ありふれた職業と死を運ぶ暗殺者   作:雪とk

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中立商業都市 フューレン 

 

私と恵里が恋仲になってから約2週間【気配遮断】を使って見つからないようにして空を飛んでいる私達の視界には次の目的地中立商業都市フューレンが見えてきていた。

 

私達はここに来るまでに帝国領の町で補給を行ったり、少しずつ依頼を受け路銀稼ぎをしながらここまで飛んできた。

ちなみ私達の冒険者ランクは今黒。冒険者ランクは通貨と同じで 黄、紫、緑、白、黒、銀、金の順に上に上がっていく。これは実力主義の帝国のギルド故かもしれないが強ければ案外サクッと上がった。

私から言わせれば人格も見たほうがいいんじゃないかとは思うがまあ口にはしないでおこう。

  

その他にも途中、誰もいない場所で【幻想投影(ザバーニーヤ)】の実験をおこなったりもした。その結果中身は個別に再現しなければならないものの王の宝物庫(ゲート・オブ・バビロン)が使えることが判明し町でせっかく買った結構な値段だったリュックが不要になったりしたが新しくわかったことがある。

 

幻想投影(ザバーニーヤ)】は同時に使える宝具の数に限りがある。

例えるなら魔力消費とはべつに宝具一つ一つにコストのようなものがありそのコストがコスト上限を上回ると使えないといった感じだ。なので今の私の力では対人宝具以外は基本的に一つずつしか使えない。

伸びしろがあるかは不明。

 

限界を超えて無理やり展開しようとして脳の処理キャパシティー超えて気絶したあげく恵里から怒られたは今となっては良い思い出だ。

 

それから聖霊天使(ジブリール)の検証もした。迷宮にいた頃は基本的な体術や魔術の特訓が中心だったのでそっちの訓連はできてなかったからだ。

 

その結果私の聖霊天使(ジブリール)は羽を起点に撃ち込んだ相手を生きている状態から生命活動が停止した状態へ書き換えていると言うことがわかった。

 

これはおそらく初代様の告死天使(アズライール)とは異なるのだろう。恐らくだが初代様は相手を首を斬れば殺せる状態に強制的に作り変え手から切ることで相手を殺しているのだ。

 

当たり前だがほとんどの生物は急所(クビ)を切られれば死ぬのだ。恐らくその当たり前を相手に強制するのが初代様の天使の御業だ。

 

つまり私は未だ初代様に追いつけてはいない。今の私ではビーストのような存在には刃が立たない。だが、初代様はこちら側の世界に足を踏み込んだと言っていた。ならばこの技を持っと研ぎ澄ませばいずれは今の初代様に追いつけるはずだ。

 

・・・その時初代様はもっと先へ進んでいそうな気もするが、とりあえず今の初代様に追いつくことがいまの目標だな!

 

…………

 

 

閑話休題(それは一旦置いといて)

 

私達はフューレンに到着しなかに入るための列に並んだ。それは良かったのだが商人も多く集まるこの町の列はとても長いが中にはいった記録がない状態でギルドを使うと面倒なことになるので仕方が無い。朝早くきたおかげで私たちの前には10組ほどしかいないのだが全部商隊らしく審査に時間がかかっていた。

それにしても長い気がするがここは商業都市だ。もしかしたら密輸対策のとして厳しい検査をしているのかもしれない。

まあ、文句を言っても仕方が無いので分身体経由で調べたクラスメイト達の事で新しい情報を念話で話すことにした。

 

『あっははは、なにそれおもしろ。愛ちゃん先生に教会の騎士が逆ハニートラップやろうとして。しかもそれに対抗するために園部ちゃん達が“愛ちゃん護衛隊”とか言うの結成してついて行ってたのに騎士達が先生に惚れるとかなんのギャグ?』

 

まず初めに愛ちゃん先生周りのことを話題に上げた。

そう、先生周りはかなりカオスなことになっている。というのも戦時中最も重要なものの一つが食料の確保である。そして先生の持つ作農師という天職は食料の生産において無類の性能を誇っている。

 

その先生をコントロールしたいと考えた教会がイケメンな教会の騎士をつけ逆ハニートラップを仕掛ける。→それに気づいた一部生徒が愛ちゃん護衛隊を結成し牽制をかける→愛ちゃん先生の生徒思いで全力で頑張る姿に騎士が惚れ込む。

という乙女ゲームもビックリな展開になっていてとても面白いことになっていた。

 

それを聞いた恵里はツボに入ったらしくお腹を抱えて笑っていた。

 

しばらくして笑いも収まったころに話を再開した。

 

『どうやら先生と園部さん達が米を作ってるらしいぞ?』

『へ〜すごいね。お米か〜しばらく食べてないな〜食べたいな〜なにはともあれ先生元気にしてるみたいでよかったよ。そう言えばさ、南雲君奈落に落ちちゃったけど香織ちゃん大丈夫なの?』

『ああ、香織は南雲の生存を信じて迷宮の攻略にまた乗り出したみたいだ』

『へ〜そうなんだ。さすが突撃娘のあだ名を持つだけはあるね。他のクラスメイトは?』

『まずさっき言った先生の護衛兼手伝いとして戦線を離脱した奴らが何人か。城で引きこもってるやつが数人。残りは迷宮で実力合った階層でパーティーを組んで訓練中…て感じだな。ただ気になるのが天之河が私たちが落ちたことを()()で方向に持っていったことだな』

『ふ〜ん、結局あれを()()で片付けるなんて前から思っていたけど勇者なんてたまじゃないね彼は』

『そんなこと言ったら雫や香織とかごく一部を除けば流されてるだけのやつがほとんどだ。だがそろそろ天之河には現実を見せたほうがいいかもな』

『それが灯火のハサンとしての方針かい?』

『いいや、あくまで宵崎灯火としてのおせっかいさ』

『そっか、じゃあ僕も協力するよ』

『ありがとう、だがまずは力をつけるのが先だけどね』

 

「次の方〜!」という門番の声が聞こえてきた。どうやら私たちの番がきたらしい。私たちはステータスプレートを見せて身分を証明し問題なく中へとフューレンの町中へと足を進めた。

 

 

「いや〜まさかこんなにかかるとは思わなかったよ」

 

話題には困らなかったとはいえ並んでいるだけというのはそこそこ辛かったようだ。

 

「確かに私も少し疲れた。まぁ、しょうがないがな。帝国と王国の交易のちょうど間にある町だからそれだけ商人も多いし当然時間もかかるだろうな」

 

町中を歩きながら宿の確保した頃はまだ昼過ぎてすぐだったので宿でお昼を済ませたあとギルドに顔出しをすることにした。ギルド窓口には赤髪の女性が立っていた。受付嬢にステータスプレートを見せてオススメの依頼をいくつかまとめてもらった。

私達はそれを見ながら受ける依頼を相談を始めた。

 

「ふ〜ん、“護衛任務、フューレンから帝都へ向かう商人の護衛”、こっちは “護衛任務、フューレンからアンカジ公国への定期馬車” は〜商業都市ともあって護衛任務が多いね〜灯火はなんかいいの見つけた?」

「いや、こっちも似たようなも…」

 

私がそこまで口にした時毛色の違う依頼を見つけた。

 

「恵里、私たち向けの依頼があったぞ」

「どれどれ〜」

 

恵里が横から覗き込んだ依頼書そこに書いてあった依頼の内容は

 

“討伐依頼、ライセン大渓谷方面から来た飛行能力を持った魔物が何体もフューレンの近くに住み着いている。商人を襲う前に魔物の討伐をギルドから依頼する”

 

「ええっとなになに?討伐依頼、それもギルドからか…確かに私達にもってこいだね」

「そうでしょ、すぐに路銀になるし。これを受けるということでいい?」

「いいよ。今日行くかい?」

「いや、今日は千里眼で魔物の数の確認だけして休もう。日が落ちたら門が閉まっちゃうらしいし」

 

私達は門が閉まる時間までさほど時間もなかったため依頼は明日やることにした。

 

私は宿で【千里眼】を使い大渓谷方面を見る。プテラノドンのような見た目の魔物や2m位の大きさで赤っぽい羽を持った猛禽類のような見た目の魔物など見覚えのある魔物と図鑑で見た覚えのない魔物が確認できた。いずれの魔物も辺りを警戒している様子だ。

 

「最低でも19、あの大きさのが街の直ぐ側にしてはずいぶん多いな」

「そうだね。ありえないってほどでもないけどそれだけの数が街の近くにそれも同時期に移動してくるなんてライセン大渓谷で何か強い魔物でも生まれたのかな?」

「たしかにその通りなら問題ない…だが確認できた魔物の中に私の知識の中にないことが問題だ」

「えっ?ライセン大渓谷に住んでた魔物じゃないの?」

「私も全ての魔物を把握ししているわけではないし当然その可能性もある。だがもしその魔物が魔人族領から来たとしたら」

「つまり、あの魔物達は魔人族の操る魔物かもしれないってこと?」

「あくまで可能性だがな。だが仮にそうだとしても奴らの狙いが読めない。偵察なのかそれとも魔物を使ったハラスメント攻撃なのかそれとも他の目的なのか一切読めない」

「そっか…なら灯火の読心に期待するしかなさそうだね」

「ああ、ただの考えすぎなら良いのだがな」

 

私はそんな事を願いつつ眠りについた。

 

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