【2024/11/29書籍①発売】無理ゲー転生王女(クソゲー悪役令嬢外伝)~隣国王子に婚約破棄されたけど、絶対生き延びてやる!   作:タカば

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神造兵器(第一章完結)

「うわあ、何これ」

 

 私は、さっきとは別の声をあげた。

 ディーはしれっとした無表情を崩さない。

 

「何って、コレット様が想像した強い存在ですよ」

「明らかに巨大ロボットじゃん! お台場とかに立ってるあれじゃん! こんなデザイン大丈夫? 著作権がどうとかで訴えられない?」

「異世界に来てまで訴訟なんか起こせませんよ」

「それはそうだけど」

 

 ロボットはなぜか長い棒状の武器を持っていた。

 先端に重りがついた鈍器。

 いわゆるメイスというやつだ。

 確かに、剣や刀に比べて、壊れにくくて何度も使えそうだけど。

 装備が生々しすぎて怖い。

 

「時間がありません、行きますよ」

 

 がくん、と巨大ロボットが膝をついた。

 お腹の装甲が開いて、コックピットが姿を現す。

 こんな構造までアニメそっくりである。

 ディーは私を抱き上げると、ロボットの中に乗り込んだ。

 コックピットの中には縦にふたつ並んで座席が設置してある。

 

「私が操縦します。コレット様はとにかく、そこに座っていてください」

 

 私がここに乗り込むのは、女神の力の節約のためだもんね。

 おとなしくしてますとも。

 虹瑪瑙のペンダントを見ると、石はほぼ真っ黒になっていた。石像の改造に力のほとんどを使ってしまったらしい。

 作った道具の維持に力はいらないけど、動かすにはそれなりの力が必要だ。

 すべての力がなくなるまでに、どうにかしなくちゃ。

 前の座席にディーが座ると、お腹の装甲が閉じた。周りの壁が液晶モニターに切り替わる。

 

「行きます」

 

 ぐん、と後ろ向きに重力が加わったかと思うと、ロボットは走り出した。

 あっという間にワイバーンへと近づいていく。

 銀の鎧型ロボットという新たな存在に、戦場のすべての視線が集まる。

 一番手前にいたワイバーンが、不思議そうな顔でこっちを見た次の瞬間、その脳天にメイスが叩き込まれた。

 べしゃ、とワイバーンは地面に崩れ落ちる。

 

「これでひとつ……!」

 

 ワイバーンが倒されたからだろう。

 虹瑪瑙がほんの少し青い光を取り戻した。

 

「ディー、回復してる!」

「ではそれがなくなる前に、次のワイバーンを倒します!」

 

 ぶん、とロボットがまたメイスを振るう。

 ロボットが大きな動きをするたびに、虹瑪瑙の色が暗くなる。

 敵を倒して力を補充して、その力がなくなる前にまた敵を倒す。

 とんでもない自転車操業バトルだ。

 

「はあっ!」

 

 またロボットがメイスをワイバーンに叩きつけた。

 重い一撃はかすっただけでも大ダメージだ。

 羽を破られ、ワイバーンが地面に落下する。身動きがとれなくなったところに、とどめを刺したら、石の色がまた明るくなった。

 倒して、倒して。

 気が付けば石の色はまた明るい青へと戻ってきている。

 

「ディー、女神の力が」

「わかっています」

 

 ディーがロボットの体をイースタン陣営に向ける。

 いつの間にか、人間の兵士たちはこちらから距離をあけていた。

 

「退却するようです」

「奥の手を倒されたんじゃ、逃げるしかないよね」

 

 ワイバーンも、その体を翻す。

 劣勢とみて彼らも退却するみたいだ。

 作戦失敗が確定したからだろう、虹瑪瑙は青から緑、緑から黄に変わり、さらに虹色の光を放ちだした。

 

「なんとか……なった?」

「そうですね」

 

 ロボットが動きを止める。

 イースタン兵も、ワイバーンも、もう姿はなかった。

 よかった……なんとかなった。

 一時はどうなることかと思ったけど、レイナルド兄様たちを守りきることができたみたいだ。

 ほっと息を吐いたと同時に、周りからわあっという歓声があがった。

 

「な、なにごと?!」

 

 慌ててモニターを見ると、サウスティ兵がロボットを取り囲んで大騒ぎしていた。

 ロボットの装甲ごしに声が響いてくる。

 

「神だ!」

「神が降臨された!」

「創造神様の御使いだ!」

 

 彼らは涙を流してロボットを拝んでいる。

 

「えええ……なんなの?」

「彼らにしてみれば、突然創造神の石像がロボットに変身して、邪竜を倒したわけですからね。当然の反応ではないでしょうか」

「ええ……」

 

 いやそんな大したモンじゃないと思うんだけど。

 あれ? どうしよう。

 今コクピットあけて中から出てきたら、とんでもないことになるんじゃないの。

 私自身が神様として祀られかねないんだけど。

 

「何をいまさら。あなたはそもそも、女神の天啓をうけた聖女でしょうが」

 

 そうなんだけど。

 確かにディーの言う通りなんだけど。

 

「どうしよう、これ……」

 

 私はコクピットに座ったまま、頭を抱えた。

 




というわけで!
とんでもない状況ですが、姫君の逃走劇第一章完結です!こんなところで終わるわけもなく……
続きは、しばらくまたプロットをねりねりして……「クソゲー悪役令嬢」のほうを1章連載をはさんでからの連載再開予定です。
次の展開をのんびりお待ちください。

そしてもうひとつ、とんでもない報告が!
「無理ゲー転生王女」書籍化が決定しました!
レーベルは、クソゲーと同じ「いずみノベルズ」様です!
詳細はまた、活動報告などで発表していきますのでお楽しみに!!

好評発売中の「クソゲー悪役令嬢短編集①」も引き続きよろしくお願いします。
サイン紙本プレゼントキャンペーン、2024/8/31まで募集中ですよー!!
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