リリカル・ストラトス~黒き帝王は魔導師~ (一時更新停止) 作:妖精絶対許さんマン
「いきなり入って来たと思ったら・・・木刀で・・・」
ナレーター役をしていた生徒は隣のベットで寝ている。審判役の生徒ーーー二年の相沢ゆえさんから話を聴いている。相沢さんは“右肩から手に掛けてギプス"している。
「私が・・・私がいったい何したって言うの!?」
相沢さんはソフトボール部に所属している。イヤ、正確に言うなら“所属していた"が正しい。箒の木刀での一撃で右肩の骨にヒビが入り、二度とソフトボール等の腕を使った球技は出来ないと、医師が言っていた。
「篠ノ之博士の妹だからなにしても許されるって言うの!?そんなの・・・そんなの理不尽過ぎるじゃない!!」
相沢さんは泣きながら叫び続ける。確かにその通りだ。箒が無謀な事をしなかったら、相沢さんはソフトボールを続けられていた。クロノは「世界はこんなはずじゃなかったことばかりだ」っと。
「相沢さん・・・失礼します・・・」
俺は未だに泣いている相沢さんを抱き締めた。
「おり・・・むらくん?」
「今だけは・・・今だけは泣いていいですよ」
「う・・・うわぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!」
相沢さんは俺の胸で泣き続けた。しばらくすると泣き声が止まった。覗き込んでみると、泣きつかれたのか眠っていた。俺は相沢さんをベットに寝かせて、医務室から出た。
「篠ノ之・・・箒ッ!」
今の俺は刀奈やなのは達に見せない顔をしているだろう。人の人生を無茶苦茶にしたんだ。然るべき罰は受けてもらう。俺はポケットからスマホを取り出して、ある人の電話番号を押す。
プルプル プルプル ガチャ
『もしもし、高山です』
「お久しぶりです、高山さん。織斑です」
『おお!秋くんじゃないか!どうかしたのかい?』
俺が電話したのは日本政府の役人の高山祐一さんだ。
「高山さん・・・と言うより政府に手伝ってほしいことがあるんです」
『なんだい?僕達、日本政府は君に多大な恩があるからね。何でも言ってくれ』
「ありがとうございます。篠ノ之箒が一般生徒を木刀で怪我をさせました。篠ノ之箒を懲罰部屋に軟禁する許可と篠ノ之箒の両親から怪我をさせた生徒に賠償金を払わせてください。金額は弁護士と相談してください」
『賠償金の件はともかく・・・懲罰部屋に軟禁するのは僕達、政府にはどうしようもできない。何より・・・篠ノ之博士からの報復が・・・』
「篠ノ之博士が何か言ってきたら俺に電話するように言っておいてください」
『・・・わかった。賠償金の方は弁護士と相談し次第篠ノ之夫妻の所に請求しに行く。怪我した生徒の容態は?』
「精神的に不安定ですね。何せ好きなソフトボールを二度と出来ないと言われていましたか」
『そんなにかい?わかった。怪我した生徒の名前を教えてほしい。保護者の方に電話をするからね』
「名前は相沢ゆえさん。IS学園の二年生です」
『相沢ゆえ・・・っと。わかった。早速、取り掛かるよ』
「お願いします」
『篠ノ之箒の軟禁に関しては君がしてくれ。僕達政府は“建前上"IS学園に一切介入出来ないからね』
「わかりました」
そこで電話が終わた。
「次は・・・学園長か。その次に刀奈に懲罰部屋の使用許可のサインを貰って・・・」
俺はこれからの計画を立てながら学園長室に向かった。
あれから数分。学園長のサインと刀奈のサインが書かれた書類を手に恐らく愚兄を含めた五人がいるだろう第一アリーナのAピットに向かったら案の定、雁首(がんくび)揃えて勢揃いしていた。
「織斑弟、アリーナのドアを破壊したことをどう説明するつもりだ?」
「予め学園長と生徒会長に許可は取っています。一教師の織斑先生がとやかく言う資格はありません」
“織斑先生"がアリーナのドアを破壊したことを聴いてくるが、事務的な返事をして箒の前まで行き・・・
ボゴッ!!
「ぐぁ!?」
箒の事を殴り飛ばす。
「箒!?おい、秋!!いきなり何してんだ!!」
「そうですわ!いくらなんでも女性の顔を殴るのは良くありませんわ!!」
愚兄とオルコットが何か言ってくるが無視する。
「いきなり何をする!!」
こいつ・・・自分が何をしでかしたのか理解してないな?“篠ノ之箒"は立ち上がり、俺の事を睨んでくる。威嚇にさえなってないな。
「貴様・・・自分が何をしたか理解してるのか?」
イヤ、理解していたらこんなところに居ないな。
「私がいったい何をしたと言うのだ!!」
「筆舌しがたい頭の悪さだな・・・貴様、無人機が襲撃してきたときなぜ、中継室にいた?」
「それは・・・それは、一夏に活を入れるためだ!!」
自分が仕出かしたことに他人を言い訳に使うか。
「誰がそんなことをしろと言った?貴様の浅はかで考えなしの無謀な行動で何れだけの人間に迷惑が掛かったか理解してないようだな」
「活を入れるのが悪いと言うのか!?」
「時と状況を考えろ。それに・・・中継室にいた生徒を木刀で殴ったそうだな?」
「アイツらが私の邪魔をするからいけないのだ!」
その言葉を聞いた瞬間、俺は篠ノ之箒の胸ぐらを掴み上げた。
「あの二人がいったい何をした?いきなり中継室に侵入して木刀で殴って気絶させた癖に良くそんなことが言えるな」
「お、おい、秋!いい加減にしろよ!!」
今まで呆然としていた愚兄が復活した。
「黙れ。部外者は黙っていろ」
一夏を睨み黙らせる。一夏は睨まれたことに恐怖したのか一歩下がった。
「貴様が木刀で殴ったせいで一人はまだ気絶している。もう一人は肩の骨にヒビが入ってたんだよ。お前はその生徒の人生を無茶苦茶にしたんだよ!」
「たかが・・・たかが肩にヒビが入っただけだろ!?」
「その生徒はソフトボール部に所属していたんだよ!だけどな!!お前のせいでその生徒は二度とソフトボールが出来なくなったんだよ!!!!」
俺がそう叫ぶと、Aピットにいた五人は黙った。
「その生徒は泣きながら叫んでたよ!!『篠ノ之博士の妹だからなにしても許されるの!?』ってな!!」
「ッ!?私とあの人は関係ない!!」
「関係ないわけ無いだろ!!お前は篠ノ之束の妹だから何かされた方は泣き寝入りするしかないんだよ!!お前は心のどこかで『自分はISの開発者の篠ノ之束の妹だから何をしても許される』と思ってるんだよ!!」
「そんなことは思っていない!!」
「思ってないわけ無いだろ!!だから、お前は!!怪我させた生徒に謝りに行かず!!こんなところにノウノウと居るんだろうが!!」
「そこまでだ、織斑弟」
織斑先生が止めるように言ってきたがこの人にも問題がある。
「織斑先生。貴女は無人機が侵入してきた時、いったい何をしてました?ピットで見てるだけでしたよね?他の教員に指示するとか出来たはずですよね?」
「それは・・・」
「おおかた、愚兄の事が心配で他の教員に指示することを疎かにしてただけでしょう?貴女は姉である前に生徒を守る立場の教師のはずですよね?弟がそんなに心配なら教師を辞めればいい!」
ああ、イライラする。どいつもこいつも、自分の立場を理解してやがらない。
「織斑先生。この書類にサインをお願いします」
俺は学園長と刀奈のサインが書かれた懲罰部屋使用許可の書類を織斑先生に見せる。
「・・・これはどう言うことだ!?」
ーーー篠ノ之箒の一ヶ月間の懲罰部屋での軟禁を許可する。
学園長 轡木 十蔵
担任
生徒会長 更識 楯無 ーーー
「中継室に侵入、中にいた生徒二名を怪我させた上に内一人の肩にヒビを入れたんです。当然でしょう?」
「こんなものにサイン出来るわけ無いだろ!!」
「織斑先生。貴女には拒否権はありません。教師としての職務を放棄したんですからこれぐらいはしてください。それとも篠ノ之博士の妹だからしないつもりですか?」
「くっ・・・わかった」
織斑先生は俺から書類を取ると、懐からボールペンを取り出してサインをした。
「これでいいか?」
「はい。ありがとうございます」
織斑先生が書類にサインしたのを確認した。
「篠ノ之箒。貴様には一ヶ月間懲罰部屋で過ごしてもらう。今すぐ荷物を纏めて自室で待っていろ」
「な、なに!?」
俺はそれだけ言うとピットから出ようとする。
「おい!待てよ、しゅーーーーー」
「ふ、ふざけるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
箒がどこからか木刀を持ち出して、俺に襲いかかってきた。
「・・・遅い」
木刀を振り上げてがら空きの胴体を殴る。
「がぁ!?」
顎に肘打ちを喰らわして脳を揺さぶり、その勢いで側頭部を後ろ回し蹴りで蹴る。篠ノ之箒は意識を失ったのか倒れて動かなくなった。
「ふん・・・怒りに任せるからだ」
精神が未成熟。なのは達の方がよっぽど大人だな。
「秋!!いくらなんでもやり過ぎだろ!?」
「やり過ぎ?どこがだ?無防備な人間を木刀で襲いかかってきたんだ。正当防衛だ」
「正当防衛!?過剰防衛の間違いだろ!?」
「凶器をもった人間に手加減する必要はない」
俺はピットから出ようとすると・・・
「秋!!俺と戦え!!俺が勝ったら箒の罰を取り消せ!!」
「何故だ?篠ノ之箒に対する罰には正当な理由がある。貴様にとやかく言われる必要はない」
何を言い出すかと思えば・・・
「わたくしも賛成ですわ。箒さんが悪いとは言え、いくらなんでも横暴ですわ。英国淑女として見逃せませんわね」
英国淑女(笑)だろ?
「良いだろう。二人纏めて掛かってこい。鈴はどうする?」
「・・・止めとくわ」
鈴は乗り気がしないのか辞退した。
「試合開始は今から十分後だ」
俺はBピットに向かった。
~十分後~
この十分で黒帝に追加されたシステム『カートリッジシステム』を調べてみてわかったことがある。デバイスのカートリッジシステムと違い、黒帝のカートリッジシステムはシールドエネルギーを圧縮した物を使っていようだ。むしろ、黒帝のカートリッジに魔力が使われていたら驚きだ。
「そろそろ時間か・・・」
黒帝を展開して、ピットから飛び出す。アリーナ中央には白式を纏った一夏とブルー・ティアーズを纏ったオルコットが待っていた。
『試合を始めろ』
織斑先生の試合開始の放送がかかった。
「セシリア!」
「はい!」
愚兄が前衛、オルコットが後衛。これでオルコットも前衛もしくわ中衛だったら頭がおかしい。俺はデュランダルを展開する。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
雪片弐型を構えて斬りかかってくる。シグナムと比べると遅い剣速だ。停まって見える。
「デュランダル。ロード・カートリッジ」
ーーーロード・カートリッジーーー
デュランダルのスピードローダが回転してカートリッジを使う。するとデュランダルの刀身にエネルギーが集束されていった。
「魔神剣!」
集束したエネルギーを斬撃として愚兄に向けて飛ばす。
「がぁ!?」
愚兄は避けることが出来ずに斬撃が命中した。
ーーーロックされています。パーフェクト・ガーディアン防衛開始ーーー
ハイパーセンサーに表示されると同時に黒帝の非固定部位が動き、側面に移動してオルコットの攻撃を防いだ。
「やはり、わたくしのブルー・ティアーズでは黒帝に太刀打ちできませんわね・・・」
オルコットはティアーズを展開しながら油断なく俺を狙っていた。
「デュランダル」
ーーーロード・カートリッジーーー
デュランダルはカートリッジを一発使い、形を変える。デュランダルは長柄のハンマー『デュランダル・アイゼン』に姿になった。
「ハンマー・・・?」
普通は驚くよな。俺もヴィータと戦ったときは驚いた。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
体勢を立て直した愚兄が馬鹿の一つ覚えのように正面から突撃してくる。
「テートリッヒ・シュラーク」
愚兄の横腹にハンマーの一撃を食らわして吹き飛ばす。
「一夏さん!?」
「戦闘中によそ見とは余裕だな」
戦闘中に相手から眼をはなすとはな・・・代表候補生失格だな。
「シュワルベフリーゲン!」
十二個の鉄球を設置してデュランダル・アイゼンで一斉に叩いて打ち出す。鉄球は展開していたピッド、腰のミサイル、スターライトmkⅢ、を破壊した。破壊した時の爆風がオルコットを襲う。
「きゃあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!」
「デュランダル!」
ーーーロード・カートリッジーーー
『デュランダル・アイゼン』のハンマー部分が一回り大きくなり、片方がスパイク。反対側が推進ユニットになった形『デュランダル・ラケーテン』になった。推進ユニットとスラスターを最大出力にしてオルコットに接近する。
「セシリア!逃げろ!!!!」
「くっ!速すぎますわ!?」
オルコットはジグザグ移動や上昇、下降しながら俺から逃げようとするが両肩のスラスターと推進ユニットを使って追いかける。そして、『デュランダル・ラケーテン』の攻撃射程にまで入った。
ーーーロード・カートリッジーーー
デュランダルがカートリッジを使った。推進ユニットの勢いが弱くなっていたので使ってくれて助かる。黒帝の左肩のスラスターを停止させて、右肩のスラスターと推進ユニットの勢いのみを使って左回転する。ヴィータが得意とする打撃攻撃。その名は・・・
「ラケーテン・・・ハンマーァァァァァァァァァァァァァ!!!!」
「ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーきゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!」
遠心力と加速力が乗った『デュランダル・ラケーテン』のスパイク部分がオルコットの腹部装甲を破壊して、オルコットは『絶対防御』を発動しながら地面に激突した。
『デュランダル・ラケーテン』を元のデュランダルに戻して俺の後ろーーー愚兄の方を見る。愚兄は俺を親の敵(かたき)を見るような眼で見てくる。まあ、俺達は両親の顔を知らないけど。そう考えると、厚かましいが俺が親と思うのって更識夫婦と高町夫婦だよな。
「秋・・・・・!!やり過ぎだろ!?セシリアが怪我したらどうするんだ!!」
「これは模擬戦だ。怪我するのは当然だ。それともお前は相手に怪我させずに戦えって言うのか?器用なことをするな、愚兄」
愚兄の本質。“借り物の想い"が“自分の本当の想い"と勘違いしていてたちが悪い。“織斑一夏という人間は織斑千冬という人間の影を追っている"だけなんだから。
「掛かってこい。お前が何れだけ無知で無力か教えてやる」
第ニ幕の開演だ。
第29話でした。秋が悪役みたいに・・・