ちなみに作者は二次創作でしか東方を知りません。
第一話 これがカリスマの姿なのか?
○月△日
とある理由で今日から日記を書き始めることにした。だけどいったい何から書けばよいのやら......。
書きたいことは沢山あるがまずは今日起こったことから書こうと思う。
きっかけは妹ができると聞いたことだった。お父様とお母様にもうすぐ妹が産まれるんだと聞いた私は”運命を操る程度の能力”を使って妹とどんな未来が紡がれるのか確認することにした。
数多の運命を見通した結果、妹の誕生と共にお母様が亡くなることが分かった。私が両親に何を言ったとしても、誰か他の吸血鬼に助けを求めたとしても、恥を忍んで人間にお願いをしても......お母様が死ぬのは確定した運命のようだった。
それでもなんとかしたかった私はお父様とお母様に私が見た運命を語った。妹が産まれると聞いたときはとても楽しみだったし、これから産まれるはずの妹には申し訳ないけど、今いるお母様を亡くしてまで欲しいとは思わなかった。
私の話を聞いたお父様は私に賛同してくれたけどお母様は決して譲らなかった。
私達妖怪はエゴの塊であるべきだ。なのになんで自身の命よりも産まれてもない子供の命を優先できるのだろう......。
他にも書きたいことはあるけど今日はここまで。続きは明日書く。
○月△日
お母様は私達の反対を押しきって妹のフランドールを産んだ。フランが産まれた瞬間お母様は爆散して一欠片の肉片も残らずに破壊されてしまった。”ありとあらゆるものを破壊する程度の能力”。フランが持つ恐ろしい力。私はもちろん、お父様でさえその力を向けられたら生き残ることはできないとても凶悪な力。
本音を言うと少し怖い。当然だと思う。気が向いたらなんの抵抗もできずに自身を殺せる存在なのだ。それも善悪どころか自我もない赤ん坊がだ。自分の家に爆弾をしかけて起爆ボタンを赤ん坊に渡して怖くない人がいるだろうか。
それでも私はフランを愛そう。お母様に託されたから。お父様に頼まれたから。この子は親殺しの大罪を背負ったけどこれはただの事故。この子は決して悪くない。
......きっと私が運命を見ていなかったらこの子を地下室にでも閉じ込めていたかもしれない。数百年間もの時間をかけてゆっくりと気持ちを落ち着かせて、そのあとにやっとフランを妹として見れるようになるのだろう。
フランドール。私の大切な妹。生まれてきてくれてありがとう。
○月△日
すでに気持ちの整理はついている。......ついているがそれでもやはり辛いものは辛いな。なんで......なんでだ! なぜなんだ!!
なぜ未来の私は
どうしよう、お母様が亡くなったことよりもショックかもしれない......。いや、これはチャンスだ。まだ500年近く先の未来。ほとんどの運命ではかりちゅまな未来へと繋がっているが幸いにもまだカリスマへと辿り着く運命は残っている!!
油断したらすぐにかりちゅまの未来に進んでしまいそうなのはなんの冗談なんだと文句を言いたいが仕方がない。
フランのお姉様としても! 次期紅魔館の主としても!! 絶対にかりちゅまにはならないからな!!!
「今日はここまでで良いか」
三日目となる日記を書き終えて羽ペンを置く。ぐずりかけているフランの頭を撫でると落ち着いた寝顔に変わる。可愛い寝顔を見ていると思わず頬が緩んだ。
最初はお母様の願いであってもフランを愛することはできないと思っていたのに今ではすっかりメロメロになってしまった。
宝石のような羽根、金蜜色の髪、ふっくりとした頬に処女の血を彷彿とさせる真っ赤な目。フランのすべてが愛おしい。
フランの自我が無い今だからこそこうして表情に出せるけど後1年もしたら表情を隠す練習をしないといけないな。
妹にデレデレしているなんてばれたらかりちゅまになってしまう。それだけは嫌だ。
「レミリア。そろそろ上がってきなさい」
「はい、お父様」
今いるフランの部屋は地下にある。別に封印なんかはされていないから誰でも出入りができるけどフランが寝ぼけて誰かを殺さないように簡易的に隔離しているのだ。食事の時やおしめを変えるタイミングは私が運命を見て適宜行っている。それとは別で起きている間はなるべく一緒にいようと思っているけどね。
お父様の用事は......どうやらヴァンパイアハンターがやってきているようだ。私の特訓の為にわざわざやってくるとは良い心意気だな。
だがまあ、姉妹水入らずの時間を邪魔したんだ。無事に帰れるとは思うなよ?
私達スカーレット家は強力な能力を持つ吸血鬼の一家として有名だ。名前だけで畏怖を得られるおかげで血を飲む以上の食事も不要だけど有名な分、お客様がやってくるのもとても多い。いつもはお父様とお母様が二人で対処していたがフランが産まれてからはお父様と私の二人で対処するようになった。
「死ね! 悪魔め!!」
「子供を返せ!!」
銀の銃弾や木でできた杭をもって襲ってくるハンター達。どいつもこいつも何を勘違いしているのか。
「誇り高きスカーレット家が無差別な殺人などするわけなかろう!」
運命を操り銃弾を逸らす。運命を操り杭が届く前に転ばせる。本当にご苦労なことだ。どれだけ有効な武器をそろえても只の人が私達吸血鬼に攻撃を当てられるわけが無いと言うのに。
「悪魔の言葉なんて信じられるか! お前達が指示をしたんだろう!!」
「はあ......」
歩いて近づき首をはねる。これで今日のお客様は終わりかな。
「我々は無為に人を殺すなぞ低俗なことはしないというのに」
「お父様。勝手にスカーレット家の名前を使ったみたいですよ。後でお話をしないといけませんね」
私達は確かに一つの街を支配している。だが人のことは家畜として大切に扱っているし、血も少しもらうだけで死ぬまで吸ったりはしない。それなのに野良の吸血鬼が勝手に私達の家名を出して人を玩んだりするからこうした勘違いが人に広がっていく。
「そうだな......レミリア。お前がやってみるか?」
「いいのですか?」
「お前も姉になったんだ。少しずつ成長しないとな」
「完璧にこなして魅せましょう」
少し悩んだお父様が野良の吸血鬼の躾を私に任せてくれた。ヴァンパイアハンターとの戦いは自力に差がありすぎてたいした特訓にはならないけど吸血鬼との戦いはとても糧になる。
いくら野良といえど相手は大人の吸血鬼。それも人の家名を語る知恵を持つってことはある程度年をとっている熟練の吸血鬼だと思う。......ここでスカーレット家の名前を出すあたり頭は残念のようだが5歳の私には丁度良い相手だろうな。
どうしてこうなった?
思わず頭を抱えそうになってかりちゅまが頭を過り自制する。今私の目の前には涙を流しながら頭を垂れる一匹の狼。私に忠誠を誓うと言っている。もう一度言おう。
どうしてこうなった。
運命を操る程度の能力を鍛えるために殺さず生かさず実験していたら突然涙を流して平伏し始めた。流石の私もドン引きした。
私の姿に天啓を得ただの悪逆非道の所業に感銘を受けただの煩いし涙を流してるのは意味が分からなくて怖い。
というか吸血鬼ですらなかった。人狼か......ペットにするのは問題ないか? モフモフなのは高得点だけど......中身がな......。とりあえずお父様に判断を仰ぐか。
運命を操るってどういうことなんでしょうか。
作者は気になって気になって夜しか眠れません。