ブルーアーカイブ_防衛室の道化師   作:気まぐれ猫

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ひぃん!誤字脱字が多いよぉ!
皆さん、ご指摘していただいてありがとうございます!
感想もしっかりと読ませてもらっています!
いろんな意見があって楽しいですね。ネタになりそうなものがあったらどんどん拾っていきますよぉ!

あ、ここからオリジナル生徒登場です。


第三話_カイザー

 

「以上になりますが、何か足りないものはありますか?」

 

「いえ、問題ありません。いつも通りの場所に運んでおいてください」

 

「承知いたしました」

 

 カイザーコーポレーションのD.U支社にて、私は注文していた物資の確認を行っていた。作業員は毎回素晴らしい仕事をしてくれて、的確に素早く物資を調達してくれる。毎度のことながら感心してしまいます。

 

「おやおや、今回は随分とお買いになるようで」

 

「ジェ、ジェネラル様!?」

 

「・・・ジェネラルですか。珍しいですね。あなたが支社に来るなんて」

 

「ふふふ、私もたまには末端の社員を労わろうと思っているのだよ。いつもご苦労。この支社の売り上げは素晴らしいものだと聞いている」

 

「ははっ!ありがたき幸せ!!」

 

「私はこれから彼女と二人きりで話をしたい。会議室を使わせてもらうが、いいかな?」

 

「もちろんでございます!存分にお使いください!」

 

 いきなり倉庫に現れたカイザージェネラルに驚きながら、労をねぎらわれた社員は肩を震わせながら頭を下げて下がっていく。その姿を見届けながら彼は私に視線を投げかけた。

 

 はいはい、分かっていますよ。

 

 そのまま会議室に通され、鍵が閉められる。静かな部屋に私と彼の二人きり。他人から見たらラブロマンスが始まるのかと思われそうだが、そうではない。ここから先は狸と狐の化かし合いだ。

 

「いつも贔屓にしてくれてありがとう。おかげで我が社の懐は大いに温まっている」

 

「こちらこそ、いつも物資を優先的に送ってくれてありがとうございます。質の良いものばかり送ってくれるので、大いに助かっていますよ」

 

「何、毎回大量にお金を落としてくれる太客だからな。こちらとしても手放すのは惜しい。我々からの信頼の証と思ってくれたまえ」

 

「ふふふ、そう言われるとむず痒いですね。それならこれからも願いしますよ?」

 

 軽い日常会話で相手の出方を伺う。彼らが私に対して優遇してくれるのは、多額の金額を落としているからだけではない。もっと深い理由がある。

 

「それでどうなんですか、アビドスでの宝探しは。今のところ成果はよくなさそうですが」

 

「問題はない。宝物というのは簡単には掘り出せないものだ。それが高価であればあるほど余計にな」

 

「そうですか。なら、少し別のポイントへ移動したほうがいいんじゃないですか?部下である理事も痺れを切らしているでしょうし、成果が出ないのであれば早いとこ切り上げたほうがいいと思います」

 

 今までは借金を理由に他人様の土地で好き勝手出来ていたが、今回ばかりはそうはいかない。アビドスの借金はミレニアムによって支払われ、全ての土地はアビドスの元へ帰った。

 これはカイザー側からしたら想定外中の想定外で、その日の話し合いは大波乱だった。利子やら何やらと色々と粘ってきたが、契約書をその場で出したら大人しく返済完了のサインをしてくれました。交渉の場は私が受け持ち、背後では室長が追い出しに来たオートマタたちをゆっくりと解体しながらカイザー側に圧を飛ばしていた。それが効いたのか、次に行った土地の賃貸料に関する書類にもしっかりとサインしてくれました。

 

「ふむ。それも一つの考えだな。しかし、私たちはあそこに宝があると確信している。もう少し範囲を広げる必要がありそうだ」

 

「ならば契約書を書き直さなければなりませんね。ああ、もちろん更に土地を借りるのであるなら賃貸料が更に増えるわけですが」

 

「そうだな。これは契約書の書き換えが必要だ」

 

 予め準備していたのか書類を取り出して見せてくる。今度はどんな小細工を仕掛けてきますかね。

 

「・・・ところで防衛室長殿、一つ聞きたいことがあるのだが」

 

「何です?」

 

「貴殿は何故、今すぐ連邦生徒会長にならないのだ?あれから二年、我々の付き合いも長い。故にこそ、貴殿が失踪した連邦生徒会長に代わってキヴォトスを支配しないのが疑問なのだ」

 

「ふむ、いきなり変なこと聞きますね」

 

「SRT崩れの生徒で構成された特殊部隊。その戦力はゲヘナの風紀委員会、トリニティの正義実現委員会、ミレニアムのC&Cを上回るものだ。そして『守護神』と呼ばれた■■■■■■の手綱を握り、前線で指揮を取って様々な事件を解決してきた貴殿であるならば、我々カイザーグループは全勢力をもって支援しようではないか」

 

 前線で指揮を取っていたのは、あの人が私を守ってくれると信頼しているから。あの人であれば私の信頼に応えてくれるからだ。それをさも私の功績にしようとはね。それにSRT崩れ?あなたの部下に比べたら大変優秀ですよ。この場でなければその顔を剥いでやるのに。

 

「その言葉は嬉しいですが、今はまだ時ではありません。連邦生徒会も一枚岩ではありませんから、そう簡単に会長になることはできませんよ」

 

「なら私たちに任せてはくれないか?時間はかかるが、貴殿を会長にして見せよう。反対する者もいるだろうが、最後には気が変わって泣きながら推薦してくれるだろう」

 

「頼もしいですね。ですが、今までの功績は前室長のもので私自身にはあまり功績がありません。なので、一つ提案があります」

 

「ほう、何かね?」

 

 

「カイザーPMC理事、彼に消えてもらいませんか?」

 

 

「ただいま戻りました」

 

「お疲れさまでした。カヤ指揮官」

 

 話し合いを終えて待機していた車両に乗り込む。車はすぐに発進し、素早く支社から離れていく。疲れましたね。今日の夕飯はカレーにでもしましょうか。

 私の労を察したかのように両隣で護衛をしている二人の少女が、それぞれお茶菓子と紅茶を差し出す。お礼を言うと、二人で私を包み込むようにして羽を広げてきた。しっかりと手入れをしているおかげか、ふわふわで心地よくて思わず眠くなる。

 

「待機している間、ネズミは何匹来ましたか?」

 

「三匹。クロノス、トリニティ、連邦生徒会です」

 

「クロノスはともかく、トリニティと連邦生徒会ですか。これは本格的に探り出しましたね」

 

「始末しますか、主にトリニティ」

 

 バックミラー越しに鋭い眼光が突き刺さる。助手席や両隣からも同じような視線が飛んでくる。母校に対して恨みが突き抜けている彼女たちなら、間違いなく「やれ」と言ったらやるでしょう。

 

「泳がしておきなさい。こうして嗅ぎつけてくるのは予定内です。大方サクラコさんとの関係を知ったティーパーティーの仕業でしょう」

 

「いいのですか、このまま放っておいて」

 

「私と彼女は健全な友人ですからね。むしろ疑心暗鬼になってくれた方が助かります。動きたいのに動けない。そんなもどかしさを味わってもらいましょう」

 

 シスターフッドのトップであるサクラコさん。その立場と言動から誤解を受けやすいですが、策謀の多いトリニティでは希少な常識人枠。彼女とはちょっとしたことで知り合ってから、それなりによい関係を築けていると思います。時々お茶会をしにトリニティに出掛けて話をする。ホシノさんとは多少違いますが安心感があります。それに、例の件でも話すことが多い。

 

「やはりティーパーティーですか。いつ潰す?私も同行する」

 

「いじめを受けて退学したからと言って、すぐ暴力に訴えるのはやめなさい。あなたたちは私の大切なHAWK小隊なのですから」

 

 翼の色が汚い。自分たちよりも大きいのが気に食わない。鋭い目つきなのが腹立つ。そんな下らない理由でいじめを受けて心が折れて退学した彼女たちを保護したのが始まり。そこから料理の腕を持て余していたのでご飯をご馳走したり、仕返しをしたいと望む彼女たちをSRTに編入させてFOX小隊と一緒に鍛え上げた。元々才能があったのか、それともいじめっ子たちに仕返しをしたいという復讐心からか、あっという間にSRTでも指折りの実力を身に着けた。

 復讐は見事成功して、そこからは私の忠実なる部下となった。その強靭で堅牢な羽は銃弾すら容易く跳ね返し、大空を縦横無尽に飛び回って弾幕を張りながら奇襲をする。そんな戦い方から『HAWK』の称号を与えた。

 

「指揮官・・・!!」

 

「ティーパーティーに手を加えるのはまだまだ先です。まだ彼女たちの出番ではありませんから」

 

「連邦生徒会の方はどうします~?」

 

「大方、予算に不満を持った財務室の手先。もしくはリン行政官からの指令で探りに来たのかもしれません。ですが、そちらも放っておきなさい」

 

「いいの?横領した予算の一部をカイザーに落としているというのに」

 

「あの二人が知ったら怒られますよ?」

 

 助手席のHAWK2の声に左右から双子のHAWK3とHAWK4が責めてくる。耳がこそばゆいんですよ、無駄にいい声をしているから余計に。

 

「横領したのではありません。正式に使うから請求したのです。その物資はアビドスの復興に使われるのですから、何の問題もありません」

 

 咳払いをしながら挟んでくる二人をぐいっと押しのける。二人は愉快そうに笑いながら元の位置へ戻った。無論、羽は私を包み込んだまま。

 本来であれば物資を送る必要などない。しかし、砂漠化した影響で復興に必要な物資を用意することやノウハウを持った人材が軒並み消えてしまった。だから私達で支援をする必要がある。そのために物資をカイザーから、人材をネフティスから用意している。カイザーはともかく、ネフティスはお金を用意すればしっかり仕事をしてくれるので大変助かります。

 本来ならばアビドス高等学校から正式に依頼を出すべきですが、その資産は学校の運営に回してほしい。それゆえの援助です。

 

「カイザーにとって潤沢な資金を落とす私は決して手放せない重要人物です。彼らの会社は少しずつ、じっくりとですがアビドスの砂漠に吸い込まれている。」

 

 そこに宝があると分かっている以上、手放すことはできない。多少高い賃貸料を支払ってでもアレを手に入れたい彼らは、私たちに従う他ない。業腹だが仕方ないと判断しているが、ジェネラルとプレジデントは隙あらば賃貸料を安くしようとしてくる。だから私を持ち上げて優位性を取り戻そうとしている。 

 

 そんなことをしても無駄なのに。

 

「今はまだ実感していないでしょうが、気付いた時には手遅れになるでしょう。その時が楽しみです」

 

 そう遠くない未来に思いを馳せながら防衛室まで一眠りしようとした時、順調に進んでいた車両が急に止まった。たった一瞬で眠気は飛び、頭が切り替わる。

 

「状況を」

 

「どうやら交差点でゲヘナの温泉開発部が勝手に道路を封鎖したようです」

 

「大型の工作機械に爆弾を確認。市民に危害が加えられる可能性大」

 

「主犯と思わしき人物を確認。鬼怒川カスミに下倉メグ。どちらも指名手配犯です~」

 

「すでに準備は完了。指揮官、命令を」

 

 一声で情報が集約され、素早く戦闘準備が行われる。それは彼女達が精鋭部隊であることを示す証。

 

 私の一言を待っているのだろう。キヴォトスの平和を乱すテロリストには容赦はしない。だからこそ、無慈悲に命令を下す。

 

「潰しなさい。二度と温泉など掘りたいなどと思わないようにしなさい」

 

『了解』

 

 

                  ☆

 

 

「---以上が今回の交渉の結果です。プレジデント」

 

【ご苦労、細工は済ませているだろうな?】

 

「勿論です。抜かりはありません」

 

 あの小娘との交渉を終わらせた後、車中でプレジデントと連絡を取る。画面に映し出される彼は、私の報告に満足げに頷く。

 

【にしても、あの超人モドキの提案には驚いた。まさか理事に借金を被せるという計画を持ってくるとは】

 

「私としても驚きました。小さな脳で考えた割には合理的な話です」

 

【アビドス砂漠に眠っている『箱舟』は、なんとしても確保しなくてはならない。そのための出費ならば痛くも痒くもないが、借金というのは厄介だ。その事実が世間に広まれば、我がカイザーグループは借金を抱えた企業だと市民に知られてしまう】

 

「そうなれば業績が落ちるのは自明の理。だからこそ、理事には生贄になってもらいましょう」

 

 どこから仕入れたか分からないがプレジデントが持ってきた『箱舟』という情報。それを手にすれば、あの連邦生徒会からサンクトゥムタワーを奪うことができる。そうすれば失踪した連邦生徒会長が残した遺産が手に入ると同時に、このキヴォトスを支配することができる。

 そのためには理事には犠牲になってもらう。なぁに、彼の代わりはいくらでもいる。いつも通り、切り捨てたら別のものを割り当てて復活させればいい。今の連邦生徒会ならば見逃すしかないだろう。今までも見逃してきたのだ。奴らの腰抜けっぷりはよくわかっている。

 

【それで、もう一つの件は進んでいるか?】

 

「そ・・・それは・・・」

 

 次にプレジデントから出た言葉に、思わずどもってしまう。『もう一つの件』は現在のところ全く成果が出ていない。これを知られたらどうなるか・・・

 

【その様子だと成果は出ていないみたいだな】

 

「も、申し訳ありません!」

 

【構わん。あの小娘のアキレス腱だ。そう簡単には見つからないだろう】

 

「手あたり次第片っ端から調べていますが、■■■前防衛室長がいる病院は判明していません。このキヴォトスにいることは確かですが」

 

【奴を確保できれば、小娘は我々に逆らうことはできない。ニュースでは植物人間状態。連邦生徒会長と同じ超人であろうが、所詮は人間。何せ事故に巻き込まれたというのだからな】

 

 クックックと可笑しそうに肩を震わせながら笑うプレジデントと一緒に笑う。何せ奴には散々苦渋を飲まされたのだ。もう少しでアビドスが手に入るところだったのに借金を全て返済され、挙句の果てに土地の賃貸料で毎月多額の資金を毟り取られる。いったい何が起こったのか分からなかった。あれだけの借金をいったいどうやって返した?利子だけで数年はかかる様な額を一体全体どうやって?

 交渉の場での奴ははっきり言って化け物だった。長引かせようとした役人の首を圧し折ったり、鎮圧に来たオートマタたちをじっくりと解体していった。ノイズめいた悲鳴を上げる彼らを無視して只管壊していく様は、浴びたオイルも相まって地獄からの死神に見えた。

 

 何が『守護神』だ。奴はただの『虐殺者』じゃないか。奴の姿を見る度にボディが震えて仕方ない。カイザーグループにとって、奴は恐怖の象徴となった。

 

 だが、死神は事故で意識不明の重体になった。その時になって、私はようやく安堵した。ああ、所詮はか弱い人間に過ぎないのだと。

 

 そして次に防衛室長の座に就いた小娘。奴は実にやりやすい。こちらが煽ててやればすぐに調子に乗る。我々の思い通りに動いてくれるが、最後の一線は決して超えない。前防衛室長のこともあって、そこだけは守っているのだろう。そこだけが厄介だ。奴にはいずれ生徒会長となってもらい、弱みを握られた末に都合良く使い倒し、最後は無様に命乞いをしてもらおう。

 

【ジェネラル。もし仮に奴を見つけたら決して殺すな】

 

「もちろん、承諾しております」

 

【奴の体を欲しがっている者がいてな。身柄を渡す代わりに全面的なバックアップに回ってくれるらしい。】

 

「ほう、それは素晴らしい!もしそうなれば我々は真にキヴォトスの支配者になれましょう!!」

 

【クックック・・・奴の体にある神秘が目的らしい。本当は違う人物に頼もうとしていたらしいが、奴のことを知って是非研究したいと言っていた。せいぜい役に立ってもらうぞ】





 歪みは少しずつ蓄積していく。修正しようとしても一度変わってしまったことはそう簡単には変わらない。
 その歪みがいつ爆発するのかは誰にも分からない。
 今日か?明日か?明後日か?

 祈れ、その先は神のみぞ知る
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