ブルーアーカイブ_防衛室の道化師   作:気まぐれ猫

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アビドスの砂掃除!!②

 

“うわぁあああああ!!?”

 

「ほらほら~しっかり腰を入れないと~。持っていかれちゃうよ~」

 

 あまりの吸引力に暴れまわる掃除機に振り回される先生。しっかり押さえつけていないと駄目って言ったのにな~。こんなにすごいなんて予想外だったのかな?

 

 依頼を受けた人物が「とあるゲームからインスピレーションを受けて生み出された、吸引力の変わらないただの一つの掃除機だ!」と言っていたように威力はすさまじく、山のように積もっていた砂の山をあっという間に崩して吸い込んでいった。砂だけをタンクへ溜め込んでいき、途中で吸い込んだゴミなどは分別されてゴミ箱へ圧縮されていく。結構使っているけど、ちゃんと動いてくれているね。後でアヤネちゃんに稼働データをミレニアムへ送ってもらおう。

 

「無理に抑え込んじゃだめだよ~。反動を利用して~」

 

“ぬぐぐ・・・!日頃の運動不足がこんなところで・・・!!”

 

“負けるな私の腰!ここでやったら掃除機でぎっくり腰になった人って一生ネタにされる・・・!!”

 

「よく見ててね~。スロースロー、クイッククイック~。踊る様にするのがコツだよ、ご友人~」

 

“様子の可笑しい生徒です・・・!!”

 

 四苦八苦しながらも掃除をしていく先生を尻目に、ホースを伸ばしてもっと離れた箇所を掃除していく。

 

 流石に慣れてないとキツイよね~。他の皆も最初の内は同じように振り回されていたっけな~。ちゃんと扱えるようになるまで時間がかかった中でノノミちゃんだけ、すぐに使えるようになったのはなんでだろね。もしかしてノノミちゃんってあの人並みに脳筋?

 

(後でお話ししましょうね、ホシノ先輩☆)

 

「ひゃあ!?」

 

“ど、どうかした?”

 

“顔が青いよ?”

 

「な、何でもないよ~。ほら、次はあっちに行くからね!」

 

“わ、分かった。ちょっと待って・・・オォウ!?”

 

 背後で嫌な音と先生の悲鳴を聞きながら掃除を続けていると、あっという間に砂はなくなっていく。埋もれていた家や電柱、道路が現れていく。そうしてタンクが満タンになる少し手前、辺り一面の砂は綺麗さっぱりなくなっていた。

 

「ふぅ。屋外はこんな感じかな。先生、大丈夫?」

 

“うん・・・大丈夫だよ・・・”

 

“ホシノは凄いね。この短時間でこんなに砂を掃除するなんて”

 

「慣れれば先生もできるようになるよ。じゃ、次は今回の目的である博物館の掃除をしようか~」

 

 トラックから持ち運び型の掃除機を取り外してリュックのように背負うと、今まで砂に埋もれたおかげで風化を免れた博物館に足を向けた。

 

 管理人とは連絡が取れないし、これからは私たちで管理するしかないかな~。ここら辺は来たことないから、何が展示されているんだろう?

 

「よい・・・しょっ?」

 

 閉じているであろう入り口の扉を開けようと手を掛けると、少しのとっかかりの感触があった。ゆっくりと開けると、鍵が切られていたらしく、折れた突起が落ちてきた。

 

(砂の圧力?にしては力づくで開けられた感じじゃない。地道に、鋸糸で切られている)

 

 扉の周りを調べれば、最初はピッキングしようとしたのか鍵穴が傷付いているのが分かった。ヘルメット団等の不良だったのなら、銃で無理矢理開ければいい。こんなピッキングなんて小賢しい真似はしない。となると、いったい誰が、何の目的で?

 

“どうかした?”

 

「・・・先生、私の後ろに」

 

“わ、分かった”

 

 しっかりと盾と銃を構えながら中へ入る。窓から入る光が、数年ぶりに博物館の中を照らす。周りを警戒しながら地面を調べると、うっすらと積もった埃は複数人のオートマタの足跡と、何か重いものを引きずった跡が残っていた。

 

「・・・どうやら、先客がいたみたいだね。少し前に誰かが侵入したみたい」

 

“凄いね。分かるの?

 

「分かりにくいけど、沢山の足跡があるのが見える。それに、何かを引きずって出した跡も。多分、少し前に掃討したカイザーPMCだと思う」

 

“理由は?”

 

「アビドスのカイザーPMCの足裏には砂漠で滑らないように突起が仕込まれているんだ。結構特徴的なものだから、見たら一発で分かるよ」

 

“探偵みたいだ”

 

「カヤちゃんに色々と教えてもらったからね。ヴァルキューレじゃ基本中の基本らしいよ」

 

 後でアヤネちゃんに解析してもらうためにスマホで写真を撮りながら足を進める。一度掘り出して再度埋め直すなんて手間をかけてまでして欲しかったもの。それだけの価値を持つものって、いったい何だろう。

 

「先生も、周りを見て何か気がづいたことがあったら教えてね。きっと、何かが足りない展示物があるはずだよ」

 

“分かった。何か見えたら教えるね”

 

「お願い」

 

 古代にいた巨大な生物の化石のようなものから、想像で描かれたであろう風景。解説している看板が目に入る。

 

 今まであまり関心がなかったけど、大昔にはこんな大きな生物がいたんだね。クジラよりも大きい生物とかいたりするのかな。

 

“やっぱり恐竜って言ったらT-レックスだよね。キヴォトスにもいたんだね~”

 

“ホシノは、どんな恐竜が好き?”

 

「う~ん、おじさんは恐竜についてはよく知らないんだ。良かったら教えてくれる?」

 

“うろ覚えでいいなら―――”

 

「クックック・・・うろ覚えで人に知識を与えてはいけませんよ。間違った知識を教えてしまえば、後々に響きますからね」

 

「っその声っ!?」

 

 聞き覚えのあるねっとりとした声に鳥肌が立つ。反射的に銃を構えると、物陰から黒いスーツを着た人物が歩いてくる。先生や私たちは違う、黒い肌にひび割れた顔。目のある部分からは青い炎が静かに燃やし、過去に私に取引を持ち掛けてきた異形の男性。

 

「黒服!!」

 

「クックック・・・お久し振りですね。小鳥遊ホシノさん。そして、あなたとは初めまし

てですね。先生」

 

“あなたは・・・”

 

「自己紹介をしておきましょうか。私はゲマトリアの一人。このキヴォトスの神秘を研究する者、探求する者、観測する者の一人です。気軽に黒服とでもお呼びください」

 

「御託はいい。こちらからする質問にだけ答えろ」

 

 ショットガンではなくオートマチック銃を構えながら迫る。借金まみれだった時、頻繁に接触してきていたが、完済して復興し始めてからは全く音沙汰がなかった。私の神秘を研究するための取引材料がなくなったはずなのに、こいつは何の目的で再び姿を現した?

 

「そんなに警戒することはありませんよ。ここに来たのは単なる観光。短い休暇を楽しんでいる所なのですよ」

 

「なら、どうして中にいる?さっきまでここは砂に埋もれていたんだ。入り口はここ一つだ」

 

「えぇ、ですから私たちの技術で入ったのです。入館料はキチンと払っているので文句を言われる筋合いはありません」

 

「・・・ッチ!」

 

 一応の筋は通しているのなら文句は言えない。こいつは怪しいし、信用するに値しない人物だが、キチンと契約を守る人物だ。別の方法とはいえ、お金を払っているのなら無暗に追い出す訳にもいかない。

 

 本当に、腹立たしい奴。

 

「そう警戒しないでください今後、あなたたちに手を出すことは致しませんから、ね」

 

「嘘つけ!そんな事言いながらカイザーに手を貸していただろ!!」

 

「彼らとは別の契約を結んでいましたが、ご安心を。すでに契約は満了して手を切っています。少なくとも、私は援助をすることはないでしょう」

 

“どうやら、本当の事みたいだ”

 

“つまり、あなたは今後、アビドスの皆を害することはない、ということだね?”

 

「その通りです。それどころか、あなたたちが困った時には快く協力しましょう。必要であれば物資なども用意します」

 

「そんな戯言を、信じるとでも?」

 

 ジャキ、と安全装置を外して弾丸を装填する。こいつは先生と同じ身体だ。私たちの銃弾一発で終わらせることができる。

 

 だけど、その銃身を上から抑える者がいた。

 

「先生っ!?」

 

“完全には信じることはできない”

 

“だけど、彼女に手を汚してほしくない”

 

「クックック・・・彼女に聞いた通りですね。あなたは子供である生徒たちを庇護し、導く存在。彼女たちを否定しすぎず、肯定し過ぎず。まさに理想の教師ですね」

 

“一つ教えてほしい”

 

“どうして今になって協力する気になったんだ。ちゃんとした理由があるんだろう?”

 

「・・・えぇ、もちろん。あなたたちの力になる。それが契約ですから」

 

“いったい誰との契約なのか教えてほしい”

 

「クックック・・・私としては話してもよいのですが、彼女の意向で『今は』教えることができません。いやはや、実に残念です」

 

 肩を竦めながら話す彼の言葉を聞いて、私は考える。

 

 契約をしている『彼女』とはいったい誰なのか。『契約』である以上、約束を違えることはないだろう。だけど、一体そいつは『何』を差し出したのか。アビドスの借金の半分を背負うと言った時には、私の神秘を要求してきた奴だ。生半可なものでは動かせない。

 

 『命』と同等のものを代価にした?もしくは完全に言うことを聞く手下になる?

 

 ・・・その『彼女』についても警戒しておかないと。もしかしたら、私たちの敵になるかもしれない。私たちで対処できるのか。

 

 後でカヤちゃんたちと話しておこう。

 

「分かった。なら、これから遠慮なく使わせてもらうから。覚悟しておいて」

 

「クックック・・・どうかお手柔らかにお願いしますね。私は、もうあなたの神秘を研究しようとは思いません。今は手が離せない状態ですからね」

 

“どうやら丸く収まったみたいだ”

 

“後で私にも契約書を見せてくれる?”

 

“もし、生徒であるなら先生である私が目を通しておかないといけないから”

 

「いいえ。契約主はすでに生徒ではありませんから、お見せすることはできません。まぁ、気が向いたらお見せいたしますよ」

 

 心底、本当に心底愉しそうに笑いながら手を振る黒服。思わずトリガーに指を伸ばしそうになったが、私たちに協力するというならとことん使い倒してやる。

 

「なら、さっそく協力してほしいことがあるんだけど」

 

「ほう、何でしょうか」

 

「先にここにいたということは、すでに館内を見回ったということだよね?」

 

「えぇ、じっくり見て回ってきましたよ。それが何か?」

 

「さっき、先生に偉そうに言っていたじゃん?なら、お前が私たちをガイドしてよ」

 

「・・・ほう」

 

“そうだね。私の知識じゃ多少あやふやなところもあるし”

 

“研究する者っていうんだから、私たちの質問に答えられるはずだよね?”

 

 私たちの言葉に彼は一瞬、ポカンと間抜けな顔(?)をする。だけど、その表情はすぐ愉快そうな笑顔へと変わった。

 

「クックック・・・クックック・・・!!協力すると言ってから、すぐに声を掛けられるとは・・・!良いでしょう。不肖、この黒服がこの施設のガイドをいたしましょう!!」

 

「それと、もう一つ。一緒に館内の砂の掃除をしてもらうから。なくなるまで今日は返さないからね」

 

「これはこれは、熱烈なアプローチですね。良いですよ。最後までお付き合いしましょう」

 

 背中に背負っていた掃除機を彼に押し付けると、外に停めてあるトラックに向けて走り出す。

 

 何を企んでいるのか分からないけど、今は中の掃除をしよう。癪だけど、あいつの知識は確かだし、私の知らないことを知っている。

 

 もしかしたら、二年前にあの人が重傷を負った事件の詳細を知っているかもしれない。それとなく聞き出して、力になれるようだったらカヤちゃんに協力しよう。

 

 そして、あの人が起きたら絶対にリベンジして、勝ってやるんだから!!




 黒服のエミュが難しい~~!!
 でも、ゴルゴンダやデカルコマニー、フランシスやマエストロのほうがもっと難しいからなぁ・・・
 もう一回ストーリーを読み直して理解を深めなければ・・・
 その点、ベアおばや地下生活者は分かりやすくていいや
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