リリカル・ストラトス~黒き帝王は魔導師~ (一時更新停止) 作:妖精絶対許さんマン
「待っていて、秋・・・・・」
一人だとやっぱり寂しいわね・・・・・。
「ごめんなさい・・・・・秋」
私は魔方陣を展開する。
「記憶改変・・・・・開始」
私のレアスキル“記憶改変"は対象の記憶を消したり、書き換えることが出来る。秋が今まで、私のことを思い出せなかったのは私に関する一部の記憶を消したから。最近になって解けたみたいだけどね。
「織斑一夏に関する記憶も消しましょうか」
私は魔方陣をもう一つ展開する。魔方陣にはシャボン玉のようの物が表れた。シャボン玉の中には織斑千冬と織斑一夏の映像が流れている。
「記憶改変・・・・・終了」
私はシャボン玉を握りつぶした。
「ふふ・・・・・忘れられる苦しみを味わいなさい、織斑千冬、織斑一夏(出来損ないたち)」
織斑千冬達の記憶を無くした秋を見た二人の反応が楽しみね。
「あとは今日、使った魔力を回復するだけ。魔力を分けてもらうわよ、秋」
本当は秋から魔力を分けてもらうのは良くない。私が秋から魔力を回復すれば秋に負担が掛かる。でも、それももうすぐ終わる。リンカーコアの解析もある程度終わった。あとは、私の体内にリンカーコアを作れば良い。
「物語は中盤戦・・・・・。ここが踏ん張りどころね」
そして、私はリンカーコアの作成を始めた。
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秋くんが倒れて三ヶ日がたった。秋くんはまだ、目を覚まさない。簪ちゃんに秋くんを引き取ることを話したら渋々だけど納得してくれた。私と虚ちゃんは今、学園長室にいる。
「織斑先生。君には一週間の謹慎処分を課します」
「なぜ、私が謹慎しなければいけないんですか!?」
「更識くん。説明をお願いしますね」
「はい」
十蔵さんに呼ばれて私は前に出る。織斑先生が睨んでくるが全く怖くない。
「まず、織斑先生。貴女にはご自身が謹慎になる理由がわからないんですか?」
「分かるわけないだろ。私は自分の仕事をしているだけだ」
・・・・・本気で言ってるのかしら?
「織斑先生。貴女の仕事は生徒を出席簿で叩くことですか?織斑先生の教え方で育つのは軍人か狂人だけですよ。昨日、他の先生方にアンケートを取らせてもらいました」
「なに?私はアンケートなど知らないぞ」
「本人が居たらアンケートの意味がないじゃないですか。アンケートの結果なんですが・・・・・織斑先生の教育方針に疑問を持つ先生方は全体の八割。残り二割が織斑先生の教育方針に近い考え方の先生方です」
織斑先生の後輩の山田先生も教育方針に疑問を持ってたわね。
「織斑先生。貴女は教師に向いてないんですよ。IS学園を辞めてドイツ軍の教官を再びなさったらよろしいんじゃないかしら?」
「お嬢様。口調が綻び始めてますよ」
おっと・・・・・。
「織斑先生が謹慎になった最大の決定打はここ最近の事件です。無人機襲来の時は動揺して他の先生方に指示を出せなかったこと。そして・・・・・先日のドイツ代表候補生の暴走と織斑一夏くんの遮断シールド破壊。織斑先生。貴女、あの日第三アリーナに居ましたよね?」
秋くんが倒れた次の日にアリーナの監視カメラを確認したら織斑先生が映っていた。
「・・・・・本当ですか、織斑先生?」
あれ?十蔵さん、知らなかったのね。
「・・・・・はい」
「・・・・・謹慎期間を二週間に延ばします」
やっぱりその程度よね・・・・・。
「それと、学園長。この書類にサインをお願いします。虚ちゃん」
「はい」
虚ちゃんはファイルに入っていた書類を十蔵さんに渡した。
「これは?」
「“一年一組所属の織斑秋"を“一年四組に編入"させたいんです」
「なんだと!?」
織斑先生が叫び声を上げた。
「ふざけるなよ、更識・・・・・!織斑弟をなぜ四組に編入させなければいけない!!」
「織斑先生は織斑一夏くん一人守るのに手一杯じゃないですか。なら、秋くんを四組に編入させて織斑先生の負担を減らそうと思って」
「そんなことしてなくても、織斑兄弟は私が守る!!私はブリュンヒルデーーーーーー」
「ブリュンヒルデの肩書きしかない貴女に何が出来るんですか?」
私は口元を扇子で隠しながら言う。
「貴女はブリュンヒルデの肩書きを権力と勘違いしてませんか?ブリュンヒルデはモンド・グロッソ優勝者に与えられる栄光。権力じゃないわ。それに、貴女には力がない。貴女の専用機“暮桜"は行方不明。それに・・・・・貴女は織斑一夏くんだけが大切なんでしょう?」
「そんなことは・・・・・!!」
「無いなんて言わせないわよ、“白騎士"さん?」
秋くんが教えてくれたことを織斑先生に言う。図星だったみたいね。目を見開いているわ。
「お嬢様。口調が綻び始めてますよ。同じことを二度も言わせないでください」
「ごめんなさい、虚ちゃん」
虚ちゃんは怒ったら怖いのよね。ま、一番怒らせたら怖いのは秋くんだけどね。
「貴様・・・・・それをどこで知った!?」
「少し考えれば分かることですよ、織斑先生」
秋くんが教えてくれたことは言わない。
「貴女は十二、十三歳で色々な人に頭を下げたことがありますか?」
「あるわけないだろ。私は常に正しいからな」
この人は本当に血の繋がった秋くんの姉なのかしら?姉弟でここまで性格が違うものかしら?
「彼は貴女が棄権した第二回モンド・グロッソのあと、政府の役人に謝っていましたよ。一人一人に、罵られながひたすら頭を下げてました。後々の禍根を残さないために・・・・・ね」
織斑先生が試合を放棄したのは仕方ない。ボディーガードが織斑一夏くんを守って無かったのも悪い。織斑先生が織斑一夏くんに自衛手段を持たせなかったのも悪い。でも、その皺寄せが全部秋くんに回ってくるのは間違ってるわ。
「貴女は秋くんを守ってないんです。秋くんに守られてるんですよ、貴女は」
「アイツがそんなことするわけないだろ」
これ以上の話は不毛ね・・・・・。
「貴女は秋くんのことを何も知らないんですね。いきましょう、虚ちゃん」
「はい」
秋くんのお見舞いに行かないとね。
「お姉ちゃん!!」
私達が学園長室から出ていこうとすると、簪ちゃんが飛び込んできた。
「秋が・・・・・秋が・・・・・!!」
「秋くんに何かあったの!?」
「秋が・・・・・秋が目を覚ましたの!!」
「本当!?」
「うん!今、本音が先生を呼びにいってる!!」
「わかったわ!!学園長、失礼します!」
私達は急いで学園長室から走っていった。秋くんが目を覚ました・・・・・。今はそれが一番嬉しい。
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「暇だ・・・・・」
目が覚めて一番最初に映ったのが簪と電気ネズミのコスプレをしている本音だった。本音の電気ネズミのコスプレはどこで買ってきたんだ?・・・・・今度聞いてみるか。
「何か忘れてる気がするんだよな・・・・・」
刀奈達のことは憶えている。なのは達のことも憶えている。俺が魔導師なのも憶えている。椿姫は思い出した。
「ま、良いか。思い出せないってことは、どうでも良いことなんだろうな」
俺は一人で自己完結する。
「秋くん!!」
しばらくすると刀奈と簪、虚さんが入ってきた。
「たっちゃん先輩、簪、虚さん。おはようございます」
「おはようございます。じゃないよ!!倒れたと思ったら三ヶ日も寝てたんだよ!?」
「え?三ヶ日も寝てたのか・・・・・俺」
簪の涙目なんて何時ぶりだ?
「かんちゃ~ん!先生呼んできたよ~!!」
普段の本音からは考えられないスピードで部屋に入ってきた。
「の、布仏さん・・・・・走るの速いのね・・・・・」
白衣を着た先生が肩で息をしながら入ってきた。本音は実は俺達の中で一番速い。鬼ごっこで本音が鬼になると必ず捕まり、逃げられたら追い付けなくなる。
「それじゃあ、診察するから部屋から出てちょうだい」
「わかりました。いきましょう、皆」
刀奈達は部屋から出ていった。
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「ねえ、お姉ちゃん。秋、少し変じゃなかった?」
「・・・・・簪ちゃんも気づいた?」
「うん。・・・・・憑き物が落ちたって言うのかな?少し明るくなったて言うのかな・・・・・」
簪ちゃんも気になったのね。
「・・・・・更識」
すると、十蔵さんとの話が終わったのか、織斑先生が来た。
「何しに来たんですか、織斑先生?貴女がここに来てもする事はありませんよ」
「黙れ。私はアイツの姉だ。貴様らこそ、赤の他人だろ。今すぐこの場から消えろ」
「私、言いましたよね?秋くんを引き取るって。もう手続きは終わっています。秋くんの名字は“織斑"じゃなくて“更識"になりました」
本当はまだ秋くんを引き取る手続きをしていない。織斑先生みたいに本人の承諾無しで手続きしたりしない。
「更識さん・・・・・って、織斑先生もいらしたんですね」
医務室から山崎先生(25歳・独身)が出てきた。その表情はどこか暗い。
「その・・・・・織斑先生がいると言いにくいんですが・・・・・」
「構いません。話してください」
「・・・・・分かりました」
山崎先生は咳払いをして真剣な顔をした。
ーーーーーー山崎先生の話は私にとって嬉しい話で、織斑先生には辛い現実を突きつけたーーーーーー
「織斑秋くんは・・・・・極端な記憶喪失みたいです」
第38話でした。駄文ですみません。