お嬢様はカリスマブレイクしたくない   作:セレシア

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吸血鬼異変の前ってよくよく考えると妖怪の山の天狗と地底のメンバーしかいなかったってことで良いんですかね?

竹林のメンバーはいても姿隠していたからノーカンだとして......
冥界、天界もあるけど妖怪の派閥と言っていいのかもわからぬ。作者はにわかである。
けれど可愛さにたいしては人一倍に敏感であった。

フランチャンカワイイヤッター! レミリアタンカワイイヤッター!!


第九話 吸血鬼異変 ~紅美鈴の場合~

 お嬢様の指示に従って散っていく妖怪達。まだまだ未熟者ですがなんとか戦えるまでは鍛え上げることができました。ほとんどは死兵であることもあり、確実に戦果をあげてくれるでしょう。

 心優しきお嬢様は死ぬ場所を用意することに最後まで難色を示していたけど自ら立ち上がったヒト達を押さえつけてまで生きろとは言いませんでした。それもまた一つの優しさでしょう。まあ、丸め込まれただけとも言えるかもしれませんが......。

 

 ですが敵疑心を持っていたり憎悪を抱いていたヒトさえもお嬢様のためであれば命が惜しくないと思うようになるなんて......ちょっと恐ろしいですね。魅了を使っているわけでもないのに心酔させる。妖怪を惹き付ける満月のようなヒト。

 

 私の判断は決して間違っていなかった。お嬢様の元で過ごし、お嬢様に仕えているのは私の大切な誇りになりました。

 

 私の現在地は門の前。紅魔館の門番として、お嬢様から頂いた”紅”という妖怪として、私の使命を果たします!!

 


 

「降参しないのかしら。いえ、その状態じゃ話すこともできなかったわね」

「うぐっ」

 

 すでに私の利き手はなく、あばら骨もかなり折れています。焼けてしまって右目ももう見えませんね。ですが!

 

「頑張って抵抗して頂戴。これじゃあ案山子を殴る方がマシよ」

 

 殴られても吹き飛びすぎないように気合いを入れて踏ん張ります。ああ、今度は内臓に傷がつきました。

 

 全くもってお嬢様は罪なヒトですね。こんなにもボロボロになって、気を緩めるとすぐにでも気絶してしまうような状況で、それでも私はお嬢様にここを任された。風見幽香という化け物を私なら抑えきれると信じて貰えた。

 

 たったそれだけでこんなにも力が沸いてくる!!

 

「さっさと気絶でもした方が楽じゃない。意地でどうにかなる差じゃないことくらい分かるでしょう。それとも分からないほど馬鹿なのかしら?」

「それでも......それでも私はやらなければいけないんです!!」

 

 格上相手の稽古は何百何千と繰り返してきた。技だけではどうしようもない理不尽の権化と何度も手合わせをしてきたんです!!

 

「まったく、ひどい主もいたものね。助けに来てくれない主にそこまでして守る価値があるのかしら?」

「お嬢様は私を信じてくれていますから。それに何があっても助力せずに自身のことに集中して頂くよう言ったのは私ですから!」

 

 お嬢様達(吸血鬼)ほどではありませんが気を回すことで高速再生ができるんですよ!

 大妖怪と比べると妖力が少ない私ですが身体の丈夫さには自信があります!

 

「もういいわ。マスタースパーク」

「やあっ!」

「なっ」

 

 傘の先端から発射されるレーザーを気で巻き取って打ち返す。幽香に直撃して爆発が起こります。

 想定以上のパワーに慣れるまで時間がかかりましたがもう大丈夫です!!

 

「案山子よりはマシでしたか?」

「ええ、少しだけびっくりしたわ」

「少しだけですか......」

 

 煙が晴れるとレーザーが直撃したはずなのに洋服すら傷付いていないままの幽香が姿を表す。

 本当に理不尽ですね。私の腕を消し飛ばしたレーザーなんですよ?

 

 思わず苦笑いしてしまいました。お嬢様のグングニルを弾き返したときと全く同じ反応です。

 

「えいっ」

 

 緩い声と共に放たれるテレフォンパンチ。武道家としてふざけるなと言いたくなる基本のきの字もできていないパンチですがその威力は一級品です。さっきまでは威力を殺しきれずに吹き飛ばされるだけでしたが、これからはうまく利用させていただきますよ!

 

 妹様から学んだ合気という技術を用いてパンチの威力を跳ね返します。少しロスができて私に二割、幽香に八割程度のダメージでしょうか。

 

「へえ、面白くなってきたじゃない」

 

 こっちは全く面白くないです!! 無傷でニヤリと笑う幽香を見てやはり理不尽だと言いたくなります。二割しか食らってないはずの私の方がダメージが大きいってどういうことですか!!

 

 なんの工夫もない傘のフルスイングは受けずに大きくかわす。知ってますか? こういうヒト達の攻撃はぎりぎりでかわしてもソニックブームに巻き込まれて吹き飛ばされてしまうんです。私はお嬢様のお陰で身に染みて理解しています。

 

 んー? こうなってくるとなんとかなる気がしてきますね。妖力こそお嬢様よりも強大ですが膂力、速度は言わずもがな、戦闘技術もお嬢様の方が上です。幽香は堅いから、お嬢様は運命を見た先読みによる回避や超再生を持っているから、と理由は違いますがこちらの攻撃が全く効かないという点は同じ。

 

 ......はい。お嬢様の方が幽香よりも理不尽ですね。一発で状況をひっくり返される状況に変わりはありませんので油断はできませんがいつもの修行の方がよほど過酷です。

 

「ここからは反撃していきますよ!」

「できるものならやってみなさい」

 

 相手は私のことを一度追い詰めたから舐め腐ってますね。お嬢様の名誉のためにも、お嬢様の采配が間違ってなどいないと証明するためにも......!

 

「いっちょ、ぶちかましてあげましょう!!」

 

 不格好なので普段はあまりやりませんが......幽香の懐に入って乱打していきましょう!

 

「くすぐったいだけよ? ぶちかますんじゃなかったの?」

「ええ、その通りですよっ!」

「っ!? くっ......!!」

 

 最初の数発は幽香にとってはとても軽いパンチです。ですが、気を操る程度の能力をフル活用することで、一撃目の衝撃を二撃目の衝撃に合気して威力を二百%にあげ、三撃目は三百%、四撃目は四百%と段々威力が上がっていきます!!

 コンボが決まれば決まるほど両腕への負担は増えていきますが威力が上がっていくこの攻撃であればいつか防御を貫通できるはずです!

 

「このっ!」

「甘いですよ!」

 

 途中からダメージが入り始めたのか焦った幽香が傘をぶん回しますが素人の攻撃をかわしつつ連打を続けるのは簡単なんですよ! お嬢様相手だと早々に攻撃を防がれるのでうまく決まらない技です! やはりお嬢様は最強だった!!

 

 百を越えるパンチを行い、私の両腕が自身の血で真っ赤に染まってきた頃、やっと幽香は膝をつきました。

 

「これは......とても屈辱ね......。私の負けよ」

「こんなに打ち込むことになるとは思いませんでした......」

 

 いつもは気で保護しているためすぐに再生できるんですがこの乱打は気を全て合気に回すためしばらくの間は両腕が使い物にならなくなります。今も肘より先の感覚がなくてだらんとぶら下げることしかできません。

 

 ......当分両腕が再起不能の私と私の血で真っ赤に染まっただけの幽香。私が言うのもなんですが格下相手に膝をついたから負けを認めただけ。最初から同格とみなされていれば、私はこのまま普通に吹き飛ばされていたでしょう。

 

「今度リベンジしに来るから」

「......二度と来ないでください」

 

 思わず溢した本音に不味いと思うも幽香の顔を見るとどうやらショックを受けた表情をしています。

 ......これってもしや?

 

「あの......私、紅魔館の門番をやっている紅美鈴と言います」

「......風見幽香よ」

 

 突然名乗った私に律儀にいぶかしみながらも名前を返してくれましたね。お嬢様と妹様のおかげで知っていたんですが......それはともかく。

 

「私、趣味で庭師も兼任してるんです。花の妖怪である幽香さんに一度アドバイスをいただきたくて......この戦いが落ち着いたら是非遊びにきてください」

「っ! そこまで言うのであれば遊びに来るわ。趣味とはいえ花が悲しんでるようだったらぶっ飛ばすからね」

 

 私を背にして帰っていくのを見送ってから仰向けに倒れます。

 

「あー、つかれましたー。......それにしても」

 

 ......私の見間違いでなければ耳が赤くなっていましたね。

 まさか妹様の予想通りつんでれ? だったとは思いませんでした。

 

 何はともあれ私は役割をしっかりと果たしました。お嬢様! あとはお願いします!




美鈴と幽香の話なのに冒頭でフランとレミリア(本作の主人公)を誉める作者の鑑()
ゆうかりんは目付きが悪いだけで勘違いされてるけど実は優しい妖怪って設定が好きです。
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