒼を基調としたバリアジャケットから黒と蒼のツートーンカラーのロングコートで両手には前まで無かったオープンフィンガーグローブ、靴は膝下まであるロングブーツになっていた。
『どうですか、感想の方は?』
「ああ、気に入った。何より俺のもう一つのパートナーの色も入ってるしな」
俺の専用機、黒帝の色も入ってるしブレッシングハートは中々いいセンスをしている。
「シャマル。かけ声を頼めるか?」
「わかったわ」
シャマルにかけ声を頼み俺とシグナムは空中に飛び上がり、シャマルのかけ声を待つ。
「それじゃあ・・・レディー・GO!!」
シャマルのかけ声が響き、俺とシグナムの模擬戦が開始された。
「ブレッシングハート!」
『カノンモード』
正直に言うと俺はシグナムには接近戦では勝てない。なら、どうするか?勝てる戦い方をすれば良い。たとえば・・・
「あはははははは!!!!」
「秋!性格が変わっているぞ!?」
『マスター、笑い方が悪役みたいですよ』
ブレッシングハートが何か失礼な事を言っているが気にしない。避けるシグナムに狙いを定めてバスターを連射する。本来はチャージして撃つバスターだが、チャージ時間を極限まで減らし連射性を重視した。この技の実験台・・・もとい完成に協力してくれた執務官志望の友人やクロノには感謝だな。
「この・・・!」
シグナムが避けるのを止めてバスターの弾幕を潜り抜けて来た。
「レヴァンティン!」
『ロード・カートリッジ』
レヴァンティンから空薬莢が排出されて、レヴァンティンに炎が噴き上げる。
「ブレッシングハート!」
『ロード・カートリッジ』
ブレッシングハートをソードモードにして俺もカートリッジを使う。シグナムはレヴァンティンを振り上げる。俺はブレッシングハートを突きの構えにする。
「紫電・・・一閃!」
「瞬迅剣!」
レヴァンティンの刃とブレッシングハートの剣先がぶつかり合い、衝撃波でお互い吹き飛ぶ。
「楽しいな、シグナム!!」
「ああ!久しぶりに全力で戦える相手がいるのだ。楽しまないと損だろ!?」
「違いない!!IS学園じゃ自称代表候補生に愚兄との試合がしょうもなくてな!フラストレーションが溜まってるんだよ!!」
俺も戦闘狂だったとは・・・自分の新しい一面を知ったな。
「にゃ、にゃはは・・・秋くんもシグナムさんも凄いね」
「シグナム元気やね~」
「良いなーシグナム。秋と戦えて・・・」
「治療するの私なんだけど・・・」
シャマルの哀愁漂う声が聴こえたが無視する。
「ただ・・・門限が迫ってきてるからな。この一撃で終わらせる!!」
『チェーンバインド』
「ぐっ・・・!」
蒼色の魔力で出来た鎖がシグナムを拘束する。
「やるぞ、ブレッシングハート!!」
『イエス・マイ・マスター』
足下に蒼色のミッド式魔方陣が展開される。制御が難しいが・・・成功させる!!
『ロード・カートリッジ』
ブレッシングハートがカートリッジを4発使う。
「旋律の戒めよ!」
シグナムの回りに巨大な環状魔方陣が4つ現れる。シグナムはその魔方陣を見ると顔色が悪くなっていった。
「ま、待て秋!?流石にその魔法はマズイ!?」
「安心しろ、シグナム。成功率も失敗率も半々だ」
シグナムが焦るのもわかる。何せはやてのミストルティンで石化していたとは言え、ナハトヴァールを吹き飛ばした程の威力があるぐらいだからな。これも執務官志望の友人とクロノで実験・・・もとい研究した結果、6回に3回は成功することがわかった。
「我が名において具現せよ!!ミスティックケージ!!!!」
環状魔方陣が光りだすがそれだけだ。失敗か・・・何が悪かったんだ?
「レヴァンティン!」
『ロード・カートリッジ』
あ・・・。
「飛竜・・・一閃!!」
いつの間にかバインドが破壊されていて、レヴァンティンを鞘に戻しており一気に抜き放った。連結刃が目の前まで迫っていた。防ぐことを忘れ、刃がもろに直撃した。
「勝者、シグナム!!」
俺の敗けが決まった。
「あ~!敗けたー!」
俺は今、絶賛シャマルに治療魔法をかけてもらっている。
「しかし、ミスティックケージには私も慌てた。・・・不発で良かった」
ミスティックケージが一番うまく決まったのがナハトヴァールの時だよな。ヴィータなんかナハトヴァールを吹き飛ばしたらカタカタ震えながら「ごめんなさい」と謝ってきた。解せぬ。
「ねえ、秋。バスターってあんなに連続で撃てた?」
「チャージ時間を減らしたんだ。威力は落ちるが連射出来るようになった分かなり便利になったな。クロノとティーダには感謝している」
「・・・だからお兄ちゃん一時期カタカタ震えてたんだ」
「お兄ちゃん?」
「あ、秋くんには話してなかったね。フェイトちゃん、リンディさんの養子になったんだ」
「ほぉ、だからお兄ちゃん・・・か」
お兄ちゃんと呼ばれて顔を赤くして慌てているクロノがすぐに想像できるな。・・・今度このネタでからかってみるか。
「秋くん。ティーダって誰や?」
「管理局の友達だ」
「秋くん友達おったん!?」
スパッン!!
「アイタッ!?」
思わずはやてを叩いてしまったが俺は悪くない。確かに・・・確かに俺は友達少ないよ!!両手で数えられるぐらいしか友達が居ねーよ!!なんか文句あるか!?電話帳に入ってるアドレスも同年代より歳上の方が圧倒的に多いよ!!管理局関係なんてティーダとクロノ以外全員上官や歳上だよ!!」
「ご、ごめん、秋くん!謝るから落ち着いて!!」
はやてに謝られた。それはそれで複雑な気分だ。
「もう疲れた、帰る。何か用事が有ったら電話してくれ」
シグナムとの模擬戦より疲れた・・・。
「秋。運動会の日程がわかったよ」
「お、何時やるんだ?」
「5月の第四土曜日にやるよ」
「第四土曜日・・・わかった。何も用事がないから見に行くわ」
なのはがどれくらい運動できるようになったか楽しみだな。
「秋くんも来てくれるん?」
「ああ。クッキーでも作っていくさ」
「ホンマに!楽しみにしてるな!」
「楽しみにしてろ。だから・・・なのはも頑張れよ」
「にゃ、にゃはは・・・頑張ります・・・」
なのはは俺から目を逸らしながら返事をした。
「さて・・・なら、帰るわ。シグナム、今日はありがとうな」
「ああ、私も楽しかったぞ」
「シャマルも治療ありがとう」
「それが私の仕事ですもの」
シグナムとシャマルの2人に礼を言い、荷物を持ち上げる。
「なのはとフェイトとはやてもじゃあな。体調に気をつけろよ」
「うん。またね、秋くん」
「元気でね、秋」
「今度来たときはIS学園のこと話してな~」
「ああ、また今度な」
なのは達に手を降り俺は海鳴駅に向かって歩きだした。
~少年移動中~
電車に揺られること一時間。海鳴市からIS学園に戻ると始めに用務員室に行き帰宅したことを報告して寮の自室に戻ると黒いオーラ漂うたっちゃん先輩と簪、本音がいた。虚さんは3人の後ろで申し訳なさそうにしていた。
「秋くん・・・」
「いったい今まで・・・」
「どこに行ってたか教えてくれないかな~アッキー?」
バカな・・・!ナハトヴァール並のプレッシャーだと!?
「と、友達の家に泊まりに・・・」
俺がそう言うと黒いオーラの密度が増した気がする。
あれ?3人の背後になんか居ない?もしかして・・・スタ○ド!?
3人はスタ○ド使いなのか!?
「へぇ~友達の家にね~」
「私たちに一言も無しに・・・」
「クッキー作って・・・」
本音が怒ってる理由が何となくわかった気がする。
「はぁ・・・クッキー作ってやるから落ち着け」
「本当~なら、許す~」
本音の買収に成功したな。
「虚さん、紅茶の用意をしてもらって良いですか?」
「わかりました」
クローゼットからエプロンを取り出してキッチンに向かう。
「簪、手伝ってくれ」
「うん、わかった」
確か・・・クッキーの材料の残りがあったはずだな。俺と虚さんと簪はキッチンに行き、本音は元から戦力外みたいなものだから大人しくベッドに座っている。
「私も手伝うから仲間はずれにしないでー!!」
たっちゃん先輩が寂しくなったのか涙目になって抱きついてきた。
「なら、オーブンを温めておいてください」
「わかったわ!」
言うや否やたっちゃん先輩はオーブンの電源を入れた。
「さて・・・余った材料でどれくらい出来るか・・・」
まぁ、『翠屋』パチィシエ高町桃子の弟子としてやれるだけの事はするか。
~後書き~
第25話でした。
前書きと後書き使った書き方ったって規制に引っ掛かるかな?