レミリア・スカーレット(仮)は現代で生きていく   作:ネコら

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投稿遅くなって済まぬです。
これからも、こんな調子で行くかも(´;ω;`)




8話 たとえ私が偽物であっても

 

 

 

正午頃

 

 子供3人組を気絶さ……眠りの小五郎ごっこをさせた後、数分歩き続けた私は、当初の目的の場所に居た。

 

「この商店街に来るのも久し振りね」

 

 この商店街は私の家から歩いて来れる距離にあるけど、普段の買い物はコンビニかスーパーで済ませていたから、余り訪れる事はなかった。

 それに合わせて、引きこもり気味だった為、余計に新鮮味を感じてしまう。

 

 だけど、油断してはいけないわ。今はまだ太陽が出ている時間帯。いくら前とは違って厚着をしていないからと言っても、余り長居すると、また前の様にバテてしまいかねないから、注意して行かないと。

 

 え? そんなに心配するならスーパーで買い物をした方が良くないか? だって?

 

フフッ

 

私の財布の中身を見てから言いなさいな……ゔぅ(涙

 

そんな、自分の財布を見ながら悲しみに明けている中

 

『何かしらあの子?』『ふふふつ、可愛

らしいわ~』『あら、何かの衣装かし

ら?』『娘に欲しいな』『外国人?』『あ

なたとは離婚ね『え!?』』

 

 

「……はぁ」

 

 周りからの声と視線がヤバいわ。(何か家庭崩壊しそうな人居なかった?)

 

 横目で少し周りを見ると、こちらを見ながら話しをする沢山の人がいる。

 

 分かってはいたけど、やっぱり物凄く目立つわね、私。

 

 ここまで来る間にすれ違う人からチラチラ見られたり、何人かは、こそこそ隠れて私の事をスマホで撮っている人も居たし。

 

「まっ、こんな格好をしてちゃ、仕方ないと言えば仕方ないのかしら」

 

 そう言って私は、自身のスカートの裾を軽く摘み上げながら身形を確認する。

 

「いや、服装だけじゃ無いわね」

 

 最近は、私がレミリアである事が日常過ぎて忘れてたけど、今の私って千年に、

いや、何万年に一人の美女と言われても納得しちゃうほど可愛いし、髪や目なんて日本人じゃ有り得ない水色髪と赤目……うん。

 

 注目されない訳が無かったわ。

 

けどね……

 

限度ってものがあるでしょうよ、限度ってものが!

 

 せめて、ミラ見だけにしなさいよ!! 

写真撮るな!!!(肖像権! 肖像権!著作権! 二次創作!)

 

はぁ……

 

 まぁ、こんな事を気にしてもキリがないし、無視して放って置くか、これからは夜の間に用事を済ませる様にしましょう。(ゲーム出来なくなっちゃう)

 

 

 

 

 そこから私は、逃げる様に商店街へと入っていき、日傘を杖代わりにして、出来るだけ羽根を小さく畳み、辺りを見渡しながら歩いていた。

 

「これからどうしましょう」

 

 ここまで来たのは良いけれど、あとの事はノープランなのよねぇ……そうだ!

 

「ご飯でも買いましょう」

 

 フフッ、何でいきなりご飯なんて買う事になるんだって思ったでしょ?

 

 コレにはちゃんとした理由が有るのよ!

 

 それはね、せっかく商店街に来たんだし、美味しそうな食べ物を買って、

 咲夜に私が作った料理を振る舞う、

 そして、私への異常なまでの過保護を改善してもらいましょうって思ったの!

 

 とは言っても私、そう大して料理出来ないのよね〜。

 

 それに、レミリアの姿になってから一回だけ仕方無くカレーを作った事があるけれど.........壊滅的に不味かったわ(逆にカレーを不味く作れるって凄くないかしら?)。

 

 だから、咲夜が勝手にキッチンを使ってご飯を作ってくれた時には何も言わず、心の中で感謝したぐらいよ。

 

 けど流石に年下どころか子供の咲夜に毎日ご飯を作ってもらってると気が引けるのよ!!

 

 なら!今日は少しでも咲夜に私は一人でも料理ぐらい出来るわ! って教えて上げて、咲夜の中での私のイメージをガラッと変えてやろうじゃない! って思ったのよ!

 

 そしたらきっと咲夜は私に対して

 

『れ、レミリアって買い物も料理も出来たんだ!?』

ってなって

『ええ、そうよ、だからこれからは料理ぐらい、分担しましょう?』

『うん、分かった!!』

ってなる筈よ!

フフフ、我ながら完璧な作戦ね……と言うことで。

 

「おばあちゃんが作ってる昔ながらのコロッケ屋さんって何処に売ってるのかしら?」

 

 おばあちゃんが作ったんだから間違いなしの立派な手料理よね?(^₋^;)バレナイヨネ

 

 

 

 〜買物中〜

 

 

 

 両手に出来立てコロッケで一杯になったビニール袋を持ちながらルンルン気分で商店街の出口へと向かっていた。

 

「いやぁ〜、予想以上に沢山買ったわね」

 

 太陽に直接当たっていなかった為か、意外と外でも好調で、ついつい今日一日で色んな物を見たり、美味し匂いに釣られて買い食いしたり、鮮魚店でイワシを見てビビったり(二度とイワシは見ないし食べないわ)新鮮食材を買い漁ったり、と満遍なく商店街で満喫してしまったわ。

 

 当初の予定よりも一杯お金を使ってしまったけれど反省も後悔もしていな……うん、しているわ反省も後悔も!!

 

「何で私こんなにお金を使ってしまったの!?  もう貯金が少ないっていうのに!」

 

 私は荷物を腕に掛け、軽くなった財布の中身を見る。

 

「家から出た時には諭吉が一杯居たのに……今では」

 

 諭吉ゼロ!財布の中身は雀の涙状態!!

 

 何でこんな事に

 

 本来の私はもっと計画性が有る人間だった筈!

 

 少なくても、その場のノリでこんなにお 金を使う様な奴では無かった。

 

と、言う事は.....

 

「コレもレミリアになった弊害って事かしらね」

 

 自分で言うのも何だけど、今の私って好奇心旺盛だからお金の使い方も荒くなっちゃったのかもね……はぁ。

 

「ちょっと休憩しましょう」

 

 一旦落ち着く為に歩くのを止め、近くの日陰になった壁側に背中からもたれ掛かる。

 

「……」

 

 改めて、買ってしまった大量の食品を見つめる。

 

「これだけの量の買物をすると働いていた頃の事を思い出すわね」

 

 あの頃は毎日ヘトヘトになりながら帰るもんだから、ご飯だっていつもコンビニ弁当かカップ麺や冷凍食品といった物ばかり。

 

 最終的には買い物をするのも面倒になって、こうやって一片に大量のご飯を買って家に買い溜めをしていた。

 

 そんな私が今では、家事の全てを小学生の少女に任せて、当の私はぐうたらしているだけの日々……控えめに言ってクズね、私。

 

「はぁ〜、それにしても、この量の食品、家の冷蔵庫に入り切るかしら?……ん?」

 

 そんなネガティブな事を考えていると、向かい側の古びたお店の中からキラリッと小さな銀色に光り輝く何かが目に入った。

 

その瞬間

 

「……何故かしら」

 

 妙に引き寄せられる感覚がする。

 

 それに、このモヤモヤとした気持ち。このまま見逃したら絶対に後悔する。

 

……と言うより。

 

 何この中二病的展開!? 絶対に何か有るわよねアレに!?

 

 どうせ見に行かなかったら、ずーっと、このモヤモヤが消えなくて、結局あの店に戻って来ちゃうっていう強制イベント的な奴でしょ!

 

じゃあもう見に行くしか無いわよね!

 

お金が無いけど!!

 

「よし!」

 

 と、言うことで、さっそく荷物を持って周りを見ながら人を避けて、お店の前まで移動しつつ、ついでにお店の上に掛けられている看板を見る。

 

「雑貨屋?」

 

 外壁は蔦が這い、一見だけで、とても古い建物だと分かる。

 

 それから私は、ちょこちょことお店の前まで行き、ドアから顔だけを入れて、お店の内装を見渡す。

 

 お店の中は薄暗く、見知った最新ゲームや可愛らしい食器、何処の国かも分からない置物や昔ながらの家具調テレビまで有り、それらの商品がズラッと、所狭しと並べられていた。なんなのこの店、アンバランスにもほどがあるわね。

 

 奥の方を見れば、白髪でヒゲを生やした厳ついお爺さんが一人でポツンッとレジに座っている。

こういうお店ってあまり来たことが無いけど………うん。

 

 如何にも、ここには掘り出し物が有るって思わせてくれる店ね。

 逆に、この雰囲気で大した物が無かったら驚くわ。

 

 っと、そんな事よりも早くあの光ってた物を見つけ出して。

それで、出来るなら買って帰りましょう。

 

 

 〜数分後〜

 

 

 

 ヤバい、全然見つからない。

 

 かれこれずっと、それっぽい物を見つけては、見た瞬間に、違う、ってなって、また探すを繰り返している。

 

 しかも、こういう時に限って昔欲しかった物や、子供の頃には遊んでた玩具とかを見つけて、つい目移りしちゃうのよね。

 

 外から見えたから、すぐに見つかると思ったのに、全然見つからないし。

 見つからないせいで気付けば、外はとっくに日が暮れて来ているし。

 

 いっその事、このまま閉店ギリギリまで探して、帰る時になったら空を飛んで帰ろうかしら。

その頃には外も暗くなってるだろうし、空を飛んでても誰にも気付かれないでしょ……多分。

 

 そんな事を考えている時に

 

ん?

 

ふと、後から誰かが近づいて来る気配に気が付いた。

 

いったい誰かしら?

 

「おい、嬢ちゃん」

 

あぁ、店主のお爺さんか。

 

「私に何か要かしら、お爺さん?」

 

 後ろから声を掛けられた私はお爺さんの方へ振り返る。

 

「いや、ずーと店の中をウロチョロしてっから、何か探してる物が有るのかと思ってな。それと、嬢ちゃんみたいな子供がこんな時間まで一人で外に居ちゃあ危ねぇぞ」

 

「おぅ」

 

 知らない子供達ならあまり気にしないけど、普通のお爺さんに子供扱いされると流石に悲しくなってくるわ。

 

てか、お爺さん。顔に似合わず意外と優しい。

 

「え、ええ、これからは気をつけるわ」

 

「分かったんなら良い……それで嬢ちゃん、何か探してる物でも有るのか?」

 

 う〜ん、ここは手っ取り早くお爺さんに聞いた方が良いわよね、っと言うか最初っからそうすればよかったわ。

 何でこんなに必死に探していたのかしら。

 

「ええ、そうなの、さっき外に居た時に、このお店の中から見えた銀色の何かを探しているのだけれど、お爺さん知らない?」

 

「は? 銀色の何かってそんなもん其の辺に幾らでも有るだろうが」

 

「そうだけど違うのよ」

 

「はぁ?」

 

「私が探しているのは、もっとこう手のひらサイズで、光を反射する位の綺麗なああ!?」

 

お爺さん!?

 

「うぉ! い、いきなりどうした?」

 

「ソレよソレ! お爺さん!貴方が手に持ってるやつ!!」

 

 そう言って私はお爺さんの手に指を差し、大袈裟に伝える。

 

「……これの事か?」

 

「そう!ソレよ!」

 

 私が差している物を確認する様にお爺さんは私の目の前にソレを見せてくれた。

 

 あぁ、コレだ!私が欲しかった物!

 そして今まさに、何故、私がこんなにも頑張って探していたか理解できた。

 

 コレは何としてでも買わなければ。

 そう思い私はポケットから財布をそそくさと取り出した……が。

 

「それがなぁ、嬢ちゃん」

 

「ん? どうかしたの?……まさか、非売品とかだったり?」

 

「………いや、そんな事はないんだが」

 

お爺さんは頭を掻きながら、何かばつの悪そうな顔になった。

 

「コイツ、壊れているだよ」

 

「……え?」

 

…こわ……れてる?

 

「それでも良いって言うんだったら「買うわ」……言いのか?」

 

どうでも良いわ、そんな事。

 

ソレを一目見たときから買う事は決っているのだから。

 

「ええ、大丈夫よ……それで幾らするのソレ?」

 

「……やるよ」

 

……はい? 

 

「どうゆう事お爺さん?」

 

「どうもこうもねぇよ、ほらよ」

 

 そう言うとお爺さんはソレを元々入っていただろう白い箱に入れて、私の目線に合わせるように腰を下ろしソレを差し出してきた。

 

「あ、有難う」

 

 ソレを私は、おずおずとお爺さんの手から受け取った。

 

「……ねぇ、ホントに良いの?」

 

「良いんだよ……それに、嬢ちゃんみたいなガキに壊れれてるもん買わせて金取る程、俺はがめつくねぇよ」

 

そう言ってお爺さんは立ち上がり、元居たカウンターまで戻って行った。

 

……何このお爺さん、格好良すぎない?

 カウンターに行く時に見える背中が異様に大きく見えるのは私の気のせいかしら?……否!

 

はぁ〜、私も将来こんな風に背中で語る男になりたい!……あ、今の私、女だったわ。

 

「改めて有難うねお爺さん、また来た時に何かお礼をさせてもらうわ!」

 

「分かった分かった。もう良いから暗くない前にとっとと帰れ」

 

「えぇ、分かってるわ。それじゃ、またね、お爺さん!」

 

「……おう」

 

 私はお爺さんにお礼を言ってから雑貨屋を出て、再び荷物を持ちながら日傘を差し家に帰る為に歩き出す。

 

 それにしても、コレ壊れてるって言っていたけど、何処が壊れているのかしら?

 

 全く持って正常に動いている様にしか見えないのだけれど……

 

 

 

 

 

 レミリアが店から出て数秒後のこと。

 

「なぁ爺ちゃん」

 

 お店の奥からの高校生ぐらいの青年が出て来た。

 

「……何だ」

 

「何だじゃねぇよ、アレ、譲って良かったのかよ、爺ちゃんの大切なもんだったんだろ?」

 

「……動かねぇもん何時までも持ってても仕方ねぇだろ、それにアレは元々婆さんの物だ」

 

「だったら直せば「直せねぇんだよ」……どういう事だよ?」

 

「自分で直そうと試したが無理でな。だったらと思って次は修理屋に頼んだが……何でか分からねぇが結局直らなかった」

 

「え?」

 

「その後も何箇所か違う修理屋に頼んだが、『すみません』『直せませんでした』『分かりません』の繰り返し。 コッチからしたら、それでもプロかって話だ」

 

「で、でも、それでもアレは婆ちゃんの形見だぞ!大切な物だろうが!」

 

「……ああ、何よりも大切な物だ……たがな」

 

 そう言うと店主のお爺さんは店から出て行った少女と、先程まで持っていたアレを思い出し。

 

「あの嬢ちゃんにならアレを譲っても良いと思えた……それだけだ」

 

「……何だよそれ」

 

 そのお爺さんの答えに、孫の青年は不服そうな顔をした。だが、お爺さんはどこか嬉しそうな微笑みを浮かべていた。

 

 

 

・ 

 

 

 

 

 

 突然だけど読書の皆さん。

 

 貴方達は日帰り旅行に行ったその日に、友達の家に寄ったことはあるかしら? しかも夜の12時に………答えはNOよ、普通は。(少なくても私は)

 

 でも、今、まさに居るのよ。目の前にそんな常識を無視する子が。

 

「コレがレミリアのお土産で! コレがレミリアの為のお土産で!! コレがレミリアのレミリアによるレミリアだけのお土産だよ!!!それとねコレとコレとコレがね!!!!」

 

 

 そう、咲夜よ。

 

 しかも、旅行のお土産として大量の荷物を持って……ね。

 

 そのせいで今、私の部屋には歩くスペースも無いぐらい散らかっているわ。机やベットの上までギッシリと。

 床に座っているとは言え壁が見えないってどういう事よ。

 と言うより、どうやってその量のお土産を持って来たの咲夜? 私そっちの方が気になるのだけれど!

 

 って、いや違う違う! 今はそんな事どうでも良いのよ私!!

 

「咲夜」

 

「っで、コレが私の心の中のレミリ……どうしたのレミリア?」

 

 今、何て言おうとしたの?

 

 心の中って何?ソレ、もはや私ですら無くない?面倒だからツッコまないけど。

 

「何だかんだで、このやり取りも2回目になるのだけれど……今何時か分かってる?」

 

「うん!12時!!!」

 

何でそんなに自信満々に満面な笑顔で答えられるのこの子? 状況分かってる?

 

 12時と言っても深夜12時だからね今。

 

「どうして咲夜はこんな夜中にに来たの? 明日でも良かったじゃない」

 

「駄目だよ。私一日に一回以上はレミリアに触れないと死んじゃうから」

 

何貴女、呪われてるの?

 

「本当はもっと早く来るつもりだったんだけど、なかなかお母さん達が寝てくれなくて、私の予定だと11時ぐらいには来れる筈だったんだけど」

 

 いや、そう言う話をしているんじゃ無いのだけれど。

 

「あのね咲夜、早く来る来ないじゃなくて、こんな夜に外に出たら危ないの! 貴女、最近、拉致られかけたこと忘れてないでしょうね!?」

 

 そう問い詰めると、咲夜は何を思ったのか、いきなり自身が買ってきたお土産品が入った袋を漁る。すると中から何処かで見たような赤いスカーフを巻いた女性が描かれたダルマの様な物を取り出した。

 

「……それよりレミリア、コレ見て、コレね胴体の部分で上下に分割できて、開けると同じ物が「話を逸らさないの咲夜」………分かった」

 

 話を逸らそうとする咲夜に私は直に注意して止めさせるが、そこで一つ気になるとこが有る……何故にマトリョーシカ?

 

 滅茶苦茶要らないのだけれど。

 

 って、そんな事はどうでも良いのよ!(気になるけど!)

 

「良い? これからは夜に来るのは止めなさい。コレは貴女の為に言っているのよ?」

 

「…………………うん」

 

何その、クッソ長い間? 絶対反省してないでしょ。

 

あと、図らずも、お母さんみたいな事を言ってしまったわ。(ちょっと恥ずかしい)………うん?

 

「………」(´._.`)

 

「………」(ー_ー;)

 

 そ、そんな露骨にしょんぼりするんじゃ無いわよ。 どんだけ私と居たいの?

 いや、嬉しいけど 嬉しいのだけれど!!

 

 このまま危ない時間帯に外に出られると、また咲夜が危険な目に遭ってしまわないか心配なのよ。だから、ここはもう少しキツメに………って!そうだ、忘れる所だったわ!!

 

「咲夜、私も貴女にプレゼントが有るのよ」

 

「え?………え!?」

 

 私の言葉が信じられなかったのか、咲夜は驚いた顔をしながら勢いよく立ち上がった。

 

 え?そんな立ってまで驚く程なの?

 

 いや、まぁ、咲夜がこの家に来るようになってから一度もプレゼントを贈ったこと無いけど、何だか複雑な気持ちになってくるわ。

 

「ほ、本当に!?」

 

「ええ、本当よ……今日、雑貨屋に寄った時にね、衝動的に買った物なのだけれど」

 

 そう言いながら私は立ち上がり、部屋に転がっている荷物を、避けながら自分の机まで行き今日雑貨屋で買ったアレを引き出しから取り出した。

 

「きっと咲夜に似合う筈よ」

 

 咲夜に近付き、包み込むように手渡す。

 

「わ〜!」

 

 咲夜は自身の手に包まれたソレを見るべく、ゆっくりと手を開けて中身を確認すると、そこには

 

「……時計?」

 

 そう、時計、正確にはオープンフェイスの、ⅠからⅫまでがローマの数字で描かれた銀色の懐中時計。

 

 私が雑貨屋でお爺さんから譲ってもらった物。

 

 今、考えても、こんな見ただけで唯の懐中時計ではないと分かるような物を無料で売るなんて……それに、お爺さんは壊れてるって言っていたけど、見た感じ普通に動いているのよねぇ。

 

「ねぇねぇ、レミリア!」

 

ん?

 

「どうかし……た」

 

 呼ばれた私は考えるのを止め咲夜の方を見た……が。

 

その瞬間

 

「は?」

 

 私の世界は止まった

 

……いや、そう錯覚していまう程、私は混乱していた。

 

だって、そこには居るはずの無い彼女が

 

「ありがとう!レミリア!!」

(有難うございます、お嬢様)

 

 咲夜の後ろに、月光よりも美しい銀色の髪をした女性が、私を照らす様に微笑みながら立っていたのだから。

 

「さく……や?」

 

一瞬、私に微笑む『咲夜』を掴もうと手を伸ばした……が

 

「っ!?」

 

 其処には既に『咲夜』の姿は消えており……

 

「うん?なに?」

 

 目の前には自分が呼ばれたと思い返事をし、私が伸ばした手を見ながら首を傾げ不思議そうにしている咲夜だけだった。

 

「……今頃、何を見ているのかしら私は」

 

「?」

 

「いえ、何でもないわ。それより気にってもらえて良かった」

 

「うん!」

 

 咲夜は楽しそうに返事をすると、さっそく嬉しそうに銀時計を自身の腰辺りに着けようとしていた。

 

 そんな姿を見ていると、ふと、自分らしくない事を考えてしまう。

 

 普段だったら思わない事。今の咲夜の姿

 を見ても感じなかった想い。胸の奥深く

 に仕舞い、どうでもいい事だと思い込み、考えを放棄していた。

 

だけど

 

さきほど見た咲夜の幻のせいなのか、込み上げてくる、この感情。

 

『偽物の私が此処に居て良いのかしら?』

そんな考えが頭に過った。

 

そんな時

 

「見て見てレミリア! どうかな? 似合ってるかな?」 

 

 咲夜の楽しそうな呼び掛けで、私の意識が現実に戻される。

 

そして、そんな私が見た光景は。

 

 時計が目立つ様にフリフリと腰を揺らし、自分の姿を必死に可愛く見せてくる咲夜の姿だった。

 

………ああ、やっぱり

 

「ええ、私が思っていた何百倍も何万倍も似合っているわよ、咲夜」

 

「っ! へへ……へへへへっ!!」////

 

 私の答えを聞くと、咲夜は頭から湯気を出して顔を赤らめ、その赤らんだ頬を両手で覆いなごら体全体をクネクネとさせた。

 

「フフッ………フフフッ!」

 

そんな咲夜の姿が余にも面白くて、可愛くて、愛おしくて、つい私は

 

「ハハッハハハッ!!!」

 

「?」

 

 恥ずかしくも無く口を大きく開けて笑ってしまった。

 

 ああ、馬鹿馬鹿しい!

 何を考えていたのかしら私。そうよね、今更こんな事を考えても私に出来る事なんて無いし、どうしようも無い。

 だったら、とことん私なりに楽しんで生きて演ろうじゃないの。

 

 

今は私が

 

 

 

レミリア・スカーレットなのだから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それにしても、咲夜は何時になったら帰るのかしら?

 

「今日は帰らないよ!!」

 

「……え?」

 

マジで?

 

「マジのマジ! 本気と書いてマジ!!」

 

そんなにマジなのね……まぁ。

 

「今日だけは特別に許してあげるわ」

 

「え!?」

 

「な、何よ、そんなに驚いて? 咲夜から言ったんじゃない」

 

「え、け、けど、いつもは……」

 

「良いのよ、今日だけは。それより、お泊り用の準備とか有ったりするの? 無かったら一緒に取りに行きましょうか?」

 

「あ、それなら大丈夫だよ、元々全部レミリアの家に置いてあるから!」

 

なんでやねん

 

「そ、そう、それなら良かったわ……それと」

 

ナチュラルに心の中を読まないでちょうだい、咲夜。

 

「へへへっ!」

 

笑って誤魔化すんじゃないわよ。はぁ……フフッ

 

「咲夜」

 

 あぁ、それにしても運命っていうのは面白くて、不可思議で、残酷で、奇跡的で、唐突で、無慈悲で

 

「どうたのレミリア?」

 

「……いえ、何でもないわ。それより早くこの大量のお土産を何とかしましょう」

 

「はーい!」

 

素晴らしいものだわ。

 

 

 

 

 

 そういえば私、家に帰ったら直ぐに確かめないといけない事があった様な気……まぁ、いっか! 

 

 忘れるくらいなら、そう対して大事な事でも無かったんでしょね。

 

 それよりも咲夜が買って来てくれたお土産が気になるわ。無駄に大量に有るし。

 

 

 

 そして、私は、咲夜と一緒にお土産を開けて楽しい夜を過ごした。

 

 私は最後まで気付くことは無かった。

 

 

 家の表札が既にスカーレットになっている事に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※おまけ

 

 

次の日の朝

 

「ねぇ、レミリア」

 

「どうしたの咲夜」

 

「この、冷凍庫に有る大量の食品って何?」

 

 そう言って咲夜は冷蔵庫から昨日、調子に乗って大量に買ってしまったコロッケの一つを取り出して来た。

 しかも目の光まで消して、デスノートのLみたいな持ち方で私に見せてくるというオマケ付きで。

 

「……え? いや、その〜、最近ずーっと咲夜に頼りっぱなしだし、ご飯ぐらい自分で何とかして、少しでも負担をなくそうかなぁ〜と」

 

「……レミリア」

 

「は、はい」

 

「もう一度聞くけど、コレ何?」

 

「……………」

 

「……………」

 

「………じ、実は……コレ」

 

「……………」

 

「実はコレ全部サンプル食品なの!」

 

「………………」( ㅍ_ㅍ)ジトー

 

        「………………」(・∀・; )

 

「………………」じ━(ㅍ_ㅍ)━・・・

 

         「………………」(´ㅂ`; )

 

 

数日後

 当然の如く冷蔵庫に有った大量のコロッケ達は全て無くなっており、代わりに大量の手作りコロッケが入っていたと言う。

 

 

「レミリアは私が作った物だけ食べてれば良いんだよ?」

 

 

 

 

 





早く、早く次の話を書かなくては。
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