【祝・追放100回記念】自分を追放した奴らのスキルを全部使えるようになりました! ~プロクセミティ~   作:高見南純平

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第2話 

 ララクが冒険者パーティー「プロクセミティ」から、通算34回目の追放をされた頃から一年以上後の事。

 

 成長期のはずなのだが、全く容姿は変わっていなかった。金色のぱっつん前髪に、くりっとした黒目。魔法使いやヒーラーが着用するローブをアレンジしたものを着ている。これは、ずっと着ているもので一番肌に合う。

 

 そんな何度も追放をされた彼は現在も冒険者を続けている。

 

 今日は依頼(クエスト)をしに、ジャングルへと足を運んでいた。

 

 依頼人はこの近くの町に住んでいる人物だ。

 

 

【古獣マンモスを倒せ!】

 

 どっからか迷い込んできた巨大マンモスが、町の周辺を破壊してんだ。そこら中に足跡がくっきりあって、村人はみーんな怖がっている。俺は別に……怖くねぇけど、ただの農民にあんな奴は倒せねぇ!

 とんでもねぇ化け物だけど、誰か倒してくれ!

 

                      依頼人・ジャガイモ農家

 

 

 以上の内容が、今回ララクが行うクエストの内容だ。

 

 ララクはクエストを思い出して、そこに書かれていた足跡について探っていた。

 

「……これか、大きいな」

 

 ジャングルの深奥に広がる濃密な緑の中、巨大な足跡が地面に深く刻まれていた。その大きさは想像を絶するもので、一歩一歩がまるで大地を揺るがすような重みを感じさせる。樹木の間に広がるその跡は、まるで巨人が通り過ぎたかのように見えた。

 

 ララクは自分の足と比較して、規格の違いに驚いている。

 

「マンモスは初めて戦うな。……楽しみ」

 

 独り言の言うようにつぶやくが、彼の近くにはもう1人冒険者がいる。女性であり、歳は20代前半。背中に装備した鉄の棒が特徴的だ。

 

「マンモスって、でっかいゾウだっけ? 私も見たことないや」

 

 彼女の名前はゼマ。現在、ララクとパーティー契約を交わしている仲間である。

 ゼマはマンモスの説明をする際に、腕を伸ばしてゆらゆらと動かし、象の動きを形態模写して見せた。

 

「簡単に言えばそうですけど、何千年、いやもっとですかね。その頃から形を変えずに生息していると言われてまして、「生きた化石」なんて言われてますよ」

 

 ララクは相対したことのないマンモスの説明を、すらすらと何も見ることなく述べていた。表情が緩んでおり、どこか楽しそうにしている。

 

「よく知ってんね。感心するわ」

 

「昔、よくモンスター図鑑見てまして。だいたいのモンスターなら、頭に入っている、つもりです……」

 

 自慢になりそうだったので、最後は言葉を濁すララク。実際、相当な希少種でない限り、おおよその全貌は把握している。けれど、本で読むのと、現実で目の当たりにするのでは大きな違いがある。

 

「そっか。んで~、肝心の本体ちゃんは~」

 

 ゼマは手のひらを水平にして、おでこのところに持ってくる。手を日差しよけのような形にすると、周辺を捜索する。

 

 すると、彼女の視界ではなく、2人が立っている大地に変化が起き始める。

 

 太陽が差し込む午後のジャングルは、静寂に包まれていた。木々の葉が微かに風に揺れ、遠くからは鳥のさえずりが聞こえるだけだった。しかし、突如として大地が微かに揺れた。最初はほんのわずかな振動だったが、次第にその震えが強くなり、地面がざわめき始めた。

 

 巨大な木々がその根元から揺れ動き、小さな生物たちは驚いて逃げ惑う。ジャングル全体が生命の脈動に合わせて躍動し始めたかのように感じられた。遠くからは、低い轟音が聞こえてきた。

 

 空気が静かに振動し、植物の葉がその波に乗って揺れる。熱帯の湿った空気が重く漂い、一瞬の静寂がまた訪れる。そして、再び大地の揺れが始まると、草木をなぎ倒しながらそいつが姿を現したのだ。

 

「ブオオオーン!」

 

 モンスターの名は、マンモス。堂々たる体躯を揺らしながら、マンモスが一歩一歩を踏みしめるたびに大地が振動し、まるで地面が生きているかのようだった。マンモスは力強い鳴き声を上げ、その声がジャングル全体に響き渡った。

 

「っげ、でかすぎっ!」

 

「……こ、これは想像以上ですね」

 

 ララクとゼマは、全貌が明らかになったそのマンモスの体を見て、大きくリアクションをとった。ゼマの身長は170ないぐらいで、ララクは160前後。

 それに比べて、マンモスの体は4メートルをゆうに超えていた。

 

 マンモスの体は圧倒的な存在感を放っていた。全身を覆う長くて厚い毛皮は茶色がかり、ジャングルの緑との対比が鮮やかだった。太く力強い足は、地面に深い跡を残しながら進む。大きな頭には長くて湾曲した牙があり、先端は鋭く光っていた。瞳は深い琥珀色で、知性と野生の力強さを感じさせた。

 前に伸びた牙も特徴的だが、何より象種特有の長く野太い鼻が目立っている。

 

 形はオーソドックスな象だが、巨大さと牙があるだけで全く別のモンスターのように感じる。

 

「ゼマさん、準備はいいですか?」

 

 ララクは巨大マンモスに威圧されながらも、戦う姿勢をすでに取っていた。そして、仲間にもそれを確認する。

 

「もっちろん。あの鼻、へし折ってやるよ」

 

 ゼマは背中に鉄で出来た棒を装備している。彼女はそれを抜いて両手で構え、戦闘準備を始める。彼女は大きさにビビることはなく、むしろ楽しそうに眉を上げている。

 

 これから、ララクとゼマ、そしてマンモスの戦いが始まるのだった。

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