お嬢様はカリスマブレイクしたくない   作:セレシア

4 / 17
シリアス成分が少しだけ混ざるのは愛されに理由をつけるためです。
お嬢様はただいるだけで愛される存在ですが愛は深くても問題ないので......。
読者がレミリアの魅力に沼ったので初投稿です。


第四話 目が醒めたらお邪魔虫がついています

 フランドール・スカーレットとして産まれ変わって、母親を殺し、妹を乗っ取り、父親さえもお姉様から奪ってしまった。

 お姉様はお父様が死んだのは運が悪かっただけだと言っていたけど、赤ん坊だったときにお姉様とお父様の話を聞いていた私は知っている。お父様はお母様を追って死んだだけだって。

 

 積み重なっていく罪悪感に、せめて妹だけは本物(・・)だと騙すことを誓った。

 

 突撃お前が晩御飯をされた時は私が全ての元凶だとバレて処されるのかと思ったけどお姉様に抱き締められ、私は私なのだと一晩中語られ、私の良いところを数十数百と挙げられていき、気がついたら前世の記憶、赤ん坊の頃から自我が有ったこと、お母様を殺したこと、お姉様も殺しそうだったこと、隠し通すと誓ったはずの全てをぶちまけていた。さすがに東方については話さなかったけど......。

 私はお姉様に想われる存在じゃない。偽物の私が本物のフランドールが得られるはずだった愛情を受け取ってはいけない。その一心で嫌われるために全て話してしまったのだ。

 

 嫌われるために話をしたのにお姉様に嫌われるならさっさと日に焼かれて死んでしまおうと外に出ようとしたら暖かい身体に抱き締められた。

 

 そして、運命を操る程度の能力で全てを知っていたと。知った上で私のことを本物のフランドール・スカーレットなんだと宣言してくれた。私が謝ることなんて何一つなくて、むしろ勝手に過去を覗いてごめんなさいとお姉様が謝罪をしてきた。

 

 私はこの時初めて、本当の意味でフランドール・スカーレットとして産まれたのだと思う。そして、初めてレミリア・スカーレットという人物に出会ったのだ。ゲームのキャラではなく、現実の、私の最愛のお姉様と。

 この時に私がどれだけ救われたのか。きっとお姉様は分からないのだろう。

 

 私のお姉様はとても素敵で素晴らしい人だった。カリスマが具現化したような存在で数々の同胞(吸血鬼)達を屠ってきた凄腕のハンター達も簡単に倒してしまう。

 その所作一つ一つがとても優雅で敵に対する冷徹な残忍ささえ彼女を引き付ける魅力の一つになってしまうのだ。

 

 原作では幼い月で食事のときに血が口から垂れるからスカーレットデビルだなんて大層な二つ名の割に微妙な由来だったが今のお姉様は文字通り敵対者を真っ赤に染めることからスカーレットデビルという二つ名が付けられている。名前負けしていないとても格好良いお姉様だ。

 

 そこでそんな原作よりも立派で素敵で愛らしいお姉様に原作を模倣するような私が妹として相応しいのか? と疑問に思ったのは至極当然のことだと思う。ありとあらゆるものを破壊する程度の能力だって自由自在に使いこなす必要があるし、魔法少女のフランちゃんは魔法少女ではなく魔法使いと言えるレベルで強力な魔法を使えるようにならないと隣に立つのはダメなのではないだろうか。

 そう思うと地下に引きこもっていたのは英断だったかもしれない。今のままじゃ恥ずかしくて一緒に要られない。

 

 本当はもっとお姉様と一緒にいたい。お姉様の吐き出した息だって吸い込みたいしお姉様の寝顔だってずっと見ていたい。

 一挙手一投足見逃したりせずにお風呂だって一緒に入りたいしお風呂の残り湯だって私のものにしたいんだけど......精一杯我慢する。

 

 そしてお姉様に相応しい妹になったら改めてお姉様に私の全てを捧げるんだ。私の全てはレミリア・スカーレットのものだって聖書......は敵だったね。古事記にも書いてあるもの。

 

 


 

 どうしよう。私が錯乱している間にお姉様にお邪魔虫が付いていた。そう、未来の親友ことパチュリーのことだ。

 

 せっかくお姉様から天啓をもらって魔法の勉強をしようと図書館に行ったら動かぬ大図書館がいたんだ。図書館の中に大図書館とはこれいかに。

 

 それだけなら気にしなかったんだけど......。目がすっごいドロドロしてるの。全く気付いてないお姉様もそれはそれで可愛いのだけど......私が牽制しないとどんな薬を盛られるのか分かったものじゃないね。私が引きこもっていた間はお姉様がそれどころではなかったお陰で手を出す機会がなかったみたいだけど、その時に相談に乗っていたからかいつの間にかお姉様から信頼を得て親友の地位を確立していた。

 

 不覚......圧倒的、不覚!!

 

 正直過ぎ去ったことは仕方ないと割りきるしかないけど。私が完全な庇護対象として見られているのに対して対等の関係を築いているのにパルパルしちゃうよね。今後もなにかある度にお姉様に頼られるのかと思うと......。やめておこう。これ以上考えるとキュッとしたくなっちゃう。

 人を落とさずに自分を高めないとね。これから美鈴に咲夜、小悪魔が増えるはずだし、数百年後には霊夢とかも出てくる。それまでに最もお姉様に相応しくお姉様の役に立つのが私なんだって胸を張って言えるようにしよう!

 

 


 

 初めてそのヒトを見たのは満月の夜だった。魔女狩りと称して徐々に数を減らしていく同胞(魔法使い)達。ひっそりと本を読んで魔法を探究できていればそれでよかったのに......。いつ魔法使いだとばれて魔女狩りに合うのか......生まれつき喘息を持つ私は襲われたら満足に逃げることもできないため常に怯える日々を過ごしていた。

 

 遂に私が魔法使いだとバレる日がやってきた。何人もの街の人に追われて、逃げ出すもすぐに追い込まれてしまう。やっと怯えずにすむのかなんて思いつつも魔法の探究が不完全なのが心残り。まだまだ死にたくない。そう思っていたら突然空から声が聞こえてきた。

 

「私の街にはまだ下賎な者が残っていたようだな」

 

 このときの絶望は計り知れなかった。敵対する者を容赦なくいたぶり、相手の悲鳴を肴に血を飲む冷酷な存在。歴代最高とも呼ばれる人智を越した化け物さえも赤子のように捻る規格外な存在。そんな天上のヒトに下賎な者だと目を付けられたのだ。

 

 満月をバックに優雅に佇むヒトに今までの恐怖は恐怖足り得なかったことを知った。

 

 そのヒトに見惚れていたのか畏怖していたのか、しばし惚けていた街の人々は規格外の化け物をバックにつけたと調子付いて私に迫る。

 

 悔しさに涙が頬を伝う。私が何をしたって言うのか。ただ魔法の研究をしていただけじゃない。誰にも迷惑だってかけてないのに。思わず下を向くと影が近付いてくる。凄まじいプレッシャーに思わず目を瞑る......。

 

「いつまで下を向いているつもりだ」

「かひゅっ」

 

 突然声をかけられて変な声がでる。なんだかとても惨めだ。

 恐る恐る目を開けて前を向くと目に飛び込んできたのは真っ赤に染まった街並みと一人の少女。表情は影になっていてよく見えないけどきっと品定めでもしながら舌舐めずりでもしているのだろう。

 

「殺すなら一思いに殺しなさい」

「ふむ。怪我はなさそうだな」

 

 震える声で殺せというと想定外の言葉が返ってきた。呆気にとられる私を気にせずにジロジロとこちらを観察している。

 

「殺さないの?」

「なぜ殺す必要がある」

「さっき下賎な者って......」

 

 意外な一言に思わず聞き返すと少女は首を傾げた。魔女狩りはこの地の支配者が進めているって街の人が言っていたし、この少女は私の街だと言っていた。私達魔法使いのことを下賎な者だとして処分して回っていたと思ったのだけど。

 

「ふんっ。私が下賎だと言ったのは何もされていないのに異種族というだけで迫害するこいつらのことだ。しかも分不相応にも勝手に私の名前まで使うとはな。度胸があるのかただの馬鹿か分からん」

 

 そう、私はもう街の人達に怯える必要はないのね。少女の言葉に全身の力が抜ける。ああ、これだけは言わないと。

 

「助けてくれてありがとう。私はパチュリー・ノーレッジよ」

「ふむ。ではパチェと呼ぼう。私の名前はレミリアという。好きに呼んでくれ」

「分かったわ。ではレミィと」

 

 心臓がドキドキとうるさい。こんな規格外のヒトが私の名前を覚えるどころか愛称で呼んでくれるだなんて。

 

「時にパチェよ」

「な、なにかしら」

 

 早速愛称で呼ばれて思わず変な返事をしてしまう。どうしましょう。顔が赤くなってないかしら。

 

「帰る場所が無ければ我が家に来ないか?」

「ふぇっ!?」

 

 突然の同棲のお誘いに頭がパニックになる。落ち着きなさいパチュリー。これは都合の良い幻聴よ。こんな木っ端の魔法使いの名前を覚えて貰えただけで凄いことなのにど、同棲だなんてできるわけないでしょう。

 

「相談したいこともある。大きな図書館もあるぞ?」

「......」

 

 今度こそ言葉がでない。噂とは違う印象が出てきたといえど大妖怪であることにはかわりがないはずのレ、レミィが私に相談? なんの冗談かしら。むしろ今までの一連の流れが私をいいように使うための罠だったりしないかしら。

 

 私のひねくれた心が顔をもたげる。マッチポンプで従順な駒にでもするつもり? と考えて我に帰る。レミィほどの大妖怪であればそんな小細工は必要ないのだ。ただ一言”やれ”と命令するだけで殆どの妖怪は喜んで従順な駒になるだろう。

 

 少しの間レミィの意図を推察しつつ今後の身の振り方を考える。......ダメだ。どう考えても結論は一つしかない。

 まったく、私が一人で思考に没頭してても急かさずに待っていてくれるだなんて。これはますます抜け出せそうにないわね。

 

「ゆ、優秀な魔法使いの知識はとても価値が高いのよ?」

「だろうな。対価に図書館の本を全てやろう」

「私は魔法使いとしての腕には自信があるけど喘息持ちで激しい運動はできないわ」

「かまわん。もしもの時は私が守ろう」

「仕方がないからレミィの家にお邪魔するわ。不束ものだけどね」

「不束ものなわけがあるか。パチェが素晴らしいのは見ればわかる」

 

 照れることを臆面もなく言わないでよ! 勘違いしそうになるじゃない!!

 でも仕方ないわね。魔法の探究には大量の魔法書はとても魅力的だし? レミィがどうしてもっていうならお邪魔しても良いわよ?

 

 魔法使いの探究心は誰にも止められないんだから。この胸の高まりの原因を追究するためにも一緒に住むことにするわ。その原因は分かりきってるって? う、うるさいわね。調べてもないのに思い込みはいけないのよ!

 

 まさか相談事が妹様のことで問題が解決した後はその妹とバチバチに睨み合う関係になることは想像もしていなかったけどね。




感想ありがとナス
評価もしてくれるとウレシィナ-
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。