お嬢様はカリスマブレイクしたくない   作:セレシア

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第三話 まだカリスマブレイクしてない......よね?

○月△日

 最近フランの部屋にいる時間が少なくなってきた。お父様のお仕事の半分を引き継いだからだ。

 それでも愛おしいフランのための時間は絶対に確保する。これは姉としての役目だし、私がやりたいことだ。

 

 でももうちょっとだけ時間を多く確保した方が良いかもしれない。今日フランの部屋にいくと無言の抗議をされてしまった。

 寝た振りなのは気付いていたけど余計に拗ねられると困ってしまうから頭を撫で続けた。顔が緩んでいたから正解だったらしい。

 それにしてもフランの髪の毛はサラサラで良いな。また寝ている時に頭を撫でよう。

 

 

○月△日

 最近になって私の能力の解釈の拡大がうまく行き始めた。運命による未来視だけでなく過去視もできるようになったのだ!

 とは言え早々に使うことはないだろう。過去なぞ基本的に見る必要もなし、我らは常に前を向くのだ!!

 

 今後も脱かりちゅまのために能力の拡張に勤しまねばいけないな。

 

 

○月△日

 最近、私には一つの野望がある。それはフランの部屋を私の部屋の隣にすることだ!!

 少しだけ壁を薄くしたから隣の部屋に来てくれれば執務中でもフランの気配を感じられる!

 

 私は妹成分に餓えているのだ!!

 

 妹成分が切れてかりちゅまになる前になにとぞ!! なにとぞ私の部屋の隣に......!!

 

 

○月△日

 ......昨日の私は少し気持ち悪かったかもしれない。これも妹成分が切れているのが悪いんだ!!

 人間供も吸血鬼供も問題ばかり起こしおって!! 貴様らの対処のせいで癒しの時間が減るんだぞ!!

 

 なるべく外に出たく思えるように外であった楽しい話をしているけど効果はなさそうだ。

 

 それでも私を励まそうとしてくれたのか気分転換をしようとしてくれたのか......高笑いをする遊びを考えてくれたフランは天才だ!!

 私のカリスマ要素アップにも活かせるかもしれない......!!

 

 やはりフランは最高の妹だな。

 

 

○月△日

 フランが産まれてから早50年。お父様が亡くなった。私が一人前になったのを見届けたからお母様の後を追うらしい。

 フランを産むと決めた時からこうなることは運命によって定められていたけれど......頼りにできる大人がいないことで不安が大きくなってしまう。

 

 かりちゅまにならないためにも絶対に表には出さないが。カリスマを維持するためにもマイナス要素は全て日記に吐き出して溜め込まないようにしよう。

 

 

○月△日

 友人ができた。食料を調達しに行く途中に運命の導きがあって仲良くなったのだ。行く宛もないとのことだから私たちの館に招待したのだが......友人である私と出会ったことよりも館の図書館を見たときの方が喜んでないか? まあ何代にも渡って収集してきた自慢の図書館だから研究肌の者には嬉しい環境だと思うが......。

 

 

○月△日

 最近のフランの様子がおかしい。やはり私では頼りにならないのだろうか......。

 外敵など決して近付けたりしないのにバリケードを貼っていたりちょっとしたトラップ......私のことを考えてか殺傷能力は皆無だからあまり意味ないが......を仕掛けていたりと部屋を防衛する動きが活発になってきた。

 

 やはりもっと力を付けねばならないな。戦闘時に能力を積極的に使うことで能力も成長して操れる運命も大きくなってきたけどフランが不安に思うなら見た目も成長しないといけない。

 私たち妖怪は心の成長が体の成長に繋がる。良い師に巡り会えるように運命を弄っておこう。

 

 

○月△日

 フランがなにか隠し事をしていそうだ。

 何をしたのかわからないが......罪悪感なのか私になにか負い目を感じているようだな。姉は妹のことならなんでも許せるというのに......。

 だが今までずっと一緒に生きてきたんだ。隠し事なんてできるはずもないのだが......。

 

 うむ。無理矢理暴くのは姉としてどうかと思うが......なにかが原因で様子を可笑しくしているならフランの過去を覗いてみるのもありか......?

 

 でもばれたらフランに嫌われるかも......。いや、フランのためだからしかたない。うん、仕方ないよな。そもそもフランが産まれてからずっと一緒なんだ。全て知っているからな。すでに知ってることを改めて見直すだけなら問題ない。問題ないよな。だから決して私欲のためなんかじゃないからな!

 

 

○月△日

 衝撃の真実に気が付いてしまった......。

 私の......私のカリスマが......。う~~。

 

 

 

 

 

 

○月△日

 もうておくれかもしれない。

 

 

 

 

 

 

○月△日

 う~~。もうだめだ~。おしまいだ~。

 

 

 

 

 

○月△日

 さようならかりすま。こんにちはかりちゅま。

 

 

 

 

 

○月△日

 はっ! フランを地下から出すために過去を除いていたらフランが生まれたときから自我を得ていて私がデレデレしていることがバレていた(かもしれない)ショックでここ数日の記憶があいまいだ。

 ......なんだか説明口調の日記になってるけど運命がそう書くように囁いているから仕方ないな。

 

 だけどこれは由々しき事態ではないか? 今後私の威厳溢れる姿を見せたとしてもフラン視点ではでも子供のころはデレデレしてたんだよな。とか、緩んだ顔してたのになに格好付けてるの? とか心の中でいろいろ思われちゃうんだ......!

 は? フランがそんなこと思うわけないが?

 

 いや、何日誌で自分と喧嘩してるんだ私は。落ち着かないといけないな。

 

 

○月△日

 自分のことでいっぱいいっぱいになってしまっていたが自分のカリスマよりも重要なことがある。フランの自我が有ったせいで母親殺しのことを覚えていて気に病んでいたことだ。しかもどうやら魂が別のところから来たとかで自分はフランじゃないと思い込んでいるらしい。......どんなフランでもフランでしかないのに。

 

 決めたぞ! フランにわからせを決行する!!

 

 

 

 

 

○月△日

 助けてくれパチェ! フランが私の狂信者になってしまった!!

 


 

「パチェはどう思う?」

「自業自得ね」

 

 最近友人になったパチェ......パチュリー・ノーレッジという魔法使いにフランのことを相談すると肩を竦めるだけでスルーされた。それでも貴様は親友か?

 

 まあ魔法使いという者は得てして自分の興味外の物事には塩対応なものだと分かっているのだが。

 

 そんなパチェに出会ったのはお父様がお母様の後を追って割りとすぐの頃だった。お父様の代わりにフランのための食料を調達する際に魔女狩りに合っていたところを見かけて運命の導きのままに彼女を助けたことから交流が始まった。

 

「諦めなさい。ああなったらもう手遅れよ」

「ぐぬぬ」

 

 ぶつぶつと文句を言っていたら読んでいる本から目を離すことなく告げられた。普通に慕われるだけなら嬉しいけど妹が狂信者だなんて嫌よ! 普通の尊敬でよかったのに......。

 

おねえさまー

 

 噂をすれば影......とばかりにフランが突進しながら私に抱きついてくる。当然カリスマの化身たる私は優雅に受け止めてフランの頭を撫でてあげるのだ。

 私の手に頭を押し付けながらにぱーと笑うフランの手には数冊の魔法書。フランは私の役に立ちたい! と魔法の勉強を始めたのだ。

 

「あらフラン。もう読み終わったの?」

「うん! 次の本探してくる!!」

 

 交わす言葉もほどほどに次に読む魔法書を探しに行くのを見送る。地下に引きこもらずにここで勉強すれば良いのに。

 

「相変わらず愛されてるわね」

「もっと普通のコミュニケーションをとりたいのだけど......」

「是非そうして欲しいわ。そのときは私を睨むのをやめるよう言うのを忘れないでよね」

 

 私のために勉強をしてくれるのは嬉しいし、なにもせずに引きこもっていた時と比べると健全だし進歩していると思うの。......でもお姉ちゃんは寂しい! カリスマを維持するためにも声には出さないけど!!

 

 ところでパチェの目は節穴か? フランが人を睨むなんてするわけないじゃない。




ちなみにですが、この小説は一応完結まで書き終えているのでエタることはないです。
毎日更新で投稿していきます。
紅霧異変までなのでやや短め。それ以降は気が向いたら番外編や後日談として書くかも?
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