遠い昔の残滓 作:第5部隊隊員
崩壊3rdの二次創作がないので自給自足。
オリ主がやったことの責任を取るだけ。
最初は穏やかな感じ、いわゆる原作再現。
「これは遥か遠い未来のために蒔く、希望の種」
「私の最後のわがまま、聞いてくれるかしら?」
「ありがとう、⬛︎⬛︎」
僕が覚えている数少ないことは、仲間達の生暖かい血の温度。肉に刃を添わせて命を切り裂いたとわかる不快感。
しかし、その『誰か』達の名前は決して思い出すことができない。
そして何よりも、『失敗してしまった』という果てしない後悔。
けれどきっと、僕の使命はまだ終わっていない。
まだ、まだ何かやらなければならないことがあるはずなのだ。
かつての失敗を、失敗のままで終わらせることは許されない。
僕がそれを認めてしまえば、彼女達の戦いは無駄になってしまう。
そもそも、彼女たちとは誰だ?
どれだけ思い出そうとしようともやはり、誰一人、顔も声も姿も果てには名前まで、僕にはついぞ思い出すことができないのであった。
─────────
「キアナ、いい知らせがあるんだけど」
聖フレイヤ学園の訓練場。
お天道様がキラキラと輝き、世界が崩壊に向かっているなど想像もできない素晴らしい日である。
僕は数少ない友人とともに教師に呼び出され、補習の手伝いをさせられていた。
「うん。補講のことでしょ?」
「もしかしたら楽勝で合格できるかもしれないわよ」
僕の前で会話をしているのは、妖艶な肢体にトレードマークの赤髪を風に靡かせる美女、無塔量姫子。そして、コロコロと表情が変わり活発な印象を白髪の美少女はキアナ・カスラナ。いずれ天命最強の戦乙女になる予定の少女である。
それの二人に比べて、僕と友人ときたらまるで溌剌さのかけらもない。
灰色の髪に赤縁のメガネ、顔立ちはいわゆるイケメン女子というやつだろう。ほとんど変わることのない表情であるものの、空色の瞳には強い意志が感じられる。
僕も顔は悪くない。黒髪黒瞳にスッと通った目鼻立ち。うん、どちらかといえばいい方だろう。
顔の良さで言えば前述の二人に勝るとも劣らない僕達であるが、残念なことに若さが感じられない。かつて輝いていたであろうビビッドカラーはとっくに褪せてしまった、とでも表現するのがしっくりくるような二人である。
「ふふ、クラス一優秀なフカとその手伝いでザンカに補講を頼んだから」
「ちょっと待って、委員長とザンカに? テレサは姫子に補講を頼んだって……」
「まあね、私も忙しいのよ」
確かに他の生徒を相手にしたうえでかつ、問題児の面倒を見るのは大変だろう。何より戦乙女としての仕事もこなさなくてはいけないのが大変そうである。
僕もフカもあまり変わらないけど。
「それにフカは生徒でありながらA級戦乙女だし、あんたたちのいいお手本よ。優秀なクラス委員長に補講してもらえるのに、何が不満なの?」
「クソまじめでカタブツでロボットみたいなんだもん」
「注文つけられる立場だと思ってるの? さ、授業を始めるわよ!」
灰髪の友人───フカが先に口を開いて、僕はそれに続く。
「キアナ、よろしくね」
「委員長がびしばしやってくれるから安心だね」
「二人とも……はぁ、ユーウツ」
あのさ、教わる側の態度と違くない???
教えてくれるのフカだけど。
「キアナ、攻撃:A、反応:A、知力:E」
キアナの模擬テストの様子を眺めていると、横から何か呟いているのが聞こえた。
気になって見れば、すごいスピードでメモをとっている。
「フカ、何をそんなに書いてるの?」
「キアナの問題点を記しています」
「あ、そう……」
「ええ。確かに身体能力は高いですが、技術も未熟、仮想敵との相性も考えない。やるのは恵まれた能力に任せて攻撃するだけ」
「荒削りなのは確かだね」
とはいえ、たった2年であそこまで動けるキアナはすごい。
それ以上にできる僕はもっとすごい。まるで何度も繰り返したことがあるかのように武器が使えるのだ。
昔の僕は一体何をやってたんだろうか。
「委員長……何言ってるの?」
一通り終えてこちらに戻ってきたキアナは、フカの様子を見てそんな疑問をこぼす。フカは問題点の洗い出しに集中しているようなので、代わりに僕が答えた。
「多分勉強頑張ろうねってことだと思うよ」
「えー、ほんと?」
ペラッペラの回答に、中身のない返事。会話なんてこんなものである。
というか、知力E判定はそれ以外に考えられないと思うけど?
「総合評価E。優秀な身体条件でしか戦えない。ということで、これからしばらくの間、しっかりトレーニングしてあげるよ」
「知力の評価の割合多くない?」
「戦闘において知識の多さは重要です。あなたならわかるでしょう?」
知っている。
知識があるだけではどうにもならないこともあるが、知識があればどうにかできることも多い。
僕だってキアナに危険な目にあって欲しいわけじゃないのだ。うん。
「がんばれキアナ。物理こそ正義だと思っている脳筋委員長のトレーニングはつら──いてっ?!」
「あはは! 委員長は脳筋なんだから、そうなるに決まってるじゃん!」
少し和ませるために余計なことを言った僕は、当然の如く物理的に制裁を加えられた。
その様子を指差して爆笑していたキアナは……
「キアナ、トレーニングは10倍ね」
「?!」
無情な
「ふん、僕を馬鹿にした報いだ!」
「あなたも、遊んでないで手伝ってもらいますからね」
僕をなんだと思っているんだ。手伝いくらい僕でもできる。
そう反論しようと思ったが、さっきのテストではヤジを飛ばすくらいしかしていないので飲み込んだ。
決して無駄口を叩いた末の暴力に屈したわけではない。ないったらないのだ。
「ほらほらぁ、キアナちゃんたるんでるんじゃない?」
「ぜ、絶対泣かせてやるぅ」
「そんな格好で言われても、僕全然怖くないね」
五体投地で訓練所に伏せている白い物体に、冷やしたタオルを放り投げながら笑う。
ぶつくさ言いながら、タオルを受け取ったキアナは顔に当てて唸っている。相当疲れたらしい。
「お疲れ様です、二人とも」
水を渡していると、異様に分厚いノートを持ったフカがやってくる。
キアナの肩に片手をおいて、指を指す。
「見てよキアナ。一番サボってた人が来たよ」
「ザンカは怖いもの知らずなの?」
「あなたはこの後追加でトレーニングをしてもらいます」
え?
「ふん! あんたも疲れ切って土の味を確かめるといいわ!」
絶望顔の僕。さっきまでの疲れ顔はどこへ行ったのか、完全に調子に乗っているキアナ。
くそ、お前仰向けになって動けないくせに!
「…………僕、キアナと二人きりでしたいな」
フカはいやだフカはいやだフカは嫌だ!
授業で訓練するたび組まされて、毎度の如くボコボコにされ続けたおかげで若干トラウマになってるんだ。『あなたはその程度ではないはずです』とか言いながら殴られるのは、もう勘弁してほしい。
その点キアナなら全く怖くない。疲れてるし尚更。
ちっこい猫がじゃれついてくるようなものである。かわいいものだ。
「ザンカ」
「キアナ」
くるりと起き上がって、全力のキメ顔をしている僕の手を取る。
これは……いける。
「委員長と二人で相手してあげる」
「キアナァ!!!」
握られた手を振り払い、大きな声を上げた僕。
対抗するようにキアナは、あっかんべーと下を出して小馬鹿にしてくる。
「へーんだ! 私を馬鹿にしたこと忘れてないからね!」
「はあ?! 君はおバカなんだから何も間違ってないだろう!」
「っ?! サイテー! 芽衣先輩に言いつけてやる!」
「なら僕は授業真面目に受けてないって言っちゃうけどね!」
「はぁ……遊んでないでやりますよ」
フカの大きなため息と共に、額をくっつけて睨み合っていた僕とキアナは首根っこを掴まれてしまい抵抗することすは許されずに連行された。
首のあたりを掴まれて動けなくなっている状況。
なるほど。
「…………ネコチャームって言っていいよ」
「ねこちゃーむ…………」
ずるずると地面に擦れる音にかき消されてしまうほど、情けないネコチャームだった。悲しいなぁ。
それにしてもと、フカに引きずられながら僕は思う。
自然な流れで、キアナのトレーニングを増やしたフカは脳筋は脳筋でも、賢い脳筋なんだと思いました。
「うーん、つまんなーい!」
「キアナ、姫子先生が講義中だ。静かに話を聞きなさい」
「僕はもはや君を尊敬するよキアナ。それをこの場で言えるのすごいね」
「それほどでもないわ」
褒めてない。
なんで
「崩壊は───」
しばらくして静かになったキアナをチラリと伺えば、完全に顔を伏せて眠っているようだ。
…………通りで先生の視線が痛いわけだ。
「キアナ、起きて。先生すごいこっち見てるから。委員長もこっち見てる。ねぇ、起きて」
「もうザンカ、授業中は静かにしなきゃ行けないんだよ……むにゃむにゃ」
このっ…………! 耳元で声をかけるくらいじゃ起きる気配が一切ない。
仕方がないので、肩をゆすって声をかける。
「起きて、キアナ」
「ううん、うるさぁい……」
これは無理だね。
こうなったらよっぽどのことがないと起きない。
首を振って起こせないことを先生に伝える。頭を抑えてため息をついた。
「明日は休みだけど、明後日の試験のために、しっかり復習しておいてね」
先生の号令を聞いて、クラスの生徒達はバラバラと教室を出ていく。
僕は隣の白いのの補習がまだあるので帰れない。
「ちょっとキアナ? 起きなさい、授業は終わったわよ!」
「う……うーん……おいし〜……あ、ひめ……姫子先生」
「はぁ、あんたが崩壊と戦う戦乙女になったら、この世界はどうなっちゃうのかしら」
きっと世界をよくしてくれると信じたい。
「まぁいいわ。これに答えられたら許してあげる」
手帳でキアナの頭をぽんと叩いて、壇上に上がり黒板に絵を描いていく。
「なんで私叩かれたの?」
「授業を聞いていないからでは?」
「ザンカも私の事ばっかり見てて、聞いてないじゃない」
「馬鹿なこと言うな。しっかり書いてるし聞いてる」
「さっすが! 写してもいいでしょ?」
「いいけど、あとでね」
カツカツとチョークが黒板を叩く音がやみ、代わりに手を叩く音が聞こえる
「崩壊の現象の一つはどれかしら?」
黒板にはデフォルメされた、三つの絵が描かれていた。
一つは、人の顔。
二つ目はネゲントロピーの機構。
三つ目は崩壊獣である。
「崩壊獣よ! それくらい私にもわかるもん!」
「正解、簡単すぎたからしら?」
目を丸くして驚く姫子先生。
流石にキアナのことバカにしすぎでは???
フカによって立てられた知力:Eの看板は伊達ではないということか……哀れ。
「じゃあ、もう帰ってもいい? 寮に帰って寝……復習するから!」
「どこへ逃げるつもり?」
姫子先生はキアナの首根っこを捕まえこちらへ渡す。
手足から力が抜けてされるがままのキアナの姿は、まるで首の肉を掴まれる猫である。
これ、さっきも見た光景な気が……。
「フカ、ザンカこの子のことは任せたわ。遠慮は要らないから」
可哀想なキアナ。またあれにしごかれるなんて。
「はい、姫子先生。キアナが今回の試験で合格できるように全力を尽くします」
「あなたも頼んだわよ、ザンカ」
「わかりました」
「どうよ!」
仮想崩壊獣に拳を叩きつけながら、声高らかに叫ぶキアナ。
ちなみに相性だとかそんなことは考えられていない。
確かに、究極のところは切れればどんなやつでも死ぬし、完全に潰せば復活することもないかもしれない。
一応僕が今まで戦ってきた崩壊獣はそうだった。から、まぁ力で解決できるのなら問題ないという考えもなくはないが。
これはそういう場ではないわけで。
「……キアナ」
「ふふん、委員長見た? 私にかかればこれくらい余裕よ!」
「あなた、本当に何も授業を聞いていませんでしたね?」
そりゃあ寝てたからね。
「そ、そんなことは!」
目が泳いでるし、隣で授業を受けていた僕がいる時点でどうにも誤魔化せないぞ。
「いい? 姫子先生の代わりに私がもう一度説明するから、よく聞いておいてね?」
「うぅ……はぁい」
「以上、教えるべきことはこれで全部だよ。キアナが覚えていてくれるといいけど」
「え〜〜なんでそんなに信用がないの?」
多分今までの行動のせいだと思う。
「以上で補講は終了。私は夜も訓練場にいるから、何か質問があればいつでも聞きに来て」
「ザンカは?」
「僕は……どうだろう。夜でしょ? 多分フカと一緒にいると思う」
「ふーん、委員長とね」
目を細めてこちらを窺うようで、かつ若干声が低い。
聞いておいてその反応は何?
僕だって一応、天命の戦士であるわけだし。訓練くらいする。
使える武器が多い分、衰えさせないために相応の訓練はしなきゃいけない。
「僕も夜は訓練してるからね。大体一緒にいるよ」
「……私も行く」
「あ、ああ。いらっしゃい?」
フカと顔を見合わせて首を傾げる。
急にやる気を出してどうした?
まあきっとS級戦乙女になりたいという気持ちに嘘はないということなのだろう。
「やる気のあることはいいことです」
フカがそう言って締めて、今日の補講は終了である。
数多の星々が輝く夜空を刀身に映しながら、日課である素振りをする。
僕の崩壊エネルギーに対する耐性は異常らしい。
天命の科学者達曰く、崩壊エネルギーの干渉を基本的に受け付けないそうな。だから崩壊エネルギーを浴びても消滅することはないし、ゾンビになることもない。汚染される心配もよっぽどのことがない限りないようだ。
しかし、天命に所属する戦乙女のような崩壊エネルギーによる強化も望めないらしい。
実際崩壊エネルギーを多量に注入してみる実験もやってみたが、体内に入ると測定できなくなるなんてオチだったし。
崩壊エネルギーは人間……というより知的生命体に対して有害なのに僕の場合は違う。毒にも薬にもならないようだ。
らしいらしいと言っているのはつまり、僕の身体について結局何もわかっていないということである。
『君は知的生命体ではないのかもしれないな。つまり知性なき脳筋』と言われた時にはつい手が出そうになった。
「毎日精が出ますね」
「フカ……いや、そんなことはないよ」
制服というよりは動きやすさを重視した服装となったフカが、小走りで訓練所にやってきた。
「復習に予習。しっかりやっていますか?」
「君は僕のなんなんだ」
ここへ来て一言目がそれって、何かおかしくない?
そもそも、そういうやりとりは母子の会話だろうに。
「まあ、しっかりやってるよ。キアナにちょこちょこ教えてるのが復習になってるかな」
「それはよかった。もし、やっていないなんて返事だったら申し訳が立ちませんから」
「誰に?」
「保護者みたいだった人……ですかね?」
なんで君まで疑問系なんだ。
というか僕に保護者なんているの? 初めて聞いたんだけど。
「そんなことはいいんですよ」
「……僕がやれるのは、毎日欠かさず努力するだけだからさ」
「やはり、そういう謙虚なところは昔から変わりませんね」
「昔からって……付き合いは2年くらいじゃない?」
「…………」
あー。
「初めて会った時も言ったけど、僕二年前より昔のことは覚えてなくて。だから、フカと昔会っていたとしても覚えてないんだ」
「……言葉の綾というやつです。気にしないでください」
「ごめん」
「本当に、あなたが謝ることではありません。私の失敗ですから」
僕は刀を振るうのをやめ、フカはこちらから視線を逸らす。
何か言うわけでもなく、黙って空に浮かぶ星々を眺めている。
「あーあ、僕に特別な力があればなぁ」
いくら単騎で崩壊獣やゾンビや機構を破壊できたとて、僕にできるのはそれまで。特別な力で炎を出したり雷を生み出したり、風を操って戦うことなんて出来はしない。
徹底して個人でしか戦えないし、さらには殲滅戦でなんて全く力にならない。
「あなたが自身のことを、ただの人と言うには無理があるように思えますが」
天命に所属しているかつ、聖フレイヤ学園に在籍しているやつが一般人な訳がない。
それくらいは世間様のことを詳しく知らない僕でもわかる。
「崩壊エネルギーを扱えないって事だよ。わかっているくせに」
「そんなはずはない……と私は思っていますよ」
「でも検査結果として出てるからねえ」
体内に崩壊エネルギーは存在しているらしいが、それによる汚染も強化も見込めないとはどういうことなのか。
「そういえばこの前、新しく装備の実践試験をしていると聞きました」
「んー、そうだね」
「使ってみてどうです?」
「けっこう便利かな。足場がなくて逃げられるってことが減った」
崩壊エネルギーを板状に物質化して即席の足場を作る装置である。
自分で操ることのできない僕にはありがたい装置だ。
もし空中で装置が壊れたらどうしようと言う不安が常に付き纏うが、万が一壊れても死ぬのは僕だけだから問題はない。
最悪崩壊獣に乗り移って、うまいこと痛めつけて操作すればどうにかなるはず。
「強いていえばもう少し軽くして欲しいけど……それは高望みが過ぎるかな」
「私の方からも伝えておきますよ」
「A級戦乙女から話してくれるなら心強いね」
それっきり沈黙が僕とフカの間を流れる。
穏やかとは言えないがしかし、この沈黙は決して居心地の悪いものではなかった。
「ザンカ、委員長! 特訓するわよ!!」
「キアナちゃんに誘われて、私もいいかしら?」
「ようやく来たようですね」
「保護者付きで登場らしい」
顔を見合わせ笑って、立ち上がる。
「今夜も頑張ろうか」
「あなたこそ、私に泣かされないようにしてくださいね」
泣かされてないから変なことを言うのをやめろ。
主人公が焼かれたのは、この時点で四人。
冒頭の誰かは三番目の方ですね。
主人公 ザンカ
年齢 十代後半から二十代???
身長/体重 172cm/64Kg
出身 極東
好きなもの 赤系統の色、動物全般
長い黒髪に一本赤のメッシュが入っている。
普段はFateのヤマトタケルのアホ毛がないみたいな髪型。
紐を解くと八千流さんみたいな感じになる。
ちなみにキアナと芽衣先輩との付き合いは、第三次崩壊のあたりから。
要するに手を掴んでるわけですね。
何が言いたいかと言えば、現時点で既に天穹篇と雷の律者篇は地獄が確定しているということ。
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