【2024/11/29書籍①発売】無理ゲー転生王女(クソゲー悪役令嬢外伝)~隣国王子に婚約破棄されたけど、絶対生き延びてやる!   作:タカば

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ご挨拶?

「コレットの兄、ジルベールです。女神の使徒殿、まずはお名前を伺ってもよろしいか?」

「はっ……これは失礼いたしました」

 

 いまさら、自分が要人たちに囲まれていることに気づいたらしい。

 ディーはさっと居住まいを正すと、ちょこんとお座りポーズになった。

 

「私の名前はディートリヒ。女神に殉じた神官の身を依り代に、女神の手で生み出された使徒です」

「女神様がお作りになった存在なのですか」

「はい。私の体は血の一滴までコレット様のもの。生涯の忠誠を誓っております。兄君様においてはどうか、おそばに侍ることをお許しください」

 

 す、と頭をさげる。

 ジルベール兄様は苦笑して肩をすくめた。

 

「女神様のお導きを受け入れましょう」

「寛大なお心、感謝します。また……私は女神の遣いといっても末席にございますので、敬語は不要です。お気軽に名前でお呼びください」

「わかった、そうしよう。ディートリヒ」

 

 ディーはトコトコ歩いてくると、私の隣に座り直した。

 膝の上に抱っこはダメだけど、隣に座るのはアリらしい。

 ディーの基準はよくわからない。

 

「なるほど、声は同じだな」

 

 オスカーが重い声をもらした。

 ユキヒョウの姿を見たことがなかった彼は、まだ頭の中でふたつの姿がつながってないみたいだ。

 

「俺は噂の神官殿が見てみたいんだけど」

 

 逆に人間の姿を見てないジルベール兄様が首をかしげる。ディーは首を振った。

 

「変身はご容赦を。巨大な白銀の鎧を作り出したことで、女神の奇跡の力を使い果たしてしまいました。今はユキヒョウの姿で会話するだけで精一杯なのです」

「もう戻れないの?」

「邪神の悪意をくじくことで運命の女神様のお力が増します。イースタンからの侵攻を食い止め、コレット様を兄君様のもとへとお連れしました。邪神の国アギトのたくらみを打ち破ることができましたので、徐々に力が回復するでしょう」

「なるほど、元に戻れなくはないが、時間がかかるのか」

「失礼ですが」

 

 騎士団長ダリウス卿が言葉をはさむ。

 

「コレット姫をお守りするには、そのお姿では少々不安があるのでは」

「お恥ずかしながら、その通りです」

 

 ディーは素直にこくりとうなずいた。

 

「ユキヒョウの姿では、戦う術がツメと牙しかありませんから」

 

 イースタンの城下町ではゴロツキに蹴られて吹っ飛ばされてたもんね。

 

「もちろん、最終手段は用意しておりますが……」

「何をする気なの」

「秘密です」

 

 こう言うからには、本当に何かあるんだろうな。

 怖いから聞かないけど。

 

「姫君のおつきが使徒殿ひとりでは、周りに侮られる可能性があります。しばらくはオスカーも護衛につけてはいかがでしょうか」

「オスカーなら、信用できるし腕も立つから安心ね」

「コレット様の御心のままに」

「……よろしくお願いします」

 

 オスカーがうやうやしく頭をさげた。

 こちらとしても、いきなり知らない騎士をつけられるよりは、気心の知れた幼馴染のほうが気が楽だ。

 

「さて、妹の報告は聞いたし戦闘も収まったから、早速城に帰ろうか……と言いたいところだけど、そうもいかないんだよね」

 

 ジルベール兄様はへらっとのんきな笑い顔を浮かべた。

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