リリカル・ストラトス~黒き帝王は魔導師~ (一時更新停止) 作:妖精絶対許さんマン
山田先生との模擬戦が終わり、地上に降りる。
「さて、これで諸君にもIS学園教員の実力は理解できただろう。以後は敬意を持って接するように」
確かに山田先生は強い。俺が専用機を貰ってから愚兄とオルコットと戦ったがSEを減らされたことはない。
「専用機持ちは織斑兄弟、オルコット、デュノア、ボーデヴィッヒ、凰だな。では八人グループになって実習を行う。各グループリーダーは専用機持ちがやること。いいな?では分かれろ」
織斑先生が号令を掛けると女子達が俺と愚兄、デュノアに一気に詰め寄ってきた。
「一夏君、一緒にがんばろう!」
「わかんないところ教えて~」
「デュノア君の操縦技術を見たいなぁ」
「ね、ね、私もいいよね?同じグループにいれて!」
「私も努力すれば秋くんみたいに強くなれる?」
人の集まりが凄い。特に俺に集まる人数がハンパない。
「この馬鹿者どもが・・・・・。出席番号順に一人ずつ各グループに入れ!順番はさっき言った通り。次にもたつくようなら今日はISを背負ってグラウンド百周させるからな!」
この教師は生徒を過労で倒れさす気か?
「最初からそうしろ。馬鹿者どもが」
織斑先生の脅迫に怖くなったのか全員整列した。
「ええと、いいですかーみなさん。これから訓練機を一班一機取りに来てください。数は『打鉄』が三機、『リヴァイブ』が三機です。好きな方を班で決めてくださいね。あ、早い者勝ちですよ!」
打鉄とリヴァイブか・・・打鉄は少し癖があるからリヴァイブにしておくか。
『各班長は訓練機の装着を手伝ってあげてください。全員にやってもらうので、設定でフィッティングとパーソナライズは切ってあります。とりあえず午前中は動かすところまでやってくださいね』
山田先生がプライベート・チャンネルで伝えてくる。
「さて、ちゃっちゃとやって早めに終われるようにしよう。午前中に終わらなかったら織斑先生に放課後にやらされることになるからな」
「「「「「はいっ!」」」」」
放課後にやらされるのが嫌なのか真面目に返事をする女子達。順番に女子達をISに乗せて歩かせる。
「アッキー、よろしく~」
最後は本音だった。
「最後は本音か。とりあえず、ISに乗って向こうの線まで歩くぞ」
「わかったのだ~」
本音はリヴァイブに乗る。
「乗ったな。向こうの線まで手を引いて行くからゆっくりで良いぞ」
「は~い」
ガシャンガシャンと音を鳴らしながら線まで歩く。
「ん・・・少し・・・むずかしい」
「PACを使っていれば楽なんだけど・・・それじゃあ授業にならないだろ?」
「そうだね~」
手を引き、無事に線まで歩くことが出来た。
「では午前の実習はここまでだ。午後は今日使った訓練機の整備を行うので、各人格納庫で班別に集合すること。専用機持ちは訓練機と自機の両方を見るように。では解散!」
そう言えば刀奈が昼休みに生徒会室に来るように言ってな。訓練機を直したら行かないとな。
「失礼します」
訓練機を格納庫に直して、生徒会室に入ると刀奈と簪が一緒にいた。
「秋くん、いらっしゃい」
「悪い。待たせたな刀奈、簪」
「私も今来たところ」
簪がいるのに楯無と呼ばないのは刀奈を簪がいる前でも呼んで良いどもが言ったからだ。
「秋くんと簪ちゃんに話したことがあるのよ」
「話したいこと?」
「ええ。お弁当を食べながら話すわね」
生徒会室にある机の上に重箱が置かれていた。重箱は弁当箱じゃないぞ、刀奈。とりあえず、簪の横のイスが空いていたから座ると刀奈が羨ましそうに簪を見ていた。何でだ?
「秋くんと簪ちゃんに二つ話があるのよ」
二つ・・・一つは簪の専用機関係だろうな。
「一つ目は簪ちゃんの専用機の話よ」
刀奈がそう言いと隣で玉子焼きを食べていた簪がピクッとした。
「簪ちゃんの専用機『打鉄弍式』の製作を秋くんに手伝ってあげてほしいの」
「もう少し一人でやらせて」
「ダメよ。ここだけの話。学年別トーナメントは二人ペアの模擬戦になるのよ」
無人機の襲撃のせいか?
「それに一人じゃ限界があるわ。秋くんに手伝ってもらって完成させちゃいましょ、ね?」
刀奈がお姉ちゃんしてる。
「・・・・・うん。手伝ってくれる・・・秋?」
簪が申し訳なさそうに言ってくる。そんなに気にする必要は無いんだけどな。
「別に良いぞ。それに・・・・・“幼馴染み"だしな」
「秋・・・・・顔が赤いよ?」
「なっ!?う、うるさい!!」
「ふふ・・・秋、かわいい♪」
俺自身、顔が赤くなってるのを分かってるのに指摘されると恥ずかしい。
「秋くん。お姉さんも幼馴染みだから書類の整理を・・・・・」
「自分でやれ」
「酷っ!?簪ちゃんとの扱いの差が酷いわ、秋くん!!」
「自業自得だ」
「うぅ・・・・・お姉さん悲しい・・・・・」
刀奈は扇子で顔を隠している。しかも扇子には『お姉さん、意気消沈・・・』と達筆で書かれていた。はぁ・・・俺も甘くなったもんだな。
「わかった。少しだけ書類の整理を手伝ってやる」
「本当!ありがとう!秋くん大好き!」
「はいはい、二つ目の話を聴かせてくれ」
「大好き」って言われて少しドキッとした。
「秋、私も大好きだよ?」
「あ、ああ、ありがとう」
この姉妹は・・・本当に可愛いな。
「さて、二つ目の話はね」
すると刀奈の顔つきが対暗部用暗部“第17代目更識楯無"としての顔になった。
「秋くんから見て転入してきた二人。ラウラ・ボーデヴィッヒさんとシャルル・デュノア君をどう思う?」
「どう思う・・・か。俺から見た二人で良いんだよな?」
「ええ。お願い」
「わかった。まず、ボーデヴィッヒは協調性が皆無。自分の力に絶対的自信を持っていて他者を見下してるって感じだな。あとは織斑先生を狂信してる。自己紹介してすぐに愚兄を叩いたぐらいだからな」
「そう。デュノア君は?」
「デュノアか・・・・・」
アイツが自己紹介したときから何だが違和感があるんだよな。
「アイツは“男"か?」
「どうして?」
簪が聴いてきた。
「話したことが無いから確証は無いが男にしては華奢過ぎる。筋肉がつきにくい体質だと言われればそれで終わりだが、それでも声が高すぎる。これが俺がデュノアが男じゃないと思う理由だ」
「さすが秋くんね。そうよ。シャルル・デュノア君は男じゃなくて女。本名、シャルロット・デュノアさんよ」
やっぱり・・・・・。
「シャルロットさんのお家、デュノア社はラファールリヴァイブで世界第三位のシェアを獲得してるんだけど、デュノア社は第二世代後半にリヴァイブを開発したから第三世代ISの開発は進んでないのよ」
「なるほど・・・そこで俺たち兄弟か。世界で二人だけの男性操縦者に男装して上手く接触、俺の黒帝のデータか愚兄の白式のデータを盗む・・・」
「それと広告塔ね。デュノア社から三人目の男性操縦者が出たってなったらデュノア社は世界的に注目されるからリヴァイブの発注が大量に来る可能性もあるわ」
「舐めたまねしてくれるな・・・!」
白式のデータならいくらでもくれてやるが黒帝のデータを盗んだ瞬間に社会的に抹殺してやる。
「俺から釘を刺しておくか?」
「いいえ。そこまでしなくて良いわ。でも、警戒しておいてね」
「わかった」
黒帝のデータを盗んだ瞬間に社会的抹殺できるようにしておかないと。
「さて・・・簪ちゃんの『打鉄弍式強化プラン』を考えましょう!」
「そうだな。強化させて完成した方が面白い」
「うん、賛成」
「簪。打鉄弍式のスペックを教えてくれないか?」
「うん。ちょっと待ってね」
簪は右手中指につけていた指輪を机の上に置くと、空中にディスプレイが出現した。
「これが私の専用機『打鉄弍式』だよ」
ディスプレイを俺と刀奈は見ながら強化プランを立てる。
「防御重視の打鉄より機動力を優先したんだな。残ってるのはスラスターのテストぐらいだな」
「それに武装もマルチロックオン・システム以外全部完成してる。
たった一人でここまで完成させるなんて凄いじゃない、簪ちゃん!」
「あ・・・ありがとう、お姉ちゃん・・・」
簪は照れながら刀奈にお礼を言った。今は仲が良いが俺があった当初、この姉妹はものすごくぎくしゃくしていた。まあ、荒療治で仲直りさせたけど。
「防御が薄いのが難点だな。下手に攻撃を喰らったら一撃でSEが減るぞ」
「そうね。秋くんなんて必ず弱点部分に攻撃してくるもんね。それに秋くんのお兄さんの零落白夜でSEが無くなるわね」
「うん。そこは私も悩んでる」
「実体シールドも装備する?」
「いや、それなら手数を増やした方が良い。白兵戦か超遠距離戦のどっちかの武装が欲しいな」
「白兵戦なら夢現があるし、遠距離戦なら春雷があるよ?」
「夢現は薙刀だろ?薙刀はどちらかって言ったら槍とランスと同じ中距離戦向きだ。白兵戦ならナイフや刀剣とかだな」
「なら、超遠距離戦ってなに?」
「超遠距離戦は相手の攻撃が届かない距離から自分だけ攻撃することだ。弓や狙撃銃がそうだな」
簪なら弓とかが良いかもな。
「まあ、まずは打鉄弍式の完成だな。放課後早速取り組むか?」
「うん。よろしく、秋」
「ああ、任せろ簪」
「お姉さんも手伝うわ!」
残る問題は防御の薄さだな。エネルギーシールドとか・・・あ、良いこと思い付いた。
「簪って計算とか得意だよな?」
「うん、得意だよ。何で?」
「まあ・・・放課後に言うわ」
「むぅ・・・・・」
簪は秘密にされたのが不満なのか拗ねたような顔をした。
「拗ねるな。上手くいけば打鉄弍式の防御の薄さを改善できるはずだ」
「・・・・・本当?」
「ああ。俺の人脈の広さは刀奈も簪も知ってるだろ?」
「うん」
「なら、任せろ」
「わかった」
「じゃあ、俺は行くわ。次はISの整備をしないといけないからな。それとご馳走さま、刀奈」
俺はそれだけ言うと生徒会室から出て、歩きながら電話をかける。
プルプル プルプル ガチャ
『はいは~い、ラクシャータよ~』
「お久しぶりです、ラクシャータさん」
『あら~久し振りね、秋?』
ラクシャータ・チャウラーさん。医療サイバネティック技術の権威で本人自身、医師免許を持っていて俺の主治医だ。ラクシャータさんは副業としてISの武装を作っている。
「前にラクシャータさんが言ってた何とかシステムとそれを使った防御システムってありますか?」
『ああ~“ドルイドシステム"と“絶対守護領域"のこと~?それがどうしたわけ~?』
「実はドルイドシステムを使いこなせるかも知れない子がいるんですけど・・・譲ってくれませんか?」
これで断られたらお仕舞いだな。
『良いわよ~私の所に有っても邪魔なのよ~。後で持っていくわ~』
「本当ですか!?ありがとうございます!」
『そ・れ・と、アンタの心臓の診察もするからね~』
「・・・・・・・・・わかりました」
ラクシャータさんの診察長いんだよ・・・・・。
『それじゃあね~』
許可書の発行しておいてもらわないとな。
「あ・・・・・織斑くん」
「ん・・・って、相沢さん?」
名前を呼ばれて振り返るとギプスをして黄色のリボンを着けた女子生徒、相沢ゆえさんがいた。
「これから授業?」
「はい。相沢さんは・・・?」
「私?今から学園長室に休学届けをだしにいくところ」
「休学届け・・・・・学園を休むんですか?」
「うん。肩のヒビを治して、リハビリしないといけないから・・・」
「そうですか・・・・・」
相沢さんの怪我は酷く、医者の話だと全治三ヶ月らしい。
「じゃあね、織斑くん」
「はい。リハビリ頑張ってください、相沢さん」
「うん」
「それじゃあ失礼します」
相沢さんにそれだけ言って格納庫に向かって歩き出す。
ーーー俺は気づかなかった。相沢さんが悲しそうな顔をしているのにーーー
「ゆえーーーーー!!」
秋を見送った相沢ゆえは自身の親友とも呼べる少女の声が聴こえて、名前を呼ぶ。
「フォルテ・・・・・」
「はぁ・・・はぁ・・・学園を辞めるって本当スか!?」
「・・・フォルテ、アンタ走るの速すぎ」
フォルテ・サファイアをサラ・ウェルキンが追うかたちで走って来た。
「うん。こんな状態じゃISの操縦どころか勉強も出来ないから・・・」
「そんな・・・・・」
「やめなさい、フォルテ。本当に辞めるのね?」
「うん。お母さん達にはもう言ってるんだ」
「そう・・・・・織斑くんには言ったの?」
「言ってないよ。それに・・・・・これ以上迷惑かけたくないから」
「そう・・・学園長室までついていくわ」
「ありがとう・・・サラ」
「うぅ~毎日、電話してくるスッよ?」
「あはは・・・流石に毎日は無理だと思うけど出来るだけするね」
三人は学園長室に向かって歩き出した。
第33話でした。