リリカル・ストラトス~黒き帝王は魔導師~ (一時更新停止)   作:妖精絶対許さんマン

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第36話です。


第36話 無慈悲な王

土曜日の夜から日曜日の朝にかけて第三世代ISの制作に必要なデータとシナリオを纏めたデータをデュノアに渡しに行ったら心配された。

五日間は徹夜で書類整理。土曜日の夜も徹夜でデータ纏め。死ぬかと思った。部屋に帰って寝て、起きたら七時で、同じベッドで刀奈と虚さん、簪、本音が俺に抱きついて寝ていた。それから、五人で晩ごはんを食べた。

 

「仕事が無いって幸せだな・・・・・」

 

「そうねぇ~~~」

 

「お疲れさま、秋」

 

「あの・・・簪ちゃん?私も頑張ったんだけど・・・・・」

 

「お姉ちゃん、大したことしてないよね?」

 

「そうね・・・・・」

 

俺たち三人は生徒会室でお茶を飲んでいる。

 

「そう言えば、もうすぐタッグトーナメントね。秋くんは簪ちゃんとタッグを組むの?」

 

「ああ。その時に“打鉄弍式・改"のお披露目だ」

 

「うん。秋と私なら優勝できるよね?」

 

「当然だろ?俺たちタッグは最強だ」

 

四年も一緒に居ればお互いの癖はわかっている。ただ、一番の警戒人物はボーデヴィッヒだ。機体の情報が無いから戦略の立てようがない。

 

「そう言えば、クラスの女子がトーナメントで優勝したら俺か愚兄、デュノアと交際出来るとか言ってたな」

 

「あ、私のクラスでも噂になってた」

 

「私のクラスもよ」

 

「おおかた、篠ノ之箒が愚兄に交際云々の話をしているところを誰かに聴かれて、噂が独り歩きしたんだろう」

 

まったく、いい迷惑だ。

 

「(絶対に優勝しないと・・・。秋が誰かに取られちゃう)」

 

「(秋くん、二年生と三年生の間で人気なのよね~。優勝しないと不味いわね・・・)」

 

夏休みにミッドチルダに行くときティーダ達に何か買っていかないとな・・・。銀行に預けてる預金無くなるんじゃないか?

 

「たっ、たっちゃん!大変だよ~~~~~!!」

 

黛先輩が生徒会室に慌てて入ってきた。

 

「どうしたの、薫子ちゃん?何か特ダネでも見つけたの?」

 

「そんな呑気なことを言ってないで今すぐ第三アリーナに行って!」

 

第三アリーナ・・・・・愚兄とデュノアが訓練するとか言ってたな。

俺も誘われたけど断った。何故か・・・・・愚兄関係で嫌な予感がする。

 

「織斑くん・・・・・じゃなくて!一夏くんが第三アリーナの遮断シールドを破壊したの!!」

 

「なんですって!?」

 

愚兄・・・・・また、生徒会の仕事増やしやがったな。

 

「たっちゃん先輩。ちょっと、バカを潰してきます」

 

「あ!秋くん、待って!!」

 

俺は刀奈の制止を無視して生徒会室にある窓から飛び降りた。

 

 

 

 

「ウェルキン先輩!」

 

生徒会室の窓から飛び降りて、こっそり身体強化の魔法を使って第三アリーナの観客席に行くとウェルキン先輩が頭を守るように姿勢を低くしていた。

 

「あ、織斑くん」

 

「大丈夫ですか、ウェルキン先輩?」

 

「ええ。私は大丈夫よ。ただ・・・」

 

ウェルキン先輩は周りを見る。俺も観客席にいる他の生徒を見る。観客席にはウェルキン先輩の様に頭を守るように姿勢を低くしている生徒の他に座り込んで呆然としている生徒や、泣きじゃくっている生徒、過呼吸になりかけている生徒が多数いた。

 

「ウェルキン先輩、生徒の避難をお願いします」

 

「わかったわ。織斑くんは?」

 

「俺ですか?俺はーーーーー」

 

ーーーーー単一使用能力発動ーーーーー

 

頭の中に女性の声が響いてきた。

 

「ーーーーー(息の根を)止めてきます」

 

ーーーーー武装・装甲の再構築開始ーーーーー

 

「・・・・・わかったわ。気をつけてね」

 

「はい」

 

ウェルキン先輩は無人機襲来の時のように拡声器を取りに行った。

 

ーーーー再構築完了。起動コードを音声入力してくださいーーーー

 

「我、裁きを与える者なり。契約の下、その力を解き放て。光は闇に。煉獄は地獄に。そして、裁きの魂をこの胸に。この手に魔法を。黒帝、セット・アップ!」

 

ーーーー起動コード確認。Stand by ready.set upーーーー

 

待機状態の黒帝が光だす。バリアジャケットは黒を基調とした蒼色の縦線が入っているロングコート。右腕を肘下まで覆う手甲。左手にはオープンフィンガーグローブ。そして、腰には黒帝のスピードローター四つが並列して並んでいる鞘に納まっている大太刀があった。

・・・・・黒帝がISなのかデバイスなのか分からなくなってきたが今はそんなことどうでも良い。零落白夜の危険性を理解していないバカを潰すのが先だ。

 

『(マスター、あとで話したいことがあります)』

 

「(話し?わかった。すぐに終わらすからサポート頼む)」

 

『(わかりました。・・・彼女の行動はいくらなんでも異常です。魔法技術が無い世界で魔法が露見するようなシステムを作るなんて・・・)』

 

「(彼女?)」

 

ーーーー単一使用能力〈魔導師の記憶(Wizard memory〉ーーーー

 

ブレッシングハートと念話で話をしていると目の前にハイパーセンサーに表示されるはずのウィンドウが表れた。

 

ーーーーこれより単一使用能力〈魔導師の記憶〉の説明を始めます。魔導師である操縦者の戦闘経験から造り上げられた単一使用能力です。主な能力は二つ。一つ目は操縦者が戦ったことがある魔導師の技能を使うことが出来ます。例を挙げるならば剣の騎士の“炎熱変換"です。二つ目は疑似的な魔法を使用することが出来ます。ただし、魔法を使用する度にSEを消費します。。次に武装の説明に入ります。武装は刀剣型近接武装“黒刀・蝕"のみです。黒刀・蝕にエネルギーを流すことで砲撃を撃てます。以上で単一使用能力の説明を終了しますーーーー

 

「おいおい・・・カートリッジシステムだけじゃなくて変換資質と魔法もかよ」

 

管理局で黒帝のことを調べてもらわないとな。あと、出来るだけ魔法を使わないようにしないとな。

 

「・・・・・ISならハイパーセンサーがあるよな?どこにあるんだ?」

 

目元を触るがバイザーの様なものは無いのに、視界の端にSEの残量が表示されている。

 

ーーーーハイパーセンサーは単一使用能力発動中は必要ないので展開していません。違和感はありますか?ーーーー

 

「いや、大丈夫だ。黒帝、オープン・チャンネルを頼む」

 

ーーーーわかりましたーーーー

 

「そこのバカ共!!今すぐ戦闘行為を止めてビットに戻れ!!じゃないと一人ずつぶっ飛ばすぞ!?」

 

オープン・チャンネルで叫ぶとアリーナ中央で戦っていた全員が俺の方を見る。

 

「断る。私はそこの愚図を倒さなければならない」

 

「こいつは動けない鈴とセシリアを殴り続けてたんだ!!絶対に許さない!!だから、邪魔するな!!」

 

プッチン♪

 

『(あ、マスターがキレた)』

 

ーーーーキレましたねーーーー

 

「・・・・・デュノア。そこのバカ二人を保健室に連れていけ」

 

「え?僕は一夏の援護をしないと・・・・・」

 

「あ"ぁ!?」

 

俺はデュノアを睨む。

 

「は、はいっ!!今すぐ連れていきます!!」

 

デュノアは愚兄から鈴とオルコットを奪い取りビットに消えていった。

 

「さて・・・・・黒帝、ロード・カートリッジ」

 

ーーーーロード・カートリッジーーーー

 

柄のスピードローター四つが一斉に回転してカートリッジを使う。

 

「忠告はした。これより、武力による鎮圧行動を開始する」

 

先にボーデヴィッヒに退場してもらうか。

 

「なっ・・・・・!!」

 

ボーデヴィッヒは目の前に現れた俺に驚き、眼帯をしていない片目を見開いた。当然だ。観客席からアリーナ中央までは約八〇mはある。

 

「とりあえず・・・・・眠れ」

 

鞘からエネルギーで刀身が伸びている黒刀・蝕をボーデヴィッヒのがら空きの首に叩きつける。

 

「ガハッ!?」

 

ボーデヴィッヒは首に攻撃された衝撃で気絶した。絶対防御が無かったらボーデヴィッヒの首は胴体とおさらばしてたな。俺は黒刀・蝕を一度鞘に戻す。

 

「更識流抜刀術一ノ型・・・天月」

 

鞘に戻した黒刀・蝕を一気に抜き放つ。抜き放たれた黒刀・蝕はシュヴァルツェア・レーゲンの大型レールカノンを破壊、SEを削り取った。

 

「・・・・・ボーデヴィッヒも軽いな」

 

SEが無くなったシュヴァルツェア・レーゲンは待機状態の黒いレッグバンドに戻った。俺は無防備なボーデヴィッヒを抱き上げる。

 

「織斑くーん!生徒の避難が終わったわよー!!」

 

観客席からウェルキン先輩が拡声器を使って言ってきた。ちょうど良い。ウェルキン先輩にボーデヴィッヒを押しつけるか。

 

「ウェルキン先輩。ボーデヴィッヒを保健室に連れていっておいてくれませんか?」

 

「え!?いつの間にここまで来たの!?それにその格好はなに!?」

 

ボーデヴィッヒを抱えたまま、俺はウェルキン先輩の前まで移動した。黒帝の単一使用能力は装甲が無い分、スピードが恐ろしく速い。これからの課題は単一使用能力発動中のスピードの制御だな。

 

「俺の専用機の単一使用能力です」

 

「そ、そう・・・・・わかったわ」

 

ボーデヴィッヒをウェルキン先輩に渡して、愚兄の前に戻る。

 

「残るはお前だけだ。織斑一夏」

 

「何だよ・・・その姿・・・」

 

「自分の手札をバラす馬鹿はどこにいる?ああ、悪い。俺の目の前にいたな。そんな、馬鹿が」

 

零落白夜は織斑先生が使えば強力だが、素人に毛が生えた程度の愚兄が使っても何の脅威にもならない。

 

「愚兄。一つゲームをしよう」

 

「ゲーム?」

 

「そうだ。ルールは俺かお前、先にSEが無くなった方が負け。簡単だろ?」

 

それだけだとすぐに終わるな。ハンデをつけるか。

 

「ハンデをやる。俺は“この場所から一歩も動かない"。操縦が下手くそなお前でも俺のSEを“少しは減らせるかも"知れないな」

 

挑発も忘れない。沸点が低い愚兄ならこれくらいの挑発で乗ってくるだろう。

 

「・・・・・怪我しても知らないぞ」

 

「笑わせるな。お前が大ケガするんだよ」

 

「ッ!うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」

 

愚兄は雪片弐型を構えて突撃してきた。愚兄はなにも学習してないな。正面から攻撃しても当たらないのを何で理解できないんだ?

 

「少しはフェイントを使え」

 

鞘に戻した黒刀・蝕の柄を握る。

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

愚兄は零落白夜を発動してきた。愚兄の理解力の無さには驚かされるな。いくら雪片の接近戦しか出来ないからってすぐに零落白夜を使うか?

 

「更識流抜刀術外式・・・二刀(にとう)」

 

鞘から黒刀・蝕を抜き放ち、降り下ろされた雪片を打ち上げる。この二刀と言う技。前楯無さんに出された課題で“自分で新しい更識流抜刀術を考える"って言われて考えた末に生まれた技だ。俺には分からないが前楯無さんと刀奈の話だと抜き放たれた刀が二本に見えたからこの名前をつけられた。

 

「えっ!?」

 

雪片を打ち上げられた愚兄は間抜けな声を出した。

 

「まだ終わりじゃない」

 

抜き放たれた黒刀・蝕を鞘に戻し、俺は姿勢を低くする。SEが無くならない程度の威力にしないとな。

 

「我流・・・首狩り」

 

研ぎ澄まされた一撃は白式の両腕の装甲を破壊、破壊された衝撃で雪片は遥か後方に飛んでいったが俺の攻撃は止まらない。

 

「・・・・・消えろ」

 

黒刀・蝕を上段に構えて勢いよく愚兄の頭に降り下ろす。

 

「ぐぁ!?」

 

降り下ろした黒刀・蝕は白式のハイパーセンサーを破壊して、愚兄を地面に叩きつけた。

 

「ふぅ・・・おい、起きろ」

 

地面に叩きつけられた愚兄は一向に起き上がらない。

 

ーーーー敵操縦者のバイタルを確認。気絶しているようですーーーー

 

「気絶・・・ふざけんなよ!!」

 

俺は気絶している愚兄の腹を蹴り上げる。

 

「がッ!?げほっ・・・ごほっ!?」

 

「勝手に気絶してるんじゃねえぞ?お前は観客席に居た生徒を危険な目に遭わせたんだ。罰は受けてもらう」

 

「俺が・・・皆を危険な目に遭わせた・・・?」

 

「そうだ。たった二人を助けるために周りの人間を危険な目に遭わせたんだ」

 

「たった二人・・・お前は鈴とセシリアがどうなっても良いって言うのかよ!?」

 

地に這いずったまま言ってきた。

 

「ああ、どうでも良いな。ボーデヴィッヒに殴られていたのが訓練機に乗っている普通の生徒ならボーデヴィッヒを潰していたが、国家代表候補生で専用機持ちなら話は別だ」

 

ボーデヴィッヒに一方的に殴られていたのは鈴とオルコットがボーデヴィッヒより弱かっただけの話だ。

 

ーーーちょうど良いわ。秋。少し体を借りるわねーーー

 

俺の目の前が突然暗くなっていった。

 

ーーー安心して。貴方が起きる頃には全てが終わってるわーーー

 

ああ、わかった。おやすみ・・・・・■■

 

ーーーええ。おやすみなさい、秋ーーー

 

そして、俺の意識は闇に沈んでいった・・・・・。

 

ーーーふふ・・・始めましょう。王の覚醒と忌々しき兄弟の呪縛からの解放をーーー

 

「立てよ。まだ、白式のSEは残ってるだろ?雪片取ってこいよ。安心しろ。後ろから攻撃何てしないからさ。だってーーーーー」

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーー惨劇の宴は始まったばかりなんだから。




第36話です。駄文になってすいません。それと、秋の最後の台詞は黒帝のコア人格です。
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