リリカル・ストラトス~黒き帝王は魔導師~ (一時更新停止) 作:妖精絶対許さんマン
俺たち一年一組は姉さんの授業を受けている。
「ではこれよりISの基本的な飛行操縦を実践してもらう。織斑兄弟、オルコット。試しに飛んでみろ」
俺はすぐに黒帝を展開する。
「織斑兄、早くしろ。熟練したIS操縦者は展開まで一秒とかからないぞ。それに、同じ素人の織斑弟は出来ているぞ」
「むっ」
一夏は姉さんの言葉にムスッと顔をするがすぐに集中し始める。一夏の専用機の待機状態はガントレットだ。ガントレットって防具じゃないか?そうしていると一夏は白式を展開した。
「よし、飛べ」
姉さんのかけ声で俺は上昇した。適当な高度で静止して地表を見下ろす。するとすぐにオルコットも上昇してきた。
「秋さん、上手ですわね」
「まあな」
一週間たっちゃん先輩にみっちり特訓してもらったんだ。これで成果が無かったらたっちゃん先輩に失礼だ。下をみると一夏はノロノロと上昇してきた。
「一夏さん、イメージは所詮イメージ。自分がやりやすい方法を模索する方が建設的でしてよ」
「そう言われてもなぁ。大体、空を飛ぶ感覚自体がまだあやふやなんだよ。なんで浮いてるんだ、これ。秋はどんなイメージをして飛んでるんだ?」
「秘密だ」
ジュエルシード事件や闇の書事件、武装隊での訓練で嫌と言うほど空を飛んでるからな、ISを体の延長と思えば楽に飛べる。
「一夏っ!秋っ!いつまでそんなところにいる!早く降りてこい!」
うるっせ!インカム越しに大声だすな箒。あ、姉さんに叩かれた。
「織斑兄弟、オルコット、急降下と完全停止をやって見せろ。目標は地表から十センチだ」
「了解です。では一夏さん、秋さん、お先に」
オルコットはそう言うと一気に急降下していった。
「次は俺が行く」
「頑張れよ、秋」
お前にだけは言われたくない。俺は一気に降下してハイパーセンサーで距離を確認して静止する。
「十二センチか。及第点をくれてやる」
姉さんは人を褒めるって事を学んだ方がいい。
ギュンッーーーーーズドォォンッ!!!
ものすごい音を立てて一夏が地面に激突してきた。やべぇ・・・笑える。
「馬鹿者。誰が地上に激突しろと言った。グラウンドに穴を開けてどうする」
「・・・・・すみません」
すげぇ・・・穴が人型になってる。
「織斑兄、武装を展開しろ。それくらいは自在にできるようになっただろう」
「は、はあ」
「返事は『はい』だ」
「は、はいっ」
「よし。でははじめろ」
姉さんは軍隊の教官には向いてるけど教師には向いてないな。
「遅い。0.5秒で出せるようになれ」
素人・・・特に今までISに関わってこなかった人間にそれは難しいと思う。
「織斑弟、武装を展開しろ」
「《デュランダル》ですか?《ヴァーミリオン》ですか?」
「《デュランダル》だ」
「わかりました」
イメージするのはバルディシュのザンバーフォームだ。
「一秒か。まあ、上出来だろう」
なんか・・・《デュランダル》の形が変わってる気がする。少しゴツくなった様な・・・。
「次はオルコット。お前だ」
「はい」
オルコットは左手を肩の高さまで上げて突き出す。すると、《スターライトmkⅢ》が展開された・・・俺の方に向けて。
「さすがだな、代表候補生。ーーーただし、そのポーズはやめろ。横に向かって銃身を展開させて誰を撃つ気だ。正面に展開できるようにしろ」
「で、ですがこれはわたくしのイメージをまとめるために必要なーーー」
「直せ、いいな。特に織斑弟に攻撃されたくなかったらな」
「攻撃・・・!?」
オルコットは俺の方を見ると顔を青くした。
「織斑弟、武器を下ろせ」
「えっ?・・・あ」
本能的にデュランダルを上段に構えていつでも降り下ろせる用にしていた。
「はぁ・・・オルコット、近接用の武装を展開しろ」
「えっ。あ、はっ、はい」
何を動揺してるんだ?
「くっ・・・」
「まだか?」
「す、すぐです。ーーーーーああ、もうっ!《インターセプター》!」
あれって教科書に書いてたけど初心者用の方法じゃなかったか?
「・・・・・何秒かかっている。お前は、実戦でも相手に待ってもらうのか?」
「じ、実戦では近接の間合いに入らせません!ですから、問題ありませんわ!」
「ほう。織斑兄弟との対戦で初心者に簡単に懐を許していたように見えたが?織斑弟に到っては全ての武装を破壊された上に一撃でSE(シールドエネルギー)を削り取られたのにか?」
「あ、あれは、その・・・・・」
オルコットは俺と一夏を睨んできた。
『あなた達のせいですわよ!』
個人間秘匿通信でオルコットが文句を言ってきたので個人間秘匿通信をOFFにしてやった。
「時間だな。今日の授業はここまでだ。織斑兄、グラウンドを片付けておけよ」
自業自得だな。一夏が「手伝ってくれ」と目で訴えてくるが俺には関係ない。
「というわけでっ!一夏くんクラス代表決定おめでとう!」
「おめでと~!」
寮の食堂で一夏のクラス代表就任パーティーが行われている。俺は来るつもりはなかったが本音に強制的に連れてこられた。
「はいはーい、新聞部でーす。話題の新入生、織斑一夏君と織斑秋君に特別インタビューをしに来ました~!」
新聞部なんてあるのか、この学園。
「あ、私は二年の黛薫子、よろしくね。新聞部副部長やってまーす。はいこれ名刺」
用意がいいな新聞部。
「ではではずばり織斑君!クラス代表になった感想を、どうぞ!」
黛先輩はボイスレコーダーを一夏に近づける。
「まあ、なんというか、がんばります」
「えー。もっといいコメントちょうだいよ~。俺に触るとヤケドするぜ、とか!」
前時代的言い回しだな。
「自分、不器用ですから」
お前は高○健かよ。
「うわ、前時代的!」
あんたが言うな。
「じゃあまあ、適当にねつ造しておくからいいとして」
この人が部長になったら新聞部は終わるな。
「次は織斑秋君!セシリアちゃんと一夏君と戦った感想をどうぞ!」
「二人とも弱かったですね。知り合いとの模擬戦してる方がまだ、やりがいがあります」
オルコットと一夏が胸を抑えた。
「オルコットは慢心を無くしてピット操作しながら動けるようしないと必ず負けますね。動けない狙撃手なんていい的ですから」
グサッ!
「後は近接用の武装をすぐに展開できないで代表候補生とか他の代表候補生に失礼でしょ。代表候補生(笑)で十分ですね」
グサグサッ!!バタッ!
オルコットが胸を抑えてテーブルに倒れた。
「セシリアが死んだ!?」
「いやいや、死んでないから・・・」
なんだか騒がしいな。
「一夏は話になりませんね。オルコットとの試合映像見ましたけど自滅って・・・ダサいですね」
あれはダサい。単一仕様能力をしっかりと理解しないで使うからSEが無くなって負けるんだ。
「これで良いですか?」
「う、うん。ありがとう・・・」
黛先輩の顔が引きつっている。何でだ?
『(マスター。ティーダさんから通信が来てますよ)』
「(わかった。スマホの方に転送してくれ)」
『(わかりました)』
ブレッシングハートと念話で話をすると、すぐにポケットに入れていたスマホが震えだした。
「電話がかかってきたので失礼します」
俺は立ち上がり食堂か出て、校舎の裏にあるベンチに座り、スマホの通話ボタンを押す。
「もしもし、ティーダか?」
『秋兄、こんばんは!』
「ティアナちゃん?」
ティアナ・ランスター。ティーダの妹で今年で5歳になる女の子だ。
「ティアナちゃん、ティーダは?」
『えへへ・・・秋兄とお話ししたくて内緒で電話しちゃった!』
ティアナちゃんはいつも俺の事を「秋兄」と呼んでくる。ぶっちゃけ恥ずかしい。
「ちゃんとティーダに言うんだぞ?」
『はーい!』
ティアナちゃんと電話をしているとティーダの声が聴こえてきた。
『悪いな、秋。ティアナの相手してくれ』
「気にするな、ティーダ」
ティーダ・ランスター。ティアナちゃんの兄で俺と同期の親友だ。ティーダと初めて会ったのはジュエルシード事件が終わって嘱託魔導師の資格と管理局に入局するためミッドチルダに行くと偶然出合い、意気投合してそれからの付き合いだ。一夏に勝るとも劣らないシスコンでもある。
『そう言えば、秋。教官が次はいつミッドチルダに来れるか聴いてたぞ?』
「そうか・・・夏休みに一、二週間ミッドチルダに行くつもりだ」
『わかった。教官には俺の方から話しておく』
「すまないな、ティーダ」
『気にするな。俺とお前の仲だろ?』
ホント、いい親友を持ったよ。俺は。
『それと・・・ミッドに来たときにティアナに会ってやってくれないか?』
「別に良いぞ」
『本当か!ティアナがお前に会いたいって五月蝿いんだよ』
ホントはティアナちゃんが喜んでくれるのが嬉しいくせに。
「それじゃあな、ティーダ」
『またな、秋』
ティーダとの電話が終わりスマホを納す。
『マスター、食堂に戻らないんですか?』
「ああ。騒がしいのは苦手なんだ」
『そういうわりにはクロノさんやティーダさんとよく騒いでますよね?』
「言い返せない・・・」
管理局でよくクロノとティーダと騒いでいる。クロノの身長の低さを弄って魔法戦になったり、ティーダに新しい魔法の実験・・・もとい完成に協力してもらったり。・・・思い出してみると確かに大騒ぎしているな。
「さて・・・部屋に帰るか」
『そうですね』
ベンチから立ち上がり寮の自室に戻った。
第26話でした。