【2024/11/29書籍①発売】無理ゲー転生王女(クソゲー悪役令嬢外伝)~隣国王子に婚約破棄されたけど、絶対生き延びてやる!   作:タカば

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合流

「姫様、ご無事ですか」

 

 オスカーは私たちの前まできて、馬を止めた。

 彼の後ろには少女の格好をした赤毛の少年の姿がある。戦闘が終了したのを見計らって、馬に二人乗りしてきたようだ。

 よく見ると彼らが乗っているのは荷馬車を引いていた馬だった。

 馬車から外して乗ってきたらしい。

 残された馬車そのほかは、老兵サイラスたちがなんとかしてくれるんだろう。

 

「問題ないわ」

「どうして金髪に……いや、言うだけ無駄ですね」

 

 オスカーはひらりと馬から降りた。

 そして、後ろに乗っていたルカに手を差し出す。私の少し後ろで様子を見守っていたジルベール兄様が問いかけた。

 

「オスカー、その少女は?」

「彼は……」

「いい、自分で名乗る」

 

 ルカは馬から降りると、洗練されたしぐさで騎士の礼をとった。

 

「お初にお目にかかります。私はオーシャンティア王国の第三王子、ルカ・オーシャンティアと申します。イースタン王城に幽閉されていたところをコレット姫に助けられ、ともに逃げてまいりました。追手の目をくらますため、少女を装っております。このような姿でご挨拶することになり、お目汚し申し訳ありません」

「あなたが、オーシャンティアの……これは失礼しました。コレットの兄であり、サウスティ王の弟のジルベールです。ご無事でよかった」

 

 ジルベール兄さまも、隣国の王子に対して正式な礼を返す。

 それからへにゃ、と困り顔になった。

 

「逃げ出す時まで、子供を見捨てられなかったか」

「だって放っておけるわけないじゃない」

「それがうちの妹だって、わかってるけどね」

 

 兄様は肩をすくめる。オスカーもため息をついていた。

 みんなしてなんだよー!

 人として当然の行動でしょー?

 

「さて、兵へのパフォーマンスはこれでいいとして、もうちょっと詳しい話を聞かせてもらいたいんだけど?」

 

 ジルベール兄様がこちらを振り返った。私もうなずく。

 こっちも報告したいことが山ほどあったから。

 

「その前に、アレをどうにかしたほうがよくないか?」

 

 オスカーが白銀の鎧を見上げた。

 確かに、立たせたまま放置は不用心が過ぎる。

 私はもう一度子ユキヒョウを抱えなおすと、タブレットを操作した。

 

「待機モードはこれね」

 

 画面に表示された車両のマークを押すと、後ろに停まっていた大きな車が動き出した。全体的なデザインは大型トラックに近い。前方に運転席があり、その後ろが大きな箱型になっていた。箱から巨大なクレーンが出て来たかと思うと、するするとまっすぐ上に向かってのびていく。倒れないようにするためだろう、いつのまにかタイヤのわきから更に何本か、カニの足のようなパーツが出てきて、車両を地面に固定した。

 車両の準備ができたのと同時に、ゆっくりとロボットが動き出す。

 ロボットは背中側から車両に向かって歩くと、クレーンに背中を預けるようにしてもたれかかった。巨体を車両がガシっと受け止める。

 どうやらこれがディーの言うところの「ロボットに負担のかからない」格納方法らしい。

 

「これで、よし」

「コレット、あれはどういう状況なんだ?」

 

 ジルベール兄様がロボットと車両を交互に見比べる。

 

「あのまま立たせておいたら危ないから、車両を使って固定したの。ええと……繊細な部品が多いから、騎士たちが触らないようにしたいんだけど」

「わかった」

 

 兄様は後ろの兵士たちを振り返った。

 

「女神から賜った鎧に軽々しく触れてはならぬとのことだ! 見張りを立て、警戒せよ!」

「かしこまりました!」

 

 騎士数名がロボットの周りに散っていった。

 ロボット自体の安全も確保だ。

 

「はあ……」

 

 必要なことを一通りやり遂げたと思った瞬間、かくっと膝から力が抜けた。

 倒れこむ直前、オスカーが私の体を支える。

 

「やっぱり平気じゃないんじゃないか。ディートリヒはどうした? あなたを置いて、傍を離れるなんて、従者失格だ」

「そういうこと言わない」

 

 私はオスカーの手を押しのけて、自分の足で立った。

 

「ディーは、がんばりすぎたせいで休眠モードになっちゃったの」

 

 抱いている子ユキヒョウを見せると、オスカーは目を丸くした。

 

「は?」

 

 横からルカがひょいと手の中を覗きこんでくる。

 

「ディーのやつ、またネコになってんの?」

「奇跡の力を使い果たしたから、女神もディーもしばらく起きてこれないって」

「は?」

 

 さも当然のようにユキヒョウをディーと呼ぶ私たちを見て、オスカーは目をぱちぱちと瞬かせた。

 

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