お嬢様はカリスマブレイクしたくない   作:セレシア

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最終話です。中途半端?とも思う人も出てきそうですが最初から紅霧異変で終わろうと思っていたので......。


第十五話 シスコンでヤンデレとは業が深い

○月△日

 最近誰かから見られている気がする。紫......ではないか。紫だったら監視されていて気付くことができる。監視されて気付くことができない。そもそも監視されていない。の三択で"気がする"なんて中途半端なことにはならないからな。

 

 遠見の能力者でもいるのか? 明日は焼き鳥でも食べるか。

 

 

○月△日

 家の食料の減りが早いと咲夜が首を傾げていた。メイド業が完璧にこなせるようになっている咲夜が管理ミスをするとも思えないし最近感じている視線に原因がありそうだな。注意しておこう。

 

 

○月△日

 妹が増えた。いや、フランが増えたわけではない。確かにフランは四人に増えることもあるけどそうではない。

 

 視線を感じて運命を見たら無意識のうちに犯人を捕まえていたのだ。私に腕を捕まれて目をパチクリさせていた犯人の名前は古明地こいし、”無意識を操る程度の能力”を使う元覚妖怪だった。

 

 無意識のうちに館に入っていたとか......面白い物でも感じ取ったのか聞いたら私が目的だったらしい。

 無意識の行動のはずなのに意識が介在しているとはこれいかに。

 

 

○月△日

 私以外はこいしのことを把握できないらしい。なぜかフランがショックを受けてた。私の心は穢れているとか言っていたけどそんなことはないってお姉ちゃんは知っているからな!

 

 ちなみにその時こいしはフランの背中に覆い被さっていた。

 

 

○月△日

 こいしと二人で話をしていたらフランが館の中を破壊しながら散策していた......思わず二度見した私は悪くない。

 

 話を聞くとお姉さまの妹は私一人だけだと言う。......こいしを殺そうとしてたのか?

 うん、流石に説教した。やんでれ? はダメだぞ。せめてしすこん? だけにしなさい。なんか違うな? 驚きすぎて冷静じゃなかった。

 

 

○月△日

 こいしがフランに懐いた。なんでだ?

 フランはこいしを殺そうとしていたんだが......こいし曰くお姉ちゃんの妹は私だけだって気持ちが良く分かるとかなんとか......。

 

 古明地こいし。お前もか!

 

 どうやらこの世の妹という生き物は全て”しすこん”で”やんでれ”なる存在らしい。私の回りに妹はフランしかいなかったから知らなかったな。

 

 

○月△日

 フランに館に被害が出ないように館を破壊し始めた。何を書いているのか分からないかもしれないけど安心して欲しい。私にも理解できていないから。一度破壊したあとに破壊したことを破壊したって......破壊の文字がゲシュタルト崩壊しそうだ。

 

 こいしに避難するか聞いたら問題ないって言われた。無意識を操ってこいし以外を破壊するように誘導しているらしい。どうせなら破壊を止めて欲しいと思うのは私の我儘か?

 

 

○月△日

 紫が遊びに来た......ついでに隔離期間終了のお知らせが来た。優先順位が逆だろうが。紫に言っても無駄だと思うけどな!

 

 フランがとうとうこいしを認識した。無意識領域と意識領域の境界を破壊したとかなんとか......。そんなことして大丈夫か? お姉ちゃんは心配だけどそこまでする執念が怖いよ。

 

 そこまで妹が増えたのが嫌だったのか?

 

 もし私がフランの姉を騙る愚か者を見つけても運命をねじ曲げて常に命の危険に晒されるようにするだけだぞ? ちゃんと心が折れないように、ほんの少しだけ良いことが目の前の人に起こるようにもしてあげるからな! なにかが少しでもずれていれば自分に幸運が巡ると思わせておいて決して届かないよう調整するのに腕がなるな。

 

 

○月△日

 フランとこいしが和解した。元々フランが一方的に敵視していただけだったけどな。妹同士仲良くなるのは良いことだ。うん。

 ただ仲良くなりすぎな気もするんだが......。

 

 二人がかりで布団に潜り込んで私のことを襲ってきたり......せっかく腰痛とおさらばできると思っていたのに......。

 

 

○月△日

 こいしが地底に帰っていった。咲夜も大きくなったしそろそろ異変を起こすとしようか。

 

 


 

「パチェ、魔道具に問題はないな?」

「ええ、もちろん」

 

「フラン、美鈴、闘う準備はできているな?」

「任せてよ」

「お任せください」

 

「咲夜、おもてなしの準備はできてるな?」

「いつでもよろしいかと」

 

「幻想郷に来たときとは違って命のやり取りはない。負けるのが仕事になるが......無様な姿は許さん。いいな?」

「「「「はい」」」」

 

「じゃあ始めるぞ! 紅霧異変を!!」

 

 フランの前世通りに話が進めば美鈴、パチェ、咲夜、そして私の順番で霊夢と弾幕ごっこをすることになる。

 妖精メイドの一部は妖怪の山に解き放った。紫の狙いは弾幕ごっこの普及だから天狗と妖精で戦わせないといけないのよね。

 

 万が一があっても一回休みになるだけだから良いけど......なんだか殺意が高い気がするわ。天狗達はなめてかかると痛い目を見そうね。

 ちなみにフランは地下室に隠れることになった。

 

 


 

 その日はいつも通りの満月の夜になる筈だった。

 

 だけど、突然赤い霧が人里を包みこみ、体調を崩す人も出てしまった。

 

 神社の縁側に座ってどうしようかと考えてみる。

 すると目の前の空間が裂けて紫が顔を出してきた。

 

「霊夢。これは異変よ」

「ええ、そうみたいね。洗濯物が乾かなくなっちゃうわ」

「あなたの仕事は分かっているわね?」

「面倒だけどやるしかないんでしょう?」

 

 私の勘が警鐘を鳴らしている。どうやら一筋縄ではいかない相手のようだ。

 

「弾幕ごっこで退治すれば良いのよね?」

「ええ、頑張ってちょうだい。彼女はきっと手強いわ」

「言われなくても」

 

 紫の心配を鼻で笑う。だって私は博麗の巫女だから。妖怪相手に負けるわけにはいかないの。

 前回の大きな異変は吸血鬼異変。当時の私はまだ五歳と幼かったから戦いに出ることはなかったけど妖怪同士の小競り合いや人里を守る戦いだってやってきた。

 

 空に浮いてから勘で行く方向を決める。ええ、湖の方が怪しいわね。

 妖怪の山も大変そうだけど......天狗が対処することだし無視して良いわね。

 

「じゃ、サクッと退治してくるわね」

 

 手を振って隙間を閉じた紫を一瞥してから湖へと進み始めた。

 

 


 

「目が痛くなるわね。どういうセンスをしてるのかしら」

 

 道中で宵闇の妖怪や、突っかかってきた氷精を退治しつつ湖に到着した私の目の前に現れたのは真っ赤な館。

 昨日まではこんな館無かった気がするのだけど......無かったわよね? 神社から出ないから良く分からないわ。

 

 眠っていたから通り過ぎようとしたら突然目を覚まして戦うことになった門番、喘息さえなければもっと苦戦したであろう魔法使い、そして人間の癖に妖怪に与するメイドを倒していく。

 

 一人一人がやたらと強い。しかも勝ったのはこっちのはずなのに余裕そうにしていてとても腹が立つ!!

 ただここからはイライラしてたら勝てないかもしれないわ。

 

 館の中に入ってすぐ外見に見合わない中の広さに驚いたけど......この館には化け物が二人いる。

 幸いメイドの話によると一人は関係ないとのことだったけど......いつか退治することになるかもしれないし、この異変を解決したら特訓しておこうかしら。

 

 普段から妖怪相手に殺し合いをしていたから正直舐めてた。勘が警鐘を鳴らしていたのに無視したのは良くなかったわね。

 

 

 一際大きな妖力を放つ扉の前に立つ。この扉を開ければ黒幕さんとのご対面ね。

 重厚な気配を発する相手に気圧されそうになるも深呼吸で心を落ち着かせる。

 

 気合いを入れなさい博麗霊夢! 面倒だけどお仕事の時間よ!!

 

 


 

 ようやくだ。ようやくここまで来た。

 

 カリスマガードなんて無縁だし、タンポポ料理だって優雅に食べることができる。

 

 カリスマブレイクなんて私はしない! 私の本気を見せてやろう。フランがラスボスと言う霊夢が相手なんだ。全力でやっても負けるかもしれない。だが、それでこそ挑みがいがあるものだ!!

 

 弾幕が思いっきりできるようにリビングにて妖力を研ぎ澄ましていく。

 少し前に美鈴が負けた。

 

 先程パチェも......。

 

 そして......。

 

 どうやら咲夜も負けたようね。これで残るは私だけ。

 

 執務室の扉が開く。

 

 ああ、あなたが紅白の巫女。強者の気配が凄まじい。

 さあ、さっさと遊びましょう? 余計な文言はいらないわ。

 

「こんなにも月が紅いから本気で殺すわよ」

「こんなにも月が紅いのに」

「「楽しい(永い)夜になりそうね」」




最終話まで読んでいただきありがとうございます。
よければ高評価、感想などお願いします。

前書きにも書きましたがもともと紅霧異変までにしようと考えていたのでこれで完結です。
打ちきり作品みたいな絞め方ですが当初の予定通りです。ウソジャナイヨ。

後日談としてExやら他の異変も書く可能性があるかもしれませんが......すでに次の小説を執筆を始めているので本当に気が向いた時だけですね。

実は書きたかったのは二話の起きたら母親が爆散しちゃってSAN値チェック!のところだけだったので短編でも良かったかもしれません......が、レミリアもフランも可愛いのが悪いので連載にした私は悪くありません。
こいしちゃんを出した理由? だって可愛いでしょう?
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