リリカル・ストラトス~黒き帝王は魔導師~ (一時更新停止) 作:妖精絶対許さんマン
「ーーーーーーーーーーーー惨劇の宴は始まったばかりなんだから」
あら?秋の少し低い声が私の声になっているわ。織斑一夏も驚いてるわ。
「ほら、早く雪片取ってきなさいよ」
「あ、ああ・・・・・」
織斑一夏はふらふらしながら雪片を取りに行った。生身の体で遊ぶのは久しぶりね。手加減できるかしら?
「お前・・・・・誰だよ?」
あら?バカで無力で恥知らずな織斑一夏でも私が秋じゃないって分かるのね。・・・・・声が変わってたら誰でも気づくわね。
「お前が知る必要はないわ。ほら、早く攻撃してきなさいよ」
私は鞘から黒刀・蝕を引き抜く。
「ッ!」
織斑一夏は後ずさった。
「来ないの?なら・・・・・私から行くわよ?」
ーーーロード・カートリッジーーー
黒刀・蝕がカートリッジを一発使い、炎を噴き出した。上手くできてるわね。
「ほ、炎!?」
「避けなさいよ?じゃないと・・・・・死ぬわよ?」
私は織斑一夏に向かって走り出す。
「こ、この・・・・・!!」
織斑一夏は雪片を降り下ろしてきた。
「攻撃してきたのは間違えね。避けるのが正解よ」
私は降り下ろされた雪片に合わせるようにジャンプして、織斑一夏の背後に回る。
「死になさい。・・・・・焔斬り」
「がぁ!?」
炎を纏った黒刀・蝕で織斑一夏の背中を斬る。織斑一夏は斬られた勢いで、三回バウンドしながら壁に激突。白式が強制解除、待機状態のガントレットに戻った。
「呆気なかったわね」
こんなのが秋の血の繋がった兄だなんて・・・・・。同じシスコンでも高町恭也の方が秋の兄に向いているわ。秋もなついてるしね。
「出来もしない夢を追いかけて、回りの人間のことを一切考えず、自分の考えを押し付ける。そんな人間は死んだ方が良いと思わないーーーーー織斑千冬?」
私は後ろに振り向く。そこには、ビジネススーツを着て、ISを着用せずに、IS様の近接ブレードを担いでいる織斑千冬がいた。人間辞めてるわね。石仮面でも被ったのかしら?
「貴様・・・・・織斑弟じゃないな?」
「あら?頭の中が筋肉だけと思っていたけどそうでもないのね」
私は暗に“脳筋"と言った。意味が伝わったのか織斑千冬は額に青筋を浮かべた。ふふ・・・・・ちょろいわね。
「もう一度だけ聞く。貴様は誰だ?」
「さあ、誰かしらね?」
少しはぐらかしただけで苛々してるわね。
「ねえ、織斑千冬。私が誰か知りたいならゲームをしましょう」
「なに?」
「貴女が勝ったら私が誰か教えてあげる。私が勝ったらそうね・・・・・」
考えるそぶりをして焦らす。ふふ・・・・・乗ってくるかしら?
「貴様が勝ったらなんだ?早く言え」
乗ってきたわね。
「私が勝ってから教えてあげる。さあ、始めましょう!!」
私は黒刀・蝕を構えて織斑千冬に向かって走り出した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「その程度なの、“世界最強"!!」
「くっ・・・・・!(一撃が重すぎる・・・・・!!)」
織斑千冬はさっきから近接ブレードで私の攻撃を防いでばかり。世界最強も弱くなったわね。それとも・・・秋の身体スペックが私と会ったときから上がったのかも知れないわね。私は黒刀・蝕を鞘に戻す。
「我流・・・首狩り!!」
織斑千冬の首を斬り飛ばすつもりで、鞘から黒刀・蝕を引き抜く。
「ッ!?」
織斑千冬は後ろに勢いよく後退する。織斑千冬は汗を流し、息を荒げながら自分の首を触る。
「惜しかったわね~。折角、一撃で貴女を殺してあげようと思ったのに・・・・・」
黒刀・蝕を鞘に戻しながら、私は笑う。
「それにしても、世界最強も堕ちたものね。さすが、“秋の出来損ない"ね」
「出来損ないだと・・・・・どう言うことだ?」
・・・・・口が滑ったわ。
「言葉の通りよ。貴女と織斑一夏は“秋になりきれなかった出来損ない"よ」
織斑千冬と織斑一夏は出来損ない。それが私の中での二人の評価。
「貴女の高い運動能力と戦闘能力。織斑一夏の家事能力。そして、あらゆる状況を冷静に分析出来るだけの頭を持った秋。三つの要素が合わさって生まれたのが“織斑秋"よ」
そろそろ、秋の体が限界を迎えるわね。この一撃で殺しましょう。
「話は終わりよ。死になさい、織斑千冬」
ーーーロード・カートリッジーーー
黒刀・蝕がカートリッジを一発使い、刀身の付け根から炎を噴き出した。
「行くわよ!!」
「調子に・・・・・乗るなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
炎を纏った黒刀・蝕を構えて走り出すのと同時に織斑千冬も近接ブレードを構えて走ってきた。
ガキンッ!!
「なにッ!?」
黒刀・蝕が近接ブレードをチーズの様に簡単に切断したことで織斑千冬は驚いた声を上げながらも、刃をしゃがんで避けて、地面に両手を着けて頭を蹴ろうとして来た。弟なのに容赦ないわね。
「そんなのお見通しよ」
私は頭を狙った蹴りを左手で掴んで、織斑千冬を放り投げた。
「くそッ!」
織斑千冬は受け身をとり、体勢を立て直そうとした。だけど、短い時間だけでも私には十分。
ーーーロード・カートリッジーーー
黒刀・蝕がカートリッジを二発使い、黒刀・蝕が纏っている炎が激しく燃え始めた。
「灰塵に帰しない!!神炎ノ剣!!」
織斑千冬に向かって刀身がエネルギーによって伸び、炎を纏った黒刀・蝕を降り下ろそうとしてーーーーー止められた。
「何をしてるのよ、秋くん!!!!!」
更識楯無が水色のISを着用し、手に持ったランスで黒刀・蝕を防いでいた。あら?炎の勢いが弱くなっていくわね。なんでかしら?
「秋!!」
ポスンッ!
今度は制服姿の更識簪に抱きつかれた。はぁ・・・興醒めね。この二人が傷ついたら秋が悲しむわ。私は黒刀・蝕を鞘に戻す。
「・・・・・二人に感謝するのね、織斑千冬。次は殺してあげるわ」
視界もボヤけてきたわね・・・・・。しばらく表に出てこれないわね。コアに戻る前に二人に言っておきたいことがあるのよね。
「更識楯無、更識簪。秋のこと、よろしくね?」
私はそれだけ言って体の主導権を秋に返した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「・・・・・二人に感謝するのね、織斑千冬。次は殺してあげるわ」
私、更識楯無は目の前で起こっている出来事を上手く理解できない。
急いで第三アリーナに向かったら、不思議な服装の秋くんと織斑先生が戦っていた。そして、秋くんが無防備な織斑先生に斬りかかろうとした瞬間に私は専用機“ミステリアス・レイディ"を展開して、イグニッション・ブーストを使って、織斑先生を庇うように蒼流槍で防いる。生身から考えられない力で圧されていく。そして、一番理解出来ないのが秋くんの声が女性の声になっていたこと。
「更識楯無、更識簪。秋のこと、よろしくね?」
秋くん(?)はそれだけ言うと目蓋を閉じた。すると、秋くん(?)が着ていた服が消えて、制服姿の秋くんに戻った。
「秋くん!?」
安心するのもつかの間、秋くんが倒れそうになった。私はミステリアス・レイディを解除して、秋くんを支える。
「秋くん!秋くん!!」
「秋!!秋!!目を開けて!!」
私と簪ちゃんは必死に秋くんに声をかける。すると、少しだけ秋くんの目蓋が開いた。
「か・・・たな?かん・・・ざし?」
秋くんはそれだけ言うと目蓋を閉じた。
「ッ!簪ちゃん!秋くんを医務室に運ぶわよ!!」
「う、うん!!」
IS学園には保健室と医務室の二種類ある。保健室は擦り傷や突き指等の軽いケガの治療。医務室はそれこそ“生命に関わる状態"の生徒を治療するための部屋。
「待て、更識」
秋くんを医務室に連れていこうとすると、織斑先生に止められた。
「織斑弟の専用機を渡せ」
この人は・・・・・!!
「簪ちゃん。秋くんを医務室に連れていって」
「うん!」
簪ちゃんは秋くんを引っ張るように医務室に歩いていった。
「・・・・・どういうつもりだ、更識。教師の私に逆らうのか?」
「貴女は・・・・・貴女は秋くんのことがどうでも良いんですか!?」
信じられない!自分の弟が倒れたのにISをよこせですって?妹がいる身では考えられないわ!!それなら、こっちにも考えがあるわ!
「そんなに、秋くんのことがどうでも良いんですか!?なら、秋くんは私たち更識家で引き取らせてもらいます!!」
「なに?」
「貴女が大事なのは織斑一夏くんだけ何でしょう!?秋くんは要らないんでしょう!?それなら、私が引き取らせてもらいます!!だから、秋くんに二度と近づかないで!!!!!」
私はそれだけ言って、医務室に向かった。お父さんに電話して秋くんを引き取る準備をしないとね。本当は婿養子で来てほしかったんだけどな~~~ってこんなときに考えることじゃないわね。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ここは・・・・・」
アリーナにいたはずなのに俺は草原にいる。
「あれ?そもそも、俺は何でアリーナにいたんだっけ?」
何でアリーナにいたのか思い出せない。
「秋・・・・・」
「ん?」
名前を呼ばれて振り返る。
「な、なんで・・・・・」
「大きくなったわね、秋・・・・・」
そこには黒い布地に椿の絵が描かれている着物を着た女性がいた。
「なんで・・・・・ここにいるんだよ・・・・・」
その女性に見覚えがある。いや、見覚えがあるなんてレベルじゃない。
「椿姫(つばき)・・・・・!!」
「そんな怖い顔しないで。ちゃんと理由を話すから。ほら、こっち」
椿姫に引っ張られて、岩の上に座らされた。
「よいしょ!」
すると、椿姫は俺の膝の上に座った。
「昔は貴方が私の膝の上に座ってたのに・・・・・時間がたつのは早いわね」
「・・・・・そうだな」
なんで俺は椿姫のことを思い出せなかったんだ?
「ねえ、私がいない間の五年間の話を聴かせて!」
椿姫は子どもの様な無邪気な顔をしていた。椿姫には敵わないな・・・・・。姉みたいに接してきたと思ったら子どもみたいに無邪気に俺と話をする。
「そうだな・・・・・少しだけだぞ?」
「うん!」
時間はあるんだ。ゆっくり話をしよう。俺は椿姫に五年間の話を話始めた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「簪ちゃん!秋くんは・・・・・」
「お姉ちゃん・・・・・大丈夫。先生が寝てるだけだって。明日には起きるかもって」
「本当!!良かった・・・・・」
秋くんには私たちを心配させた罰としてデートしてもらわないとね。
「簪ちゃん。大事な話があるの。私たちの部屋に来てちょうだい」
「ここじゃダメなの・・・・・?」
「念のためよ。私たちの部屋には盗聴器が仕掛けられていないから」
この学園には今年から要人が三人も入学したことで学園の至るところ盗聴器が仕掛けられている。織斑先生の弟の織斑一夏くんの部屋には二〇。篠ノ之博士の妹の篠ノ之箒ちゃんの部屋には四〇。秋くんの部屋には盗聴器は仕掛けられていない。その代わり、秋くんの盗聴器は私だけどね。
「うん・・・・・また来るね、秋」
簪ちゃんは秋くんの頭を撫でた。・・・・・羨ましいなぁ。
「行こう、お姉ちゃん」
「ええ」
秋くんに甘えるのはまだ我慢しないと。今の私は“生徒会長・更識楯無"として何より、“十七代目・更識楯無"として秋くん。貴方を絶対に守ってみせるわ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「こんなところかな。椿姫がいない間に起きた出来事は」
「へぇ~いろんなことがあったのね」
俺は椿姫に五年間の話をした。もちろん、魔法関係の事は話していない。
「・・・・・そろそろ、教えてくれないか?ここが何処なのか。何より、椿姫は誰なのか・・・・・」
「そうね・・・・・。ここはISコアの中。言い方を変えればこの世界は秋。貴方の心象風景。何処かで見覚えがない?この草原に」
俺は椿姫の言葉に疑問に思い、回りを見渡す。すると、確かに見覚えがあった。
「篠ノ之神社の裏山?」
「ええ。ここは、私と貴女が初めて会った想い出の場所よ」
待て・・・・・ここがコアの中だと言うなら椿姫は・・・・・。
「椿姫・・・・・お前は」
「貴方の考えている通りよ。私は篠ノ之束に最初に造られた原初のISコア。ロストコアNo.XXX。それが私よ」
原初の・・・・・ISコア?
「原初のISコアってどういうことだ?白騎士が一番最初じゃないのか?」
「白騎士は私のあとに生まれた二号機よ」
「二号機?」
「ええ。私は一番最初に生まれて、体(機体)を貰えなかった出来損ないのコアよ・・・・・」
椿姫は何処か自嘲するように笑っていた。
「・・・・・椿姫は出来損ないなんかじゃない」
「え・・・・・」
俺は椿姫を抱き締める。
「椿姫は出来損ないなんかじゃない。椿姫は俺の大切な相棒(パートナー)だ」
「・・・・・ありがとう、秋」
椿姫は俺の手を握ってきた。あい変わらず椿姫の手は暖かいな。
「なあ、椿姫。何で黒帝は魔法が使えるんだ?」
「・・・・・怒らない?」
「ああ、怒らないから正直に話してくれ」
椿姫は涙目で見てきた。・・・・・可愛い。
「その・・・・・私(黒帝)が秋に渡された時にこっそり秋の記憶を読み取ったの」
え?ISって記憶読み取れるの?
「はぁ・・・・・俺の記憶を読み取ったのは良いとして、何でカートリッジシステムや単一使用能力でバリアジャケットを造ったんだ?」
「秋が戦いやすいようにしようと思って・・・・・ダメだった?」
「いや、単一使用能力は一回しか使ってないからなんとも言えないが、カートリッジシステムは造ってくれてありがとう」
「どういたしまして、秋」
そう言うと椿姫は俺の膝から立ち上がった。
「そろそろ、時間ね。他に何か聴きたいことはある?」
「ああ、最後に一つだけ」
魔法関係より、一番大切なことを聞く。
「・・・・・どうして、俺はこの五年間に椿姫のことを思い出せなかったんだ?」
「そうね・・・・・。それは、私の魔法ーーーーーレアスキルよ」
「レアスキル!?どういうことだよ!?」
「次に会ったときに教えてあげる」
「まだ、話は終わってーーーーー!!」
椿姫に続きを聴こうと手を伸ばすが、俺の意識は闇に飲まれていった。
第37話でした。
椿姫が言った出来損ないの意味はこうです。
織斑千冬・・・・・家事能力が皆無。一見冷静のように見えるがかな りの短気。
織斑一夏・・・・・戦闘能力は微妙。激情家。冷静に物事が判断できない。
と言う意味です。
あと、東方projectの方でも秋くんが主人公の小説を書き始めました。そちらも読んでもらったら幸いです。