ブルーアーカイブ_防衛室の道化師   作:気まぐれ猫

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 まだ寝ていないから一週間過ぎていない。
 まだ寝ていないから一週間過ぎていない!!

 あまり言葉が思い浮かばず、大分雑になってしまいました。
 それでもいいという方のみどうぞ~


アビドスの砂掃除!!⓷

 あれから数時間、私と先生は黒服の解説を受けながら博物館の掃除をした。研究者を名乗っているだけはあって知識量も豊富な彼は、私や先生の質問に雑学も交えながらも解説してくれる。圧力でひびの入った箇所や通気口から入り込んだ砂を吸い込みつつ、徐々に奥の方へ進んでいく。時代が古代から私たちの時代へ移り変わっていく中で、彼は足を止めた。

 

「ここですね。ここで先ほど言ったビッグ5の五つ目が起こり、巨大な体を持った恐竜は絶滅します。ここから小型の哺乳類の祖先が生まれて私たちのいる時代へつながっていくのです」

 

“凄いね。私もここまで詳しくは語れないよ”

 

「クックック・・・ありがとうございます。私としても、こうして自身の知識を他人に披露するのは新鮮な感覚です。貴重な経験になりました」

 

「かしこまるな。気持ち悪い」

 

「クックック・・・辛辣ですねぇ。過去の行いを見れば当たり前ですが」

 

 何他人事みたいに言っているんだ。私で実験しようとしていたくせに。先生がいる手前、手を出すことはできないけど、いなかったら弾が切れるまで打ち込んでやるんだから。それに、こいつは口が達者だ。ないとは言い切れないけど、先生が丸め込まれる可能性もある。そうならないように、しっかりと監視しておかないと。

 

“随分とホシノに嫌われているけど、一体何をしたんだ?”

 

「アビドスが借金地獄に陥っていた時に、取引を持ち掛けたのですよ。借金の半分を支払う代わりに、あなたの神秘を研究させて欲しい、とね」

 

“研究って何をするつもりだったんだい?”

 

“彼女の様子を見る限り、碌な実験じゃないんだろうね”

 

「そうでしょうね。研究したいのは神秘であって、その結果として彼女の肉体や精神がどのような結末を辿ろうがどうでもよいので」

 

“・・・なるほど、君を嫌う理由が分かったよ”

 

“どうやら、君は。いや、お前は私とは相いれなさそうだ”

 

「クックック・・・これは手厳しい。私としては、あなたと良い関係を結んでおきたかったのですが」

 

“私の生徒を傷付ける時点で、お前は私の敵だよ”

 

「クックック・・・ええ、あなたならそう言ってくれると思っていました。あなたとは良いライバルになりそうです」

 

“勝手にライバル扱いしないでくれるかなぁ!?”

 

 ・・・あの様子だと大丈夫そうだね。良かった。やっぱり先生は先生だった。うん、カヤちゃんの言っていた通り、しっかりとした大人で安心したよ。

 

 そんな私の心情を無視して、彼はゆっくりと歩き出した。

 

「さて、本来ならばここで話は終わりなのですが、どうしても伝えたいことがあります」

 

“伝えたいこと?”

 

「そうです。今の時代を打ち壊し、新たな時代を切り開く切っ掛けとなる大量絶滅。過去の五度起こっていることからビッグ5となっていますが、それは間違いです」

 

「間違い?」

 

「そうです。正確はビッグ5ではなく、ビッグ6。ですが、この呼び名はキヴォトスには存在していません。これまでで認識できたのは、私と彼女達のみ。六度目の滅びは、人為的な操作によって『存在してない歴史』として秘匿されているのです」

 

 コツンコツンと革靴の音を鳴らしながら歩く黒服に、私と先生は静かについて行く。本当なら文句の一つも言いたいとこだが、何故か言えなかった。私の中の何かが、言葉を出すのを拒絶しているような、おかしな感覚が頭を支配していた。

 

「今思えば、この出来事がホシノさんたちのような神秘を持つ生物が生まれることになった切欠だったのでしょうね」

 

 彼はどんどん奥へ歩いていき、ある場所の前で止まる。いかにも重厚そうな扉がバラバラに壊されて、中が丸見えになっている部屋。黒服はそんなのお構いなしと言わんばかりに入っていく。足元に気をつけながら入ると、そこに広がっている光景に思わず息を呑む。

 

 所々欠け出てはいるが、広い円形となっている部屋の壁一面に描かれている絵画たち。その中心には、粉々に砕け散った巨大なショーケースが鎮座していた。

 

「私がここに来た時点で、ケースは破壊されていました。実に残念です。ここにあると知っていれば、奪われる前に確保していたのですが」

 

“この部屋は何?”

 

「ここは、博物館ができてから存在していた場所。残されていた記録によると、管理人でも入ることができない部屋でした。鍵を無理矢理開けようとしてもビクともしないため、開かずの間と呼ばれていたようです」

 

 彼は興味深そうに粉々になった扉の破片を手に取ると、懐から取り出した機械でスキャンする。あれはいったい何だろう?

 

「・・・なるほど。どうやら扉には概念防御が施されている。今でも僅かながら機能している所を見ると、かなりの強度であるのは間違いない。であれば、何故こんな有り様に?並大抵の攻撃では傷一つ付けることは不可能。となるとあり得るのは・・・」

 

「ちょっと、さっきからブツブツ言っているの。何か分かったなら教えて」

 

「おっと、失礼。あなたが知っても意味はないものですので、気にしないでください」

 

「こ、こいつ・・・!!」

 

“お、落ち着て。ね?黒服も煽らないで”

 

“それで、あの壁画には何が描かれているの?”

 

“ショーケースの中身も気になるし”

 

「説明しましょうか。壁画は今よりも遥か昔に描かれたものです。正確な時代や誰が描いたのかも分かっていません。何よりも興味深いのが・・・」

 

 そう言って一番最初の部分に歩いていき、巨大な壁画を見上げる。そこには雷が鳴っている空に、無数の火山が噴火している絵。そして、その上に書かれている何かだった。

 

「この謎の飛行物体です。何故、原初の時代に飛行物体のようなものが描かれているのか理解できないのです」

 

「気のせいじゃない?そんな時代にある訳ないし、雲とか他のものじゃないの?」

 

「最初は私もそう思いました。仮称として『X』と呼びましょう。Xはこれ以降にも頻繁に登場しています」

 

“本当だ。他の壁画にも沢山描かれている”

 

“こっちにも!?”

 

 先生の声に周りを見渡せば、他の時代と思わしき壁画にも必ず描かれていた。恐竜が生きていた時代、原初の人が狩をして生きている時代、徐々に文明が発達していく時代。Xは人の手が届かない空の上から地上を見下ろしていた。

 

「Xについては分からないことが多い。仮に生物であるとしたら、生物の存在することができない誕生初期の星で生きることができるほど逞しい生命力をもっています。反対に機械であるとしたら、いったい何者が作り出したのか。性能は、神々よりも上でしょう。この場面では、一息で神々を吹き飛ばしています」

 

 彼が指を差した箇所には、天空から降り注いだ何かが大地を薙ぎ払い、同時に人よりも巨大な何かを両断している様子が描かれていた。

 

「時代が進むにつれて古代人にとって神と同格であったXは人と関りを始めました。今までは空を漂うだけでしたが、ある大陸に留まって人を守る様になったのです。Xから叡智を授かった人々は、文明を発展させていき、やがて世界を支配できるほどの軍事力を持ちました。幸いにも、大陸の人々は大人しい気性の持ち主でしたので、進んで世界を手に入れようとはしませんでしたが」

 

“なら、どうして今の時代には残っていないの?”

 

「神々によって滅ぼされた。私はそう考えています。ここで一つ、疑問が生じますね。神でさえ太刀打ちできない力を持ったXはどうなったのか。ここに、六度目の滅びが関係していると予測しています」

 

 

                    ☆

 

 

 

“う~ん・・・”

 

〔先生、大丈夫ですか?さっきから手が止まっていますよ?早く書かないと定時に間に合いません〕

 

“ごめんごめん。すぐに終わらせるよ。今日は帰ったらカイテンロボでブンドドするんだ・・・”

 

 夕日が差し込むシャーレの部室。私は今日アビドスであったことを報告書にまとめていた。それももうすぐ終わり。この調子なら今日も定時で帰れそうだ。夕飯は何にしよう。

 

 そんなことを考えながら手を動かしている中、私の脳裏には黒服との会話を思い出していた。

 

『ショーケースで保管されていたものが謎を解く最大のヒントになるはずでした。ですが、持ち出された以上どうにもできませんね。あるとするのならば、カイザーグループの本社でしょう』

 

『なら、取り戻すだけだよ』

 

『ほう』

 

『ここはアビドス管轄の地域。そこで盗みを働いたのなら、ちゃんと返してもらわないとね』

 

『クックック・・・分かりました。では、場所が分かったら連絡しましょう』

 

(いったい何が保管されていたんだろう・・・)

 

 あの後、彼は突如として現れた黒い渦の中へ入って姿を消した。私とホシノは顔を見合わせた後、残りの掃除を終わらせて帰路についた。その後は砂を業者に渡してシャーレへ戻って来た。

 

(六度目の滅びか・・・もしかしたら、アロナなら知っているかも)

 

“アロナ。ちょっと聞きたいことがあるんだけどいいかな?”

 

〔はい、何でしょう?〕

 

“黒服が言っていた六度目の滅びについて、何か知ってる?”

 

“スーパーAIのアロナなら知っているかもって思って”

 

〔分かりました。調べてみますね!少々お待ちください!!〕

 

“頼んだよ”

 

 頼もしい声を聞いて、調査結果が出るまで仕事を続ける。時々コーヒーを飲みつつ、報告書の打ち込みを終える。後はこれをメールでリンちゃんへ送信すれば終わりだ。

 

“にしても、大分量が少なくなったなぁ。最初の頃は机に乗り切らないほど多かったのに”

 

“どうして少なくなったんだろう・・・?”

 

「失礼します。先生、入室してもいいでしょうか」

 

“あ、どうぞ~”

 

 そう言って入って来たのは、連邦生徒会で唯一真っ黒な制服を着ているカヤだった。相変わらず背中には巨大な盾を背負っている。重くないのかな?

 

「定時間際ですいませんね。どうです?仕事の方は慣れましたか?何か不満な点や不明点があれば遠慮なく言ってください」

 

“大丈夫、だいぶ慣れたよ”

 

“今日の報告書もさっき提出し終えたし、これから帰り支度をしようとするところなんだ”

 

「そうですか。それは良かった。流石にあれだけの量の仕事を押し付けるわけにはいきませんからね。先生はキチンと体調を整えて明日に備えましょう」

 

“うん、ありがとう”

 

“ところで、あれだけの量の仕事って・・・?”

 

「先生へ回す仕事の量があまりにも多かったので、私たちで再分担したんです。シャーレは、今やキヴォトスにとっては重要なポジションです。そんなあなたが大量の仕事で体調を崩してしまえば元も子もありませんからね」

 

“ありがとう!だけど、大丈夫?凄い量の仕事だったけど”

 

 なんと、カヤのおかげであの殺人的な量の仕事を避けられていたみたいだ。これは、足を向けて寝られない奴なのでは?

 

 だとしても、凄い量だし、リンちゃん達には他の業務もある。彼女たちの負担を少しでも軽くするためにもう少し回してもらったほうがいいかな。

 

「大丈夫ですよ。連邦生徒会にスカウトされる人物は皆優秀です。あの程度の量ならば、片手間で片づけてくれます。まぁ、私はそうではないので、部署の人たちの力を借りていますが」

 

“そんなことない。カヤは十分優秀だよ”

 

“だって、こうやって連邦生徒会にいるし、防衛室長だって任されているんだから―――”

 

「・・・いいえ。私に防衛室長の座は相応しくありません。本当なら今すぐにも投げ出したいんですよ」

 

“・・・どうして?”

 

「あの人と比べたら月とスッポン。いえ、比べるのすら烏滸がましいと思える程の実力差があります。私は、意識が戻るまでの繋ぎにすぎませんから」

 

“それでも、立派に防衛室長をやっているじゃない”

 

“あの人、前室長もきっと君のことを立派に思っているはずだよ。だって、そんなになるまで頑張って来たんでしょう?”

 

 入って来た時には分からなかったけど、今の彼女はひどい状態だ。黒い生地のせいで分かりにくいけど、所々血の跡があるし、髪だって土が付いてボロボロ。それに足を負傷したらしく、少しだけ引きずっている。素人の私から見ても明らかに異常だった。

 

“とりあえず、そこに座って。今救急箱を持ってくるから”

 

「いいえ、気にしないでください。少ししたら治りますから。先生は気にせず帰り支度をしてください」

 

“あ、待って!!”

 

「そうそう。ミレニアムサイエンススクールのゲーム開発部から依頼が届いていましたよ。何でも廃部を回避するために力を貸してほしいとか。詳細は明日の当番であるユウカさんに聞くといいでしょう」

 

 それでは、と言って静止も聞かずに彼女は部屋から出ていった。残されたのは、救急箱を持って呆然とする私だけ。

 

 少しの間止まってしまっていたが、タブレットから聞こえてくる声に意識が戻った。

 

〔申し訳ありません、先生。奥深くまで調べてみたんですけど、六度目の滅びについては何も分かりませんでした〕

 

“そう・・・ごめんね、手間をかけて”

 

〔う~・・・期待してもらったのに、申し訳ないです。どれだけ調べても見つからないんです。でもでも、もしかしたらミレニアムでなら分かるかもしれません!!〕

 

“ミレニアム・・・依頼があった学園だね”

 

〔そうです!色んな謎に取り組んでいる彼女達なら知っていると思います!私たちで六度目の滅びを解明しましょう!!〕

 

“そうだね。なんだかワクワクしてきた!!”

 

 久しく感じていなかった高揚感。今まで誰にも知られることがなかった謎を解き明かすロマンに心を躍らせながら、私は荷物をまとめる。

 

 そして終業ベルが鳴ると同時に、部室から出ていった。今日の夕飯を考えつつ、新たに見つけたロマンについて考えながら自宅へと足を進めていった。

 

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